ハマニガナの群生する砂浜で、ヤマトマダラバッタが10月の下旬に元気で飛び回っているのを見つけた。
一匹の雌がじっとして動かないので、しばらく眺めてみることにした。
いきなり、どこかから雄がやってきて、雌の上に乗っかった。雌は動かないまま。
30秒も経たないうちに、雄はどこかへ行ってしまった。雌は見送ることもしない。
いつの間にか、雌の周りに3匹の雄が近づいてきた。
一匹の雄が雌の上に乗る。雌は動かない。他の雄たちも関心がなさそうである。
やがて、ほどなくして雄たちはいなくなり、雌一匹だけが残った。彼女はなおも動かなかった。
ほんの5分ほどの間ではあったが、この淡白で希薄な関係を眺めてから1週間ほど経過した今も、あの光景を何度も思い返す。
希薄な関係もいいなあ。