田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

キハダカニグモ

2011-10-22 | 蜘蛛

カニグモ科キハダカニグモ属のキハダカニグモBassaniana decorata

津市の偕楽公園。立ち枯れの小さな朽ち木を倒したら,キハダカニグモが這い出してきた。

『フィールド図鑑クモ』によると,「落葉樹の幹に多い。樹皮の下や隙間に逃げ込む。出現期:6~9月。体長:5~6mm。」
2011.10.20

砂浜のセスジアカムネグモ

2011-10-15 | 蜘蛛

サラグモ科のセスジアカムネグモUmmeliata insecticeps

去年の夏に芦原海岸で見つけていたクモの名前が判った。セスジアカムネグモという。一年以上前のことなので,海岸のどんな所で見つけたものか,まるで思い出せない。流木の下にこんなのが居たような気もするが。

『フィールド図鑑クモ』によると,セスジアカムネグモOedothorax insecticepsは「水田に生息,地表にシート網を張るが,徘徊して獲物を捕らえることも多い。同属には12種以上いる。出現期:一年中。体長:2.5~3.5㎜。」

属名は変更されたようである。

2010.6.17

ウスイロヤチグモ雌成体

2011-01-12 | 蜘蛛

ウスイロヤチグモ雌成体Coelotes decolor Nishikawa, 1973

津市美杉町八知の大洞山,標高700m付近の倒木下で見つけた蜘蛛がS氏によってウスイロヤチグモと同定された。東北から四国・九州まで分布しているとのことである。S氏から標本写真をも提供していただいたので公開しておく。

大分県のレッドデータブックでは情報不足種に選定されている。それによると,ウスイロヤチグモの生息環境は「山地の岩崖,岩裂などが主たる生息地であるが,崖地などでも同じような環境を選び,ロート状網を張る。」という。

ガケジグモ科またはタナグモ科,どちらなんだろうか。
2010.12.12





ウスイロヤチグモ雌成体の標本写真


ウスイロヤチグモ雌成体の外雌器

カバキコマチグモ幼体

2010-11-03 | 蜘蛛

コマチグモ科のカバキコマチグモ Chiracanthium japonicum 

島崎海岸にもハマゴウ群落がある。ハマゴウの葉を何枚かくっ付けたクモの巣を見つけた。1枚の葉を剥がすと中からクモが出てきた。カバキコマチグモの幼体である。

『クモ基本50』によると,カバキコマチグモは「山麓から山地にかけての草原,川原,郊外の道路沿い,水田の周囲などのススキの葉に多く,昼間はススキを曲げたり,他の植物の葉を集めて作った住居の中にひそんでいる。夜間に活動して,昆虫を捕らえる。」

カバキコマチグモはススキなどイネ科植物の葉を巻いて巣を作り,巣の中の雌は生まれてきた子グモたちに食べられてしまうという。また,在来種では最も強い毒を持つことで知られ,咬まれると激痛が走るという。
くわばら,くわばら。

2010.6.19



シラホシコゲチャハエトリ雄

2010-11-02 | 蜘蛛

ハエトリグモ科コゲチャハエトリグモ属のシラホシコゲチャハエトリ Sitticus penicillatus (Simon)

津市の島崎海岸は安濃川の河口にある砂浜である。堤防道路が車両進入禁止となっているので,砂浜へたどり着くには徒歩しかなく大変である。

この砂浜で6月に見つけたクモの名前がようやく判った。K氏の同定である。同属のモンシロコゲチャハエトリと良く似ていて,K氏は雄の生殖器を調べてシラホシコゲチャハエトリと同定されたという。
『クモ基本50』によると,シラホシコゲチャハエトリは「雌雄3~4㎜。Ⅰ年中。」という。雄の特徴は一対の白点があること,雌にはこの白点がない。

この日はシラホシコゲチャハエトリ♂成体を2個体見つけた。

2010.6.19

カラスハエトリ雌

2010-10-13 | 蜘蛛

ハエトリグモ科のカラスハエトリ Rhene atrata (Karsch)

答志島。ヤマトタチバナの葉上にてカラスハエトリ雌を見つけた。

『フィールド図鑑 クモ』によると,「草や低木の葉や細い枝の上を歩き回る。生垣にもよくいる。♂の色彩には変化が多い。出現期:5~8月。分布:本州,四国,九州,南西諸島。体長:5~7㎜。」

