ヒメセマダライエバエGraphomyia rufitibia (Stein) イエバエ科
別名ヒメセマダラハナバエ
畑に少し植えておいたハーブがいつの間にか繁茂している。ミントの類だが、種名は忘れた。引き抜こうとしていたところへ飛んできたのがこのハエ。そして、すぐにどこかへ飛んで行ってしまった。
見た瞬間に、濃いヒゲの勝新太郎を思い浮かべてしまった。
ハエ屋の方々に2枚の写真を見てもらい、お聞きすると、
「ニクバエ科かヤドリバエ科のメスと思われます」
「このプロポーションや剛毛の雰囲気は、イエバエ科イエバエ亜科のものに近いように感じられます。
ニクバエ科にしては体が扁平すぎますし、楯板中央の縦線が左右に分割されている種はあんまりいません。
ヤドリバエ科は形態も多様なんで可能性は棄却できませんが、全体の雰囲気からイエバエ亜科イエバエ属辺りの可能性が高いような気がします。」
「厳密には、下側板(meron, hypopleuron)にすだれのようにずらりと1列に並んだ剛毛列が有るか無いか確かめなければなりません。
有ればヒツジバエ上科(クロバエ科、ニクバエ科、ヤドリバエ科、ワラジムシヤドリバエ科、ヒツジバエ科)、無ければイエバエ上科(イエバエ科、ハナバエ科、フンバエ科)です。ただし、イエバエ科のヤドリイエバエ属などには剛毛列を成さない剛毛群が有るので注意が必要です。」
「外見から判断すると,イエバエ科のGraphomya,特にG. rufitibiaヒメセマダライエバエの雌の可能性はありませんか」
「ヒメセマダライエバエ雌のように見えます。近似種のセマダライエバエ(別名セマダラハナバエ)Graphomyia maculata Secopliはもう少し胸背の模様が黒っぽい。」
この2種は同じような所で見つかるらしい。
雌雄で胸背の模様が異なるらしい。複眼の間が雌では開いている。
別名の~ハナバエは、ハナバエ科のものと紛らわしいので最近~イエバエと改称される傾向にあると聞く。
ハエ屋さんたちの上記のやりとりの中でも見られるが、属名のGraphomyiaはGraphomyaと綴られることがあり、統一されていない。
とにかく、ハエの勝新太郎はヒメセマダライエバエ雌に見えるということで1件落着。
2008.12.19