シンドサはあるが読書の役割と時代を感じさせてくれた二冊の本に出会った
今朝もとても寒い。過日、私がランチ詐欺を働いた人の住む赤磐市では夜雪が降ったそうだ。今年の夏は酷暑だったが、冬は厳冬となるのだろうか。
そんな寒い師走でみんな多忙となっている時だが、毎日が日曜日の私でありのんびりしていて、最近二冊の本を読んだ。いずれもNHKテレビで放映されたものだが、書籍としては「文藝春秋」から出版されたものだ。
一冊は、NHKスペシャルとして放映された『無縁社会 “無縁死”三万二千人の衝撃』であり、もう一冊は、NHKクローズアップ現代でシリーズとして放映された、『助けてと言えない いま30代に何が』だ。
『無縁社会』については、放映された際の衝撃を既にこのブログに書かせていただいたので、今回は『助けてと言えない』について、その感想を書かせていただく。ただし私はその番組を見過ごしてしまったことを、今ずいぶんと悔やんでいるのだが。
さて、『助けてと言えない』の「はじめに」は、「たった一言、便せんに綴られた文字、『たすけて』。『派遣切り』などで生活困窮者が急増していた2009年4月。これほどまでに、胸を突き刺すような言葉はなかった。この言葉を残したのは、北九州市門司区の住宅で孤独死した元飲食店従業員の男性だった。男は餓死したとみられている。まだ39歳だった」と書き出されている。
30代と言えば、まさに働き盛り。「それが何故」という問題意識から、番組製作はスタートしている。そして、この本のカバー裏には、その問題意識を「派遣切り、ホームレス、孤独死 --。社会から孤立する30代が急増している。なぜ、彼らは『たすけて』と声を上げなのか?」と表現している。
結論的に導き出されたのが、「自分が悪い」という「自己責任論」だ。テレビで放映されると、「他人事ではない」、「明日は我が身」と、大変な反響があったとのことだ。
この「自己責任論」については、鳩山内閣の時代に内閣府参与に就任したこともある湯浅誠さんの著書『どんとこい、貧困!』(理論社刊)で出会ったことがある。その本の第一章には、「どんとこい自己責任論」で、その1からその5までで、「自己責任論は上から目線」として詳しく論破していた。
ただ私的には、多くの人が「自己責任論」に苦しめられている、「助けて」とも言えない状況下に置かれているとの認識は正直うすかった。そのことを、『助けてと言えない』を読み、深く反省している。
30代のこの国を背負う中心世代の人たちが、少なからずホームレスあるいはその予備軍となり、「餓死」する現実に直面して、立ちすくむばかりだ。「頑張り地獄」から脱出して、「助けてと言える社会」への転換が今こそ求められていると考える。文藝春秋から出版されている『無縁社会』と『助けてと言えない』の二冊の本を合わせ読むと、今の時代の一面が見えてくる。
本を読むことで、新しい世界や考え方を知ったり導いてもくれる。読み進むのがとても辛く厳しい内容の本ではありシンドクはあったが、その一方ではそんな読書の役割を実感した本でもあった。