田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ハチモドキハナアブ

2015-07-04 | ハエ目(双翅目)

ハナアブ科のハチモドキハナアブ Monoceromyia pleuralis (Coquillett, 1898)  2015.6.29

鈴鹿市の深谷公園.樹液の出ているクヌギの木にハチモドキハナアブ♂を見つけた.産卵しているかのように見えたが,♂だったので何をしているのか分からない.

京都府のレッドデータブックでは,「里山的環境に生息する種で、環境指標性が高い。またハチに擬態を示す特異な種として学術的にも貴重。」として準絶滅危惧種に選定している.また,「触角が長く、黒色のくびれた身体に黄色の斑紋がある。同所に見られるオオフタオビドロバチに酷似して、見誤るほどである。」という.

岡山県のレッドデータブックでは,「コナラ、アベマキなどの樹液付近で目撃されることがあるが、個体数は多くない」として,情報不足種に選定されている.

三重県レッドデータブック2015では,「里山や低山地にみられ,樹液のしみでたクヌギに集まる.局地的に分布し,個体数も多くはない.」として情報不足種に選定している.近年,明和町からの記録がある.

日本昆虫目録(2014)によると,分布は本州,四国,九州,ロシア極東部.


ハナアブ科のハチモドキハナアブ Monoceromyia pleuralis (Coquillett, 1898)  2015.6.1


ハナアブ科のハチモドキハナアブ Monoceromyia pleuralis (Coquillett, 1898)  2015.6.29

樹液生活者のカトウトゲアシモグリバエ

2015-07-01 | ハエ目(双翅目)

トゲアシモグリバエ科のカトウトゲアシモグリバエ Traginops orientalis naganensis Kato, 1952

2015.6.4 鈴鹿市の深谷公園.樹液の出ているクヌギの木に,翅に斑紋のある小さなハエが複数個体居るのを見つけた.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,カトウトゲアシモグリバエは体長3~4㎜.脛節の先端前に棘毛を生ずることによってハモグリバエ科と異なる.黒色の単眼瘤は著しく隆起する.胸背の正中線,小楯板の中央部および各棘毛の基部ならびに翅には大小種々の褐紋がある.黄色の脛節の両端近くに褐色輪紋がある.

日本昆虫目録(2014)によると,分布は本州で,タイプ産地は長野県Nagaoka-muraとある.これはおそらく長丘村のことで,現在は中野市となっている.

樹液の出ているクヌギを訪ねて,本種を探しているが,まだ他所では見つけられていない.三重県からの記録はこれまで無いと思われる.