田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

マヨビキトゲミギワバエ

2016-01-16 | ハエ目(双翅目)

ミギワバエ科トゲミギワバエ属のマヨビキトゲミギワバエ Notiphila (Agrolimna) puncta de Meijere

標本個体は,菰野町田口の東海自然歩道近くの湿地で2015.6.14に見つけたもの.本種は青山高原でも見つかっている.
マヨビキとは眉引きのことで,眉墨(まゆずみ)で眉をかくこと.低く平らな稜線のようすが眉の形に似るところから、「横山」にかかる枕詞にもなっている.古典の素養がないと使いこなせない和名である.
トゲミギワバエ属のトゲは中脚の脛節背面に生える3~4本の長剛毛のこと.なお,この属の前縁脈はR4+5脈付近で終わり,触角第2節には長い剛毛がある.

マヨビキトゲミギワバエの特徴は,額に2個の黒色円紋があり,中脚の剛毛は4本,翅の前縁は強く黒色となること.額に目玉模様があるのは,ミギワバエ科では本種のみ.国内での分布は,埼玉,神奈川,愛知,三重.
Notiphila (Agrolimna) punctaは,中国,インド,ネパール,フィリピン,スリランカ,台湾に分布するが,日本産のマヨビキトゲミギワバエとは別種の可能性もあるらしい.

2013年発行の大阪市立自然史博物館所蔵双翅目目録(1)を参照した.

メスアカケバエの群飛

2016-01-16 | ハエ目(双翅目)

ケバエ科ケバエ属のメスアカケバエ Bibio japonica (Motschulsky,1866)

An observation on the aerial swarm of Bibio japonica (Motschulsky,1866)(Diptera:Bibionidae)

2015年の春,三重県津市河芸町の豊津海岸でメスアカケバエの群飛を観察した.

三重県ではこれまで津市内から5個体の標本が記録されているだけで,レッドデータブック2015では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されているほどだから,まとまった数を採集できていないどころか,多数の個体が飛び交う様子は見たことがなかった.同県の10年前のレッドデータブックでは情報不足種としていたが,10年間の調査を経ても,なかなか新産地を発見できなかったことと既産地の環境変化も見られたため,ランクが上がったのである.

かつて,Bibio rufiventris Duda の学名で記録されることが多かったが,最新の昆虫目録ではBibio japonica (Motschulsky)となっている.

メスアカケバエは,体長11mmほど.雄は全体が光沢のある黒色で,体表の毛はすべて黒色である.普通種のハグロケバエと紛らわしいが,ハグロケバエの胸部側面と腹部の毛は褐色であり,また胸部背面がつや消しなので区別できる.翅の脈にも違いがあって,ハグロケバエのRsはr-mの約2倍長で,本種は約4倍長.雌は中胸背と腹部は淡赤褐色で腹部第1背板には一対の黒点を持つ.成虫は3~6月に出現と図鑑類には載っているが,三重県内の採集記録や私の目撃メモを見る限り,4月19日から5月6日までであり,3月や6月に出現するなんて当地では考えられない.Hardyほか(1960)は奄美大島などから3月に採集し,北海道や東京などから6月に採集している.成虫の寿命は,長くて2週間くらいなものだろう.

メスアカケバエは日本各地の普通種で,幼虫は土中の腐植質を食し群生するが,茨城・愛知では農業構造改変にともなって減少傾向にあるという。(日本野生生物研究センター,1980)






