田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ハマガニ♀

2007-10-30 | カニ
ハマガニ♀
ハマガニが夜行性とは分かっていたが、朝からハマガニに会いに出かけた。
干潟の中。漂着物が多い。
巣穴を掘って生息していると図鑑に書いてあったが、どの穴が彼らの巣穴かは区別がつかない。巣穴に出入りする彼らも見たことがない。
大きめの流木を動かしていると、その下にいた。
何匹か見つけたが、巣穴に逃げ込む個体はいなかった。いずれも流木の下に逃げ込む。
流木の下に入り込んで、こちらを見つめている一匹のハマガニに的を絞って撮影した。
ハマガニのメス。
オスのはさみ脚は目を引くような紫色をしているが、メスの体色は生息環境の中で目立たない地味な色合いをしている。
落ち葉や枯れ草などを食べるベジタリアン。
三重県のレッドデータブックでは、ハマガニは情報不足とされている。
流木のないような土手などでは、きっと巣穴の中に隠れて出てこないだろうから、昼間の調査ではなかなか見つからないのだろう。

2007.10.23
ハマガニ♀

ハマガニ♀

ハマガニ♀
眼柄に生えている2本の毛は何だろう?
何の役目を果たしているのだろう?
睫毛?

紅葉する塩生植物

2007-10-29 | 草花
干潟の塩生植物の紅葉は早い。
ホソバハマアカザとハママツナの紅葉は1ヶ月以上も前から始まっている。
ホソバハマアカザ、今年はシロオビノメイガの幼虫にもあまり食べられなかったようである。まだ紅葉が始まっていない株もあった。
ハママツナ、満潮時に株全体が冠水するような所に生えていたものは綺麗に紅葉できずに枯れているように見える。しかし、ホソバハマアカザの近くに生えているような株は美しい紅葉となっている。
2種共に1年草である。秋に花を咲かせ、紅葉し、種子を落とし、枯れていく。

ホソバハマアカザ
ホソバハマアカザの紅葉 2007.10.24

ホソバハマアカザ
ホソバハマアカザの紅葉 2007.10.24

ホソバハマアカザ
1ヶ月前に紅葉していたホソバハマアカザ 2007.9.24 


ハママツナ
ハママツナの紅葉 2007.10.24

ハママツナ
ハママツナの紅葉 2007.10.24

セミの仲間 ハマベアワフキ

2007-10-28 | 田中川
ハマベアワフキ
堤防西の休耕田にヨシが茂っている。
そのヨシにハマベアワフキが群がっていた。
来月には成虫の姿が見られなくなる。だから、10月はカップルが多いのだ。
アワフキムシの仲間の幼虫は自らの排泄物を泡立てて、その泡状の巣で暮らす。泡巣は界面活性剤の水溶液で出来ているため、普通の昆虫はこの中では呼吸が出来ない。
幼虫も成虫も草の汁をエサとしている。イネ科植物によくいる。

カメムシ目(半翅目) ヨコバイ亜目 アワフキムシ科
セミやウンカも同じヨコバイ亜目

2007.10.23
ハマベアワフキ

ハマベアワフキ
休耕田に群生しているシロバナサクラタデでも見かけた。

ヒトハリザトウムシ越冬準備

2007-10-27 | 田中川
ヒトハリザトウムシ
ハマガニを探しに、ハマボウの古木周辺で大きめの流木を動かすなど調べていて、ヒトハリザトウムシがもうこの辺りに分散して小集団を作っているのを見つけた。冬の冷たい西風は堤防とアイアシ群落そして流木や干潟に捨てられた粗大ごみなどによって忍ぶことが出来る。
夏場に大集団を作っていたコンクリートトンネルには一匹もいなかった。
この日出会った彼らの中に、歩脚が欠けている複数の個体を確認した。本来は8本の歩脚。

この干潟から数キロ離れた砂浜でもヒトハリザトウムシを見つけている。砂浜の一部を石垣で囲んで陸地化し、防砂のために松の木を密植させている。その石垣が砂浜に続く海食崖を偲ばせる。自然海岸ではないが、ヒトハリザトウムシの喜びそうな環境となっていた。

腹部第2背板上に1本の短い棘がある。カワザトウムシ科フシザトウムシ亜科

2007.10.23

ヒトハリザトウムシ

ヒトハリザトウムシ

ヒトハリザトウムシ

ヒトハリザトウムシ

追記
「日本国内で海岸や河川感潮域の水際に生息が期待されるザトウムシは本種のみである.他の同定のポイントは1)腹部背甲第2背板中央に短めだがふつうはっきりした1棘があること(これは幼体には見られない.本種以外に同様の1棘をもつ種としてアカサビザトウムシやオオナガザトウムシなど数種あるが,これらは海岸に出現することはきわめて少ない),2)第2歩脚の腿節に少なくとも1個の偽関節をもつ(これは本種を含むフシザトウムシ亜科に共通の特徴で,幼体でもみられる)」
鶴崎展巨 (2008) 道湖・大橋川におけるヒトハリザトウムシ(ザトウムシ目カワザトウムシ科)の生息記録.すかしば,(56):29-31.

