田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

砂浜のチシマカニグモ

2010-03-24 | 蜘蛛
チシマカニグモ
カニグモ科のチシマカニグモ♂ Xysticus kurilensis Strand, 1907

津市の芦原海岸。イネ科植物の株際を探す。指で砂を掻き出すと,時々小さなカニグモが出てくる。K氏の同定により,芦原海岸の砂浜にもチシマカニグモが生息していることが分かった。
「交尾器などにより確認しました。千島の名前が付いていますが,三重県内に普通に居ます。」と教えてもらった。

手持ちの図鑑には載っていないので,県立図書館へ出かけ,改訂版写真日本クモ類大図鑑で調べた。「♀7.0~8.0 ♂5.0~6.0㎜。オオヤミイロカニグモによく似ている。外観だけでは区別がむずかしい。♀の外雌器や♂の触肢の構造を比較検討することによって区別がつく。各地に普通に見られる種である。山林の林床にはえたクマザサや低木などの葉上や落葉のリターの中にも生息している。成熟期5~6月。分布:千島,北海道,本州。」などと解説されていた。

『鈴鹿市の自然』にはチシマカニグモが記録されているが,砂浜海岸では見つかっていない。同属のヨコフカニグモが千代崎海岸で記録されている。
はたして,津市の芦原海岸や豊津海岸ではチシマカニグモ以外のカニグモ属(Xysticus)が見つかるだろうか。
2009.9.26

チシマカニグモ

イソハエトリ

2010-03-23 | 蜘蛛
イソハエトリ
ハエトリグモ科のイソハエトリ Hakka himeshimensis (Donitz & Strand, 1906)
Pseudicius himeshimensisという学名も使われていて,最も新しい学名が何かは私には分らない。

去年の5月に和具大島で撮ったハエトリグモがこのほどK氏によりイソハエトリと同定された。
イソハエトリが載っている手持ちのポケット版図鑑二冊を見比べて調べていたのだが,著者が同じで,載っている写真も同じ,トリミングを変えてあるだけである。二冊の図鑑に出ているイソハエトリとは違う種ではないかとこれまで思っていた。体色や腹部の模様などに変異があるようだが,二冊ともに同一個体の同じ写真が使われているから,変異の程度が分らない。なお,二冊とも学名はMenemerus himeshimensis となっている。

追いかけても追いかけても逃げていくクモで,田中川河口のテトラポッドでも見かけるが,近寄らせてもらえず,離れたところからの写真しか撮れていない。和具大島では砂浜を這いずり回って追いかけた。岩場であったら,接写は難しかったであろう。
『鈴鹿市の自然』には,磯山海岸で記録されていた。中ノ川河口のテトラ周りで獲れたのではないかと推察している。

腹部先端の白い部分は糸いぼ。

偕成社の改訂版写真日本クモ類大図鑑ではHakka属とし,「海浜性のクモで,海岸の岩や礫の間,堤防のテトラポット,流木の上や漁船の中などにいる。敏速に徘徊して獲物を捕食する。成熟期は6~7月。」と解説している。
2009.5.24

イソハエトリ

イソハエトリ

イソハエトリ
イソハエトリの幼体

和具大島
イソハエトリが暮らす和具大島の磯

ビロウドツリアブ初見

2010-03-21 | ツリアブ
ビロウドツリアブ♂

早春の暖かい一日,津市河芸町北黒田の里山へ向かった。ビロウドツリアブに会えそうな気がしたからである。ため池があり,小さな畑もあって,アブラナ科の野菜が黄色の花を咲かせていた。その花を渡り歩くビロウドツリアブの雄が何頭もいた。花の花粉や蜜を舐めているのだろう。今年の初見である。
複眼がくっついているので雄と分る。ビロウドツリアブの雌雄は複眼が離眼的か合眼的かで識別できる。
図鑑には「体長8~12㎜。♂の複眼は上方で接する。春季発生の普通種」などとある。
度会郡大紀町滝原の知人からもビロウドツリアブ初見の便りをもらった。
2010.3.19

ビロウドツリアブ♂

ビロウドツリアブ♂

里山のビロウドツリアブ

クロネハイイロヒメハマキ

2010-03-10 | 
クロネハイイロヒメハマキ
ハマキガ科ヒメハマキガ亜科のクロネハイイロヒメハマキRhopobota naevana (Hübner)

昨年の10月末に我が家の玄関灯に飛来した蛾の名前が分った。M氏の同定である。
翅長は約6㎜。成虫の出現月は5~10月。♂は後翅裏側に黒い性標がある。この個体にも細長い黒斑があったので,♂である。11月9日にも別個体の♂が灯火にやってきた。
幼虫の食餌植物はバラ科,モクセイ科,モチノキ科。古くからリンゴやツゲの害虫として知られている。
きっと我が家の庭でも,幼虫たちはイヌツゲの新芽や葉を数枚重ねた巣の中で葉肉を食べていたのだろう。卵で越冬するので,この時期,イヌツゲの幹や枝に産み付けられてあるのだろう。庭にはキンメツゲもあるので,今年もまた何度か姿が見られることだろう。
2009.10.28

チャマダラキリガ成虫越冬

2010-03-09 | 
チャマダラキリガ
ヤガ科ヨトウガ亜科のチャマダラキリガ Rhynchaglaea scitula (Butler, 1879)

1月,三重県立博物館の建設予定地に出かけたとき,里山林の落ち葉の間にチャマダラキリガを見つけた。捕まえてやろうと思った途端に,逃げていった。近くに止まったと思ったが,再発見できなかった。
虫屋さんたちが集まった席で,何人かが「虫を捕まえる前に写真を撮っている人が居る。飛んで逃げられたり,草むらの中へ落ちたりしたら二度と見つからない。何であんな馬鹿なことをしているのか理解できない」と語り合っていた。常々馬鹿なことをしている私なのです。

開張35ミリ。幼虫はカシ類を食べる。
成虫の出現期は11月と3~4月。晩秋に出てきて,成虫で越冬する。
個体変異が激しい上に,クロチャマダラキリガなどに似ていて同定しにくいが、「前翅前縁翅頂近くの四角い暗色斑とギザギザ(鋸目状)の外縁が見分けるポイント」と『みんなで作る日本産蛾類図鑑』に書いてあった。
2010.1.10

駅構内のウサギ

2010-03-02 | 三重の生き物
ウサギ
津市の近鉄白塚駅構内にウサギが居ると,知人から聞いたので見に行った。
ウサギはすぐに見つけられた。枯れた草を食べていた。
近くには踏切もある。列車が通るたびに,相当の振動も感じるだろう。
駅員も知っていると聞いた。
また,近所でウサギをたくさん飼育している人が居るらしいとも聞いた。
このウサギはこのままにしておいたほうが良いのだろうか?
2010.3.1

ウサギ

ウサギ