トリガイ 2012-10-23 | 貝 ザルガイ科のトリガイ 時化の後,時々打ちあがることがあるトリガイだが,ほとんどは傷みがひどくて食べられない. 以前,近所の漁師が貝殻に損傷があって売り物にならないトリガイを届けてくれていたが,その方が亡くなってからトリガイを久しく食べていない.トリガイはとにかくうまいのである.ああ,食べたいなあ. 2007.7.15 オオノガイの上方にある2枚の丸い貝殻がトリガイ その周りにはバカガイやシオフキなどが多い 2011.9.6台風一過の芦原海岸にて
ホトトギスガイの大量死 2012-10-23 | 貝 2007.7.15 河芸町の海岸に大量に打ちあがったホトトギスガイ 海が時化た後の波打ち際を歩いていると,時々いろんな生き物が大量に打ちあがっていることがある.イガイ科のホトトギスガイもその一つである.スナヒトデも大量に発生して,大量に打ちあがったのを見たことがあるが,このホトトギスガイの死骸も波打ち際をおおい隠すほど打ちあがっていることがある. 年によってアサリやバカガイがさっぱり獲れないときがあるが,きっとスナヒトデかホトトギスガイが大量発生しているためではないかと思っている. 2007.7.15 ホトトギスガイ 砂交じりの足糸でくっつき合って大きな塊となっている. 2003.3.8 ホトトギスガイ
オオノガイとアサリ 2011-07-22 | 貝 台風一過の芦原海岸。生きた貝は期待に反してほとんど打ちあがっていない。しかし,ある一ヶ所だけ,ほんの10mほどの幅の所だけ多量のアサリがシオフキやバカガイに混じって打ちあがっていた。アサリのサイズは大きいので驚いた。オオノガイの生貝も一個体だけ見つけた。オオノガイの貝殻の打ち上げは多かった。 たくさん拾って,砂を吐き出させようと一晩塩水に浸けておいたら,大きなアサリは皆死んでしまった。氷を入れて冷やしておけばよかったかも。小さなアサリだけは貝汁にして食べた。オオノガイも死なせてしまったので食べられなかった。 それにしても,なぜこの狭い場所だけに大量の貝が打ちあがっていたのだろう。 近所の人から聞いた話では,「河芸町上野地区で竜巻が発生し,何軒かの屋根瓦が飛んだ。竜巻は海のほうからやってきたらしい。」 辻褄が合っている。 2011.7.20
大島(紀伊長島)のツムガタギセル 2011-06-11 | 貝 キセルガイ科のツムガタギセル Pinguiphaedusa platydera 大きな木が倒れていて,そこに1個のキセルガイを見つけた。初めて見るキセルガイなので,貝屋に尋ねると,一目見るなりツムガタギセルだと言う。欲しそうな顔をしなかったので,この島ではさして珍しい貝ではなさそうであった。 愛媛県のレッドデータブックでは絶滅危惧1類に選定されている。 『三重県その自然と動物』によると,ツムガタギセルは「殻高25mm,殻径5㎜。殻は淡黄褐色でやや堅固な貝。長紡錘形をしているのでこの名がある。卵生。模式産地は神戸。伊勢鳥羽両市を中心に県南に多いが,名張,平倉,大杉谷,二俣国有林,尾鷲にも生息。」 2011.6.4
カドバリニッポンマイマイ 2009-12-06 | 貝 ナンバンマイマイ科のカドバリニッポンマイマイSatsuma japonica carinata (Pilsbry & Gulick, 1902) 2009.11.21 鈴鹿市の小岐須渓谷一ノ谷へ落ち葉下や朽木の甲虫を探しに出かけた。 落ち葉をふるいにかけていて、貝を見つけた。 後日、N氏にお聞きしたら、「カドバリニッポンマイマイです。飯南の方でも見つかります」と教えていただいた。 鈴鹿市の西部地区は、「石灰岩地も点在していて,陸産貝類の最も豊かな地区である。」(鈴木慎一ほか, 2008) 「小岐須渓谷山の家付近の古い伐採木では,カドバリニッポンマイマイ,ヌノメニッポンマイマイ,コベソマイマイ,ヒルゲンドルフマイマイ,コンボウギセル,ハゲギセルの生息を確認した.コンボウギセルは個体数も多かった.」(締次美穂,2009) 参考文献 締次美穂,2009.鈴鹿川流域の陸産貝類.鈴鹿川流域自然環境調査報告書:60-69.鈴鹿市 鈴木慎一ほか, 2008. 第4章 鈴鹿市の動物 第9節 鈴鹿市の貝類. 鈴鹿市の自然-鈴鹿市自然環境調査報告書-: 433-455. 鈴鹿市.
