鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第862回】 他社より条件が悪くても・・・

2013年05月11日 | 住宅コンサルタントとして
前々職時代、私は北海道でB to B営業マンとして仕事をしていました。

建築資材メーカーで働いていましたが、
当時、自社の商品をほとんど使ってくれていない地元の住宅会社さん、工務店さんを担当し、
自社の商品を採用していただけるように営業する、いわば新規開拓専門部隊だったのです。

当時から、私が働いていた会社は、建築資材の製造・販売としては日本で最も売上を上げていました。
それでも使ってくれていない住宅会社さんということは、
当時、勤めていた会社に好感を持ってくれていない、ということです。

ですから、お客様を訪問しても好意的な態度を取って下さることは稀で、
ハエのように「シッ!」と手で払われることもありましたし、
「今、忙しいんだって(怒)!もう来なくていい」と言われることもありました。

また、そんな中、何とか新規先の担当者様と少しずつ人間関係を構築出来て、
お見積をさせていただく機会をいただいたとしても、常に自社の見積の方が高かったのです。

そりゃ、そうです。
ライバルメーカーは、得意先を守ろうと、大抵の場合、特別価格を提示していますし、
こちらは取引が無いので、とりあえず様子見ですから、一般的な価格で提示するしかありません。

だから、「お前のとこ、高い!」という言葉を何回言われたか、数えきれないくらい言われました。

入社1年目当時、私は「高ければ買っていただける訳が無い」と思っていて、
当時の上司に改善点などをたくさんぶつけましたが、

「他社よりも品質が良くて安くてデザイン性が高かったら、営業マンなんていなくても売れる。
そうすると、お前の居場所がないだろ?
アルバイトさんや、ひょっとしたらダイレクトメールだけで売れるとしたら、
高いお給料を出して、会社がお前みたいな奴を雇用する訳が無い。
他社よりも高くて品質もイマイチだから、お前がウチの会社にいるんじゃないのか?
そういう環境の中で売ってくるのが営業マンだろ?」

と教えていただきました。

まあ、ホントその通りなんですよね。
他社よりも条件が良くない中、どうすれば買っていただけるようになるのか?
そのギリギリの条件はどういうところにあるのかを探り、
何とか商談をまとめるのが営業マンの仕事なのだと、その時心の底から思ったのです。

それ以来、お客様に「高いよ!使えないよ!」と言われても、
それは「おはよう!今日も頑張っているね!」というような、いわば挨拶が形を変えたもの、
と思うようになりました。

また、

「ウチはあのメーカーさんから以前、非常にお世話になったから、
あの会社からおたくに切り替える訳にはいかないよ」

ということを言われることも多々ありましたが、
そういう言葉も全く気にせず、何か1つでも買っていただけるものが無いかを探ることを徹底していました。

他社より条件が悪いと、売れないと思ってしまう営業マンが非常に多いと感じています。
でも、そもそも営業マンの存在意義は、
条件が不利であっても商談をまとめてくることにあるのだと個人的に思っています。
コメント
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