田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

キタナミイソアシナガバエ

2009-11-29 | ハエ目(双翅目)
キタナミイソアシナガバエが暮らす河口
キタナミイソアシナガバエ Conchopus borealis Takagiが暮らす海岸

ここは紀伊半島の東海岸、海は伊勢湾の湾央部。海のかなたに湾口がある。周辺の海岸は砂浜。

三重県津市の豊津海岸に海浜岩礁性アシナガバエのキタナミイソアシナガバエが他の数種のナミイソアシナガバエ属の仲間や他のハエたちと混生して暮らしている。
小さな川の河口にコンクリートのテトラポットや大きな石が置かれている。石にはフジツボ類やムラサキイガイが付着し、アオサ類も生えている。
干潮時にこの堤防の先端あたりまで歩いていくと、何種類ものハエたちが飛び交う。ムラサキイガイに脚を挟まれているヤマトイソユスリカも見かけたことがある。雄の翅端に暗褐色紋があるツマグロイソハナバエもいる。岩礁で生活するニセミギワバエ科CanacidaeのProcanaceニセミギワバエ属の1種もいる。
数種のナミイソアシナガバエ属の仲間とは、C. poseidoniusにきわめて近縁な未記載種と四国から記録されたクロスジクチナガイソアシナガバエC. convergens Takagi(写真撮影のみで捕獲できていない)である。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、キタナミイソアシナガバエは「♂:口吻は複眼の高さより短い;第3触角節は短く,その長さは幅の1.5倍;翅は単純,ただし中室前縁脈とこれに続くM1+2脈は肥大する;中脛節と第1付小節には長い刺毛が直立して生じる。体長4.2~5.5㎜,翅長4.2~5.5mm。♀:体長4~5.5㎜,翅長4.6~5.8mm。分布:北海道・本州北半部;北アメリカ西海岸・メキシコ湾。」

また、同書には「日本原産のキタナミイソアシナガバエ C. borealis は北アメリカ太平洋岸からメキシコ湾岸へと分布を拡大しているが、これは人為的な移入と考えられる。」との記載もある。

同書のナミイソアシナガバエ属Conchopusの種の検索表には、キタナミイソアシナガバエは「♂の中脛節と中付節第1付小節は前面に節の径の3~4倍長の直立した長毛を列生する;♀の翅長は4.6~5.8mm(北海道・本州北部太平洋岸)」とある。

さらに同書の「海浜岩礁性アシナガバエの属の検索表」を見ると、ナミイソアシナガバエ属は「背側剛毛は2本,後方の背側剛毛がある;小顎鬚は頭蓋と関節する;♂の胸背の斑紋,特に白斑は極めて明瞭;側背板に刺毛を持つもの(rectus群)と持たないものがある」

参考文献を見ると、九州の鹿児島県でも採集されているようだが、なぜか同文献の分布図には載せていない。図鑑に書かれている分布にも九州は入っていない。

キタナミイソアシナガバエの三重県内の記録は、1995年7月中旬に伊勢湾口の神島においてその生息が確認されている。

ヤマトイソユスリカ以外のハエたちの同定は三枝豊平博士によるものである。博士からは「Cochopusナミイソアシナガバエ属の種は雌ですと画像ではなかなか正確な同定がしがたいものです。」とのコメントもいただいている。

クチナガイソアシナガバエの仲間

参考文献
Kazuhiro Masunaga, Toyohei Saigusa and Norman E. Woodley: 1999, A Remarkable Disjunct Introduction of Conchopus borealis Takagi to the New World (Diptera : Dolichopodidae).Entomological science , 2(3), pp. 399-404,日本昆虫学会.
平嶋義宏・森本 桂(監修),2008.新訂原色昆虫大図鑑第Ⅲ巻.北隆館,東京.