2010.10.10

神島のチュウガタシロカネグモ

2010-10-12 | 蜘蛛

アシナガグモ科シロカネグモ属のチュウガタシロカネグモ Leucauge blanda (L.Koch)

神島に出かけた。古里(ゴリ)の浜へ降りた。ハマゴウの群落があって,そこでチュウガタシロカネグモを見つけた。太平洋に面した海岸で見られたので,南方系かなと思った。図鑑にも「南のクモ」と紹介してあった。

『クモ基本50』によると,チュウガタシロカネグモは「雌10~13ミリ,雄8~10ミリ。6~8月。神奈川県以南の太平洋岸の各県に分布する。」

『フィールド図鑑クモ』によると,「腹部にこぶと黒点がある。」

2010.10.11

雨戸にシラヒゲハエトリ

2010-06-05 | 蜘蛛

ハエトリグモ科のシラヒゲハエトリ Menemerus confusus

自宅の雨戸に白いヒゲもじゃのハエトリグモを見つけた。
7~9月に雨戸や塀に見られるシラヒゲハエトリ。
腹部の両側に黒い縦筋があるので♀。

『改訂校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』によると,「夜,電気の灯りに集まった虫が壁に止まっているのを朝方に捕食する。昼間はすき間に入り込んで休んでいると思われる。本種は8個の眼のうち,前列中央のヘッドライト形の眼で紫外線と緑色と黄色を区別している」
2010.6.3


ヨダンハエトリ♂は色っぽい

2010-05-26 | 蜘蛛
ヨダンハエトリ
ハエトリグモ科のヨダンハエトリ♂ Marpissa pulla

毎日のぞきこんでいる病院内の花壇で,美しいクモを見つけた。美しい,美しいと何度も呟いた。捕まえようとしたら,落葉下へ逃げ込まれて見失った。標本にして,手元に置いておきたかった。残念。
近くで,雌の個体も見かけたが,捕まえる気が起こらなかった。

フィールド図鑑「クモ」によると,ヨダンハエトリは「地上の落葉の上を歩いていることが多い。♂の成体は前列眼の上に赤い毛が生えていて美しい。出現期:6~7月。分布:本州,四国,九州。体長6~7㎜」

2010.5.20
ヨダンハエトリ

ヨダンハエトリ

砂浜のチシマカニグモ

2010-03-24 | 蜘蛛
チシマカニグモ
カニグモ科のチシマカニグモ♂ Xysticus kurilensis Strand, 1907

津市の芦原海岸。イネ科植物の株際を探す。指で砂を掻き出すと,時々小さなカニグモが出てくる。K氏の同定により,芦原海岸の砂浜にもチシマカニグモが生息していることが分かった。
「交尾器などにより確認しました。千島の名前が付いていますが,三重県内に普通に居ます。」と教えてもらった。

手持ちの図鑑には載っていないので,県立図書館へ出かけ,改訂版写真日本クモ類大図鑑で調べた。「♀7.0~8.0 ♂5.0~6.0㎜。オオヤミイロカニグモによく似ている。外観だけでは区別がむずかしい。♀の外雌器や♂の触肢の構造を比較検討することによって区別がつく。各地に普通に見られる種である。山林の林床にはえたクマザサや低木などの葉上や落葉のリターの中にも生息している。成熟期5~6月。分布:千島,北海道,本州。」などと解説されていた。

『鈴鹿市の自然』にはチシマカニグモが記録されているが,砂浜海岸では見つかっていない。同属のヨコフカニグモが千代崎海岸で記録されている。
はたして,津市の芦原海岸や豊津海岸ではチシマカニグモ以外のカニグモ属(Xysticus)が見つかるだろうか。
2009.9.26

チシマカニグモ

イソハエトリ

2010-03-23 | 蜘蛛
イソハエトリ
ハエトリグモ科のイソハエトリ Hakka himeshimensis (Donitz & Strand, 1906)
Pseudicius himeshimensisという学名も使われていて,最も新しい学名が何かは私には分らない。