メスアカケバエ♂

参考文献
堀野満夫,2008.近畿地方におけるメスアカケバエの記録.はなあぶ,25:60-61.
柿沼進,2013.山口県のケバエ類の記録(1).はなあぶ,35:15.
吉田浩史・八木剛,2012.兵庫県の注目すべき双翅目.きべりはむし,34(2):12-25,兵庫昆虫同好会・NPO法人こどもとむしの会.
吉田浩史,2015.兵庫県の双翅目8.ケバエ科・トゲナシケバエ科.はなあぶ,39:77-84.
三重県,2015.三重県レッドデータブック2015-三重県の絶滅のおそれのある野生生物-.758pp,三重県農林水産部みどり共生推進課.
中村剛之,2009.栃木県のケバエ(双翅目,ケバエ科).栃木県立博物館研究紀要 自然,26:15-20,栃木県立博物館.
靭公園自然研究会,2012.いのちの森・生物多様性公園をめざして-大阪都心・靭公園の自然と歴史-.303pp.,大阪自然史センター.
日本野生生物研究センター,1980.第2回自然環境保全基礎調査 動物分布調査報告書(昆虫類)全国版.財団法人日本野生生物研究センー.
近藤繁生・高崎保郎・浅井弘三・久野武顕,1990.愛知県の双翅目.愛知県の昆虫(上),169-197,愛知県昆虫分布研究会.
鈴木裕・脇一郎・久保浩一,2004.ハエ目Diptera.神奈川県昆虫誌Ⅲ,845-906,神奈川昆虫談話会.
内田正吉,2009.白井市の双翅目昆虫.白井市生物多様性調査報告書,609-630,白井市,千葉.
鶴崎展巨・林成多・宮永龍一・一澤圭・川上靖,2012.鳥取砂丘の昆虫類目録.山陰自然史研究,7:47-82,鳥取県生物学会.
Hardy, D. Elmo & Mitsuo Takahashi, 1960. Revision of the Japanese Bibionidae (Diptera, Nematocera). Pacific Insects, 2(4): 383-449.

アイノヒゲボソムシヒキ♀

2015-11-09 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科ヒゲボソムシヒキ亜科アイノヒゲボソムシヒキ Grypoctonus aino Speiser, 1928

鈴鹿山脈でアイノヒゲボソムシヒキを捕まえようと,いなべ市大安町の石槫峠に3日連続で通った.初日は曇り空で風も強く,尾根沿いを探し回るも1頭も見つけられなかった.2日目は風もあり雲の多い日で,時折わずかに陽がさす程度,登山道周辺で2頭を目撃したが捕獲はできず,写真撮影だけ成功.この写真はその時の1枚である.3日目は風もなく秋晴れで,登山者も多かったがアイノヒゲボソムシヒキも多かったので大満足.上着や捕虫網にも止まろうとする個体が何頭もいた.
ハタケヤマヒゲボソムシヒキは見かけなかった.

写真の個体は,翅の透明度が高く,長さもあるので♀.♂の翅は短く,わずかに褐色を帯びる.2015.10.31

アイノヒゲボソムシヒキ



モンキアシナガヤセバエ

2015-09-07 | ハエ目(双翅目)

ナガズヤセバエ科Neriidaeのモンキアシナガヤセバエ Nerius femoratus Coquillett, 1898

2015.6.7 鈴鹿市の深谷公園.樹液の出ているクヌギの木にモンキアシナガヤセバエを見つけた.同じ木にホシアシナガヤセバエもいた.

モンキアシナガヤセバエは,三重県からの既知の記録はこれまで見当たらない.本種は四国と本州に分布する.県内の複数ケ所で生息を確認しているが,個体数はホシアシナガヤセバエに比べ少ないと感じている.新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,翅は透明で,r2+3とm1+2に支脈なく,灰白色の胸背に明瞭な3黒条を持つ.


2015.6.4 モンキアシナガヤセバエ  カトウトゲアシモグリバエの姿も見える.

ハチモドキハナアブ

2015-07-04 | ハエ目(双翅目)

ハナアブ科のハチモドキハナアブ Monoceromyia pleuralis (Coquillett, 1898)  2015.6.29

鈴鹿市の深谷公園.樹液の出ているクヌギの木にハチモドキハナアブ♂を見つけた.産卵しているかのように見えたが,♂だったので何をしているのか分からない.

京都府のレッドデータブックでは,「里山的環境に生息する種で、環境指標性が高い。またハチに擬態を示す特異な種として学術的にも貴重。」として準絶滅危惧種に選定している.また,「触角が長く、黒色のくびれた身体に黄色の斑紋がある。同所に見られるオオフタオビドロバチに酷似して、見誤るほどである。」という.