キタナミイソアシナガバエ
2009.5.15 キタナミイソアシナガバエ雌雄 ♂の胸背の斑紋,特に白斑は極めて明瞭

キタナミイソアシナガバエ
2009.5.15 キタナミイソアシナガバエ雌雄

キタナミイソアシナガバエ

キタナミイソアシナガバエ

クチナガイソアシナガバエの仲間

2009-11-26 | ハエ目(双翅目)
クチナガイソアシナガバエの仲間
アシナガバエ科ナミイソアシナガバエ属Conchopusでポセイドンクチナガイソアシナガバエに類似した未記載種

伊勢湾の中部、三重県津市の北部に位置する豊津海岸。
小さな流れが海へ注ぐ。いつ見ても流れの水は黒くよどんでいる。名も無い水路はコンクリートで護岸され、その河口には石やコンクリートブロックが並べられている。波に洗われる石などにはアオサ類やフジツボ類がびっしり付着していて、狭いながらも岩場のような光景である。

ここには海浜岩礁性アシナガバエのひとつであるナミイソアシナガバエ属Conchopusが数種類生息していることが分かってきた。
フジツボに長い口吻をつっこんでいるので、フジツボを食べているように見えるが、「幼虫は潮間帯の藻類の根際に生息し、海生双翅類の幼虫などを捕食する」というから、成虫もヤマトイソユスリカの幼虫や卵を食べているのかもしれない。

図鑑を調べても良く分からないので、三枝豊平博士にお世話になった。

「標本が送られてきまして、精査しましたところ、この種はC. poseidoniusに類似した未記載種であることがはっきりしました。その結果は下記の通りです。

C. poseidoniusが九州、convergensが四国にそれぞれ分布していまして、両種は1単系統群を構成しますが、相互にやや系統的に離れています。今回の種はその中でもposeidoniusにより近縁の種です。本種は九州ではposeidoniusと混生しています。両種の相違点は以下の通りです。

♂後腿節。 
C. poseidoniusでは中央部が腹側に強く張り出さず、基部1/4にやや長めの剛毛をやや密に生じ、その長さは後腿節の厚みに満たない。
本種では中央部1/3の腹側が著しく肥大して張り出し、そこに先端の湾曲した長剛毛を密生し、その長さは後腿節の厚みを越える。

♂後脚第1付節
C. poseidoniusでは基部2/5が著しく肥大し、その厚みは先方3/5の約3倍弱、その部分の後腹面に10本ほどの長剛毛を密生する。
本種では基部がやや太めであるが、その厚みは先の部分の2倍弱で、その部分の後腹面に数本以内の長剛毛を生じる。

このほかに、翅の脈相や斑紋に微妙な差が認められますが、表現しにくいところです。」と教えていただいた。

また、「西日本の太平洋側の海岸では、この属に加えてAcymatopusムモンイソアシナガバエ属の種も含めて数種が一箇所に生息しているのが通例です」との知見もいただいた。

なお、図鑑によると、ポセイドンクチナガイソアシナガバエは「極めて長い口吻と♂の翅の中央部に顕著な黒紋を持つ大型種。体長4.2~5㎜。翅長5.5㎜内外。分布:九州南部。」

つまり、この未記載種は九州南部でポセイドンクチナガイソアシナガバエと混生し、伊勢湾中部では北海道や本州北部太平洋岸に生息するキタナミイソアシナガバエ(別稿で報告する)と混生して暮らしているのである。

参考文献
 新訂原色昆虫大図鑑 第Ⅲ巻.北隆館
クチナガイソアシナガバエの仲間
2009.6.15 ポセイドンクチナガイソアシナガバエに類似した未記載種の♂

クチナガイソアシナガバエの仲間
2009.6.15 ポセイドンクチナガイソアシナガバエに類似した未記載種の♂

クチナガイソアシナガバエの仲間
2009.6.15 ポセイドンクチナガイソアシナガバエに類似した未記載種の♂

クチナガイソアシナガバエの仲間
2009.5.12 ポセイドンクチナガイソアシナガバエに類似した未記載種の♀

クチナガイソアシナガバエの仲間
2009.5.12 ポセイドンクチナガイソアシナガバエに類似した未記載種の♀


翅脈の名称体系の一つであるComstock-Needham体系の、三枝豊平博士やWoottonらによる最新の解釈に基づいた命名による翅脈図を作成した。新訂原色昆虫大図鑑Ⅲのハエ目の解釈と同じである。

クチナガイソアシナガバエの仲間

クチナガイソアシナガバエの仲間

ナミイソアシナガバエの仲間
2009.5.12 三枝博士によると、この雄は「四国から記録されたC. convergens Takagiではなかろうかと思っています」とのことである。

