田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ハネナシコロギス

2011-09-13 | バッタ類

コロギス科のハネナシコロギスNippancistroger testaceus

2011.9.7津市美杉町の大洞山でハネナシコロギスを見つけた。峠道で梢をスイーピングしていたら入った。持ち帰ろうかとも思ったが,触角が余りにも長いので諦めた。

バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑によると,「やや標高の高い広葉樹林にも生息し,最もふつうに見られる。ササの葉や,広葉樹の葉をかじって巣をつくる。」また,ハネナシコロギス属の特徴は後脛節の内側背面に1本だけ長い棘があるという。


2011.9.7タモに入ったハネナシコロギス雄


2006.5.20 津市河芸町千里ケ丘にて

スズムシ♀

2011-09-04 | バッタ類

コオロギ科のスズムシHomoeogryllus japonicus

稲刈りが終わったばかりの田んぼで,スズムシ♀を見つけた。人に飼われている飼育ケースの中でスズムシは何度も見たことがあるが,自然の中では初めての出会いである。隣接する休耕田の草むらで普段は暮らしているのだろう。
鳴くのは♂だけで,雌とは体形が随分違う。

『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』によると,雌の体長は18.6㎜(産卵器端まで30.9㎜),古くから有名な鳴く虫で,河川敷や林床などで主に夜,リーーン・リーーンと鳴くが,これは誘惑音で,本来の呼び鳴きはリンリンリンリンと続けるという。

2011.9.1

ショウリョウバッタモドキ

2011-08-28 | バッタ類

バッタ科のショウリョウバッタモドキ Gonista bicolor

津市の偕楽公園。草むらでショウリョウバッタモドキと出会った。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ショウリョウバッタモドキは「体長40-57㎜。体翅の背面はほとんど直線状。本州以南東洋熱帯地方に広く分布し,本邦では湿地の草原などに生息する。草の茎に擬態しているので,見つけにくい。見つけても,すぐ茎の反対側にかくれる習性がある。」という。

バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑によると,「淡緑色と褐色の2型がある。背面は淡紅色で,ほぼ直線状。体は柔らかい。従来のバッタ科が生息する環境とは異なり,チガヤなどイネ科植物の草原に群生する。年1化で,成虫は8~11月に多い。」
2011.8.22

アシグロツユムシ幼虫

2011-08-28 | バッタ類

キリギリス科のアシグロツユムシ幼虫Phaneroptera nigroantennata

菰野町の林道を歩いていて,林道脇の草むらでアシグロツユムシの終令幼虫と出会った。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,アシグロツユムシ成虫は「体翅や脚に褐色部が強く,後脛節は全く黒色,触角も黒色で白色部を有する」という。

2011.8.15

赤野島のクチキコオロギ

2011-01-20 | バッタ類

バッタ目コオロギ科のクチキコオロギ Duolandrevus ivani (Gorochov)

紀伊長島の赤野島は急峻な崖が多く,登っていくのは大変である。私は手が届きそうな高さ付近までしか行かなかったが,斜面にマツの朽ち木が何本も倒れていた。朽ち木は意外と簡単に折れるほど虫に喰われていた。強くつかむと,いくらでもバラけてしまう。

そんなことをしていると,大型のコオロギが落ちてきた。体長は約25㎜,触角は体長の2倍半ほどもある。クチキコオロギ雌である。この1個体しか見つけられなかった。
クチキコオロギは鈴島でも枯れ木に居るのを見たことが有る。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,クチキコオロギは「体長24~29.5㎜。前翅は♂では方形で,後縁は裁断状,♀ではさらに小さく末端は内方に斜に切断される。本州(千葉・伊豆・静岡・三重・山口など)・四国(高知)・九州;台湾・ジャワなどに分布し,森林中の腐木の洞や樹皮下の間隙に生息し,成虫は8月中旬ごろから見られる。」などとある。

福井県レッドデータブックではA(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)に区分されている。

2011.1.16

手乗りヤマトマダラバッタ

2010-10-24 | バッタ類

バッタ目バッタ科のヤマトマダラバッタ Epacromius japonicus (Shiraki,1910)