新日本動物図鑑(中)という昭和40年頃の図鑑には,学名は異なるもののヒトハリザトウムシは「体長5~6mm.脚Ⅰ36,Ⅱ69,Ⅲ39,Ⅳ50mm.からだの皮膚は堅く,背表面は一様に小さな球状の果粒におおわれている.つねに第2背板のまん中に1本の比較的短かいとげがある.まれに第1または第3背板にも付属的なとげがある.雄では付節の腹面に密に配列した歯がある.第2腿節にのみ1~2個の小結節がある.腹部の背面には暗褐色の帯状斑がある.ふつう海岸の岩かげなどに群生する.」などとある.
 

ハマボウ種子

2007-10-26 | ハマボウ
ハマボウ種子
田中川干潟のハマボウに会いに行ってきた。
いくつもの果実は少し開き気味で、中の種子が見えていた。開いていない果実でさえ、少し触っただけで割れて、中の種子がこぼれ落ちる。
2007.10.24

ハイビスカス・ハマボウ
紅葉するハマボウ
ハマボウ 群落の予感
ハマボウ 干潟に生まれる

ハマボウ種子
ハマボウの種子は海水に浮いて、各地の干潟にたどり着くと前々から聞いていたが、本当に浮くのか確かめてみたくなった。
潮溜まりに浮かべてみると、果実も種子も浮いた。浮いて、散り散りになって流れていく。

ハマボウ種子

カクモンノメイガ弱齢幼虫
いくつかの果実の中に、体長1センチ弱くらいの幼虫がいた。ハマボウの種子を食べるカクモンノメイガの弱齢幼虫だ。8月下旬から9月初旬頃に羽化した成虫の子供たちであろう。
ハマボウで生きる幼虫

カクモンノメイガ弱齢幼虫

コバネイナゴ

2007-10-25 | バッタ類
コバネイナゴ♂
田中川干潟のアイアシ群落の中でコバネイナゴ♂を見つけた。
一匹しか出会えなかったので、それほど多くの個体数はいないと思われる。
成虫出現期は8~11月。
イネ科植物を食害する。干潟にはアイアシとヨシはいくらでもある。
♀は発音するという。楽しみはいくらでも見つかる。
バッタ科イナゴ亜科
2007.10.22

コバネイナゴ♂
同一個体

コバネイナゴ♂
同一個体

コバネイナゴ♀
休耕田のヨシにいたコバネイナゴ♀ 2007.10.23

コバネイナゴ♂
休耕田のシロバナサクラタデにいたコバネイナゴ♂ 2007.10.23

コバネイナゴ
休耕田にて、ヨシの葉を食べるコバネイナゴ 2007.10.23

ススキの季節

2007-10-25 | 風景
ススキ
田中川干潟の堤防際。
駐車スペースも少々ある。
ススキの向こうに見える池は元養鰻場。今日は魚が群れで泳いでいた。もうじき、いろんな冬鳥がやってくる。
干潟に入るときは、いつもこのススキの脇を通っていく。ススキの葉のへりには鋭い鋸歯があって、手が切れるので注意が必要。ハチジョウススキにはこの鋸歯がない。ハチジョウススキは近辺にはないけど、自生地は知っている、会いに行きたいなあ。
2007.10.24

エビガラスズメ幼虫

2007-10-24 | 
エビガラスズメ幼虫
スズメガ亜科のエビガラスズメの幼虫が庭を歩いていた。
近寄ると静止する。離れて見ていると動き出す。どこへ行こうとしているのか確かめなかったので分からない。
色彩や模様の個体差が大きい。褐色型も弱齢幼虫の時は緑色をしているらしい。
ヒルガオ科やマメ科などの植物を食べる。
石の下や土中で蛹になる。
この顔とお尻の角が特徴。

2007.10.19

エビガラスズメ幼虫

傷だらけのツマグロオオヨコバイ

2007-10-24 | 田中川
ツマグロオオヨコバイ
近所の畑をうろついていたら、傷だらけのツマグロオオヨコバイと出会った。
健気に生きている姿に感動した。いろんな植物の汁を吸って生活している。
寿命は約8ヶ月で、成虫で越冬するという。
このツマグロオオヨコバイは傷だらけのまま冬を迎えようというのか。
ヨコバイ科ヨコバイ亜科
2007.10.22
ツマグロオオヨコバイ

砂浜にワモンノメイガ

2007-10-19 | 
ワモンノメイガ
オオフタバムグラが群生している芦原海岸を歩いていると、ときどきワモンノメイガに出会う。追いかけて、止まった所にしゃがみこんでみて、ようやくワモンノメイガだと分かる。ゆっくりと近づくと逃げないことが多い。止まった所が分からないとまず見つけられない。植物の枯れた茎葉と同色で、保護色になっている。
ワモンは輪紋、前翅の模様から。ツトガ科ノメイガ亜科
幼虫はアブラナ科野菜の茎葉を食べる。年に5回ほど発生し、秋に多く発生する。世界中にいるらしい。山地の草原でも出会ったことがあるので、砂浜に限っての生息ではない。
前翅の紋様には濃淡の個体差がある。
スリムなこの蛾は、初めて出会った数年前から私は気に入っている。
2007.10.15
ワモンノメイガ
上と同一個体

