田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ヒゲナガヤチバエ

2008-09-30 | ハエ目(双翅目)
ヒゲナガヤチバエ
ヤチバエ科のヒゲナガヤチバエ Sepedon aenescens

鈴鹿市は中の川近くの鼓ヶ浦海岸で細身のハエを見つけた。川の対岸には元養鰻池がある。
体長は8ミリほどで、ヒゲナガヤチバエと思われる。
ヤチは谷地のこと。水田、池、湿地などでよく見られ、湿地の指標種とされている。
幼虫はモノアラガイやヒメモノアラガイなどの淡水巻貝に潜り込んで食べているらしい。成虫は新鮮な死貝、ミミズや動物の糞尿などを吸っているようだ。
脚は長くて、漆塗りのような光沢がある。
成虫が植物の葉や茎上に止まる時、頭部を下向きにしていることが多いようだ。
2008.9.28

ヒゲナガヤチバエ

ヒゲナガヤチバエ
私の掌に乗り移ってきた。死肉や糞尿のような臭いがするのだろうか。

オカヒジキの花

2008-09-25 | 草花
オカヒジキ
砂浜でオカヒジキが白い花を咲かせていた。
アカザ科オカヒジキ属
肉質の葉の先端は鋭く尖り、触ると痛い。
これだけ硬くなった茎葉はもはや食用には適さない。
葉が尖って痛いといえば、帰化植物のアツバキミガヨラン、河芸の砂浜で最近どんどん増えている。先日、伊勢市の岡与一さんに「皆さん方で早く駆除されたし」と言われた。
2008.9.25

オカヒジキ

Steganopsisの一種

2008-09-22 | ハエ目(双翅目)
Steganopsisの一種
シマバエ科のSteganopsis sp1 和名はまだ無い

津市河芸町の海岸。メヒシバが茂る草むらでしゃがみ込んでいた時、メヒシバの穂に止まった小さな生き物を見つけた。こげ茶色をしていて、甲虫の仲間かなと思った。メヒシバの種子と変わらぬ大きさだから、3ミリ前後かと思う。すぐに見失った。
写真を拡大してみると、ようやくハエの仲間に思えた。
シマバエ科のSteganopsis属の一種
シマバエ科のSteganopsis属には3種が記録され、さらに2種の未記載種が確認されている。未記載の2種はどちらも和名が無く、胸部背板に縦線があるのがS.sp1、無いのがS.sp.2になるはずらしい。未記載とは正式な記載論文が出ていないということのようである。この個体には縦線があるからS.sp1ということになる。
顔面中央部は瘤状に大きく膨らみ、触覚第3節が非常に長いのはSteganopsis属の特徴らしい。
触覚第2節背面に1本の長い剛毛がある。
顔面に目玉模様がある。
腰が曲がっていて、カーブした腹部背面を包み込むように翅も内側にカーブしている。
ショウジョウバエ科のカブトショウジョウバエというのに似ているらしい。翅がSteganopsisと同じように曲がって腹部を覆っているという。カブトショウジョウバエの属はStegana。シマバエ科のSteganopsis属はショウジョウバエ科のこの属名が元になっているようだ。
複眼のピンク色は気に入った。
各地で普通に見つかっているらしい。
2008.9.15

Steganopsisの一種

ツマキホソハマキモドキ

2008-09-21 | 
ツマキホソハマキモドキ
ホソハマキモドキ科のツマキホソハマキモドキ
Lepidotarphius perornatellus (Walker, 1864)

田中川の源流地域、鈴鹿市の三宅町へ久し振りに出かけた。
溝そばの草むらでツマキホソハマキモドキを見つけた頃には陽がかげっていた。まわりの数メートルの範囲に4個体を見つけた。翅の色や模様などに個体差があることに気がついた。
幼虫の食餌植物はショウブやセキショウ。この辺りの溝にはショウブが植えてある。日本のホソハマキモドキの中で最大の美麗種である。9月中旬に何個体も見られるなんて、珍しいかも。
開張15~19ミリ。この蛾の後ろ脚は回転運動をするという。
2008.9.20

ツマキホソハマキモドキ

スズバチ

2008-09-19 | ハチ目(膜翅目)
スズバチ
ドロバチ科のスズバチ 体長は18~30ミリ

近場のいつもの観察場所で、ヤブガラシに訪花するスズバチと出会った。
名前は聞いていたが、見たのは初めてである。思っていたよりもサイズが大きいので少し怖かった。スズバチのほうもこちらを気にしている様子であった。
鈴蜂の名前は巣の形からきているらしい。泥で作る巣はまだ見たことがない。
黒のボディに橙黄色の帯やら紋やらが格好良く見える。腹部は艶がある。
20年以上前に美しい人が橙黄色の靴下を履いていたのを思い出した。そうだ、橙黄色の靴下を探そう。そして、誰かに履いてもらおう。
2008.9.17