ヒロオビジョウカイモドキ

2009-11-24 | 甲虫
ヒロオビジョウカイモドキ
ジョウカイモドキ科ジョウカイモドキ亜科のヒロオビジョウカイモドキ Intybia historio (Kiesenwetter)

2009.8.30 首筋にアリが歩いているような感触があり、つまんで掌に置いた。それがこのヒロオビジョウカイモドキの雌である。
『鈴鹿市の自然』によると、ヒロオビジョウカイモドキの類似種でベニオビジョウカイモドキIntybia kishiii(Nakane)なる種が図版入りで記録されている。2種の違いが良く分からないので、私の首筋に居た個体の同定をN氏に依頼したところ、このほどヒロオビジョウカイモドキに間違いないと判明した。

原色日本甲虫図鑑(Ⅲ)によると、ヒロオビジョウカイモドキ Intybia historio (Kiesenwettwr) は「2.6-3.2㎜。♂触角の第2節は長めで、基部に突起があり、外方先端部はまるく浅くくぼむ。前胸背板は滑沢で基部側方に点刻がある。ふつう。」とある。(Kiesenwettwr)はスペルの間違いで、正しくは(Kiesenwetter)だと思う。

学研生物図鑑(Ⅱ)の図版には、「2.5~3㎜。雄の第3節は異形。横帯は中央でせばまる。」との説明がある。

なお、九州大学の日本産昆虫目録データベースでは、学名をLaius historio Kiesenwetter, 1874 としている。

ベニオビジョウカイモドキとは♂触角第2節の形態によって区別できると図鑑には書かれてある。雌の区別点など判らないことばかり。
京都府レッドデータブックによると、ベニオビジョウカイモドキはアシ原のみに固有のようで、「肢は暗色。同属他種に比して頭部が狭い」という。鈴鹿市の記録も、鈴鹿川中流のアシ原で採集されている。

10年ほど前にアカメガシワの葉で見かけた個体を亡き市橋先生に同定してもらったところ、ヒロオビジョウカイモドキと教えていただいた。それ以来、何度もアカメガシワで見かけるようになり、それらは皆ヒロオビジョウカイモドキだと思い込んでいる。

ヒロオビジョウカイモドキ

ヒロオビジョウカイモドキ
2008.6.24 芦原排水機場のアカメガシワの葉上にて おそらくヒロオビジョウカイモドキ♂ 

山地のツヤヒサゴゴミムシダマシ

2009-11-22 | 甲虫
ツヤヒサゴゴミムシダマシ
ツヤヒサゴゴミムシダマシ Misolampidius okumurai Nakane, 1968

小岐須渓谷の一ノ谷で落葉ふるいと朽木めくりをした。
見つけた甲虫は朽木にいたツヤヒサゴゴミムシダマシだけであった。

原色日本甲虫図鑑(Ⅲ)によると、「10.1-15.2㎜。前胸背板側縁の稜状部は後半消失、前腿節の歯状突起はまるくうすく突出する。前脛節は細く、内下方に弓湾する。後脛節は中央付近より外側にかるく反り返る。邦産本属中もっとも個体数が多く、変異がいちじるしい。」

ヒサゴとは瓢箪のこと。図鑑を見ると、ヒサゴゴミムシ属は皆、同じようなヒョウタン型の体形をしている。絵合わせではとても同定出来そうも無い。この個体は同行したN氏の同定だから、間違いない。
2009.11.21

ツヤヒサゴゴミムシダマシ

ツヤヒサゴゴミムシダマシ

庭のハマオモトヨトウ

2009-11-19 | 
ハマオモトヨトウ
ヤガ科 ヨトウガ亜科のハマオモトヨトウ Brithys crini crini (Fabricius, 1775)

庭のインドハマユウをハマオモトヨトウ幼虫が食べている。2年振りのことである。

ハマオモトヨトウ成虫の出現月は4-10月。
幼虫の食餌植物はヒガンバナ科のインドハマユウ、ハマオモト(ハマユウ)、ヒガンバナ、タマスダレ、アマリリス。私は水仙の球根にも幼虫が集まるのを目撃している。

