伊勢湾台風後に改修された三重県内の海岸堤防はほとんどの植生を犠牲にして造られたものである。
子供の頃に、ジャングルに遊びに行くと親に言って、出かけた目的地はいつも海岸堤防下。浅くて綺麗な流れがあり、その両側を海岸性の木々が覆う。
高校の地理の時間に、自分たちが子供の頃から遊んだジャングルはラグーンの地形が残されている所だと教えられた。
ラグーンの面影が残る当時の風景は、田中川干潟を除くとほとんど無いと言ってよい。
この日、田中川干潟から遠くない場所で、子供の頃に遊んだ風景とよく似た印象を受けるスポットを見つけた。
ナワシログミ、ネズミモチと並んでヤブニッケイが自生していた。
このあたりにヤブニッケイが自生していることを初めて知った。
そのヤブニッケイの葉に虫こぶを見つけた。
ニッケイトガリキジラミがヤブニッケイの葉脈に沿ってつくる虫こぶで、ニッケイハミャクイボフシという。幼虫は葉裏の窪みに一匹づつ張り付いていて、春に羽化するらしい。
ラグーンの流れはドブ川となってしまったが、植生の残るスポットの発見がささやかな幸せを感じさせた。
2007.3.4