田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

干潟のハマボウ 11月下旬

2010-11-27 | ハマボウ

2010.11.25 田中川干潟。海岸堤防から紅葉した2本のハマボウが見える。


2代目のハマボウ。左奥に紅葉した古木のハマボウが見える。


2代目ハマボウの果実の中に小さな幼虫を見つけた。種子は食べつくされていた。カクモンノメイガの幼虫ではないかと思うが,種子が1個も残っていず,果実の中には幼虫の糞が詰まっていた点が気になる。この幼虫が食べ尽くしたにしては,体長が小さすぎると思う。羽化確認していないので,種の同定は無理かな。

ハマボウ3本の開花

2009-07-28 | ハマボウ
ハマボウ
古木の南に生えている若いハマボウたち4本の内、1本が初めて開花した。

田中川干潟、今年は3本のハマボウが開花した。
初開花のハマボウは私の腰くらいの高さになっている。
古木も2代目もたくさんの開花をみた。
2009.7.24

ハマボウ
ハマボウ古木。右奥に2代目も見えている。

ハマボウ
ハマボウ古木

ハマボウ
2代目のハマボウも満開

ハマボウ
シロオビノメイガが花に止まっていた。

ハマボウ咲き初め

2009-07-01 | ハマボウ
ハマボウ
6月27日、田中川干潟の若いハマボウが花を咲かせていた。
6月中の開花はこれまで無かったと思う。
翌日見に行ったら、花は一つも咲いていなかった。蕾は幾つもあった。
古木のハマボウにも花は咲いていなかった。

ハマボウ

ハマボウ若木

2008-12-17 | ハマボウ
ハマボウ若木
2008.11.28 田中川干潟のアイアシ群落の中でハマボウ若木が育つ

田中川干潟の西端部は高潮線に沿ってアイアシ群落が続いている。干潟内で最も漂着物が多く集まってくる場所である。住宅団地からの排水が干潟内に入ってくるが量的には少なく、田中川は満潮時に防潮水門が閉じるので、高潮線付近にまでたどり着く水は海水とほとんど同じ濃度のものである。
今年の春、このアイアシ群落の中に4本のハマボウ若木が育っているのを見つけた。古木のある場所から南へほぼ一直線に並んで生えている。生息地の標高は約1m、古木も同じ標高の所に生えている。
この場所は上の写真を見ると、人が踏みつけたように見えるが、そうではない。20年ほど前、ここには廃船があった。その廃船がほとんど朽ち果てて、船底の部分だけ未だに残っているのである。
その船底の板の割れ目から生まれたハマボウの若木が育ってきているのである。
5月18日に三重県立博物館のサポートスタッフの人たちによってハマボウ若木の計測が行われたので、その結果をここに記録しておく。
4本共に花は今年咲かなかった。
この4本の若木が黄色い花を咲かせるのは何年後になるのだろう。楽しみだ。

ハマボウ若木計測

ハマボウ若木
赤く紅葉しているのがハマボウ若木。写真左上の奥にハマボウ古木が見える。

ハマボウ若木
2008.10.13 3本の二年生苗が古木の樹冠外側で生き残っていた。
2006年に生まれた樹冠内の苗は全滅してしまったようだ。ハマボウは耐陰性に極めて乏しい陽樹なのだろう。

ツゲノメイガ♀

2008-08-06 | ハマボウ
ツゲノメイガ♀
ツトガ科ノメイガ亜科 ツゲノメイガ♀ Glyphodes perspectalis (Walker, 1859)

ツゲノメイガの雌が田中川干潟に育つ若いハマボウの木にいた。雄は尾端に黒い毛束を持つから、持っていないこの個体は雌。前翅長は20~24ミリ。
ツゲノメイガの幼虫の食餌植物はツゲ科のツゲ。ツゲはこの干潟や近くの砂浜には見られない。住宅地の庭からでも飛んできたのだろうか。

2008.8.3

ツゲノメイガ♀

ハマボウで休む蛾たち

2008-07-06 | ハマボウ
このところ連日、干潟のハマボウに通っている。
ハマボウで暮らしているのか、休んでいるのか定かではないが、何種類かの蛾たちに出会ったので紹介する。

アカテンクチバ
ヤガ科シタバガ亜科のアカテンクチバ
幼虫はマメ科のフジやクズを食べる。堤防際に繁茂するクズからやってきたのだろう。

Abraxas sp.
シャクガ科エダシャク亜科のAbraxas sp.
前翅前縁中央にある灰色の斑紋の中に黒い輪っか状の紋があるので、外観での同定が不可能。紋がなければ、近くにマサキがたくさんあるからユウマダラエダシャクに決まりなんだけどなあ。

