田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

サキグロムシヒキ♀

2012-07-21 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科ムシヒキアブ亜科のサキグロムシヒキ Machimus scutellaris (Coquillett)

亀山市白木町の標高200m以上はある山地で,サキグロムシヒキと出会った.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,サキグロムシヒキは「体長20~26mm.黒色.頭部と胸部は灰白ないし灰黄粉で被われ,腹部は黄褐粉を装う.翅は末端及び後縁が淡褐色.脚は一様に黒い.産卵管は左右に扁平.」
ムシヒキアブ亜科の特徴は「R4脈はR2+3脈とは独立に翅縁に達するために亜縁室は2室」

ムシヒキアブ科のMachimus属は,他の属に当てはまらない種たちを寄せ集めたような属だと誰かに聞いたことがある.

三重県内では各地の山地のほか,熊野灘の離島でも記録されている.

2012.7.13

キマダラシマトビケラ

2012-07-20 | 三重の生き物

シマトビケラ科のキマダラシマトビケラDiplectrona japonica Banks  

いなべ市大安町の宇賀渓でキマダラシマトビケラとおぼしきトビケラと出会った.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「成虫の体長10mm前後.体は黒色,触角は褐色で前翅よりやや短い.脚は黄色.成虫は4~6月に出現し,山地渓流付近を昼間に蛾のように飛びよく目立つ.」

2012.5.12

タイショウオオキノコ

2012-07-18 | 甲虫

オオキノコムシ科のタイショウオオキノコ Episcapha morawitzi (Solsky)

亀山市.雨上がりに倒木上で白いキノコを食べるタイショウオオキノコを見つけた.
同じ材に斑紋の色形は同じで少し小さめのキノコムシもいたが,タイショウオオキノコとは異なる種のようであった.
矢作川河畔林調査の報告書によると,「全国的にも記録例の少ない種.かつては奈良市春日山と長崎県対馬以外では非常に稀な種であったが,近年各地で採集例が見られるようになった.」

原色日本甲虫図鑑Ⅲによると,「眼は小さく,眼間距離は眼の横径の3.5倍.頭蓋の眼の前,内側は縁どられ,前外方は角ばる.背面はまったく無毛で,上翅帯は生時鮮紅色,古い標本では暗赤色.11.0-14.0mm.」

キノコを食べる甲虫は,標本にすると色が黒っぽく変わりやすいと聞いている.
2012.7.7

ツツヒラタムシ

2012-07-13 | 甲虫

ツツヒラタムシ科のツツヒラタムシAncistria apicalis Reitter,1889

亀山市で17時半頃ツツヒラタムシを見つけた.

三重県RDB2005では,県内6ヶ所の生息地しか確認されておらず生息密度が低く,絶滅危惧Ⅱ類に選定されている.「体長5.0~7.2mm.黒褐色で体は非常に細長く,幼虫・成虫ともにキクイムシの穴に入り,キクイムシの幼虫を捕食している.」という.

追加個体を得ようとして,一週間後の発見場所で灯火採集を試みたが灯火には飛んできてくれなかった.
スギやヒノキの材には,いないと聞いている.

同じ場所に何度か通っているが,見つからない.さすが,絶滅危惧種だもん.

2012.7.7

ヤドリバエの一種

2012-07-12 | ハエ目(双翅目)

ヤドリバエ科ヒラタハナバエ亜科PhasiinaeのPentatomophaga latifascia (Villeneuve, 1932)

鈴鹿市西庄内町の山地.何の花だったか,とにかく白い花の蜜を求めて飛来したヤドリバエ科のPentatomophaga latifascia と思われるハエを見つけた.

和名がまだ無いこのハエについては,図鑑にも載っていないようだし.詳しいことはまるで分らない.ただ,クサギカメムシの寄生バエとして知られているようだし,成虫が白い花の蜜を求めてきたことだけは確認できた.
なお,Phasiinae亜科の名称がヒラタハナバエからヒラタヤドリバエに変わったとのネット情報もあるが,新訂原色昆虫大図鑑Ⅲではヒラタハナバエ亜科となっている.

2012.6.14



ワモンサビカミキリ

2012-07-11 | 甲虫

カミキリムシ科のワモンサビカミキリ Pterolophia annulata (Chevrolat)

鈴鹿市西庄内町の山地で,ワモンサビカミキリを見つけた.
木に止まる虫は結構ていねいに見て回っているので,以前よりは良く見つけられるようになってきた.ハチ屋さんから採集を頼まれているので,飛んでいるハチはもちろんのこと,ハエやアブなどを探し回っている.そのかわり,石をめくったり,枝をたたいたりすることはめったにしなくなったので.見つける虫の種類も変わってきているように思う.

原色日本甲虫図鑑Ⅳによると,ワモンサビカミキリは「11-14mm.上翅端はまるい.5~8月,暖帯樹林帯の伐採枝・枯木に集まる.」

2012.6.14

昼行性の蛾イカリモンガ

2012-07-10 | 

イカリモンガ科のイカリモンガ Pterodecta felderi (Bremer, 1864)

菰野町田光の山へ朝から出かけた.昼過ぎに明るい林縁でイカリモンガと出会った.

チョウのような蛾で,いつも翅を閉じて止まる.幼虫はシダを食べるという.そういや,周りにシダがいっぱい生えていた.
標本にすると,一見イカリモンガに見えなくなる.翅の裏表で様子が異なるからだ.

2012.6.17

ヒラヤマコブハナカミキリ

2012-07-09 | 甲虫

カミキリムシ科のヒラヤマコブハナカミキリEnoploderes bicolor

鈴鹿山脈の菰野町地内.複数の山で私はヒラヤマコブハナカミキリを見つけているが,なかなか見つけにくい種のようである.多くの県でレッドデータ種に選ばれている.三重県では山地性の甲虫はあまりレッド種には選ばれていないが,それは山地の環境が海浜に比べて安定しているためだということらしい.

2005年に発行された三重県レッドデータブック,すでに7年が経過する.2015年には改訂版を出そうという約束があるらしい.ぼちぼち見直し作業が始まろうとしている.

原色日本甲虫図鑑Ⅳによると,ヒラヤマコブハナカミキリは「11-12.5mm.4~5月に温帯樹林帯の林間をとぶが非常に少ない.典型的な不連続分布を示し,早春のわずかな期間出現するにすぎない.本州・四国・九州.」

写真は2012.4.30

カタビロクサビウンカ

2012-07-08 | カメムシ

マルウンカ科のカタビロクサビウンカ Issus harimensis Matsumura

菰野町の尾上神社.薄暗い境内のそれも夕方だから,よく判らないまま玉垣に止まった生き物らしいものにカメラを向けた.ウンカぽいなとは感じた.捕まえようとしたら跳ねて下に落ちた.薄暗い中,再発見はできなかった.
調べると,カタビロクサビウンカと判った.

島根県では,「前翅の膨出部には白帯がある。詳しい生態・分布はあきらかでないが、発生期は6月初旬らしい。アカマツやネズなどの針葉樹につく希種とされ」るなどとして,準絶滅危惧種に選定している.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長(翅端まで)7~8㎜.体はやや扁平.前翅は幅広く,後方にやや狭まり,後翅を有し,その後縁に切れこみがない.本種は本州と四国の山地で獲られるが個体数は多くない.」

2012.6.17