田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

阿漕浦海岸

2011-12-31 | 風景

阿漕浦の堤防道路を通った。砂浜は清掃されていて流木も見当たらない。この海岸はボランティアグループが熱心に手を入れていると聞いている。熱心すぎて、園芸植物や盆栽の木まで植えているらしい。

この海岸はかつてアマモの漂着が多くみられ、アマモを食べるハマベゾウムシのタイプロカリティはこのあたりの海岸で採集されたものである。しかしもう40年以上も採集記録が無いようで、三重県ではすでに絶滅していると考えられている。毎年5~6月頃になると、ハマベゾウムシの姿を求めて漂着したアマモをひっくり返しているが、まだ見つけたことはない。

雲出地区にある造船所もこの海岸からは近い。大きなクレーンに「好きです!津の海」の標語が書かれている。この造船所にはかつて多くの知人が働いていたが、リストラされたり、会社名が変更されたりして、転職したという話をよく聞かされた。

あくどいとかヒドイという意味の「あこぎ」の語源となった阿漕平治伝説の地でもある。

2011.12.17

ミスジチョウ越冬幼虫

2011-12-30 | チョウ

タテハチョウ科のミスジチョウ Neptis philyra 

松阪市飯高町波瀬。モミジの枯葉にミスジチョウの幼虫を見つけた。葉はほとんど落葉していたが、数枚の枯葉が残っていた。残った葉にはどれもミスジチョウの越冬幼虫がいた。葉柄の付け根には白い糸が幾重にも巻きつけられていて、落葉しないようにしてある。

『広島県蝶類図鑑』によると、日本では北海道、本州、四国、九州に生息し、西日本では山地性となる。いずれの地でも、個体数は少ない。日本産ミスジチョウ類でもっとも森林的環境に適応した種で、おもに山地の渓流沿いに生息する。幼虫の食餌植物はカエデ、ヤマモミジほか。越冬形態は幼虫。

2011.12.18



晩秋の蛾 ナカオビアキナミシャク

2011-12-29 | 

シャクガ科ナミシャク亜科のナカオビアキナミシャク Nothoporinia mediolineata

12月中旬に近くの里山をふらついた。山道のあちこちで蛾が飛ぶ。個体数は多いと感じられた。
幼虫がリョウブを食べるナカオビアキナミシャクかと思う。成虫は11~12月に出現する。このあたりの里山にリョウブはたくさん生えている。
♂の触角は微毛状、♀のは糸状という。この個体の触角には微毛が見えていないようなので、♀のような気がする。

2011.12.14



ツヤエンマコガネ

2011-12-15 | 甲虫

コガネムシ科のツヤエンマコガネ Onthophagus nifidus

2011.10.23に、いなべ市北勢町の青川峡で見つけたエンマコガネがツヤエンマコガネと判った。

原色日本甲虫図鑑Ⅱによると、「5-8mm。光沢のある黒色。♂♀ほとんど差異がない。頭部中央の横隆起を欠き、頭頂に不明瞭な短い横隆条をそなえるのみ。前胸背板は無毛、小円形点刻を疎布、上翅の間室はわずかに中高、不明瞭な短毛をともなう微小点刻を疎布する。5~9月。腐肉など腐敗物にくる。」


ルイスコメツキモドキ

2011-12-09 | 甲虫

コメツキモドキ科コメツキモドキ属のルイスコメツキモドキLanguriomorpha lewisi

名張市の林縁で初夏に見つけたコメツキモドキがルイスコメツキモドキと判明した。

原色日本甲虫図鑑Ⅲによると、コメツキモドキ属は「各上翅端は細まらない。小楯板は長くない。触角は長く、球桿は幅狭い」。ルイスコメツキモドキは「前胸背板は幅と等長か少し長く、側縁は弱いか明らかに弧状で、前角はまるみが強い。上翅はゆるやかながら後方に細まり、翅端会合部に小歯がある。6.0-9.5mm。普通種。」

2011.5.8


2009.5.25に鈴鹿市の椿渓谷でも出会っていた。

ホソアナアキゾウムシ

2011-12-07 | 甲虫

ゾウムシ科のホソアナアキゾウムシ Pimelocerus elongatus

2011.7.31青山高原で見つけたゾウムシ、たくさんのダニに寄生されているが、生きている。
どうやらホソアナアキゾウムシのようである。

原色日本甲虫図鑑Ⅳによれば、ホソアナアキゾウムシは「5.0-8.1mm。体は黒色で、上翅端にまるいダニの付着する個体が多い。新鮮な個体は白色粉に覆われる。前胸はしわ状に点刻される。多い。」

アイノヒゲボソムシヒキ

2011-12-05 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科ヒゲボソムシヒキ亜科アイノヒゲボソムシヒキ Grypoctonus aino Speiser, 1928

青山高原でアイノヒゲボソムシヒキを見つけた。日の当たる杭や木の幹に止まっているのを目撃。ハタケヤマヒゲボソムシヒキと同じ環境で見つかる。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、アイノヒゲボソムシヒキは「体長10~14mm。黒色で黄褐ないし黒色の長毛を密生するが、顔面の粉状微毛、頭部下方の密毛、後脛節の腹部に面する櫛歯状の毛列はともに白色。腹部は第5節までは黄毛、以下の2節及び側縁は黒毛で被われる。翅脈r-mは2本あり、♂は翅が短い。秋季集団発生する。」

2011.10.18

アイノヒゲボソムシヒキ雌 翅が長くて大きい



アイノヒゲボソムシヒキ♀