![Discobola margarita](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/f6/0e93b1123995482ac23086034ec7ce3f.jpg)
ヒメガガンボ科Limoniidaeヒメガガンボ亜科LimoniinaeのDiscobola margarita Alexander, 1924
鈴鹿市の椿神社の奥、椿渓谷の倒木に静止するガガンボの仲間を見つけた。薄暗い木立の中で、三脚を使わないで撮影したため、手ぶれしている。
翅長は8ミリ。翅の斑紋は特徴的。左右の翅の斑紋が異なることに気がついた。図鑑類を探したが、こんな斑紋のガガンボは見つけられなかったので、研究者にお尋ねした。
達磨と名乗る方から
「Discobola属の一種。
おそらく、Discobola margarita Alexander, 1924。
本種の様に翅に複雑な模様を持つガガンボには斑紋の変異が多く見られるものがあり、本属やEpiphragma属などでは左右の翅の斑紋が異なっていることもしばしばです。
翅脈相が単純なほかの双翅目に比べガガンボ類は翅脈に変異が出やすいように思えます。多くの標本を集めてみると、同じ種の中で横脈が増えたり、縦脈が合流したり、合流や分岐の順序が変わったり、脈が強くカーブするところに本来ないはずの脈が生じたりすることがよくあります。」と教えてもらった。
また彼は
「勿論、ガガンボでもガガンボダマシでもそれぞれの種のスタンダードな翅脈というのは歴然とあります。先のコメントで書いたのはそれからずれる変異や異常な脈相がしばしば見られるということです。検索表などで「○脈は□脈より長い」とか「○脈は□脈のどこどこから分岐する」という表記はそのあとに「・・ことが多い」とか「・・のが普通だ」をつけて読むようにしています。」とより詳しいコメントを寄せてくれた。
Catalogue of the Craneflies of the Worldという外国のサイトで調べたら、
分布はRussia: FE (Primorskiy kray, Sakhalin, Kuril Is); North Korea, Japan (Hokkaido, Honshu, Shikoku, Kyushu);; India (Assam), Taiwan, Thailand.
flight periodは、日本では6月と10月に見られたとの記録があるようだ。
「九州の森と林業№83」に『キノコを利用するガガンボ、ガガンボを利用するダニ』という記事を見つけた。
それによると、ヒメガガンボ類は森林に生えるキノコ類を生活場所としていて、「ヒメガガンボ類の幼虫が採集されたキノコ173 種のうち、ヒダナシタケ類 14 種とハラタケ類 10 種からヒメガガンボ類 11 種が羽化しました」という。そして、ダニが付着したDiscobola margarita 成虫も見つかったという。
私は元々絵が好きだから、このような斑紋がある生き物には愛着が湧く。斑紋のある翅ばかりを収集してみたい誘惑に駆られている。
2009.5.10
![Discobola margarita左右翅比較図](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/13/429424b20667acd68a33944b8b52a37e.jpg)
Discobola margarita 左右翅脈相比較図