『(続)故郷の動物』によると、「最近では津市や名古屋市などで、ヒガンバナ科の栽培種であるタマスダレでも見つかっており、分布域が拡大したかのような現象が認められる。しかしこれについては、発見者である三重大学の山下善平名誉教授は、秋世代成虫の毎年の北進のくり返しによるもので、越冬の可能性からみると現在ではまだ分布の拡大(定着)には成功していないのではないかと推定されており、これからの動態を見守る必要のあることを指摘されている。分布域拡大へ向かっての過渡期といえよう。」と記されている。1990年の記事である。

千葉県、神奈川県、兵庫県のレッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定されている。
2009.11.13

ハマオモトヨトウ
2009.11.13 ハマオモトヨトウ幼虫

ハマオモトヨトウ幼虫
2007.9.4 インドハマユウの葉に潜り込むハマオモトヨトウ幼虫

ハマオモトヨトウ成虫と卵
2007.10.6 ハマオモトヨトウの成虫♀と卵

ハマオモトヨトウの卵
2007.10.6 ハマオモトヨトウの卵

ハマオモトヨトウ成虫とマルハキバガ科sp
2005.8.24 我が家の玄関に飛来したハマオモトヨトウ成虫とマルハキバガ科Gen.sp

追記 
2009.11.20 水仙の球根にもぐりこむハマオモトヨトウ幼虫
ハマオモトヨトウ幼虫

ハマオモトヨトウ幼虫

2009.11.22 スベリヒユ科のハゼランを食べているのを見つけた。
ハマオモトヨトウ幼虫

セグロカブラハバチの三角関係

2009-11-18 | ハチ目(膜翅目)
セグロカブラハバチ
ハバチ科のセグロカブラハバチ Athalia infumata(Marlatt,1898)   左の大きいのが雌

芦原海岸のトベラの木にセグロカブラハバチ3頭がいた。1頭の雌に2頭の雄がくっついて離れない。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、寄主植物は各種アブラナ科で、「成虫は4~10月に出現し、多化性で年に5~6回発生する。平地から低山地の、都市公園、農耕地から森林周辺にまできわめて普通に見られる。」という。
また、「体長はメス6~8㎜、オス5~6mm。胸部は橙黄色で、中・後胸背板、小盾板は黒色。中胸の黒色部の範囲には変異があり、個体により中胸背板の前半が橙黄色になることがある。腹部は橙黄色。脚は、各基節~腿節は橙黄色、脛節は外縁と末端が黒色。付節は黒色で、各節基部は橙黄色。」とある。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには、セグロカブラバチの名で、食草は「野生の十字科植物」であると載っていた。十字科植物とはアブラナ科植物の古い呼称で、セグロカブラバチも古い和名。なお、同図鑑には追記として、「和名と学名はセグロカブラハバチ Athalia infumata(Marlatt) 。」と載っている。

2009.11.15
セグロカブラハバチ
セグロカブラハバチ 下の2頭が雄

11月のハマニガナ

2009-11-16 | 草花
ハマニガナ
ハマニガナ Ixeris repens 浜苦菜

久しぶりに田中川干潟へ出かけた。砂浜には、ハマニガナの黄色い花が数多く見られた。
手持ちの図鑑には、花期は4~10月と載っていたが、11月中旬の今日でさえ今が盛りとばかりに咲いていた。この日の最高気温は17℃、最低気温は12.9℃。

三重県レッドデータブック2005では、「花は4~10月、頭花は径3cm内外」のハマニガナを準絶滅危惧に選定している。現況と減少原因を「尾鷲市や紀北町海山区では、砂浜の埋め立てや公園化により、生息地がなくなり、絶滅に瀕している」と説明し、「海浜にむやみに人工物を造らないこと、本来の自然のまま保全することが必要である。」と保護対策を訴えている。

県内のあちこちの砂浜で止め処なく行われている松植樹を見るたびに心痛めている。
ハマニガナの生息する、田中川干潟周辺の砂浜に松の植樹がされたなら、私は一人で引き抜きにでかけようかと思う。
2009.11.15