カクモンノメイガ
カクモンノメイガ 
ハマボウの小さな蕾がかなりの数を食べられていることから、カクモンノメイガの幼虫は種子だけでなく、蕾も食べているらしいことが少しづつ分かってきた。

マサキスガ
マサキスガ
すぐ近くにマサキがあるから、遊びに来たのかな。

モンムラサキクチバ
ヤガ科シタバガ亜科のモンムラサキクチバ
成虫はシイ類やカシ類の樹液に集まるという。
幼虫の食餌植物も不明なので、なぜハマボウにやってきたのか理解できない。

モンムラサキクチバ
これもモンムラサキクチバ

ハマボウにチャハマキ

2008-06-26 | ハマボウ
チャハマキ♀
チャハマキ♀

チャハマキ♂
チャハマキ♂ 2008.6.26

田中川干潟のハマボウの木にハマキガ科のチャハマキが雌雄でいた。
チャハマキの幼虫はあまり好き嫌いがないようで、ほとんどの広葉樹を食べているそうである。
ハマボウの葉を食べているところは確認できていないが、雌雄揃ってハマボウにいるからには、きっと卵を産み付けるのであろうと思われる。
ハマボウの木は、いったい何種類の蛾の幼虫たちに食べられているのだろうか。少し調べてみた。
チャミノガ、マダラトガリホソガ、ホソバチビヒメハマキ、モモノゴマダラノメイガ、カクモンノメイガ、ワタノメイガ、ヒメシロモンドクガ、ウスアオリンガ、モモブトアオリンガ、オキナワオオアカキリバ、カバイロオオアカキリバ、フタトガリコヤガ、シロガ シロオビノメイガ、コブノメイガ、チャハマキ
以上の16種がいろんな人に確認されているようである。調べれば、まだまだ増えていくかもしれない。



ハマボウのナミテントウ

2008-05-17 | ハマボウ
ナミテントウ
田中川干潟のハマボウ古木を覘いてきた。
ハマボウの新しい葉が目立ってきている。
ナミテントウたちの姿が見られた。体色や斑紋のパターンが変化に富む。
テントウムシが居るということはアブラムシも居るに違いない。

アブラムシはすぐに見つかった。ハマボウの葉の裏にいくらでも居た。
アブラムシ亜科のワタアブラムシと思われる。
卵で越冬した彼らは冬から春にかけてムクゲやフヨウなどアオイ科の植物に寄生することが知られている。同じワタアブラムシでも胎生雌虫のまま越冬するグループもあるが、それらの寄主植物は異なるという。
2008.5.14

ナミテントウ

ワタアブラムシ


ハマボウ種子落下

2008-03-12 | ハマボウ
ハマボウ種子
田中川干潟。若いハマボウに近寄った。
それほど強くは無い西風がハマボウの果実を揺らす。
果実は枝先にたくさん残っている。
果実の中の種子が見える。
果実を揺らして、種子の音を何度も聞いてみた。
株の周りにヨシが生えている。
落下したハマボウの果実と種子がヨシの周辺にも散らばっていた。
2008.3.8

ハマボウ種子

ハマボウ種子

ハマボウと鹿

2008-03-04 | ハマボウ
シカの糞
ニホンジカの糞とハマボウの果実

久しぶりに五ヶ所湾へ出かけた。
「日本最大のハマボウ群落」と現地の案内看板に書かれている伊勢路川のハマボウ群落を訪ねた。群落の中をのぞいてみると果実はすべて落ちてしまっているように見えるが、群落の周辺部に育つ株には果実がまだ多く残っていた。
群落から少し離れた山よりの湿地帯にもハマボウがあちこちに自生しているのに気づいた。かつては堤防も無かったのであろう、今では海と遮断された場所ではあるが、今なお生き続けているハマボウ。
車も入っていけない入り江の奥にハマボウの大きな古木たちの群落を見つけた。
その群落の中でシカの糞を見つけた。ニホンジカの糞であろう。ハマボウの株周りを調べてみると、ハマボウの樹皮が何ヶ所もむしり取られている。シカが食べたのであろうと思われる。
シカの食害にあっているハマボウなんて、聞いたことが無い。
2008.3.3

シカの食痕
むしり取られたハマボウの樹皮

ハマボウ
ハマボウの古木 
樹高は6メールを軽く超えていると思われる。ハマボウの幹は地をのたうちまわるような様相を見せるものだと思っていたが、この場所のハマボウたちは上へ上へと高く伸びている。

