goo blog サービス終了のお知らせ 

司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

弁護士法第72条と「事件性」の要否

2010-11-14 13:32:07 | いろいろ
朝日新聞記事
http://mytown.asahi.com/areanews/tottori/OSK201011130103.html

 鳥取の行政書士vs大阪弁護士会事件につき,朝日新聞がまとめている。

 そもそも書類の作成だけ行っているのであれば,顕名しないので,非弁の謗りを受けることはないはずだが,おそらく「作成代理人」と顕名しているのであろう。そして,「作成代理人」と相手方の間でやり取りが行われ,代理人による交渉と思しきものになったのであろう。

 記事は,弁護士法第72条に関する「事件性必要説」と「事件性不要説」を紹介しているが,事件自体は,紛争事案であり,いずれにしても弁護士法第72条の範疇に入る。問題は,同条ただし書の「他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない」にあたるか否かである。すなわち,行政書士法の範囲内の業務を行っただけであるのか,それともそれを飛び越えて,代理人として相手方と交渉を持ってしまったのか,である。

 記事中,「依頼を受けて書類作成などをした後,急に相手側と衝突して紛争性が出てくることもあり」とあるが,そうであれば,ただちに事件から下りるのが筋であって,関与を持ち続ければ,弁護士法第72条違反の問題が生ずるのは当然であろう。

 司法書士の場合は,「民事に関する紛争」に関する制約された代理権であるので,代理権の範囲内であるか否かについて,神経質にならざるを得ない。また,「事件性必要説」を前提としても,目前の事件が紛争性のないことが明らかなものであったとしても,代理人として行動することは,まずないであろう。

 私は,業界エゴを抜きにして,「事件性必要説」に合理性を感じるが,だからと言って,無制約であってよいとは思わない。資格のない輩による法律コンサルティングが跳梁跋扈すれば,当事者その他の関係人らの利益の保護が図れず,また法律秩序を保つことが困難であるからである。

 現行の資格制度を前提に,コンセンサスとよき慣行が形成されていくことが望まれる。

cf. 平成16年9月18日付「弁護士法第72条と有償法務サービス」
コメント (5)    この記事についてブログを書く
« 日本将棋連盟の公益社団法人... | トップ | 「新基本法コンメンタール不... »
最新の画像もっと見る

5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
職域細分化より一本化 (無知な者)
2010-11-14 16:55:07
ときどき先生のブログを拝見させて頂いている者です。本記事のような内容を目にするたびに、「それなら、法律関係の試験は、司法試験だけにすればよいのに」と多少極端な考えをもってしまいます。司法書士等がいちいち職域を超えているか否かを考えながら依頼を遂行するのは、反って依頼者の利便を害することにもなりかねない気がします。さもなくば、「あなたが応じうる職域はこれのみ」と決めてくれたほうが、よい気がします。難関を突破し、複雑な事案を扱う法律職の方々が、これくらいのことに結論を導き出せないのは、いささか残念でなりません。
返信する
う~ん (代打名無し)
2010-11-14 17:17:03
弁護士と名が付けば(実務的に)何でも出来るわけではないので、資格別に権限が分化した方が分かりやすい部分もありますし、どちらが良いのか一長一短だと思いますね。

税金で困ったときに税理士さんか、会計士さんか、弁護士さんか、はたまたフィナンシャルプランナーさんのところへ行くのか、あるいは中小企業診断士のところへ行くかもしれない(アメリカ基準なら弁護士でしょうが)。

確かに紛らわしい面もあるかと思いますが、同じ弁護士の中で税金に詳しい方を探すのが一番明快で分かりやすく、だから依頼人の利益になるとは必ずしも言えないように思います。
返信する
度々、失礼します (無知な者)
2010-11-14 23:18:29
医師免許のように試験を一本化し、資格取得後に専門を特化していくことも可能ではないでしょうか。歴史を辿れば、代言人、代書人等に分化したようですが、税制にしろ年金制度にしろ制度改革は、更地に建て直すことはせず、増改築で複雑化させ、原則と例外が入り乱れているように思えてなりません。このような意見を、だらだらと記載して、すみませんでした。
返信する
Unknown (ひとこと)
2010-11-14 23:37:40
行政書士も兼業しております。
行政書士法施行規則第9条第2項によりますと,「行政書士は,作成した書類に記名して職印を押さなければならない。」とのことです。
返信する
「明日、夫が逮捕されちゃう!?」 (よっさん)
2011-01-22 15:19:06
鳥取の行政書士の妻が出版しました。
「明日、夫が逮捕されちゃう!?」
出版社:扶桑社

まだ逮捕されてないようですね。。。

返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

いろいろ」カテゴリの最新記事