岡山県のレッドデータブックでは,「コナラ、アベマキなどの樹液付近で目撃されることがあるが、個体数は多くない」として,情報不足種に選定されている.

三重県レッドデータブック2015では,「里山や低山地にみられ,樹液のしみでたクヌギに集まる.局地的に分布し,個体数も多くはない.」として情報不足種に選定している.近年,明和町からの記録がある.

日本昆虫目録(2014)によると,分布は本州,四国,九州,ロシア極東部.


ハナアブ科のハチモドキハナアブ Monoceromyia pleuralis (Coquillett, 1898)  2015.6.1


ハナアブ科のハチモドキハナアブ Monoceromyia pleuralis (Coquillett, 1898)  2015.6.29

樹液生活者のカトウトゲアシモグリバエ

2015-07-01 | ハエ目(双翅目)

トゲアシモグリバエ科のカトウトゲアシモグリバエ Traginops orientalis naganensis Kato, 1952

2015.6.4 鈴鹿市の深谷公園.樹液の出ているクヌギの木に,翅に斑紋のある小さなハエが複数個体居るのを見つけた.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,カトウトゲアシモグリバエは体長3~4㎜.脛節の先端前に棘毛を生ずることによってハモグリバエ科と異なる.黒色の単眼瘤は著しく隆起する.胸背の正中線,小楯板の中央部および各棘毛の基部ならびに翅には大小種々の褐紋がある.黄色の脛節の両端近くに褐色輪紋がある.

日本昆虫目録(2014)によると,分布は本州で,タイプ産地は長野県Nagaoka-muraとある.これはおそらく長丘村のことで,現在は中野市となっている.

樹液の出ているクヌギを訪ねて,本種を探しているが,まだ他所では見つけられていない.三重県からの記録はこれまで無いと思われる.


キバラガガンボ♂

2015-06-30 | ハエ目(双翅目)

ヒメガガンボ科のキバラガガンボ Eutonia satsuma(Westwood,1876)

2015.6.29 鈴鹿市の深谷公園 あじさいの花が咲く林縁でキバラガガンボを見つけた.亀山の公園でもかつて見つけたことはあるが,撮影できたのは今日が初である.体長は23㎜ほど.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,キバラガガンボは,体長22~24㎜,翅長18~20㎜.大型で翅に美しい斑紋を有する種である.腹部は赤褐色で,側縁は濃褐色.脚は黄褐色だが,腿節の末端,脛節の基部と末端は黒褐色.

日本昆虫目録(2014)によると,かつてLimnophilaとして扱われたこともあるという.本州,四国,九州に分布.




ミドロミズアブ

2015-04-09 | ハエ目(双翅目)

ミズアブ科ミズアブ亜科のミドロミズアブ Odontomyia filipjewi (Pleske, 1928)

2015.3.31鈴鹿市の深谷公園でミドロミズアブ1♂を見つけた.ユキヤナギの花をスイーピングしていたら,いつの間にか入っていた.三重県からは津市片田町といなべ市藤原町で各1頭が見つかっているだけ.本種の三重県産はこれで3頭目で,私にとっては初めての採集である.鈴鹿市ではこれまで見つかっていなかった.

京都府では要注目種にリストされている.それによると,全国的に数例の記録しかない種.自然度の高い平地の湿地に見られる.京都では深泥が池の一例のみ.
深泥が池から見つかったミズアブというので,ミドロミズアブという和名を京都の大石久志さんが名付けた.

茨城県からは市毛勝義さんが40頭以上もの採集記録を双翅目談話会のはなあぶ38号に発表している.ユキヤナギに飛来することやカエデ等の枝先でホバリングすることなども報告している.本州の分布地も埼玉,茨城,三重,京都,岡山と明示してくれている.また,休耕田や沢沿いの湿地で幼虫が育つと思われるという.

ミドロミズアブの特徴は,腹部背板第2-4節の後縁(後角)に細い赤褐色斑があること.同属他種との識別に使える同定ポイントである.

最近の記録では,神奈川県秦野市から4月21日に休耕田にできた湿性草地において,草本に静止していた体長10.3㎜の1♀を飯嶋一浩さんが双翅目談話会の「はなあぶ」39号に報告している.