秋のハマニガナ

ハマニガナ

ハマニガナ

ガガンボダマシsp

2009-11-15 | ハエ目(双翅目)
ガガンボダマシsp
ガガンボダマシspの♀ 2009.3.6

早春と晩秋に我が家に現れたガガンボダマシ。どうやら未記載種のようである。体長は約6ミリ。

古い図鑑に「翅の斑紋は極めて不明瞭で、僅かに横脈r-m上に淡色斑紋のみ明らか」であるオオガガンボダマシなる種の記述を見つけた。

研究者に尋ねると、達磨と名乗る人が答えて曰く「オオガガンボダマシTrichocera regelationisは全北区に広く分布するもので日本でも普通に見られます。r-m横脈に斑紋は本種の特徴の一つなのですが、日本に分布するガガンボダマシではsakaguchiiやhiemalisなどにも同じ場所に様々な程度の斑紋が現れることがあります。さらに、よく調べると、これらの種を含め最低でも6種にこのような斑紋が見られます。
オオガガンボダマシは全身黒褐色の体、雄のgonostylusの基部に小さな突出があること、左右のgonocoxiteが腹側で伸張したventral gonocoxal bridgeに光沢があること、雌の産卵管の形状などによって他と区別できます。
写真のガガンボダマシを見ますと、雌のようですが、腹部の先端が黄褐色で腹部の各節の前半が明るく後半が暗い縞模様になっていますので、オオガガンボダマシではなく、九州、四国、本州(関東あたりまで)に分布する未記載種だろうと思われます。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲの日本産ハエ目の科の検索表によると、ガガンボダマシ科は「単眼を持つ;A1脈は短く,通常はCuP脈の1/2長より短く,しばしば先端部が強く湾曲する」

ウスモンガガンボダマシ

ガガンボダマシsp
ガガンボダマシspの♂ 2009.11.14
翅後縁基部近くに湾曲した短いA1脈(伝統的A2脈)が見える。横脈r-m上に淡色斑紋がある。腹部の各節前半が明るく後半が暗い横縞模様になっている。

ガガンボダマシsp
ガガンボダマシspの♂ 2009.11.14


エグリヅマエダシャク本土伊豆諸島以外亜種

2009-11-14 | 
エグリヅマエダシャク本土伊豆諸島以外亜種
シャクガ科エダシャク亜科のエグリヅマエダシャク本土伊豆諸島以外亜種 Odontopera arida arida (Butler, 1878)

深夜、我が家の玄関の明かりに飛来した蛾。

開張は42-49mm。
幼虫食餌植物はツバキ科(チャなど)、ブナ科、バラ科、ミズキ科、ツツジ科、スイカズラ科。
成虫は春~初夏と秋に出現する。
この個体の前翅長は25ミリほど。
2009.11.10

庭のベッコウバエ

2009-11-13 | ハエ目(双翅目)
ベッコウバエ
ベッコウバエ科のベッコウバエ Dryomyza formosa (Wiedemann)

我が家の庭に現れたベッコウバエ。私が近づくと、逃げるものの半径1メール以内のところを行き来する。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには、「体長10~18mm。大形で体,翅共に赤褐色を呈し,翅には明らかな5黒斑がある。日本全土に普通で山地の樹幹に静止しているものが多い。動物の死体や人糞に好んで集まる。樹液も好む。」などとの記載がある。

原色日本昆虫図鑑(下)には、「体長12~20㎜,翅長12~17mm。黄褐色。胸部背面には3対の黒色縦条がある。腹部は♂では赤褐色で光沢があって黄色長毛を密生し,個体によっては正中線と各節の末端部に暗色紋がある。♀では黒褐色で光沢があり,♂ほどは毛深くない。」などの記載がある。
2009.11.10

ベッコウバエ

ベッコウバエ

庭のアメリカミズアブ

2009-11-10 | ハエ目(双翅目)
アメリカミズアブ
ミズアブ科のアメリカミズアブ Hermetia illucens (Linnaeus)

庭に置いておいた洗面器に溜まった水を捨てようとしたら、2頭のアメリカミズアブが死んで浮かんでいた。複眼の青っぽい波状模様は死後に消えて黒くなってしまうので、まだ消え残っているこれらの個体は死んで間もないものと考えられる。

雄の腹部第2節背面には1対の白色半透明の斑が顕著であるが、雌では1対の三角形の黄褐色紋となる。
翅は著しく煤色を帯び、紫光沢をもつ。
原色日本昆虫図鑑(下)によると、「世界共通種。日本へは1950年に入植した。」

