田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

砂浜のハイメドハギ

2007-09-29 | 草花
ハイメドハギ
田中川干潟南端の砂浜にはハイメドハギが多い。群生するオオフタバムグラにも負けずに花をいっぱい咲かせている。
ハイメドハギはメドハギの変種で、茎を放射状に這わせているのが特徴である。花期はメドハギと一緒で8~10月。花は紫色を帯びるが、その色が薄い株も見られる。
山手の造成地でも見かけたことがある。
マメ科ハギ属
2007.9.24

ハイメドハギ

ハイメドハギ

ハイメドハギ

ハイメドハギ

バカガイ哀れ

2007-09-27 | 
バカガイ大量死
海からの臭いがひどい。
堤防から眺めると、伊勢湾の海の色が黒っぽい。波打ち際の海の色が特に汚れた感じに見えている。
田中川の河口に行ってみると、魚がいっぱい浮いている。干潟の中へ逃げ込んだ魚たちも死んでいる。ウナギも淀みで息絶え絶えである。
海岸に行くと、バカガイが大量に打ちあがっていた。シオフキガイも多い、マテガイも死んでいる。
今年はバカガイが豊漁であった。こんなにたくさんの貝たちが生息していたんだとあらためて驚いた。
鈴鹿から津市にかけての海岸で赤潮が発生し、浅瀬の生き物たちが犠牲となったようだ。
臭いは何日も消えていかない。
2007.9.24
バカガイ大量死

干潟のカワセミ

2007-09-23 | 
カワセミ
田中川干潟の最奥部、最も泥深い所、ヤマトオサガニの個体数がこの干潟内で最も多いところ。稚魚が跳ねている。
カワセミがいつもの指定席から干潟を見つめていた。
カワセミに悟られないように、カメラだけ堤防の上にのりだして、撮影した。
2007.9.18
カワセミ
カメラのシャッター音が聞こえたのであろうか、でも人の姿は見えていない。
「おかしいなあ、何の音だろう」

ニラにキゴシハナアブ

2007-09-22 | ハエ目(双翅目)
キゴシハナアブ♀
砂浜や干潟へごみの不法投棄が絶えない。砂浜のごみの間に咲くニラの白い花が目立つ季節。
ニラの花に一匹のキゴシハナアブ♀を見つけた。
ハナアブ科 ハナアブ亜科 キゴシハナアブ♀
背中に4本の黒い縦筋があり、複眼の模様が特徴的。
秋に良く見かけるハナアブ。
2007.9.18
キゴシハナアブ♀
雌は尻部に波状の白帯が2本ある。

干潟のコブノメイガ

2007-09-20 | 
コブノメイガ♀
田中川干潟の南端。
ヨシ原のふちに生えるオオギョウギシバを踏みつけるように歩いていると、シロオビノメイガとコブノメイガが飛び出してきて、すぐに葉裏へ隠れてしまう。
一匹のコブノメイガがハマヒルガオの葉裏に隠れたのを確認したので、覗き込んだ。
コブノメイガはツトガ科ノメイガ亜科 開張は18ミリだからシロオビノメイガよりも少し小さい。 
日本全国、アジアなどに広く分布する。オスの前縁中ほどに黒い斑紋があり、これがコブに見えることから名付けられた。この個体はコブがないからメス。
コブノメイガは寒さに弱いので、越冬できないと言われている。毎年梅雨の頃、中国大陸から渡ってくるらしい。
イネの害虫として知られている。
2007.9.19

干潟のナカグロクチバ

2007-09-19 | 
ナカグロクチバ
ヤガ科シタバガ亜科ナカグロクチバ 開張は40数ミリ
田中川干潟の南端。
オオギョウギシバが生えている辺りやケカモノハシが生えている辺りで、毎年、この蛾と出会っている。きっと、この辺りに棲みついているのだろう。数は少ないが、大きいので目立つ。一度見つければ、逃げられてもすぐに見つけられる。ナカグロクチバは葉裏に隠れるようなことはしない、この大きな体を隠してくれるような大きな葉が周辺には無いのだ。
幼虫はトウダイグサ科のコミカンソウやエノキグサ、タデ科の植物などを食べる。この干潟周辺にはコミカンソウもエノキグサもないから、タデ科のヒメスイバやアキノミチヤナギあたりを食べているのではと思っている。
成虫の姿が見られるのも10月まで。
2007.9.19

オオケマイマイ

2007-09-19 | 
オオケマイマイ
いなべ市藤原町内のある寺を訪ねた。
雨上がりの境内で陸産貝類を探した。
苔むした古い庭石にオオケマイマイを見つけた。
関東以西の本州と四国東部に分布する山地性の貝。山口県では絶滅危惧IB類に選定されている。オナジマイマイ科。巻きにそって、殻皮毛がのびている。臍孔は広く深い。
冬場は石の間などで冬眠する。
2007.9.16

三重県固有種カナマルマイマイ

2007-09-18 | 
カナマルマイマイ
いなべ市の鈴鹿山地一帯の石灰岩地域のみに分布するカナマルマイマイに出会った。
三重県の特産種。三重県指定希少野生動植物種に指定されいて、捕獲禁止となっている。三重県レッドデータブック2005では絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されている。
カナマルマイマイは鈴鹿市出身の貝類研究家 故金丸但馬さんが発見者で、金丸さんの名前にちなんで名付けられた。
学名 Satsuma(Satuuma)japonica kanamarui(Hirase,1909)
小雨降る中、カタツムリの観察にはもってこいの日。カナマルマイマイも低木の根元や下草から這い出して、木に登ったり、石灰岩質の岩やコンクリート構造物の表面で活動する。
石灰岩地帯に足を踏み入れた私の周りに、カナマルマイマイは何の警戒心もなく現れてくれた。
生息地点によって殻の形や大きさが異なるという。
向こうの山で見つかる個体は殻が細長いよと教えてくれる人がいた。
2007.9.16
カナマルマイマイ

