田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

カワラムシヒキ

2014-05-31 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科ヒラズムシヒキ亜科のカワラムシヒキ♂  Lasiopogon rokuroi, Hradsky

2013.4.21 松阪市の櫛田川河川敷でカワラムシヒキを見つけた.体長は9~10㎜.三重県からの既知の記録は無い.またの名をロクロウヒラズムシヒキ,群馬県伊香保がタイプ産地.栃木県,青森県,北海道白老町からの記録もある.和名はカワラムシヒキのほうが短くて生息地の環境をイメージできるので良さそうに思うが,現在どちらの和名が定着しているのか不明である.手持ちの昆虫図鑑には載っていない.

カワラムシヒキの県内分布は櫛田川だけではないが,調査不足で全体像をつかみ切れていない.河川敷を歩き回るのも,結構骨が折れる.
三重県内には同所的に同属の別種がいて,どうやら和名も学名も未だ無いようだ.


カワラムシヒキ♀

バイケイソウハバチ

2014-05-25 | ハチ目(膜翅目)

ハバチ科のバイケイソウハバチ Aglaostigma amoorense 

三重県いなべ市藤原町の山に登った.知人から借りた登山靴を履いて,初めての登山を体験.道なき急な尾根筋をひたすら登っていく.しかし,山頂までは体力的に無理と判断し,バイケイソウが群生する谷筋あたりをうろうろして下山.いつ誰が付けてくれたか分からない赤いテープをたどって下るも,登り始めた場所とは全く違ったところにたどり着いてしまった.何人かの仲間がいたので助かったが,一人だったら大変だと悟った.

バイケイソウの群生地でバイケイソウハバチを見つけた.
三重県レッドデータブック2005では絶滅危惧ⅠA類(CR)に選定されていて,体長10センチほどの黒色地に腹部中央部が黄褐色のハバチ.県内では1961年藤原岳での記録が唯一という.
バイケイソウの群生地を結構歩き回ってみたが,私は3頭を見かけただけであった.

バイケイソウは鹿に食べられないようで,他の下草類はほとんど見当たらなかったもののバイケイソウだけは群落を作っていた.
2014.5.16







バイケイソウ群生地

鹿の死体にシデムシ2種

2014-05-20 | 甲虫

シデムシ科のマエモンシデムシ Nicrophorus maculifrons

2013.6.30 青山高原の山道の急斜面で鹿の死体を見つけたので,近寄ってのぞいてみた.鮮血が残る死体の近くでマエモンシデムシを1個体とベッコウヒラタシデムシ3個体を見つけた.

『日本の昆虫1400②』によると,
マエモンシデムシは4~10月に,平地から山の林床やその周辺で見られ,明かりにも飛来するという.ヨツボシモンシデムシに似るが,前翅の赤褐色紋の中に黒色点がないことで識別できるという.体長は13~25㎜.


シデムシ科のベッコウヒラタシデムシ Necrophila brunnicollis 

ベッコウヒラタシデムシは,5~9月に,丘陵から山の林床やその周辺で見られ,動物の死体,腐った野菜などに集まるという.体長は17~23㎜と大形なので,近似種とは識別できるという.

イラクサハマキモドキ

2014-05-20 | 

イラクサハマキモドキ Anthophila fabriciana (Linnaeus, 1767)

2013.7.26 津市美杉町の標高750m以上はある林道脇でハマキモドキガ科のイラクサハマキモドキを見つけた.見かけたのはこの1個体だけ.成虫の出現期は5~8月.幼虫の食餌植物はイラクサ科のイラクサ.開帳11~14㎜だから小さな蛾である.
今年も会えるだろうか?


西表島のカニ2種

2014-05-19 | カニ

ツノメチゴガニ Tmethypocoelis choreutes Davie & Kosuge, 1995

知人から西表島で撮影した蟹2種の画像を提供してもらった.一週間ほど島に滞在して,自転車で島内を散策していた2008年3月初旬に干潟で撮影したとのこと.いつの日か,一度は行ってみたい島だ.

ツノメチゴガニは沖縄本島以南の砂泥質の干潟に生息していて,自分の巣穴を持つ甲幅5㎜ほどの小型のカニで,ツノのある眼が特徴的である.スナガニ科コメツキガニ亜科ツノメチゴガニ属.


ツノメチゴガニ
白い鋏を振るウエイビング行動をする.体色は生息地の環境によって変化するようだ.


ツノメチゴガニ


ミナミオカガニ  Cardisoma carnifex (Herbst, 1796)
甲幅70㎜ほどもある大型のカニで,マングローブ林で巣穴にいるのを見つけたもの.


ミナミオカガニ
甲はすべすべしている.


ミナミオカガニ
左右の鋏脚の大きさが異なる.この個体は♀.