河芸町中別保地区の豊津海岸。砂浜を歩き回っていると,ヤマトマダラバッタたちが次から次へと飛ぶ。10月の下旬でも元気だ。
雌のヤマトマダラバッタが大人しくあまり動こうともしないので,手を差し伸べると私の手に移ってきた。手を高く上げても大人しくしていた。

先日,手乗りのオカメインコを亡くした。亡くなる前日に動物病院へ連れて行ったが,待合室や医者の前では元気を装っていたが,家に帰り着いた途端,ほとんど動けなくなってしまった。徹夜して看病したが,翌早朝に冷たくなってしまった。
手乗りのヤマトマダラバッタを見て,オカメインコを思い出していた。
2010.10.22




クルマバッタモドキ♀緑色型

2010-10-23 | バッタ類

バッタ科のクルマバッタモドキ♀緑色型 Oedaleus infernalis 

津市河芸町一色の豊津海岸でクルマバッタモドキ雌の緑色型を見つけた。緑色型との出会いは4年振り。4年前は雄,緑色の部分は同じところ。草を食べていたようで,まわりに緑色の糞がいくつも有る。
近づいても少しも逃げない。糞をしながらの食事中なら,逃げられないよな。
2010.10.14

クルマバッタモドキ緑色型

ヒメツユムシ

2009-10-24 | バッタ類
ヒメツユムシ♀
キリギリス科のヒメツユムシ Leptoteratura albicornis Motschulsky

小岐須渓谷の木造トイレ外壁にヒメツユムシが2個体いた。捕まえようとしたら、1個体は手の届かないところへ移動し、もう1個体はコンクリート床に飛び降りた。飛び降りたのは雌。

『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』によると、「体長♂10~12㎜、♀(尾肢基部まで)8~13㎜。体が軟弱で、繊細。淡緑色。前胸背板の両肩に黄色い筋が走り、翅の背面にレンガ色の筋がある。成虫期は8~11月。照葉樹林帯の林縁の常緑樹やマント群落に生息する。個体数は多い。よく灯火に飛来する。」

『鈴鹿市の自然』を見ると、やはり同じ小岐須渓谷での採集記録があった。

2009.10.18

ヒメツユムシ

イソカネタタキ雌

2009-09-21 | バッタ類
イソカネタタキ雌
カネタタキ科のイソカネタタキ Ornebius bimaculatus (Shiraki,1930)

志摩市志摩町の熊野灘に面した海岸地帯を訪ねた。
岩場海岸の崖沿いの小道で、草むらをスイーピングしたら、イソカネタタキ雌が入ってきた。体長は約11ミリ。

『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』によると、イソカネタタキは「尾肢は後腿節よりやや長く、先端部は少し濃色。産卵器は直線的で尾肢より短く、後腿節より短い。」

京都府では準絶滅危惧種としている。そのレッドデータブックによると、「本州産の他のカネタタキ類の後脚脛徑節には横帯模様があるが,本種にはない。また,雄前翅後縁に黒色紋を持つ。」

2009.9.17

ショウリョウバッタ雌雄

2009-09-10 | バッタ類
ショウリョウバッタ雌雄
バッタ科のショウリョウバッタ Acrida cinerea (Thunberg, 1815)

津市の豊津海岸。シナダレスズメガヤが茂る草原化した砂浜が一部にある。
このシナダレスズメガヤの草の中へ飛び込んだショウリョウバッタを見つけた。
よく見ると、緑色型の雌の上に褐色型の小さな雄が乗っている。この草の中では、なんと見事な保護色となっていることかと感心してしまった。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、「体長(翅端まで)♂52mm、♀82mm内外。♀♂で著しく大きさを異にし、♀に比べ♂は小さく細長い。体色は全体緑色または灰褐色、個体により白線や白点を装う。触角は扁平、剣状」

バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑によると、ショウリョウバッタ属は「♂と♀とで大きさがかなり異なる。脱皮時に、周囲の環境にあわせて体色を変える機能を持つ。」
また、同図鑑によると、ショウリョウバッタは「明るい草原にふつう。開発された郊外の空き地などにも生息する。成虫は8~11月に多く見られる」
2009.9.8