スズバチ

スズバチ

オオホシカメムシ

2008-09-17 | カメムシ
オオホシカメムシ
オオホシカメムシ科のオオホシカメムシ Physopelta gutta

津市の豊津海岸でヤブガラシに訪花するオオホシカメムシと出会った。
数年前にアカメガシワに居るのを見たこともある。
体長は15~19ミリ。
良く似たヒメホシカメムシ同様、灯火に飛来する。
ヒメホシカメムシよりもはるかに大型で背面の点刻が弱い。
19ミリサイズの個体は標本でしか見たことが無い。えらく細長いと感じた。
2008.9.16

芦原海岸での孵化率調査

2008-09-15 | ウミガメ
孵化率調査
芦原海岸の3ヶ所の産卵巣の中で最も早く孵化した産卵巣の孵化率調査が三重大学生とS女史により行われた。
産卵数は124個。孵化は115個。発生後期に死亡したものが2個体。発生初期に死亡したものが7個体。孵化したものの脱出できなかったいわゆる未脱出個体は無かった。
孵化率は92.7%。
地上へ脱出した個体数は115であるが、漂着物を乗り越えて海にたどり着けた個体数は決して多くはないと思う。
なお、この調査の前夜、芦原海岸南端の産卵巣でも孵化を確認した。満潮時の午後5時半までに地上に脱出し海に帰っていた。巣穴は大きく凹み、海まで一直線に肢跡が続いていた。付近の海岸のゴミはきれいに片付けられていた。
2008.9.13

孵化率調査
未孵化の卵を別に並べておく。そして、1個ずつ割って発生段階を確認していく。

孵化率調査
未発生の卵

孵化率調査
発生後期。黄身を抱いている。

孵化率調査
この個体も発生後期。黄身の量は前の写真の卵よりも多い。

孵化率調査
調査が済んだ後、卵殻は産卵巣に入れて、穴を埋める。
この穴の深さは約57センチであった。
穴の最深部は少し広くなっていると学生たちが話していた。

漂着ゴミと子亀

2008-09-14 | ウミガメ
漂着ゴミ
津市河芸町 芦原海岸の漂着ゴミ

ヨシの漂着が圧倒的に多いことから、川から流れ出たゴミばかりである。ゴミの漂着が続く中、芦原海岸でアカウミガメの孵化が始まった。

子亀肢跡
2008.9.11 ひとつの産卵巣から脱出した子亀の肢跡が大量に見つかった。前夜に脱出したものと思われる。
ところが波打ち際には漂着物が山のように堆積している。数日前に産卵巣前の海岸は漂着物を片付けて綺麗にしておいたのだが、すぐに堆積してしまっていた。漂着物の山に突き当たり、なんとほとんどの子亀たちは海を目の前にして、Uターンしてしまったようである。彼らの肢跡は海岸堤防に達するまで続いていたのである。
堤防際まで来た彼らの内、どれだけの個体数かは判らないが再び海岸に向かった肢跡も見つかった。

子亀死亡
漂着物の山を数十メートル歩いて調べてみたら、死亡した子亀5個体を見つけた。

子亀死亡
漂着物の上で力尽き、干からびてしまった子亀
子亀たちは前へしか進めない。後ずさりなんて出来ない。

後日判ったことだが、11日午前7時頃に海辺を散歩をしていた人が漂着物の間で身動きの取れない子ガメたちを見つけ、3時間ほど捜し回って、約40個体を救出したとのことである。

漂着物の中から生存子ガメ

2008-09-12 | ウミガメ
子ガメ

子ガメ
大量の漂着物に行く手を阻まれた子ガメたち。5個体の死亡を確認したが、生存する2個体を漂着物の下から発見した。漂着物の間に入り込んで身動きが取れない状況ではあったが、日差しによる乾燥を避けられたのが幸いしたようである。
漂着物を少し取り除いて様子を見ていると、すぐに動き出した。
しかし、この漂着物を乗り越えていくことは途方も無いことである。
明るい内に海へ返すよりも夜を待ったほうが子ガメにとって危険が少ないと考えた。
バケツに入れて夜を待った。バケツの中で、子ガメは水面を泳いだり、潜水したり、浮いたまま休んだりしていた。
その日の夜に無事海へ届けた。
2008.9.11

