司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

負担付き特定財産承継遺言に係る遺言の取消し

2022-08-05 20:23:48 | 民法改正
仙台高裁令和2年6月11日決定
https://www.trkm.co.jp/souzoku/22021801.htm

 負担付き「相続させる」旨の遺言に係る遺言の取消し(民法第1027条後段)の申立てがされた事件で,原審(福島家裁いわき支部)は,取消しを認容したが,仙台高裁は,原審判を取り消し,申立てを却下している。

民法
 (負担付遺贈に係る遺言の取消し)
第1027条 負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
コメント

危急時遺言の確認における,真意に出たものであるとの心証の程度

2022-08-05 20:12:40 | 民法改正
東京高裁令和2年6月26日決定
http://lex.lawlibrary.jp/commentary/pdf/z18817009-00-041242085_tkc.pdf

 松尾知子関西大学教授による判例評釈である。

民法
 (死亡の危急に迫った者の遺言)
第976条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
3 第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
4 前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
5 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

cf. 東京高裁平成30年7月18日判決(判時2397号24頁))
https://www.okamoto-law-office.com/modules/d3blog/details.php?bid=196
コメント

自筆証書遺言の封筒の文言により遺言が無効とされた事例

2022-08-05 19:45:08 | 民法改正
東京高裁令和3年4月13日判決
https://keiso-law.com/iroha/5036/

 遺言書を入れた封筒の裏面に「私が〇〇(配偶者)よりも先に死亡した場合」との記載があったところ,配偶者の方が先に死亡した事案で,東京高裁は,上記の封筒文言は,「遺言の全文(民法968条1項)に含まれると解するのが相当である」とし,当該封筒文言が停止条件の意思表示であり,不成就が確定したものであるから,本件遺言は無効であると判断したものである。
コメント

自筆証書遺言において,自筆証書に添付された財産目録の毎葉に署名押印がなくても,全体としては無効にならない

2022-08-05 19:30:30 | 民法改正
札幌地裁令和3年9月24日判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=90867

【事案の概要】
遺言者の二男である原告が,ワープロ打ちにより作成されているにもかかわらず署名押印がない財産目録を添付した遺言者の自筆証書遺言は無効であると主張して,遺言執行者,遺言者の妻又は長男である被告らに対し,当該遺言が無効であることの確認を求める事案。

【要旨】
 自筆証書遺言において,自筆証書に添付された財産目録の毎葉に署名押印がなく,当該目録自体は民法968条2項後段所定の方式を欠いて無効となる場合であっても,当該目録が付随的・付加的意味をもつにとどまり,その部分を除外しても遺言の趣旨が十分に理解され得るときには,当該自筆証書遺言の全体が無効となるものではない。
 本件の財産目録には,生命保険,預貯金及び国庫債券が記載されているにすぎないところ,生命保険の記載はその権利の帰属を左右するものではなく,いわば無益的記載というべきものであり,預貯金及び国庫債券については,遺言書の本文部分において個別具体的に引用・参照されることはなく,ただ包括的に,生命保険以外の金融資産については相続人の法定相続分の割合で相続させると記載されているにすぎないなどの事情の下では,当該目録は,付随的・付加的意味をもつにとどまり,これを除外しても遺言の趣旨が十分に理解され得るのであるから,当該目録が署名押印を欠いて無効となるからといって,遺言書の全体が無効となるものではない。

民法
 (自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
コメント

調停制度発足100周年の記念切手が発行

2022-08-05 19:01:40 | 家事事件(成年後見等)
郵便局
https://www.post.japanpost.jp/kitte/collection/archive/2022/1003_01/

 令和4年10月3日に発行されるそうである。
コメント

遺言書保管制度の利用状況

2022-08-05 18:44:29 | 民法改正
遺言書保管制度の利用状況
https://www.moj.go.jp/MINJI/common_igonsyo/pdf/220720.pdf

 毎月約1400件程度で,すっかり定着したようである。
コメント

家事事件等のIT化,中間試案の取りまとめ

2022-08-05 18:31:54 | 家事事件(成年後見等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA04C8K0U2A800C2000000/

「法務省は中間試案について8月下旬に意見募集(パブリックコメント)を始め、2023年の通常国会に関連法案の提出をめざす。」(上掲記事)

cf. 法制審議会-民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00001
コメント

「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂版が公表

2022-08-05 17:58:22 | いろいろ
「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂版公表について
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.html

「金融庁では、令和3年3月、「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」を策定・公表し、モニタリング等を実施してきました。今般、これまで実施したモニタリング等において、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」で対応を求めている事項について当庁の考え方が十分浸透していないことが認められたため、FAQの関係する箇所を一部改訂いたしましたので、別紙のとおり公表します。」
コメント

商業・法人登記関係の主な通達等

2022-08-05 17:54:57 | 会社法(改正商法等)
商業・法人登記関係の主な通達等 by 法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html

 最新の「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」(令和4年8月3日法務省民商第378号法務省民事局長通達)も掲載されている。
コメント

電子提供措置に関する定款の定めに係る変更の登記の申請書の添付書面

2022-08-05 15:56:14 | 会社法(改正商法等)
「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」(令和4年8月3日法務省民商第378号法務省民事局長通達)が発出されている。