鳥羽のベンケイガニ

2007-09-16 | カニ
ベンケイガニ
鳥羽水族館に近い、民家周辺を散策した。民家の間を排水溝が流れる。3面共に石で造られている。
数匹のベンケイガニがいるのに気づき、しばし足を止めて眺めた。
アカテガニに似るが、一見、体格がどことなく異なる。鋏脚の色もベンケイガニはオレンジ色を帯びる。
複眼の下の甲外縁に左右各1個の鋸歯がある。
2007.9.9

ベンケイガニ
クロベンケイガニもたくさんいる。

ベンケイガニ
クロベンケイガニがベンケイガニを追いかける。

ベンケイガニ
クロベンケイガニがベンケイガニに喧嘩を売る。でも、お互いの鋏の動きはなぜかゆったりしているように感じられた。
フナムシがカニたちの様子を高みから見ていた。海が近いのだ。

砂浜のカワラハンミョウ

2007-09-10 | 甲虫
カワラハンミョウ
堤防道路を車で通った。広い砂浜の海岸線付近をうろうろしている男3人の姿を見つけた。
捕虫網を持っている。顔見知りの人かもと思って、車を止めて、近づいた。
「環境調査をしています。海岸で暮らす特定の生き物について調べています。今日は昆虫の生息数をカウントしています。」と見知らぬ人たちは説明してくれた。名古屋の調査会社の人たちであった。
彼らが歩いている辺りには、細い黄色のロープが張られてあった。
そのロープの中で、ヤマトマダラバッタとカワラハンミョウに何度も出会った。
2007.9.4
カワラハンミョウ
カワラハンミョウは、三重県内での生息場所は1箇所の砂浜のみ、三重県指定希少野生動植物種に指定されて、捕獲禁止となっている。
「他の昆虫類を捕食し、ハエ類の多い汀線近くで活動する個体も多い」と県のレッドデータブックには書かれていた。

カワラハンミョウ
上翅は黒っぽく濃緑色の地色に白色の斑紋を有するが、白色紋の発達度合いには個体差があり、地域変異もあるようである。また、前胸背板は白色剛毛で覆われている。

ハマボウで生きる幼虫

2007-09-07 | ハマボウ
カクモンノメイガ幼虫の棲家
ハマボウの花は一日花。咲き終わると同時に果実が作り始められる。若い果実はつぼみのように見える。
田中川干潟の2本のハマボウを観察していて、果実に穴が開き、その周辺部に幼虫の糞が付いていることに気づいた。穴が開けられた果実の数は数十個もある。
いくつかの果実の中をのぞいてみると、ピンク色の幼虫が出てきた。

カクモンノメイガ幼虫
2007.8.17 果実の中をのぞいてみた

カクモンノメイガ幼虫
果実から取り出した幼虫

カクモンノメイガ幼虫

カクモンノメイガ
いくつかの果実を持ち帰って、飼育ケースに入れて観察していると、9月3日に2匹が羽化した。

カクモンノメイガ
羽化した成虫をすぐに干潟のハマボウに届けた。
ツトガ科ノメイガ亜科 カクモンノメイガ
成虫の出現月は8~9月
幼虫の食餌植物はアオイ科のムクゲの花が知られているらしい。
ハマボウはムクゲと同じアオイ科の樹木。
ハマボウの花が幼虫類に食べられているのは見ていないし、その痕跡もなさそうである。一日花のハマボウの花を食べていては幼虫も毎日のように花を変えていかなければならない、忙しすぎる。なので、カクモンノメイガの幼虫はハマボウの果実の中で暮らしていると考えられる。果実の中には腎臓形の種子が入っている。



シロオビノメイガ幼虫と成虫

2007-09-07 | 
シロオビノメイガ幼虫
津市雲出の雲出古川をたずねた。
干潟にホソバハマアカザが群生していた。
葉の食痕からシロオビノメイガの幼虫がたくさんいることに気づいた。
2007.9.4

シロオビノメイガ幼虫
弱齢幼虫

シロオビノメイガ
2007.9.2 津市河芸町の草地にて

シロオビノメイガ
津市河芸町の草地にて
ツトガ科ノメイガ亜科 シロオビノメイガ
幼虫の食餌植物はアカザ科やヒユ科など
成虫の出現月は6~11月

ヒメイトカメムシ

2007-09-06 | カメムシ
ヒメイトカメムシ
庭のスイフヨウの葉に4ミリほどの虫が何匹もいる。あまりに小さすぎるので数日来敬遠してきたが、このほど撮影してみた。
イトカメムシ科のヒメイトカメムシであった。
触覚と脚に多数の暗色環状紋がある。触覚第4節と各腿節の末端は強く膨らむ。
キリ、ヒヨドリジョウゴ、フヨウなどの植物に寄生しているようだが、昆虫も食べているらしい。
幼虫もいるのだが、いまだ撮影に成功していない。
2007.9.3

ヒメイトカメムシ
小楯板は暗色で、基部に針状の白い突起が2本ある。
2007.9.5

触角が赤いケアシホンヤドカリ

2007-09-04 | 三重の生き物
ケアシホンヤドカリ
ホンヤドカリ科のケアシホンヤドカリ
第1・2触角が赤い。
外洋性岩礁の低潮線付近にごく普通と図鑑に書かれていた。
熊野灘に面した岬の磯で見つけた。図鑑の記述どおり。
潮通しの良い磯場で多く見つかると、どこかに書かれていた。そのとおりであった。
脚は毛深い。ハサミ脚はホンヤドカリ科だから右が大きい。
2007.8.26

ケアシホンヤドカリ