田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ヌートリアを見ました。

2005-01-22 | 田中川
1月22日の昼頃、河芸町は田中川干潟の西にある元養鰻場の池で1匹のヌートリアを見ました。私は初めての出会いでびっくりしましたが、池にいる野鳥たちは平然としていました。

(参考)
ヌートリアは、体長は50~70cm、体重は5~15kg、げっ歯目ヌートリア科の草食動物で、もともと日本列島に住んでいた動物ではありません。野生のヌートリアは、主に南米のブラジルからアルゼンチンにかけての河川に分布しています。それが、1930年頃から日本でも軍用服の需要が高まったため、毛皮獣として輸入、飼育されるようになりました。が、後にその一部が逃げ出して、現在のように日本各地のあちこちの河川に住み着くようになったのです(特に岡山では捕獲数が最も多い)。

ヌートリアのように人間によって持ち込まれ、やがて人間の手を離れて野生化し、自然増殖を始めた外来の動物を、帰化動物と呼びます。哺乳類では、同じく毛皮獣として持ち込まれ北海道で繁殖しているミンクや、最近ではペットとして持ち込まれたアライグマも日本の帰化動物です。
農作物に被害を与えて農家の嫌われ者となったヌートリアですが、毛皮獣として輸入され始めた当初は軍用服の毛皮用に大量の需要があり、盛んにもてはやされたのだそうです。
ところが、第二次世界大戦後は毛皮の需要が減少し、やがて飼育家からも見捨てられていきます。
そして、現在では、河川改修によって巣穴を掘る土手がコンクリ一トで固められたり、湿地が埋め立てられたりして、その数を減らしている地域も多いといいます。

ヌートリアは水田の畦などを壊したり、生態系を乱す恐れがあるということから、害獣として毎年各地で駆除されています。環境庁の統計(1996年)では、最も捕獲数が多いのは岡山県で、年間約800匹が捕獲、駆除されているそうです。
またイギリスでは1970年代から80年代にかけ、約10年がかりで約100万頭を駆除し絶滅してしまったという悲しい歴史があります。