 添付書面については,次のとおりである。振替株式発行会社における整備法第10条第7項の書面は,いわゆる「自己証明」でよいものとされている。

 とはいえ,6月総会で,条件付き定款変更決議を了した上場企業がほとんどであり,そのような株式会社にあっては,(イ)の株主総会議事録&株主リストでもよいといえる。

〇 添付書面
 登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
(ア)施行日において振替株式を発行している会社
 整備法第10条第7項において、 「第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた場合における第四項の登記の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。」と規定されているところ、これは、当該会社が施行日において振替株式を発行している会社であることを証する書面であり、具体的には、当該株式会社の代表者の作成に係る証明書である(別紙様式例参照)。

(イ)上記(ア)以外の株式会社
 株主総会の議事録並びに主要な株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(以下「株主リスト」という。)である(商登法第46条第2項、商登規第61条第3項)。

(別紙様式例)
*****************************************************
株主総会参考書類等の電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける旨の定款の変更の決議をしたものとみなされた場合に該当することを証する書面

 当会社は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号。以下「整備法」 という。)の施行日(令和4年9月1日)において、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第128条第1項に規定する振替株式を発行しており、整備法第10条第2項の規定により、当該施行日をその定款の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更の決議をしたものとみなされた会社であることを証明します。

令和○○年〇〇月〇〇日

○県○市○町○丁目○番○号
株式会社 ○○
代表取締役 ○○○○
*****************************************************

整備法
 (社債、株式等の振替に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十条 この法律の施行前に振替機関又は加入者(社債、株式等の振替に関する法律第二条第三項に規定する加入者をいう。)が加入者集会(同法第三十三条に規定する加入者集会をいう。)の目的である事項について提案をした場合については、前条の規定による改正後の社債、株式等の振替に関する法律第三十九条において読み替えて準用する会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第号。以下「会社法改正法」という。)による改正後の会社法(平成十七年法律第八十六号。以下「新会社法」という。)第七百三十五条の二の規定は、適用しない。

2 附則第三号に定める日(以下「第三号施行日」という。)において振替株式(社債、株式等の振替に関する法律第百二十八条第一項に規定する振替株式をいう。)を発行している会社は、第三号施行日をその定款の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置(新会社法第三百二十五条の二に規定する電子提供措置をいう。)をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更の決議をしたものとみなす。

3 前項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社の取締役が株主総会(種類株主総会を含む。以下この項において同じ。)の招集の手続を行う場合(当該株主総会の日が第三号施行日から六箇月以内の日である場合に限る。)における当該株主総会の招集手続については、新会社法第三百二十五条の三から第三百二十五条の七まで(第三百二十五条の五第一項を除く。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

4 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社は、第三号施行日から六箇月以内に、その本店の所在地において、新会社法第九百十一条第三項第十二号の二に掲げる事項の登記をしなければならない。

5 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社は、第三号施行日から前項の登記をするまでに他の登記をするときは、当該他の登記と同時に、同項の登記をしなければならない。

6 第三号施行日から第四項の登記をするまでに同項に規定する事項に変更を生じたときは、遅滞なく、当該変更に係る登記と同時に、変更前の事項の登記をしなければならない。

7 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた場合における第四項の登記の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

8 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社の代表取締役、代表執行役又は清算人は、第四項から第六項までの規定に違反した場合には、百万円以下の過料に処する。

9 第三号施行日において振替投資口(社債、株式等の振替に関する法律第二百二十六条第一項に規定する振替投資口をいう。)を発行している投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人をいう。以下この条において同じ。)は、第三号施行日をその規約の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置(第三十二条の規定による改正後の投資信託及び投資法人に関する法律(以下この条において「新投信法」という。)第九十四条第一項において準用する新会社法第三百二十五条の二に規定する電子提供措置をいう。)をとる旨の規約の定めを設ける規約の変更の決議をしたものとみなす。

10 前項の規定により規約の変更の決議をしたものとみなされた投資法人の執行役員が投資主総会を招集する場合(当該投資主総会の日が第三号施行日から六箇月以内の日である場合に限る。)における当該投資主総会の招集手続については、新投信法第九十四条第一項において準用する新会社法第三百二十五条の三(第一項第三号、第五号及び第六号を除く。)、第三百二十五条の四第二項から第四項まで、第三百二十五条の五(第一項を除く。)及び第三百二十五条の六の規定にかかわらず、なお従前の例による。
コメント

債権管理に必要な取引先登記の読み方のコツと最新トレンド ~会社登記、不動産登記、動産・債権譲渡登記の最新動向を踏まえて~

2022-08-05 15:26:55 | 会社法(改正商法等)
【有料WEBセミナー】債権管理に必要な取引先登記の読み方のコツと最新トレンド ~会社登記、不動産登記、動産・債権譲渡登記の最新動向を踏まえて~
https://www.shojihomu.co.jp/seminar?seminarId=18311322&s=09

 2年ぶりに,公益社団法人商事法務研究会主催のビジネス・ロー・スクールでお話をします(今回は,「債権管理実務研究会」の月例会を兼ねています。)。

 オンデマンド配信が始まりました。有料のセミナーですが,御関心のおありの向きは,是非御視聴ください。
コメント