田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

フウトウカズラの赤い実

2015-11-27 | 樹木

コショウ科のフウトウカズラPiper kadsuraの果実

鳥羽市の菅島は,常緑つる植物のフウトウカズラが多い島である.海岸近くの森林に出現する植物だから,暖地の島はフウトウカズラにとってもってこいの環境であろう.菅島を歩き回っていて,そのフウトウカズラに赤い実が着いていることに気づいた.
コショウ科の植物だけに,インド原産のコショウに葉も実も似ている.
フウトウカズラを食草としているツマアカアオヒメハマキも赤い蛾である.ますますフウトウカズラが好きになった.
2015.11.24

フウトウカズラハチヂミフシ




ラクウショウ紅葉

2015-11-09 | 樹木

ラクウショウ(落羽松:Taxodium distichum)はスギ科ヌマスギ属の針葉樹.別名はヌマスギ(沼杉).

鈴鹿青少年の森,道伯池のほとりに高木のラクウショウを見つけた.三重県内では,松阪第一小学校の校庭に植えられたラクウショウが県の巨樹古木150選にリストアップされているものの,その他では見かけたことがなく,私が見たのはこの2ヵ所だけである.

メタセコイヤの葉は対生するが,ラクウショウの葉は互生する.
『樹に咲く花』によると,葉が水平に並んでつく枝を鳥の羽根に見立てて,枝ごと葉が落ちるさまから落羽松の名前が付いたという.
2015.11.6

膝根と呼ばれる呼吸根を地中から出すことが知られている.ここでも乾燥しているところでは見当たらないが,水辺には多くの膝根が見られる.


球果は秋に緑白色から褐色に熟す.すでに褐色になっているものも見かけた.メタセコイヤのそれよりも大きい.


鳥の羽根のように見えるかな

トチュウの秋

2015-11-08 | 樹木

トチュウ科トチュウ属のトチュウ Eucommia ulmoildes Oliver

鈴鹿青少年の森の薬用植物園.黄葉した2株のトチュウの樹を見つけた.1株にはたくさんの果実(翼果)がついていて,もう1株には全く果実(翼果)がついていなかった.トチュウは中国中南部原産で,雌雄別株の落葉高木である.樹皮は漢方薬の原料となり,葉は乾燥して茶葉として利用され杜仲茶と呼ばれ人気がある.近所の知人もこの木を植えていて,杜仲茶をごちそうになったことがある.剪定しても,すぐに上へ上へと伸びる元気な樹である.

2015.11.6



トチュウ雄株


トチュウ雌株

ムクロジ黄葉

2015-11-08 | 樹木

ムクロジ科ムクロジ属のムクロジ Sapindus mukorossi

鈴鹿青少年の森には薬用植物園がある.そこにムクロジの樹が植栽されていることを聞いた.聞いたその日の内に会いに出かけた.きれいに黄葉したムクロジがあった.

ムクロジは,雌雄同株の落葉高木で高さ15mほどにもなる.三重県内のあちこちの神社や寺院にも植えられている.
果皮はサポニンを含んでいるので,よく泡立ち,洗濯や洗髪に使われた.果実の核は黒くて硬く,羽根つきの球や数珠にも使われた.この黒い核に穴をあけるのは大変な作業だと聞いたことがある.

2015.11.6

飴色の果実.ちょいと細工をすれば,小動物の顔にも似せて,かわいい置物として楽しめる.


葉は互生.黄葉がきれい.

イングリッシュオークの樹

2015-10-28 | 樹木

English oak

2015.10.21 鎌倉の鶴岡八幡宮へ知人と出かけた.
源平池の近くに見慣れぬ木が有って,イングリッシュオークの樹だという説明プレートを見つけた.
日英友好のために,2002.5.24に植樹されたものだと書かれていた.

平日でも観光客でにぎわう鎌倉.なかでも大仏や鶴岡八幡宮は人出が多い.しかし,この樹の周りには誰もいなかった.
鶴岡八幡宮の境内には,静御前ゆかりの静桜も植樹されてあった.






桜 プリンセス雅

2015-04-07 | 樹木

鈴鹿市の八野町と長法寺町にまたがって,深谷(ふかだに)公園がある.この公園横の道路は何度も通っていたが,芝生ばかりの公園だと思っていて,これまで立ち寄ったことがなかった.最近になって公園敷地内には雑木林や湿地もあることが判り,それからというもの足しげく通うことになった.

桜も何種類か植えられている.プリンセスみやび雅というプレートを見つけた.皇太子妃雅子様のご成婚記念として命名された桜だと容易に想像できた.2008年に鈴鹿西ロータリークラブが植樹したものと記されている.
2015.3.31



バラ2種

2014-11-17 | 樹木

パパ メイアン Papa Meilland

11月初旬,安曇野の知人宅を訪ねた.庭に2種類のバラが咲いていた.どれも初めて知る種類であった.
まずはパパ メイアン.ラベルには四季咲大輪系,強く濃厚な香り,黒バラの銘花ですとある.色が赤くて,甘美な香りがするなんて,最高.

パパ メイアン Papa Meilland


こちらはアンネの形見 Souvenir d'Anne Frank 1960 Delforge

アンネの形見はアンネの思い出とも訳されているが,通称アンネのバラと言われている.アンネとは,アンネの日記で有名なアンネ・フランクのこと.蕾は赤いが,黄色く咲いて,やがてピンクになっていくという.