ニュージーランドガキ 2009-09-02 | 貝 イタボガキ科のオハグロガキモドキ Saccostrea circumsuta (Born, 1778) 熊野灘沿岸の複数の場所で、オハグロガキモドキを見つけた。ある所ではマガキと混生していた。また,ある所ではマガキ、ケガキと混生していた。波の強く当たらない護岸や岸壁で見られた。 貝の合わせ目がリズミカルに波打っているのがこの種の特徴だと人から聞いた。 日本では小笠原諸島父島の八瀬川の汽水域で1998年2月に発見されて、新称としてオハグロガキモドキの和名が与えられた。 ニュージーランドガキとも言われているが、その名の由来は分からない。世界のあちこちに生息しているようである。 2009.8.22 参考 海洋島第5号 小笠原初記録のカキ「オハグロガキモドキ」 第1巻第5号(通算5号)東京都小笠原水産センター 1999年12月24日発行
裏山のアツブタガイ 2009-07-06 | 貝 ヤマタニシ科のアツブタガイCyclotus campanulatus campanulatus Martens, 1865 鈴鹿市三宅町の集落の中。 マダケのタケノコが見られる民家裏山の落ち葉の間にアツブタガイを発見。 すぐ近くの民家の石垣にも動くアツブタガイを発見。撮影のため、向きを変えようとしたが、厚蓋を閉じて動き出す気配が全く無くなった。 貝の先生が「なかなか出てきてくれないよ。」と言うので諦めた。 「もっと見つかっても良さそうなのに、居なくなったなあ」と先生が言う。 厚い石灰質の蓋を持つことからアツブタガイ(厚蓋貝)という。本州(関東以西)、四国、九州に分布。 『エコロン自然シリーズ 貝』によると、「殻は円盤状。ら塔は少し高まり、ら層は丸く、よくふくらみ、弱い成長脈をきざむが平滑。ふたは厚い石灰質で多旋型。山林の小石や落葉の間にすむ。」 栃木県では絶滅危惧Ⅰ類、埼玉県・福井県・福岡県では絶滅危惧Ⅱ類、京都府・鳥取県では準絶滅危惧種に指定されるなど各地のレッドデータに載っている。 2009.7.1 厚い蓋は革質で円く、殻口から出る。殻皮は平滑で光沢が強い。
黒いウスカワマイマイ 2009-07-05 | 貝 オナジマイマイ科のウスカワマイマイ Acusta despect sieboldiana 鈴鹿市三宅町の人家周辺と竹林を貝の先生たちと一緒に歩き回り、陸産貝類を探した。 人家のブロック塀に黒いウスカワマイマイがくっついていた。黒いウスカワマイマイなんて初めて見た。 貝の先生の話では、「体色が黒いだけで、貝殻はみんな同じ色。標本にしたら一緒さ。」 塀から引き離すと、黒いウスカワマイマイは泡を吹き出した。カタツムリの泡なんて初めて見た。 先生いわく。「威嚇しているのさ。マイマイカブリに襲われたときなど、かたつむりは粘着力のある泡を出して相手を威嚇する。あんたを驚かしているのさ。」 2009.7.1 黒いウスカワマイマイと普通のもの
干潟のイソシジミ 2009-05-23 | 貝 田中川干潟でイソシジミを大量に獲っている人が居た。20センチほどの深さをスコップで掘っていき、2㎡の広さまで掘り広げていた。土は周りに高く積まれていた。 何にするのかと尋ねると食用にするのだと答える。 アケミ貝の名で釣りエサとして売られているのは知っていたが、食用にしている人が居るのは初めて知った。 それにしても、こんな獲られ方を見ていると気が滅入ってくる。思い過ごしかもしれないが、干潟がデコボコだらけになっていくような気がする。 貝取りジョレンを持って海へ入っていく人を見かけた。バカガイ獲りの人だ。 近くに居た人が「三重県ではジョレンを使用して貝を採ることは禁止されているはずだ。」と言っていた。 調べてみると、「三重県では禁止漁具にあたり、県内のいかなる海域でも潮干狩りで使用することは三重県漁業調整規則に違反し、取締りの対象です」という。 ジョレンは県内のお店で普通に売られている。あちこちで普通に今も使われているように思う。深いところで獲っている人はみんなジョレンを使っているように見えるんだけど。漁師に見つかったら、怒られるんだろうなあ。 なお、2センチ以下のアサリや3センチ以下のハマグリは採捕が禁止されている。 2009.5.23