去年の5月に和具大島で撮ったハエトリグモがこのほどK氏によりイソハエトリと同定された。
イソハエトリが載っている手持ちのポケット版図鑑二冊を見比べて調べていたのだが,著者が同じで,載っている写真も同じ,トリミングを変えてあるだけである。二冊の図鑑に出ているイソハエトリとは違う種ではないかとこれまで思っていた。体色や腹部の模様などに変異があるようだが,二冊ともに同一個体の同じ写真が使われているから,変異の程度が分らない。なお,二冊とも学名はMenemerus himeshimensis となっている。

追いかけても追いかけても逃げていくクモで,田中川河口のテトラポッドでも見かけるが,近寄らせてもらえず,離れたところからの写真しか撮れていない。和具大島では砂浜を這いずり回って追いかけた。岩場であったら,接写は難しかったであろう。
『鈴鹿市の自然』には,磯山海岸で記録されていた。中ノ川河口のテトラ周りで獲れたのではないかと推察している。

腹部先端の白い部分は糸いぼ。

偕成社の改訂版写真日本クモ類大図鑑ではHakka属とし,「海浜性のクモで,海岸の岩や礫の間,堤防のテトラポット,流木の上や漁船の中などにいる。敏速に徘徊して獲物を捕食する。成熟期は6~7月。」と解説している。
2009.5.24

イソハエトリ

イソハエトリ

イソハエトリ
イソハエトリの幼体

和具大島
イソハエトリが暮らす和具大島の磯

川原のヤマトガケジグモ

2009-11-08 | 蜘蛛
ヤマトガケジグモ
ガケジグモ科のヤマトガケジグモ Titanocea albofasciata STRAND,1907

尾鷲市の矢ノ川河口の河川敷で出会ったクモ。
上の写真にはボロ網が写っている。

『フィールド図鑑クモ』によると、「鉄道線路や川原の石の間、石垣にボロ網を張る。出現期:5~9月。分布:本州、四国、九州。体長:5.5~6.5㎜。」

腹部の白斑のある型と無い型があるようで、また、ある型でも白斑には変異が多いらしい。
2009.10.22

ヤマトガケジグモ

干潟のネコハエトリ

2009-10-03 | 蜘蛛
ネコハエトリ
ハエトリグモ科のネコハエトリ雌 Carrhotus xanthogramma (LATREILLE, 1819)

田中川干潟。アイアシ群落の中でネコハエトリ雌を見つけた。
成体は4~9月に見られ、体長は雌が7~8㎜、雄が6~7㎜。
日本全土で見られ、草木の葉上を徘徊している。特に雌では体色変異が多い。

2009.9.29
ネコハエトリ

ネコハエトリ

ヤサアリグモ

2009-07-10 | 蜘蛛
ヤサアリグモ♂幼体
ハエトリグモ科のヤサアリグモ♂幼体 Myrmarachne innermichelis

庭に植えたユリの葉の上をアリのように動き回る生き物を見つけた。アリグモのようだなと思ったが、こんな色は初めて見る。
調べてみると、ヤサアリグモの♂、幼体はこのように頭部後方と腹部前方が赤褐色をしている。

『フィールド図鑑クモ』によると、ヤサアリグモは「木の葉の上や地上を徘徊している。出現期6~7月。体長:♀5~6mm、♂4~5mm。」
2009.7.8

ヤサアリグモ♀
ヤサアリグモ♀ 庭にて2009.3.6

海岸のコガネグモ

2009-06-15 | 蜘蛛
コガネグモ
コガネグモ科のコガネグモ Argiope amoena L. Koch

体長は雌で20~25mmだから、結構大きい。X字形の白い隠れ帯をつけた円網を張って、その中央部に脚を2本ずつ揃えて止まっている、コガネグモはいつ見ても同じポーズをしている。
白い隠れ帯は、多くはどこか一部が省略されていて、完全なX字にはなかなかお目にかかれない。
脱皮殻が残っているので、脱皮して間もないと思われる。ようやく成熟したのだろう。年1化で、9月頃まで成虫は生きると言われている。
学名のamoenaはラテン語で「優美な」とか「魅惑的な」という意味。
本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄に分布し、本州では海岸地方に多いという。

連日、ツリアブを探しに海岸に出かけていて、このコガネグモの垂直円網に出くわすたびに、小さなツリアブが引っかからないか心配している。
2009.6.13