アメリカミズアブ成虫の飛翔能力は弱いため、日当たりの良い場所などで休息をとる時間が長いという。

アメリカミズアブは家庭用生ゴミコンポストから発生することが多い。我が家での発生はまさにそのとおり。
2009.11.9

アメリカミズアブ

アメリカミズアブ
2009.11.6 数日前の元気なときのアメリカミズアブ

川原のヤマトガケジグモ

2009-11-08 | 蜘蛛
ヤマトガケジグモ
ガケジグモ科のヤマトガケジグモ Titanocea albofasciata STRAND,1907

尾鷲市の矢ノ川河口の河川敷で出会ったクモ。
上の写真にはボロ網が写っている。

『フィールド図鑑クモ』によると、「鉄道線路や川原の石の間、石垣にボロ網を張る。出現期:5~9月。分布:本州、四国、九州。体長:5.5~6.5㎜。」

腹部の白斑のある型と無い型があるようで、また、ある型でも白斑には変異が多いらしい。
2009.10.22

ヤマトガケジグモ

シタジロコブガ

2009-11-07 | 
シタジロコブガ
コブガ科コブガ亜科のシタジロコブガ Nola infralba Inoue, 1976

15時頃、我が家のコンクリート壁面に止まっていた蛾。私は我が家で毎年のように出会っていて、2005年にも10月22日に出会っている。
シタジロコブガと思われるが、情報は殆んど見つからない。

前翅長は約9ミリ。分布は本州、伊豆諸島八丈島、小笠原、四国、沖縄諸島沖縄本島。
神奈川、千葉、大阪府、静岡県湖西市でも採集されている。

2009.11.6

シタジロコブガ
2009.10.25 玄関灯火に飛来してきた個体
白っぽく見えるのは蛍光灯の明かりによるものだと思う

追記
シタジロコブガ
2009.11.10 庭のキンモクセイの近くで。
どうやら翅の色には個体変異があるようで、白っぽい個体もいる。

大図鑑によると、「♂の触角は微毛状,翅はやや丸味をもつ.前翅の内横線は中室下で鋭く角ばり,その角から外横線に黒色短条が出る.中横線は特に前縁部で太くて濃く,細い外横線のすぐ内側を走る.本州(房総半島),伊豆諸島の八丈島,四国,沖縄本島でとれた少数の個体しか知られていない.将来本邦南西部の各地でとれるものと思う.」

ウスギヌカギバ

2009-11-06 | 
ウスギヌカギバ
カギバガ科カギバガ亜科のウスギヌカギバ Macrocilix mysticata watsoni Inoue, 1958

南伊勢町の国道260号線を夜間に走り回り、道路沿いに置いてある自動販売機を片っ端から見て回った。夜の昆虫採集である。
現在、三重昆虫談話会が志摩半島の昆虫について調査を行っているので、志摩半島の昆虫相解明に少しでも協力しようと考えての行動である。
この夜は100種類ほどの蛾と出会った。

自販機に止まっていたこの蛾はウスギヌカギバ。この夜、ウスギヌカギバと出会ったのは一度だけであった。
開張は30-45㎜。成虫の出現月は3-5月と7-10月。
幼虫食餌植物はブナ科コナラ属のクヌギ、コナラ、ミズナラ、アラカシ、ウラジロガシ。

尾鷲のアカホシカスミカメ

2009-11-05 | カメムシ
アカホシカスミカメ
尾鷲市の矢ノ川河口、草原状の河川敷。
アカホシカスミカメを見つけた。
色彩の変異がいろいろある種だが、この日出会った個体はカメムシ図鑑に載っているのと同じ色模様をしている。

日本原色カメムシ図鑑には、アカホシメクラガメの種名で「体長5-7㎜。やや光沢のある淡褐色で、爪状部の内縁から革質部後縁にかけて暗赤色の条紋があり、翅脈も赤みを帯びる。非常に長い触角が特徴的である。ヤハズソウやハギなどのマメ科植物やイネ科植物に寄生する」との記載がある。
なお、図鑑の第2巻では種名と学名が変更されている。

捕まえてやろうとしたが、逃げられてしまった。追いかけても追いかけても逃げていった。赤いのは追いかけたくなる。
2009.10.22

海岸のアカホシカスミカメ