田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ゴボウハマキモドキ

2009-01-30 | 
ゴボウハマキモドキ
ハマキモドキガ科(Choreutidae)のゴボウハマキモドキTebenna micalis (Mann, 1857)

菜の花畑で、口吻を伸ばして蜜を吸う小さな蛾を見つけた。25分間、130枚以上の写真を撮りながら観察していたが、この蛾は菜の花から出ることは無かった。しかも、他の花に移ることもしなかった。
ゴボウハマキモドキ成虫はキク科植物に良くやってくるという。私もこれまでキク科のヒメジョオンで2回出会っている。菜の花はアブラナ科なので、キク科にはこだわっていない様に思う。成虫の出現期は3~11月とされているが、1月末にこうして見られるということは成虫で越冬できるのかも。
前翅長は4~5ミリ。
幼虫はゴボウ、シュンギクなどのキク科植物の葉を食害する。年3~4回発生するらしい。
本州、四国、九州、沖縄に分布。
2009.1.29

ゴボウハマキモドキ

ゴボウハマキモドキ

ゴボウハマキモドキ
以上は菜の花の中のゴボウハマキモドキ

ゴボウハマキモドキ
2004.6.23 ヒメジョオンにて

アトリ科のシメ

2009-01-28 | 
シメ
ニワトリ小屋の主たちが亡くなってから、小屋に出入りするのはスズメとムクドリばかりになってしまった。小屋の木枠はほとんどシロアリにやられて隙間だらけ、野鳥たちは自由に出入りできる。
この日、トリ小屋を覘きに行くと、雀たちが一斉に逃げ出した。
ところが一羽だけ逃げ遅れて小屋の中を逃げ惑っている鳥が居た。金網に何度もぶつかってしまう。スズメよりも大型でこの辺りではあまり見かけない鳥である。
アトリ科のシメ 
冬鳥。この時期、嘴の色が肌色になる。平地から丘陵地の明るい林で見られることが多いが、市街地の公園や庭にも訪れる。冬の間は単独で行動することが多いらしい。
動かずに観察していると、ほっとしたのか、シメは下に降りて水を飲み始めたが、すぐに朽ちた土台の隙間を見つけ、外へ出て、キィーと鳴いて飛び去った。
2009.1.28

シメ

シメ

アカアシブトコバチ

2009-01-24 | ハチ目(膜翅目)
アカアシブトコバチ
アシブトコバチ科のアカアシブトコバチ Brachymeria fonscolombei (Dufour)

日中の最高気温が13度を超えた今日。庭のコンクリートブロック片に小さなハチが居ることに気づいた。
体長は約6ミリ。体は黒くて硬い。後脚の基節と腿節が肥大して赤い。特に腿節は異常に肥大している。中脚や前脚の各ふ節も赤っぽい。
アシブトコバチ科は50種以上(日本産昆虫目録データベースによると53種)居るらしい。近似種が居るのかどうか知らないが、アカアシブトコバチではないかと思われる。
ニクバエ科やクロバエ科のハエ類の蛹に寄生する寄生蜂。初夏と初秋に発生し、特に初秋に多く見られるようである。
2009.1.23

アカアシブトコバチ

ヒメセマダライエバエ雌

2009-01-22 | ハエ目(双翅目)
ヒメセマダライエバエ雌
ヒメセマダライエバエGraphomyia rufitibia (Stein) イエバエ科
別名ヒメセマダラハナバエ

畑に少し植えておいたハーブがいつの間にか繁茂している。ミントの類だが、種名は忘れた。引き抜こうとしていたところへ飛んできたのがこのハエ。そして、すぐにどこかへ飛んで行ってしまった。
見た瞬間に、濃いヒゲの勝新太郎を思い浮かべてしまった。

ハエ屋の方々に2枚の写真を見てもらい、お聞きすると、
「ニクバエ科かヤドリバエ科のメスと思われます」
「このプロポーションや剛毛の雰囲気は、イエバエ科イエバエ亜科のものに近いように感じられます。
ニクバエ科にしては体が扁平すぎますし、楯板中央の縦線が左右に分割されている種はあんまりいません。
ヤドリバエ科は形態も多様なんで可能性は棄却できませんが、全体の雰囲気からイエバエ亜科イエバエ属辺りの可能性が高いような気がします。」
「厳密には、下側板(meron, hypopleuron)にすだれのようにずらりと1列に並んだ剛毛列が有るか無いか確かめなければなりません。
有ればヒツジバエ上科(クロバエ科、ニクバエ科、ヤドリバエ科、ワラジムシヤドリバエ科、ヒツジバエ科)、無ければイエバエ上科(イエバエ科、ハナバエ科、フンバエ科)です。ただし、イエバエ科のヤドリイエバエ属などには剛毛列を成さない剛毛群が有るので注意が必要です。」
「外見から判断すると,イエバエ科のGraphomya,特にG. rufitibiaヒメセマダライエバエの雌の可能性はありませんか」
「ヒメセマダライエバエ雌のように見えます。近似種のセマダライエバエ(別名セマダラハナバエ)Graphomyia maculata Secopliはもう少し胸背の模様が黒っぽい。」
この2種は同じような所で見つかるらしい。
雌雄で胸背の模様が異なるらしい。複眼の間が雌では開いている。
別名の~ハナバエは、ハナバエ科のものと紛らわしいので最近~イエバエと改称される傾向にあると聞く。
ハエ屋さんたちの上記のやりとりの中でも見られるが、属名のGraphomyiaはGraphomyaと綴られることがあり、統一されていない。

