![オガサワラツリアブ♀](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/53/925ec2b2baf5f83b043e9dd12366b99c.jpg)
ツリアブ科 オガサワラツリアブ Exhyalanthrax ogasawarensis(Matsumura)
なお、Anthrax ogasawarensis Matsumura. 1916 の学名は古い学名である。
津市河芸町の砂浜海岸で、ヤブガラシに訪花したオガサワラツリアブを見つけた。
『鈴鹿市の自然』に、鼓ヶ浦海岸で2006年7月中旬に採集された個体が三重県からは初めての記録であると標本写真入りで紹介されている。その標本写真とこの個体は瓜二つである。
スキバツリアブの小さな個体かなと思いながら、写真撮影していたが、翅の前縁の黒班の形状が全く異なることに後で気がついた。
小笠原特産種(九州大学の昆虫学データベースによると、分布は小笠原父島となっている)とされてきたが、山口県光市での記録があるなど本州からも数箇所(京都、兵庫など)で発見されているようだ。
「海浜性の種で、自然度の高い海岸に限って生息しているようである。」と同書に記されている。
なお同書の目録では、学名をAnthrax boninensis (Matsumura)としているが、これはオガサワラホシツリアブの学名だと思う。
オガサワラツリアブについて、図書館等で調べてみたが、何の情報も得られなかった。
その後、何度か発見場所に出かけているが、二度と会えていない。
2008.8.1
追記
1981年発行のPacific Insects Vol.23,no.1-2:189-200に発表された「STUDIES IN PACIFIC BOMBYLIIDAE(DIPTERA)」By Neal L. Evenhuis によると、オガサワラツリアブは雌雄によって翅の黒い紋と翅脈が少し異なる。
![オガサワラツリアブ雌雄の翅図](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/cc/2f5d0e849242e5c0359e8c89471ac032.jpg)
Exhyalanthrax ogasawarensis(Matsumura)雌雄の翅図
![オガサワラツリアブ右翅](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/97/ca569ac97927bb7acb8e9081b69aead1.jpg)
津市の海岸で見つけた個体の右翅
同論文の図と見比べると、この個体は♂(否、後日♀と判明)の翅に近いと思われるが、微妙に違うような気がする。外国のサイトで調べたところ、Exhyalanthrax afer (Fabricius, 1794) の翅にそっくりであった。ヨーロッパから南シベリア、中国に分布し、東洋区やエチオピア区にも分布している種であるが、日本での記録はまだ無さそうである。
体毛が綺麗に残っているので、羽化して間もない新鮮な個体と思われる。
1931年発行の「日本昆虫大図鑑」によると
「体黒色、金色の短毛多し。口吻並に触覚は褐色。胸背に黒色の長毛を粗生す。翅透明、前縁における翅底の半部は広く黒色。腹部に金色の鱗毛多く、少しく黒毛を混生す。腹面の基部に黄色の長毛を粗生す。脚黒褐。体長三分内外。これは父島の道路に少なからず。
分布---小笠原島(父島)」