Altered Notes

Something New.

”立ちっぱ”なコンサートの地獄

2019-04-06 20:20:00 | 社会・政治
いつの頃からか、ポップス・ロック・アイドル等のコンサートではオーディエンスは最初から最後まで立ち上がったままであることが普通になってしまった。こうなると用意されている座席という物のなんと無意味なことか、と思うところだが、これは腰痛持ちの人や純粋にそこで演奏される音楽を楽しみたいという人にとっては地獄のような場所であり時間である。

なぜこんなことになってしまったのか。
それはそこに集うオーディエンスにとってコンサートが音楽会ではなく「お祭り」だからである。アイドルのコンサートなどは特に象徴的だが、正に宗教行事のようなニュアンスも感じられるほどにお祭りの態様を示しているのだ。アイドルがファンにとって一種の宗教的な絶対的存在であることを考えると、この捉え方は間違っていないだろう。アイドルのコンサートに集うファンたちは教会のミサに参加する信者たちと非常に近いように見受けられる。ヲタ芸というオーディエンス側が演じるパフォーマンスは正に神に奉納する踊りのようでもある。

ロックやポップスの場合もほぼ同様で、音楽を鑑賞するというよりはオーディエンスたる自分がその場で楽しんで騒いで発散したい、という動機の方が強いのではないだろうか。これもまた一種のお祭り的な捉え方である。そもそも神事であるお祭りというのはそこに集う人間の無意識内に直接影響を与えて深層心理的に浄化作用が認められるイベントである。現代のロックやポップスのコンサートはそういう意味でお祭りと言えるだろう。なぜなら社会構造をギチギチに構築してしまって心や気持ちに余裕が無くなった現代人には大昔に存在した真に浄化作用を含むお祭りが必要だったからである。

まぁそれはそれでいい。
しかし、純粋にそのミュージシャンの音楽を「聴きたい」オーディエンスはいったいどうしたらいいのだろうか。現状ではそうした人々はただ我慢するしかないような状況である。音楽を純粋に楽しみたい人は座席に座って落ち着いて耳に神経を集中して聴きたいのだ。そのような本来的な目的でコンサートに参加するオーディエンスにとっては現状は地獄としか言いようがない。また、はじめに書いた腰痛持ちのような身体に支障を抱える人にとっても立ちっぱな状態で2時間を過ごすのは地獄であり、事実上「楽しめない」ことになる。

筆者にも直接生でその演奏を聞いてみたいミュージシャンはいるのだが、結局2時間立ちっぱなしでいる事には耐えられないないので一切参加できないでいるのである。






業界用語はバンドマン用語

2019-04-06 19:50:48 | 社会・政治
芸能界やマスコミ業界を中心にいわゆる”業界用語”なるものが定着しているが、これのルーツを知る人は意外に少ない。

ルーツはジャズ音楽家である。

1960年代頃だったろうか、当時のジャズミュージシャンが使い始めたのが最初である。当時は”業界用語”とは呼ばずに”バンドマン用語”と言っていた。使った理由はそばで一般人が聞いていても何の話をしているのかわからない、一種の暗号のような扱いができる言葉だったからだ。

例えばレストランで出された水がまずかった時、ストレートに「まずい水」と言ってしまうと近くにいるウェイター・ウェイトレスとの間に気まずい空気ができてしまう。そこで「ずいま な ずーみ」と言えば、一般の人には何を言ってるのか理解できない。しかしミュージシャン同士は判るのだ。

業界用語のルーツがバンド用語である証拠の一つに数字の数え方がある。音楽では音階の一つ一つの音に音名が付いているが、音階の度数をそれに相当する音名に言い換えて喋るようにしたのだ。
ハ調をベースにすると下記のようになる。なお、カッコ内は
 [音名(イタリア読み):音名(ドイツ読み):Cを基準とした場合の度数]
である。

C(ド:ツェー:1度)
D(レ:デー :2度)
E(ミ:イー :3度)
F(ファ:エフ:4度)
G(ソ:ゲー :5度)
A(ラ:アー :6度)
B(シ:ビー 又は ベー:7度)

読み方はドイツ読みを使うのが基本である。
10進法の数字を考えると8や9はどうするのか、となるが、そこはバンドマンも対応は考えた。”8”は「オクターブ」と言い、”9”は「ナインス(9th)」とテンションの度数で呼称した。しかし1~7迄に比べると格段に言いにくいので、そこは臨機応変に使われた。

だから例えば「250」という数字を言う時には「デー百ゲー十」などと言うのだし、1万は「ツェー万」である。(*1)

上述したように、そもそもバンドマン用語が使われたのはミュージシャン同士が一般人には理解できないように暗号を使うかのように会話する目的が最初だったのだが、時代は変遷して、このバンドマン用語を面白がった一般芸能界や放送業界などの人間に散々使われて手垢がついてしまった結果として誰でも知っている言葉になってしまったので、既に当初の目的だった暗号的な使い方は成立しなくなってしまった。

ざっくり説明すると、そういう経緯があって今に至る、ということだ。



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(*1)
阿呆な奴が「それならば」ということでクイズを作った。
Q:ある人が6万円を隠しました。何処に隠したでしょうか。
A:3万円ずつ山の中と浜に分けて隠しました。
その心は、童謡・唱歌で有名な「汽車」の歌詞に当てはめて「♪E万は山中、E万は浜~」である。阿呆か。