ワモンノメイガ
5月にも海岸近くの空き地で出会っていた。ここでも保護色になっている。2007.5.13

コカマキリの墓参

2007-10-17 | 三重の生き物
コカマキリ
たまたま近くを通りかかったので、カトリックの墓地に立ち寄った。
一匹のコカマキリがお墓に向かって、手を合わせて、お参りしているように見えた。カマキリのことを英語ではPraying Mantis という。
前脚の内側に赤、白、黒の3色の斑紋がある。中には赤色がほとんど目立たず、白黒の2色の斑紋にしか見えない個体もいるようである。また、前脚の付け根部分も黒くなっている。
近寄って観察していると、嫌がって墓石のほうへと逃げていってしまった。
それにしても、墓参りに似合う生き物だとつくづく感心した。
2007.10.14

コカマキリ

秋のハマニガナ

2007-10-16 | 草花
秋のハマニガナ
キク科ニガナ属のハマニガナはタンポポ属やアキノノゲシ属と同じタンポポ亜科である。タンポポ亜科の特徴として、茎葉に乳管があり、切ると白い乳液が出てくる。
観察会のとき、ハマニガナの黄色い花と白い乳を参加者に見せることにしている。また、地下茎や葉の伸びている様子も海浜植物の特徴が出ているので、できるだけ見てもらいたいと思っている。
今日の砂浜には、ハマニガナの花がたくさん見られた。株数も増えてきたようにも思う。4~10月の花期の中で最も花数が多い時期なのであろうか。
三重県のレッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)に選定されている。自然のままの砂浜が少なくなってきているということ。
砂浜を公園化したり、卒業記念の植樹をしたりして、砂浜をきれいにしようとする。よかれと思ってやっている。学校教育でも自然を愛する団体でもそういうことをやる。
2007.10.15

メリケンカルカヤ茂る砂浜

2007-10-15 | 風景
メリケンカルカヤ
10月中旬の田中川干潟。南端の砂浜には北アメリカ原産の帰化植物、メリケンカルカヤが茂る。
メリケンカルカヤは多年草で、花期を終えても茎葉は枯れたまま冬を越し、新芽が伸びてきても、まだ昨年の茎葉がそのままの姿勢で残っている。
干潟では、ホソバハマアカザなどの塩生植物が紅葉し、干潟の風景は秋らしくなってきた。
砂浜をしばらく散策したが、もはやヤマトマダラバッタの姿は無かった。
2007.10.15

メリケンカルカヤ
メリケンカルカヤ

アリアケモドキのいる風景

2007-10-13 | カニ

石の下にアリアケモドキの雌雄


一枚目の写真で探し出せたでしょうか.1個体はここにいます.

アリアケモドキに会いたくて、小雨降る中、仲間たちと木曽川に出かけた。
河口から10キロ以上も離れている。転石の下に彼らは生息していた。
稚ガ二たちは石の下ではなく泥の中で動いていた。
2007.10.8

アリアケモドキ
水中のアリアケモドキ
甲は横長の六角形。甲羅を横に走る稜線がある。

アリアケモドキ♂
アリアケモドキの♂
スナガニ科
三重県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されている。約40年前には三重県内で多数の生息が記録されているが、現在は生息地点数や個体数が少なくなってきている。
私はまだ三重県内では見たことがない。

アリアケモドキ
アリアケモドキの♀

アリアケモドキ
♂の腹部とハサミ脚の先端部分が朱赤色。
この個体は左右のハサミ脚の大きさが異なるので、片方のハサミ脚は再生したものである。


♀の腹部も朱赤色をしている。

アリアケモドキ生息地の風景
やわらかく粘りの有る泥があるが、長靴が沈み込むようなことはない。シジミが採れる。
アシハラガニが1匹穴の奥に引っ込んでいた。チゴガニも1個体見つけた。モクズガニの稚ガニは脚が長かった。ベンケイガニもいた。

タコノアシ
ユキノシタ科のタコノアシが群生していた。
河川敷などに生える多年草。
三重県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されている。
私は志摩半島でも見ているが、県内の正式記録にはない。
タコノアシ
茎は淡紅色を帯びることが多いが、そうでない株が幾つも見られた。

タコノアシ
成熟した花序がゆでダコの足に似ている。和名の由来だ。


キタテハ秋型

2007-10-09 | チョウ
キタテハ
田中川干潟の堤防際にコセンダングサの黄色い花が咲き出した。
1頭のキタテハがこの黄色い花を次々と変えて移動していた。
翅を休みなく閉じたり、開いたりしている。
翅の地色が赤みを増して、翅形の凹凸も強くなっているので秋型。
この干潟には幼虫の食餌植物であるカナムグラが生えていないと思っている。干潟でキタテハを見かけたのは初めてのような気がする。
2007.10.6

キタテハ