鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第602回】 あたたかい言葉、思いやりのある言葉を使う

2012年08月24日 | 住宅コンサルタントとして
自分の口から出る言葉が、自分の将来を決めるとしたら、
無意識に思うがままに言葉を発するのではなく、言葉を選んで話すようになりますよね。

今の自分だと、自分の言葉が自分の未来を決めるということが理解出来るのですが、
20代の調子に乗っている若造の頃は、そんなことは全く感じず、
非常に失礼な言葉を使っていたような気がします。

私が前々職時代の28歳の頃のことです。
当時、半期に一度、優秀な業績をあげたスタッフに集まってもらい、
支店の上司、営業所の上司の方たちがそのスタッフの頑張りをねぎらう
業績表彰式というものがあり、その業績表彰式に、毎回参加できるようになっていました。

おそらく、当時はかなり調子に乗っていたと思います。

当時私は、建築資材のメーカーの住宅会社、工務店様の新規開拓営業部隊で、
自社商品の未扱いのお客様のところにおじゃまして、採用していただくように営業する、
というのが仕事だったのです。

この仕事で新規取引をさせていただくにあたって重要なのは、
お客様が「採用しようかな?」と思われたその瞬間にタイムリーに見積を提出し、
価格や取引条件を詰める、ということなのですが、
価格提示に関して、間に入っていただくサッシ店さんの協力が必要なのです。

ところが、そのサッシ店さんの営業スタッフの中に、非常に動きの悪い方がおられました。

自社の営業会議の中で、私はそのことについて触れ、

「担当の○○課長の尻を叩いてでも、見積を出させるようにします・・・」

と言ってしまったのです。

ただ、当時の青二才の私は、この言葉がどれだけ傲慢で失礼な言葉か、分かっていませんでした。

この発表を聞いて、当時の営業所の№2の先輩が、もの凄い勢いで怒ってくれたのです。

「お前、何様のつもりや!
お客様の『尻を叩く』ってどういうことじゃ!」

何が正しくて、何が間違っているかの基準が、自分で全然分かっていなかった当時、
この言葉は今でも心の中に鮮明に残っています。
その会議の最中、それから終わってから、猛烈に反省しました。

「自分がお客様の立場で、自分の息子のような世代の若造にそんなこと言われたら、
絶対に良い気分にはならないだろう。
ということは、もうこういう言葉を使わないようにしよう」
とその時決意しました。
ただ、未熟な自分はまだ無意識のうちに、失礼な言葉が出ていたかもしれませんが、
30代半ばになってそういう言葉が自分の口からはほとんど出なくなったと思います。

「(ある仕事を他の方に)やらせる」
「(自社の仕事を請けてお仕事をして下さる方に対して)下請け」
「(自社の社員さんに働いてもらうことを指して)使う」
「(お客様のことを)客」

というような言葉ではなく、

「していただく」
「ビジネスパートナーさん(もしくは協力業者さん)」
「仕事をしてもらう(働いてもらう)」
「お客様」

という言葉を使うようにしています。

何だか少しだけでも、相手の方や周囲の方が聞いて、あたたかさがあるような気がするのです。

言葉尻を少し変え、あたたかい言葉を使う。
皆さんはどう思いますか?
コメント
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