田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ムネグロメバエ

2015-01-22 | ハエ目(双翅目)

メバエ科メバエ亜科のムネグロメバエ Conops (Asiconops) opimus Coquillett

ムネグロメバエと同定できている標本を持っている。その生態写真も撮っていたので紹介する。2011.6.21津市河芸町の丘陵地帯にて。三重県では既知の記録はない。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、ムネグロメバエは体長12~13㎜。赤褐。額は凹み、頭頂前に数個の横隆起と横溝を具える。顔は金色反射を持ち黄褐。眼縁紋は顕著。胸部は肩瘤、中胸背後角部、小盾板を除いて黒色。翅は淡褐に曇り、前縁部は濃色。腹部各節の背面と側部は黒褐色をおびる。6~7月に出現。

島根県レッドデータブックによると、国内では採集個体数がきわめて少ない寄生性種であるとして、準絶滅危惧に選定している。体長はメスが12-18㎜、オスが12-1㎜。メバエ類のなかでは大型種である。個体の大少差は、寄主サイズに由来すると考えられる。寄主は、ヒメハラナガツチバチと推定される。国内では本州・九州に、国外では中国・韓国にも分布している。

日本昆虫目録第8巻によると、分布は北海道、本州、四国、九州;中国。新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは、本州、四国、九州;中国。

分布に関しては、どの文献の記述が正しいのか分からない。

メバエ科は頭部正面に額線があり、半月瘤は存在する。頭幅は胸幅よりも広い。口吻は長く、頭部よりも長い。顔面には触角溝がある。(原色日本昆虫図鑑下)


複眼の内縁部に黒点(眼縁紋)が見えている。




翅のsc-r横脈がある。M1+2脈はR4+5脈と融合する。cua室(これまでcup室とされていた)は第2基室より長い。これらはメバエ科翅脈相の一般的な特徴。
メバエ科の他の種をほとんど知らないので、ムネグロメバエ特有の翅脈相の説明ができない。

スズキキイロアブの雌雄

2015-01-16 | ハエ目(双翅目)

スズキキイロアブ♀ Atylotus suzukii  2011.6.24 田中川干潟にて 植物はハママツナ

早川博文さんのアブの分類、生態とその対策(13)によると、
胸背は黄褐色。腹背は黄金色で、腹背第2~5節には黒褐色明瞭な4本の斜状紋を有する。腹背の中央縦斑は明瞭で、黄金色である。腹部は卵形。翅はほぼ透明で、縁紋は褐色明瞭、R4脈に小枝を有する。頭幅は胸幅より著しく大きい。

キイロアブ属は日本昆虫目録第8巻に11種がリストアップされているが、三重県内の海岸には複数種の未記載種が生息しており、今後の更なる調査研究が望まれる。また、この地域の海岸には別属の未記載種も生息しているので調べ甲斐がある。

膝関節を鍛えて、砂浜を歩き回ろう。

スズキキイロアブ♂ Atylotus suzukii  2013.6.24 田中川干潟にて

干潟固有のスズキキイロアブ