日本昆虫目録第8巻には,和名は載っていない.分布は北海道,本州,ロシア極東部となっている.

ミドロミズアブの標本写真が近年の報文では掲載されるようになってきた.生態写真はインターネット上では見られるが,現在のところ本種の和名や学名が使われていないので,簡単にはヒットしない.

三重県産の既知の記録は次の二つ
 篠木善重・大石久志 (2012) 津市の双翅目(ハエ目).三重自然誌,(13):92-113,三重自然誌の会.
 篠木善重・大石久志・蒔田実造 (2014) 三重県産双翅目RDB種の記録.はなあぶ,(37):92-99.







ヤドリバエ科Compsoptesis属の一種

2015-04-08 | ハエ目(双翅目)

Tachinidaeヤドリバエ科Phasiinaeヒラタヤドリバエ亜科Phasiiniヒラタヤドリバエ族のCompsoptesis sp.

2014.9.26いなべ市の員弁川河川敷にて

しかるべき方に同定していただいた.
Compsoptesis属はどうやら日本に複数種がいるらしい.しかし,日本昆虫目録第8巻を見ても,載っていない.
今後も,学名も和名も無いこのような種がまだまだたくさん見つかることだろう.

ムネグロメバエ

2015-01-22 | ハエ目(双翅目)

メバエ科メバエ亜科のムネグロメバエ Conops (Asiconops) opimus Coquillett

ムネグロメバエと同定できている標本を持っている。その生態写真も撮っていたので紹介する。2011.6.21津市河芸町の丘陵地帯にて。三重県では既知の記録はない。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、ムネグロメバエは体長12~13㎜。赤褐。額は凹み、頭頂前に数個の横隆起と横溝を具える。顔は金色反射を持ち黄褐。眼縁紋は顕著。胸部は肩瘤、中胸背後角部、小盾板を除いて黒色。翅は淡褐に曇り、前縁部は濃色。腹部各節の背面と側部は黒褐色をおびる。6~7月に出現。

島根県レッドデータブックによると、国内では採集個体数がきわめて少ない寄生性種であるとして、準絶滅危惧に選定している。体長はメスが12-18㎜、オスが12-1㎜。メバエ類のなかでは大型種である。個体の大少差は、寄主サイズに由来すると考えられる。寄主は、ヒメハラナガツチバチと推定される。国内では本州・九州に、国外では中国・韓国にも分布している。

日本昆虫目録第8巻によると、分布は北海道、本州、四国、九州;中国。新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは、本州、四国、九州;中国。

分布に関しては、どの文献の記述が正しいのか分からない。

メバエ科は頭部正面に額線があり、半月瘤は存在する。頭幅は胸幅よりも広い。口吻は長く、頭部よりも長い。顔面には触角溝がある。(原色日本昆虫図鑑下)


複眼の内縁部に黒点(眼縁紋)が見えている。




翅のsc-r横脈がある。M1+2脈はR4+5脈と融合する。cua室(これまでcup室とされていた)は第2基室より長い。これらはメバエ科翅脈相の一般的な特徴。
メバエ科の他の種をほとんど知らないので、ムネグロメバエ特有の翅脈相の説明ができない。

スズキキイロアブの雌雄

2015-01-16 | ハエ目(双翅目)

スズキキイロアブ♀ Atylotus suzukii  2011.6.24 田中川干潟にて 植物はハママツナ

早川博文さんのアブの分類、生態とその対策(13)によると、
胸背は黄褐色。腹背は黄金色で、腹背第2~5節には黒褐色明瞭な4本の斜状紋を有する。腹背の中央縦斑は明瞭で、黄金色である。腹部は卵形。翅はほぼ透明で、縁紋は褐色明瞭、R4脈に小枝を有する。頭幅は胸幅より著しく大きい。

キイロアブ属は日本昆虫目録第8巻に11種がリストアップされているが、三重県内の海岸には複数種の未記載種が生息しており、今後の更なる調査研究が望まれる。また、この地域の海岸には別属の未記載種も生息しているので調べ甲斐がある。

