田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

フタホシヒラタアブ雌

2009-12-31 | ハエ目(双翅目)
フタホシヒラタアブ♀
ハナアブ科フタホシヒラタアブ Eupeodes (Metasyrphus) corollae (Fabricius. 1749)

畑のアブラナが花を咲かせていたので,近づくとフタホシヒラタアブの雌が居た。体長は10㎜近い。カメラを近づけても逃げようとはしなかった。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長8~10㎜。普通種。出現:4~11月。分布:北海道・本州・九州・壱岐・男女群島;サハリン・朝鮮半島・台湾・アジア・北アメリカ」 

風の無い穏やかな日であった。
2009.12.27

フタホシヒラタアブ♀
フタホシヒラタアブ雌 顔に短い黒色中条がある。

フタホシヒラタアブ雄

タテジマカミキリ越冬中

2009-12-20 | 甲虫
タテジマカミキリ
カミキリムシ科のタテジマカミキリ Aulaconotus pachypezoides Thomson, 1864

新しい県立博物館の建設予定地内には,この辺りの里山や神社などに普通に自生しているカクレミノがたくさん生えている。
そのカクレミノには越冬中のタテジマカミキリが見つかるからと,博物館の学芸員が案内してくれた。日当たりの良い東の斜面に生えているカクレミノの前で,「居たよ」と叫ぶ彼の指差す方を見ても良く分からない。
私の指くらいの太さの枝に,タテジマカミキリが触角を前に伸ばして,しがみついている。しかも自分の体が収まるように,枝が削られて凹みが出来ている。体色もカクレミノの枝の色と同じ。
一緒に参加していたサポートスタッフの一人が,「標本にしてあげよう,越冬中のタテジマカミキリを紹介するために,カクレミノの枝ごと採集して,枝にしがみついた様子を再現しよう」と申し出た。
新しい博物館が出来たときには,興味深い標本展示が期待できそうだ。
2009.12.19

タテジマカミキリ

三重県立博物館の収蔵標本「タテジマカミキリ

ベニカミキリ越冬中

2009-12-20 | 甲虫
ベニカミキリ
カミキリムシ科のベニカミキリ Puepuricenus (Stemoplistes) temminckii (Guerin-Meneville)

三重県立博物館の建設予定地に出かけた。博物館のサポートスタッフの内,生き物グループのメンバー10数名が建設予定地に生えているモウソウチクを切り倒す作業を行った。何人かの子供たちも参加していた。
予定地内には枯れた竹もあちこちにある。枯れた竹に小さな穴が見つかれば,越冬中のベニカミキリ成虫に出会えると博物館の学芸員から聞いた。
彼の予言どおり,あちこちでベニカミキリが見つけられた。
4月頃に出てくる予定だったベニカミキリには申し訳なかったが,切り倒したばかりのモウソウチクの上に乗ってもらって撮影した。
触角の長さがオスは、体長の1.5倍ほどあり、メスは、体長とほぼ同じ。よってこの個体は♀。
越冬中の甲虫も種固有の居場所が判れば,見つけやすい。
ベニカミキリの色彩は気に入っている。
2009.12.19

ベニカミキリ

三重県立博物館収蔵標本「ベニカミキリ

ジャノメガザミとタイワンガザミ

2009-12-13 | カニ
ジャノメガザミ♂
ワタリガニ科ガザミ属のジャノメガザミ♂ Portunus sanguinolentus

伊勢志摩地方では波浪警報が出ていた,その翌日,河芸漁港南の豊津海岸には多数の貝と蟹が打ちあがっていた。貝はバカガイ,シオフキ,ホトトギスガイの3種が数多かった。オオノガイやアカニシ,トリガイの姿も見られた。蟹はイシガニが最も多く,次いでガザミ。タイワンガザミも見られた。ジャノメガザミも一匹だけ見られた。どれも幼い小さなカニばかりであった。

冨田靖男著の『(続)故郷の動物』によると,
「ジャノメガザミは甲に白色で縁取られた三つの蛇の目模様がある」
また「県内の伊勢湾沿岸の魚市場に出るのはガザミがほとんどで,熊野灘沿岸ではタイワンガザミとジャノメガザミが多いようだ。」

ジャノメガザミは未だ食べたことが無い。
2009.12.12
ジャノメガザミ♂
ジャノメガザミ♂

タイワンガザミ♂
タイワンガザミ♂
鉗脚の長節の前縁に大きな3個の棘がある。
雌雄で色彩が異なり,雄は暗紫色の地色に白い明瞭な雲状紋がみられる。

タイワンガザミ♂
タイワンガザミ♂

河芸漁港の南
河芸漁港の南 鳥はセグロカモメとユリカモメ

マエグロノコギリガガンボ雄

2009-12-12 | ハエ目(双翅目)
マエグロノコギリガガンボ
ガガンボ科のマエグロノコギリガガンボ Tipula nigrocostata Alexander

深夜,南伊勢町古和浦にある公衆トイレに入った。翅に斑紋のあるガガンボを見つけたので捕まえた。翅長は約15ミリ。公衆トイレでのフラッシュ撮影は諦めて,家に持ち帰った。11月16日のことである。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長11~12mm。翅長14~15mm程度のやや小型のガガンボで,♂の触角は長く,6mm程度もある。翅の前縁は明瞭に黒褐色を呈する。胸部は灰褐色で背面の縦条は不明瞭。(中略)分布:本州・四国・九州。秋期に採集される。」とある。

福井県産昆虫リストには ヘリグロガガンボ, Tipula(Oreomyza)nigrocostata の名で出ている。
東京都本土部昆虫目録には,マエグロノコギリガガンボ Tipula (Vestiplex) nigrocostata の名で出ている。
「Catalogue of the Craneflies of the World」には,Tipula (Vestiplex) nigrocostata Alexander, 1925 と出ている。

和名や学名の変更については,何の情報も得られていない。

マエグロノコギリガガンボ

マエグロノコギリガガンボ

カドバリニッポンマイマイ

2009-12-06 | 
カドバリニッポンマイマイ
ナンバンマイマイ科のカドバリニッポンマイマイSatsuma japonica carinata (Pilsbry & Gulick, 1902)

2009.11.21 鈴鹿市の小岐須渓谷一ノ谷へ落ち葉下や朽木の甲虫を探しに出かけた。
落ち葉をふるいにかけていて、貝を見つけた。
後日、N氏にお聞きしたら、「カドバリニッポンマイマイです。飯南の方でも見つかります」と教えていただいた。

鈴鹿市の西部地区は、「石灰岩地も点在していて,陸産貝類の最も豊かな地区である。」(鈴木慎一ほか, 2008)

「小岐須渓谷山の家付近の古い伐採木では,カドバリニッポンマイマイ,ヌノメニッポンマイマイ,コベソマイマイ,ヒルゲンドルフマイマイ,コンボウギセル,ハゲギセルの生息を確認した.コンボウギセルは個体数も多かった.」(締次美穂,2009)

参考文献
締次美穂,2009.鈴鹿川流域の陸産貝類.鈴鹿川流域自然環境調査報告書:60-69.鈴鹿市
鈴木慎一ほか, 2008. 第4章 鈴鹿市の動物 第9節 鈴鹿市の貝類. 鈴鹿市の自然-鈴鹿市自然環境調査報告書-: 433-455. 鈴鹿市.
カドバリニッポンマイマイ

カドバリニッポンマイマイ