司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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理事会設置一般社団法人における設立時代表理事の氏名を定款に直接記載する方法が許容されるか

2011-06-07 10:14:13 | 法人制度
 目新しい論点ではないが,最近質問が続いたので,存外に周知されていないように思われるため,取り上げておく。


 理事会設置一般社団法人における設立時代表理事は,設立時理事の過半数をもって決定する事項である(法第21条第3項)。

 定款に設立時代表理事の氏名を直接記載する方法が許容されるかについては,明文の規定はない。しかし,取締役会設置会社における設立時代表取締役に関して,定款に設立時代表取締役の氏名を直接記載する方法が許容されるかについて,登記実務が積極説で運用されていることに鑑みると,否定すべき理由はない。

 公益法人への移行の関係では,移行後は当然に理事会設置法人であるが,移行後の最初の代表理事は,定款の附則に直接氏名を定める方法によることとなっている(それしか方法がないためであるが。)。

 日本公証人連合会のHPの定款記載例においても,積極説である。
http://www.koshonin.gr.jp/images/shadan_h22.6.22.pdf
※ Bの第39条,Cの第65条

 下記の19頁でも,積極説で解説している。

cf. 日本司法書士会連合会登記制度対策部商事法務WT編
「モデル定款・規程集 -各種法人関係- CD-ROM付」(新日本法規)
http://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50737.html

 ただし,私は,定款の附則に設立時理事等の氏名を直接記載する方法は,推奨しない。定款認証後,設立の登記を申請するまでの間に,設立時理事等の構成に異動が生ずることがあり得るためである。

 なお,上述のとおり,公益法人への移行に際して,移行後の最初の代表理事の選定については,定款にその氏名を直接記載する方法によらざるを得ないが,認定を受けた後,登記を申請するまでの間に,移行後の最初の代表理事に不測の事態が生ずる可能性があることは,リスクとして覚悟しておくべきである。
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