膝関節を鍛えて、砂浜を歩き回ろう。

スズキキイロアブ♂ Atylotus suzukii  2013.6.24 田中川干潟にて

干潟固有のスズキキイロアブ

ハキナガミズアブ

2014-12-28 | ハエ目(双翅目)

ミズアブ科のハキナガミズアブ♀ Rhaphiocerina hakiensis (Matsumura)

鳥羽市菅島で2014.7.23にハキナガミズアブと初めて出会った。
体長は5~7㎜。6~8月に出現。中国にも分布するが、日本では本州(岡山、兵庫、三重)、四国(徳島)、九州(熊本、大分)、屋久島、西表島に生息している。タイプ産地は熊本県の葉木。
光沢ある黒色の体を鮮やかな黄色い線で区切らせている美麗種。
小楯板後縁に微小な2棘がある。

菅島 また行かなくっちゃ。

NAGATOMI,A.,1978.Rhaphiocerina hakiensis (Diptera,Staratiomyidae).kontyu,46(I):l-7,Tokyo.
MATSUMURA,S.,1916.Thousand insects of Japan,Additamenta,2.474pp,Tokyo.

キョウトシギアブ

2014-11-22 | ハエ目(双翅目)

シギアブ科のキョウトシギアブ Chrysopilus kyotoensis (Frey,1954)

キョウトシギアブの和名は,ネット検索しても京都府自然環境目録しかヒットしない.日本昆虫目録には,学名はあっても和名はなく, Type locality;Kitashirakawa 分布;本州 とあるのみ.Kitashirakawaとは京都市左京区北白川のことか.

このキョウトシギアブは,体長6㎜前後のシギアブで,各地の河川岸辺の草地に普通に見られるが,図鑑類には載っていない.また,同定が難しく,地域の昆虫調査においてもこれまでほとんど記録されることがない.

この写真の個体は2013.4.16津市の雲出川でみつけたもの.同定をお願いした方は,何度も何度も標本を眺め,参考文献を何度も読み返していた.数少ない標本では同定に自信が持てないこともあるとも聞いた.標本での同定ですら悩ましいのたから,写真のみでの同定など不可能と言って良かろう.下の参考文献は英文.日本語の絵解き検索が欲しいものだとつくづく思う.

参考文献
Akira Nagatomi (1968) The Jananese Chrysopilus (2) (Diptera, Rhagionidae).Mushi,Hukuoka,42:Pars 42.

クロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)

2014-11-20 | ハエ目(双翅目)

ハナアブ科Pipiza(コヒラタハナアブ属)のクロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ) Pipiza lugubris (Fabricius, 1775)

2013.9.13 愛知県にて.マツムシソウに訪花するクロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)と出会った.
Pipiza(コヒラタハナアブ属)の仲間は同定が難しく,詳しくは知らないがいろんな問題を抱えているようである.この写真の個体も標本をとって詳しい人に見てもらった.現時点ではクロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)と同定できるということであった.千島,北海道,本州,ヨーロッパ,ロシアに分布.

この属は,日本昆虫目録第8巻には8種が載っているが,10年以上前に発行された「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方」には,日本産は近年報告されたものを含めて10種.なお検討の余地があるという.互いに非常に似かよっていて,同定は難しいともいう.新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには,この属は1種も載っていない.

翅の特徴的な斑紋も濃淡などに個体差があるようである.


クロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)

ツワブキケブカミバエ

2014-11-19 | ハエ目(双翅目)

ミバエ科のツワブキケブカミバエ Paratephritis fukaii Shiraki 

2014.4.25 尾鷲市で出会ったミバエは,その幼虫がツワブキの葉柄や花梗内に寄生し,ツワブキハグキフクレフシという虫こぶを作る形成者として知られている.
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ツワブキケブカミバエは翅長5㎜前後,頭部,脚部,平均棍などは褐色.胸部と腹部は褐色地に灰色の微粉をまぶしたように見える.前翅先半部の褐色斑紋とそれを横断する透明部の境界が直線状である.本州から九州まで分布.


ツワブキケブカミバエ Paratephritis fukaii