アンネのバラを庭で育てている知人の平和を愛する心が感じられ,安らいだ.

アンネのバラ


アンネのバラ 赤い蕾

カギカズラ

2013-11-23 | 樹木

アカネ科のカギカズラUncaria rhynchophylla

2013.7.7 熊野市紀和町の山道でカギカズラという植物に初めて出会った.

鈎(かぎ)状に鋭く曲がった棘の様子にも驚いたが,この棘が他の植物に絡まっていくという.また薬用に利用されるというから感心した.鎮痛や血圧を下げる効能があるという.

『樹に咲く花』3巻によると,関東地方南部以西の本州,四国,九州に分布する常緑つる性木本.花期は6~7月.枝が変形した鈎は漢方で薬用にされる.リンコフィリンというアルカロイドを含む.

カギカズラ属という属名があることも初めて知った.


花は葉腋につく






かぎ状の棘(とげ)を伴った茎.1個の棘と2個の棘が交互につく.

ミヤマガンピ

2013-09-21 | 樹木

ジンチョウゲ科ガンピ属のミヤマガンピ Diplomorpha albiflora (Yatabe) Nakai

大台ケ原のどこかに自生している.三重県側か奈良県側か,はっきりしない.

日本固有種で,紀伊半島,四国,九州の標高の高い山地の岩石地にまれに見られるという.高さ1メートルほどの落葉低木.葉は対生,花は5~7月に本年枝の先に白い花をふつう2個づつつける.

奈良県では絶滅寸前種に,和歌山県では絶滅危惧1A類に選定されている.
三重県ではRED種に選定されていないということは,自生地が確認されていないか,未記録なのかのどちらかか?

2013.7

ウラジロマタタビの果実

2013-07-10 | 樹木

マタタビ科マタタビ属のウラジロマタタビActinidia arguta var. hypoleuca

熊野市紀和町でウラジロマタタビと出会った.
『樹に咲く花』によると,葉裏が粉白色のものをウラジロマタタビという.サルナシの変種で,本州(関東地方以西),四国,九州に分布する.

果実はサルナシよりも少し小さ目らしい.ウラジロマタタビの果実が見られたのは幸運だと知人の植物屋が言っていた.
2013.7.7


サルナシの花

2013-07-04 | 樹木

マタタビ科マタタビ属のサルナシ Actinidia arguta

愛知県豊田市稲武町の山中でサルナシを見つけた.

『樹に咲く花』によると,サルナシは山地の林内や林縁に生える落葉つる性木本で,雌雄別株.実はキウイフルーツよりもはるかに美味という.葉柄は長さ2~8㌢で淡紅色を帯びる.

2013.6.28



コジキイチゴ

2013-06-18 | 樹木

バラ科キイチゴ属のコジキイチゴ Rubus sumatranus   

2013.6.12 亀山市住山町の丘陵地でコジキイチゴを見つけた.初めて見る木だったので,大きな黄色い実を食べる勇気がなかったが,後で調べると食べられるとのこと.実をつかんでみると,柔らかく中は空洞になっている様子で,少し引っ張ると簡単に外れた.

『木に咲く花』によると,山野の日当たりの良い所に生える落葉低木で,東海地方以西の本州,四国,九州に分布する.果実は6~8月に熟す.茎葉などに紅紫色の腺毛が密生し,鉤状の刺がまばらにある.

果実は熟し始めたばかりなので,また後日出かけて行って今度は試食してみようと思っている.




ジャケツイバラの花

2013-05-22 | 樹木

マメ科(またはジャケツイバラ科)ジャケツイバラ属のジャケツイバラ Caesalpinia decapetala var. japonica

2013.5.17 大紀町大内山の大内山川を上流へと向かった.4キロ先で工事中とのことで引き返すことにしたが,Uターンする空き地でジャケツイバラの黄色い花を見つけた.
つる性の落葉樹.花を見上げて撮影していたので,その高さは2メートルを超えていた.

花には多くの昆虫が集まるらしいが,茎や枝などに多くの棘があり,虫とり網が破れてしまうので網は振らなかった.

ジャケツイバラの幼虫




ミカエリソウ

2011-11-02 | 樹木

シソ科テンニンソウ属のミカエリソウ 見返草 Leucosceptrum stellipilum

10月下旬に山地の山道を歩いていて,2ヶ所でミカエリソウを見つけた。茎は木質化しているので,樹木なのだろう。手持ちの図鑑には載っていないので,よく分らない。

『鈴鹿市の自然』によると,テンニンソウは「ミカエリソウとの間に雑種をつくることがあり,しっかりと見極めることも必要である」と示唆している。同書によれば,鈴鹿市では小岐須渓谷と宮指路岳での採集記録があった。

草と木の間に雑種が出来るのだろうか。


2011.10.23 いなべ市


2011.10.24 津市美杉町

マタタビの果実

2011-10-25 | 樹木

マタタビ科のマタタビ

久しぶりに大洞山に出かけた。9月初旬に青い果実を見つけていたマタタビの木を訪ねると,果実はすっかり橙黄色に熟していた。

『樹に咲く花』によると,果実は「長さ2~2.5㌢の長楕円形で,先端はくちばし状に細くなり,10月に橙黄色に熟す。なかには長さ約1.5㍉の小さな種子が多数ある。果実には辛味と香りがあり,塩漬けや果実酒にする。」

2011.10.24

2011.10.24のマタタビ


2011.9.7のマタタビ