Altered Notes

Something New.

子供を狙う犯罪の余波

2014-09-10 00:10:04 | 社会・政治
幼い子供を狙った犯罪が後を絶たない。
弱者である子供を己の欲望を満たすために犠牲にする許しがたい犯罪行為。近年、こうした卑劣な犯罪のニュースを頻繁に目にする。

また、犯罪の増加による社会不安から子供の遊び場や通学路等の監視・警備に力を入れる等の活動も盛んになっている。子供を防衛するために「知らない人についていかない」「声をかけられたらすぐ逃げる」等の教えを徹底する傾向にある。それ自体は間違っていないし必要な防衛手段だ。

ところが…である。

そうした監視・警備体制が過剰になった結果として全く無実の人間が容疑者・不審者として不当に疑われる事例があちこちで発生している。多くの場合、疑われた人物を徹底的に”避ける”という形の事象となっているようだ。
例えば、道を歩いていると反対側から来た小さな子供がこちらの顔を見た途端に走って逃げて行ったり、または足がすくんで動けなくなったり、とか、たまたま親子連れの近くを歩行した時にあからさまに避けられる、とか、子供の親御さん達が顔を寄せあってこちらの方を見てひそひそ話を始める、とか、勇ましい子供から怖い目で睨みつけられたり、とか、若い女性がこちらの顔を見た途端に極端に避けたり逃げたりする行動に出る、等々・・・枚挙にいとまがないほど多くの悪しき事例が発生しているのだ。
子供が立ちすくんでしまうなど、一体どのような疑われ方をしているのか、と呆れてしまうほどだ。

こうして避けられ、忌み嫌われ不審者・容疑者扱いされる人の多くは男性であり、しかも大抵は非イケメンである。彼らは子供を狙った犯罪に心を痛めている常識のある立派な人達なのだが、容姿と印象から地域社会で不審者・容疑者として一方的に決めつけられてしまい、その結果、地域社会において忌み嫌われる存在になって避けられてしまう。それによって彼らは多大な精神的な苦痛を受けているのである。
彼らは不審者扱いされているが故に加害者に問いただすこともできないでいる。質問の為に不用意に話しかけようものならたちまち警察に通報されてしまうからである。一方的に嫌がらせに等しい攻撃を受け、それを質すこともできない仕打ち・・・これは完全に人権侵害の事例なのだが、これを是正する機関も取り組みも無いのが実状だ。ある人が行政の人権相談窓口にこの問題を申し出たところ、相手の担当者は「あなたの気のせいじゃないですか?」といって取り合わなかったという。”今そこにある大問題”に対して行政(役人)は全く役に立たない。

こうして多大な精神的苦痛を受け人権侵害を受ける人々だが、救済手段が皆無な上に、マスコミもこうした問題を全く報じない。子供さえ守れれば誰が傷つこうが関係ないとでも思っているのか。或いはこうした問題が存在していること自体を未だ認知していない可能性もある。

そもそもどうしてこのような遺憾な事態が発生するのだろうか。
子供を守るために不審者を避けるというポリシーは間違っていないのだが、無実の人間を印象だけで不審者と決めつけてしまい対象者に失礼かつ不愉快な態度を示すということは、深層心理学で言う「影(シャドウ)」の投影が行われている事を意味する。
人は自分が生きなかった反面、つまり自分が否定している生き方をしている人に無意識裡に「影」という元型を投影する。そうすれば簡単に相手を否定できるからである。それは簡単に結論を得たいとする一般大衆の安直な考え方を象徴するものでもある。そしてもうひとつは”想像力の欠如”によるものである。人を勝手に不審者・容疑者扱いする事は簡単だが、そうした行為がもたらす結果と影響について考えたことがないのであろう。正に子供さえ無事なら誰が傷つこうが知ったことではない、という恐ろしく無責任で無神経な思考である。これは正に想像力の欠如を示しており、これは人として重大な過失を犯している、と言える。
拙稿 「想像力の欠如」 でも書いたが、現代人は自分の行動・言動がもたらす影響について創造する能力が著しく欠けている傾向がある。それがこの問題においても関係しているのだ。

子供の命・子供の笑顔は大切である。絶対に守らなくてはならない。しかし安全確保の美名の陰で人権を侵害されて精神的に傷つく人が出てきていることも厳然たる事実なのだ。
社会は子供を守る正義を貫く一方で無実の人間を人権侵害で傷つけている。つまり加害者になっていることをただちに認識・自覚すべきであり、配慮しなくてはならない問題が存在することに気がつくべきである。そして速やかにそれを是正すべきなのだ。

これは現在進行形の深刻な問題である。








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