ショウリョウバッタ雌雄

ヤマトマダラバッタ終齢幼虫

2009-08-21 | バッタ類
ヤマトマダラバッタ終齢幼虫
ヤマトマダラバッタ終齢幼虫 Epacromius japonicus (Shiraki,1910)

芦原海岸。
すでにヤマトマダラバッタの成虫は飛んでいるが、幼虫たちも元気である。
今日は終齢幼虫と思われる幼虫と出会った。体長は成虫と変わらないほどであった。
砂浜で暮らす彼らの体色は、隠蔽色となっており、同じ砂浜でも植物の枯れた葉が目立つ所とそうでない所では違っている。砂の色が違ってくると体色も違ってくる。
岐阜県の子供らを砂浜に案内したとき、「あっ、バッタがいる」と子供たちが追いかけた。「岐阜県に居るバッタとは違うだろう。海岸の砂浜にしか住めないバッタやぞ」


学研生物図鑑昆虫Ⅲによると、ヤマトマダラバッタは「からだは黄褐色で、暗褐色の細かい点を散布する。マダラバッタと同様に海岸の砂地にすみ、昼に活発にとびまわる。マダラバッタとはおたがいに場所を分けてすみ、同じ地域に混ざり合うことはめったにない。」

昭和34年初版の『日本幼虫図鑑』(北隆館)によると、ヤマトマダラバッタは「中形、体長終令18~22㎜。カワラバッタやイボバッタの幼虫に類似する。全体淡褐乃至褐色の地に黒色の不規則な小黒点を粗布し、海浜において見事な保護色をなす。腹部には特に目立つ斑紋はない。孵化は6月、羽化は8月。本州各地の海岸に普通。」

ヤマトマダラバッタの幼虫たち

砂浜にヤマトマダラバッタ

ヤマトマダラバッタ終齢幼虫

ヤマトマダラバッタ終齢幼虫

ツチイナゴ雌

2009-03-14 | バッタ類
ツチイナゴ雌
バッタ科ツチイナゴ属のツチイナゴ Patanga japonica
庭のハランにツチイナゴを見つけた。お腹周りに太さを感じた。
性別をチェックしようと追いかけて捕まえた。やはり雌だ。
お腹を見られるのは嫌とみえて、あばれる。結構な力強さを感じた。
産卵の時期は何時なのか、見たことが無い。
「九州以北に分布するバッタでは、唯一、成虫越冬する種」と図鑑に記述されていた。
また、「後腿節や大顎で発音することが観察されている」とのこと、一度は聞いてみたいものだ。
2009.3.10

ツチイナゴ雌

ツチイナゴ雌

ツチイナゴ雌

クルマバッタモドキ緑色型

2008-11-19 | バッタ類
クルマバッタモドキ緑色型
2006.7.30 芦原海岸の堤防際にて クルマバッタモドキ緑色型の雄

訳あって2年前の画像を調べていたところ、クルマバッタモドキの緑色型に出会っていたことが分かった。
「まれに緑色型が出現する」と『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』に記述されている。
2年前、緑色型なんて、存在すること自体分からなかった。その後も出会っていない。
砂浜から堤防の斜面へ飛び出してきた緑色型は色鮮やかで南国的だなあと、しばらく魅入っていたことを思い出した。あれがクルマバッタモドキであったと今やっと分かった。

クルマバッタモドキ緑色型

クルマバッタモドキ緑色型

クルマバッタモドキ 幼虫と成虫

クビキリギス雌

2008-11-16 | バッタ類
クビキリギス♀
津市の豊津海岸、チガヤ群落とセイタカアワダチソウ群落が混生している所がある。
チガヤ群落の中から飛び出したのは
キリギリス科クサキリ亜科クビキリギス属のクビキリギス雌
この属はクサキリ属やカヤキリ属と似ているが、頭頂突起は額から離れている。日本産クサキリ亜科中、最もスリムな体形をしている。
クサキリ亜科は夜行性。
クビキリギスは秋遅くに羽化し、成虫越冬する。この雌もこの秋に羽化したのであろう。
緑色型の他に褐色型もあり、また桃赤色や赤褐色の個体もあるという。
大顎は橙赤色。翅端までの大きさは5センチ以上もある。
イネ科植物の穂や若芽などのほか、昆虫類も食べるらしい。
2008.11.13

クビキリギス♀