干潟のサビシラトリ 2009-05-23 | 貝 田中川干潟へ地元の小学5年生を案内した。 子供たちが澪筋付近で見つけたと私の元へ持ってきた。 ニッコウガイ科のサビシラトリ Macoma contabulata (Deshayes) 生貝2個体。大きい方の殻長が4センチ。 内湾の奥部や河口部の砂泥干潟に生息する。田中川干潟では、最奥部の泥っぽい所で長い水管を出しているのをこれまで見てきている。数十センチの深さに潜っているものだと思っていた。ぬかるんでいて、長靴でも入って行けないような所だ。ヤマトオサガニの観察場所と重なっている。 この日、干潟の出口に近いところで、しかも表面近くで見つかったのは意外に思えた。 愛知県では、「もともと伊勢湾の愛知県側、三河湾での記録は多くないが、近年明らかに本種の個体数が減少している。生きている時には薄い殻皮を縁辺部に被る。近年死殻さえ少なくなった」として絶滅危惧ⅠB類に選定している。 愛媛県では、「河川改修や水質汚染などにより、生息可能な場所は急速に減少しつつあることから、絶滅する可能性が高い」として、絶滅危惧1類(CR+EN)に選定している。 食用とはしないと聞いているので食べたことは無い。和名をサビシラトリガイとしている図鑑もある。 2009.5.22
コベソマイマイ 2008-11-03 | 貝 ナンバンマイマイ科 コベソマイマイ Satsuma myomphala(Martens,1865) 小岐須渓谷。石の多い斜面を這いながら登っていく。石起こしをしながら、甲虫を探していたが見つからず、大型の巻貝生体1個体を見つけた。 コベソマイマイは樹陰の薄暗い場所に生息し、倒木で見つかるようだ。私は林縁に近い少し明るくなった斜面で、石の下に居るのを見つけた。 日本固有種で、関東西部以西の本州、四国、九州に広く分布している。韓国でも見つかったとの情報もある。 鈴鹿川の河川敷でも見つけたことがある。 2008.10.19 螺塔がやや高く、螺管の巻きが多い(螺層6層)。細く明瞭な1本の黒褐色帯を弱く角ばった周縁部外縁にめぐらす。 臍孔は老成個体では軸唇縁で閉じられる。
河川敷にヤマタニシ 2008-04-23 | 貝 鈴鹿川の河川敷で草むらの中を歩き回った。 枯れたヨシの茎葉が堆積しているような場所でヤマタニシを見つけた。 関東以西の本州、四国、九州に分布。 蓋は革質で堅い。 ら層がよく膨らんでいる。 ある図鑑には「山林の落葉の間にすむ」と書かれていた。 持ち帰って、知人に見せたら、即座に「ヤマタニシです」と言う。そういやタニシに似ていると遅まきながら気づいた。 2008.4.20
オオトリガイ 2008-04-17 | 貝 大淀海岸でバカガイ科のオオトリガイ生貝を拾った。 殻長115ミリ、殻高55ミリ 内湾の潮間帯より水深10mくらいの細砂底にすむ。房総以南に分布。 鳳貝。内面は白色。 生時は艶のある乳白色の地色だと思っていたが、乾燥させたら、淡く黄色を帯びてきた。 食用になるのか分からなかったので、試食は諦めた。 2008.4.8 北隆館の「原色動物大図鑑Ⅲ」によると 長方形に近い貝で、殻のふくらみは少ない。 殻頂は平坦で、わずかに突出し、殻の前後は開いている。 弾帯受は広くて大きく、側歯はないが、背縁が肥厚している。 本州中部以南、四国、九州より台湾に及び肉は食用となる。
泥地のカワアイ 2008-04-14 | 貝 松阪市内の河川河口付近をいくつか訪ねた。 牡蠣殻が転がっているような場所を選んで見て回った。 とある川で泥地に足をとられた。 そんな所でカワアイと久しぶりに出会った。殻高35~40ミリほどの個体が多かった。 田中川干潟では最近全く見ていない。 カワアイは三重県レッドデータブック2005では準絶滅危惧(NT)に選定されている。 ヘナタリと良く似ているがヘナタリよりも殻高が長く、色も紫色を帯びている。 ウミニナ科としている本もあるが、フトヘナタリ科に分類が変更されたようだ。 写真は水洗いして配置したものである。 2008.4.12
ヒロクチカノコガイ 2008-02-29 | 貝 とある干潟の潮溜まり。 石の上で日向ぼっこでもしている風情のヒロクチカノコガイ(アマオブネガイ科)1個体を見つけた。 いつも見かける彼らの生息場所はアシ原の中の水溜りや朽木の下。潮溜まりでは初めての出会いなので驚いた。 三重県レッドデータブック2005では準絶滅危惧に選定されている。愛知県では絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。東京湾や相模湾では絶滅したとされ、三河湾が分布の東限のようである。 中国大陸南部など外国にも分布するが、近年の研究により本州産のものは別種の可能性が出てきているようだ。 「殻頂は高まらず、殻口はひろく、内唇はひろがる」と、ある図鑑には記されている。 2008.2.25