ハマボウ古木

ハマボウ古木
堤防越しに海側へと枝を広げるハマボウ
湿地と山は接している。

ハマボウ秋色

2007-11-22 | ハマボウ
ハマボウ
田中川干潟のハマボウが紅葉しはじめた。
津市河芸町地内で、地元が誇れる古木はこのハマボウである。

最近、この古木の周りには漂着してきたものやら、堤防から投げ入れられたものやらでゴミが多くなってきた。注射針で怪我をした人もいた。
空き缶を拾う人を見たことがある。小遣い稼ぎになるらしい。
ノイバラを刈り取りながらゴミを片付けていた人も知っている。
観察会で参加者にゴミ拾いをしてもらったことも有る。
それでも干潟のゴミは増えていく。
2007.11.17
ハマボウ種子
ハイビスカス・ハマボウ
紅葉するハマボウ
ハマボウ 群落の予感
ハマボウ 干潟に生まれる

ハマボウ

ハマボウ種子

2007-10-26 | ハマボウ
ハマボウ種子
田中川干潟のハマボウに会いに行ってきた。
いくつもの果実は少し開き気味で、中の種子が見えていた。開いていない果実でさえ、少し触っただけで割れて、中の種子がこぼれ落ちる。
2007.10.24

ハイビスカス・ハマボウ
紅葉するハマボウ
ハマボウ 群落の予感
ハマボウ 干潟に生まれる

ハマボウ種子
ハマボウの種子は海水に浮いて、各地の干潟にたどり着くと前々から聞いていたが、本当に浮くのか確かめてみたくなった。
潮溜まりに浮かべてみると、果実も種子も浮いた。浮いて、散り散りになって流れていく。

ハマボウ種子

カクモンノメイガ弱齢幼虫
いくつかの果実の中に、体長1センチ弱くらいの幼虫がいた。ハマボウの種子を食べるカクモンノメイガの弱齢幼虫だ。8月下旬から9月初旬頃に羽化した成虫の子供たちであろう。
ハマボウで生きる幼虫

カクモンノメイガ弱齢幼虫

ハマボウで生きる幼虫

2007-09-07 | ハマボウ
カクモンノメイガ幼虫の棲家
ハマボウの花は一日花。咲き終わると同時に果実が作り始められる。若い果実はつぼみのように見える。
田中川干潟の2本のハマボウを観察していて、果実に穴が開き、その周辺部に幼虫の糞が付いていることに気づいた。穴が開けられた果実の数は数十個もある。
いくつかの果実の中をのぞいてみると、ピンク色の幼虫が出てきた。

カクモンノメイガ幼虫
2007.8.17 果実の中をのぞいてみた

カクモンノメイガ幼虫
果実から取り出した幼虫

カクモンノメイガ幼虫

カクモンノメイガ
いくつかの果実を持ち帰って、飼育ケースに入れて観察していると、9月3日に2匹が羽化した。

カクモンノメイガ
羽化した成虫をすぐに干潟のハマボウに届けた。
ツトガ科ノメイガ亜科 カクモンノメイガ
成虫の出現月は8~9月
幼虫の食餌植物はアオイ科のムクゲの花が知られているらしい。
ハマボウはムクゲと同じアオイ科の樹木。
ハマボウの花が幼虫類に食べられているのは見ていないし、その痕跡もなさそうである。一日花のハマボウの花を食べていては幼虫も毎日のように花を変えていかなければならない、忙しすぎる。なので、カクモンノメイガの幼虫はハマボウの果実の中で暮らしていると考えられる。果実の中には腎臓形の種子が入っている。



ハマボウ 群落の予感

2006-07-30 | ハマボウ
ハマボウ発芽
ハマボウ古木の樹冠下に入ってみた。温室の中に入ったような蒸し暑さであった。1株の木なのに、幹は株元からいくつもに分かれ、ある幹は途中から土中に隠れて後に再び姿を見せる。いくつかの枝は土中から伸びてきている。アカテガニが幹を登っている。
この樹冠下に約1000株のハマボウが発芽している。7月9日に双葉を確認、23日のこの日は多くの株が複数枚の本葉を付けていた。
この古木の周辺約100メートルの間で、アイアシの茂みの中にも点々と発芽しているのを見つけた。
ハマボウは各地で群落を作っている。
ハマボウは開花まで7,8年かかる。10年後、この田中川干潟にハマボウの樹林ができているのだろうか。2006年の開花株は2本、10年後の開花株は?

ハマボウ 干潟に生まれる

ハマボウ花にキチョウ
ハマボウの花にキチョウ 2006.7.23


ハマボウに登るアカテガニ 2006.7.29