とにかく、ハエの勝新太郎はヒメセマダライエバエ雌に見えるということで1件落着。
2008.12.19

ヒメセマダライエバエ雌

ツマグロキンバエ

2009-01-22 | ハエ目(双翅目)
ツマグロキンバエ
庭のロウバイに花粉まみれのツマグロキンバエを見つけた。
ある図鑑には、成虫が見られる時期は5月から11月と載っていた。
大寒間近かの時期に見られるということは、成虫越冬すると言えるのだろうか。
秋にセイタカアワダチソウの花にたくさん集まっていた彼らも、この日はこの一個体だけであった。
2009.1.14

ツマグロキンバエ
ロウバイの花粉にまみれたツマグロキンバエ(クロバエ科)

ツマグロキンバエ
2008.9.22 豊津海岸にて ヤブガラシの花に

ツマグロキンバエ
2008.9.25 豊津海岸にて

アオクサカメムシ

2009-01-19 | カメムシ
アオクサカメムシ
庭のロウバイの花に一匹のアオクサカメムシがもぐりこんでいた。
近縁種にミナミアオカメムシがあるが、図鑑によると「両種の間の生殖的隔離は完全でなく、混生地域では自然交雑が起こっている」という。どちらも成虫の体色に遺伝的な変異が多いという。
カメムシ科のNezara属なのだが、どちらの種か、決めかねるのでとりあえずアオクサカメムシとしておく。
広食性で、いろんな植物を吸収する。
成虫越冬するようだ。
2009.1.14

ケブカカスミカメ

2009-01-09 | カメムシ
ケブカカスミカメ
ケブカカスミカメ Tinginotum perlatum Linnavuori,1961

車の室内にケブカカスミカメがいた。いつから、どこで入ってきたのか分からない。
駐車場の横にロウバイが花を咲かせているので、そこへ放した。いたく気に入ったようで、花の中へ入ったまま出てこなかった。
津駅西付近の林縁でも見かけたことがある。西日本に広く分布しているという。
体長は約5ミリ。背面は長毛が密に生えているが、肉眼では分かりにくい。成虫越冬する。
2009.1.6

ケブカカスミカメ

シロチドリ営巣地

2009-01-04 | 
シロチドリ卵と雛
2003年4月18日、豊津海岸にて シロチドリの卵と雛

2009年1月1日の中日新聞三紀版の別刷第4部「三重特集」にシロチドリの卵と雛の写真が掲載された。「伊勢湾・熊野灘 海がはぐくむ」のページにシオマネキ五郎の写真共々使われた。取材記者にこの写真が気に入ってもらえたからだ。
このときの写真はポプラ社発行の『干潟の図鑑』のカバーにも使われた。
三重県立博物館の展示にも使われた。学芸員のひとりが「シロチドリの産卵数はほとんどが3個です。見通しが良く、海浜植物が育つ自然海岸が彼らの繁殖地です。それらが写っている良い写真ですね」と褒めてくれた。
新聞の記事では、「砂浜に穴掘り子育て」と見出しをつけて、「夏になると砂浜におなかで穴を掘って卵を産む」と紹介されている。
穴掘りは少し大げさな表現かと思う。「お腹をこすりつけて窪みを作る」と目撃した人から聞いている。
「夏になると」の表現は産卵期を限定しすぎている。私は4月の早い時期からの産卵を何度か見てきている。営巣は春先から行われている。
記事内容を事前に目を通させて欲しかったのだが、希望は無視されてしまった。

シロチドリ卵
2001年4月9日、豊津海岸にて3個の卵
漂着物が多かった年で、シロチドリは巣作りをする必要も無かったであろうと思われる。この翌日以降に産卵場所を何度か訪れたが、二度と卵と出会えなかった。どこもかしこも巣に見えてしまって、産卵場所に辿りつけなかったのである。

シロチドリ卵
コマツヨイグサの株元に3個の卵。2007年6月17日、四日市市内の砂浜にて
ある図鑑に「浅い窪みに、貝殻や木片などを敷いて簡単な巣を作る」と記されているが、この巣には貝殻も木片も無い。海浜植物の株元はシロチドリにとって最も手間のかからない営巣場所なのだろう。

県鳥 シロチドリ