コガタスズメバチ

2008-09-10 | ハチ目(膜翅目)
コガタスズメバチ
ヤブガラシの群生地で最近いつも出会うスズメバチがいる。
人家周辺ではキイロスズメバチ同様よく見られる中型のスズメバチ。コガタスズメバチである。
我家の植木に5月頃、逆さ徳利型の巣を越冬した女王蜂が一匹で作っていたことがある。
成虫はハエ、アブ、クモなどを捕食し、樹液や熟した果実も食べる。ヤブガラシの蜜も好物のようである。
大人しいハチで、むやみに刺激しなければ刺されないという。
コガタスズメバチの巣はオオスズメバチの攻撃対象とされ、中の幼虫や蛹をみんな持ち去られてしまうことがあるようである。オオスズメバチに対する反撃力はほとんど無いらしい。
2008.9.6
コガタスズメバチ

コガタスズメバチ

アオスジアゲハ

2008-09-09 | チョウ
アオスジアゲハ
ヤブガラシ群落をうろついていると、いつもこの蝶と出会う。
アゲハチョウ科のアオスジアゲハ
この直後、ペアーはあっという間に空高く舞い上がり、いずこかへ消えていった。
成虫の出現期は5~10月。春型は夏型よりも小型で、青緑色の帯の幅が広く、色調も薄くなるという。
青緑色の帯には鱗粉が無い。
幼虫の食餌植物はクスノキ、ヤブニッケイ、タブノキ。
アオスジアゲハ属では最も北に分布を広げた種で、東北地方南部辺りが北限となっているようだ。
私の子供時代、こんな綺麗な蝶がいたのかなあ、どうも記憶が無い。
2008.9.6

アメリカネナシカズラ

2008-09-08 | 草花
アメリカネナシカズラ
田中川干潟の南端近くでヒルガオ科ネナシカズラ属のアメリカネナシカズラを見つけた。
北米原産の帰化植物で、一年生の寄生植物。
田中川河口の堤防際辺りにも多い。
アメリカネナシカズラに虫こぶを造るマダラケシツブゾウムシの姿は無かった。
ネナシカズラツルコブフシもしばらく見ていないなあ。
2008.9.4

シラホシトリバ

2008-09-08 | 
シラホシトリバ
津市河芸町の豊津海岸にて。ヤブガラシの群落の中をゆらりゆらりと飛ぶ小さな蛾を見つけた。開張11ミリ。飛んでいるときは金色に見えたが、止まった蛾はオレンジ色をしている。止まってくれるまでの数分間が辛抱であった。
トリバガ科のシラホシトリバ Deuterocopus albipunctatus Fletcher, 1910
幼虫の食餌植物はエビヅルやノブドウ。そんな植物が近くにあったかなあ。
2008.9.6

シラホシトリバ

シラホシトリバ

シロツトガ

2008-09-05 | 
シロツトガ
ツトガ科ツトガ亜科 シロツトガ Calamotropha paludella purella (Leech, 1889)

芦原海岸のケカモノハシ群落の中を歩いていて、シロツトガと出会った。
真っ白い個体が基本だが、このように黄色い点状の横線が入る型も結構いるというから、斑紋の個体変異が大きいのだろう。灯火にもよく飛来するという。
成虫の出現期は5-6月と9-10月。
日本では北海道から沖縄まで分布している。
幼虫の生活史は日本では知られていないが、欧州ではガマ科につくらしい。田中川干潟とその周辺にはガマ科植物は見当たらないから、私はイネ科が怪しいと思っている。葦原で何度も成虫を見かけているから。
良く似ているマエキツトガはもっと翅が短いし、成虫の出現期も5~7月に限定される。
シロツトガは意外とじっとしていてくれた。

マエグロツリアブ最後の一匹

2008-09-03 | ツリアブ
マエグロツリアブ♀
毎日のように雨が降る。雨上がりの曇り空、時々日が差す。海からの風が強い。
このところ、マエグロツリアブの姿をほとんど見なくなった。見つけても1個体だけ。
昼時なのにヤブガラシの花には今日もマエグロツリアブが飛んでこない。もう皆死んでしまったのかなと諦めかけた頃、私が草を踏み固めて作った通り道の脇、膝くらいの高さでヤブガラシの葉に休むマエグロツリアブ♀を見つけた。
翅は左右ともボロボロである。
訪花中のマエグロツリアブに近づくことは難しいが、このように休息中のときは間近に接近して接写することが出来る。数センチまで近づいても大丈夫だ。
腹部(第2節後半の側方と第3節)の黄色鱗毛もほとんど無くなっている。
この子はあと何日生きられるのだろうか。
近くでクロバネツリアブも複数個体見つけたが、マエグロツリアブはこの1個体だけであった。
2008.9.2

マエグロツリアブ♀

マエグロツリアブ♀