田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ツマグロヒゲボソムシヒキ雌

2014-01-06 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科のツマグロヒゲボソムシヒキ Cyrtopogon pictipennis Coquillett

2012.5.27に菰野町の朝明渓谷で撮影したムシヒキアブがツマグロヒゲボソムシヒキ♀と判った.狩られたのはコガシラアブ科のシバカワコガシラアブのようである.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,体長10~16mm.黒色.胸背は黒色長毛を装い,白ないし灰褐の粉状毛による斑紋がある.翅は中央と末端が褐色.腹部第2~4節(♂)または第2~5節(♀)後縁に白色粉を帯状に装い,その部分に黄白長毛,他の部分に黒色長毛を密生する.春季出現する.

京都府では,「個体数が少なく、自然度の高い山地の渓流の周辺に生息しているので、環境指標性がある。」などとして要注目種に選定している.

写真の個体は♀,どうやら翅の黒色斑は雌では薄いようである.三重県での既知の記録はない.


シギアブ2種

2014-01-02 | ハエ目(双翅目)

シギアブ科のツノヒゲシギアブ♀ Arthroceras japonicum Nagatomi

2013.6.28 愛知県の標高1,000mほどの明るい山道で出会った。三重県では情報不足種とされ、山地の渓流でみられ、幼虫はおそらく水生といわれていて、藤原町や美杉町で見つかっているが、私はまだ三重県内では見つけていない。

『兵庫県の注目すべき双翅目』(2012)によると、「専門家以外に同定が困難である」という。
京都府では、2013年のレッドリストにツノヒゲシギアブの和名で絶滅危惧種として選定されている。
『茨城県産ハエ目の記録』(2009)によれば、茨城県大子町でも記録されている。

写真の個体は捕獲したが、標本は手元に置いてない。
記載論文をまだ入手していないので、これ以上のことは不明。


シギアブ科のキイロシギアブ ♂ Rhagio flavomedius Coquillett

2013.6.28 愛知県内で撮影。 

『新訂原色昆虫大図鑑Ⅲ』によると、キイロシギアブは腹部第1~4節は黄色で黒紋がなく、本州に産するという。

古い図鑑に、体長6-9mm。腹部の黒点がなく、翅の末端節は曇り前縁紋部に褐紋を有し、各肢の脛節以下は暗色となることが多い。翅の中間はほとんど無色、Cuはほとんど閉口に近い。腹部は3節まで黄色、第4節に褐色の前縁横帯を有し、第5節以下黒褐色、雌では第3節以下各節の前縁に中央切断される褐色横帯を有するとされる。