田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ハタケヤマヒゲボソムシヒキ

2011-11-19 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科のハタケヤマヒゲボソムシヒキGyrpoctonus hatakeyamae (Matsumura, 1916)

青山高原の遊歩道を歩いていて,ハタケヤマヒゲボソムシヒキと出会った。秋に出現するムシヒキアブで,新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると「体長13~16㎜。顔は黄色粉を装い,頭部下方や後脛節の腹部に面する部位の毛はともに黄色,胸部にも黄毛が多い。翅の2ndM2室は後方でより強く拡がり,腹部は全体黄毛で被われるが,♂は末端節に黒毛を生じる。」

陽のあたる杭や木の幹,葉上などでも見かけた。
2011.11.3

青山高原のサワガニ

2011-11-19 | カニ

サワガニ科のサワガニGeothelphusa dehaani

青山高原。渓流沿いの山道を歩いていてサワガニと出会った。何か粘っこいものを捕まえて食べているようであったが,突き止められなかった。サワガニは雑食性なので何だって食べるようだ。
昔,知人からたくさんもらって,から揚げにして食べたことがある。

サワガニの体色は,甲が黒褐色で脚が朱色をしたタイプしか見たことは無いが,青白いタイプのものが三重県内にもいるという話は聞いている。

2011.11.1

砂浜のアカアシホシカムシ

2011-11-15 | 甲虫

カッコウムシ科ホシカムシ亜科のアカアシホシカムシNecrobia rufipes (DeGeer)

2011.5.18 豊津海岸。砂浜に猫の死体があって,骨が見えているような状態であった。それを動かすと,青い小さな甲虫が何匹も出てきた。動物の骨に集まるアカアシホシカムシだ。周りの草の葉にも登るなど,動きは活発で,なかなかじっとしていてはくれない。

原色日本甲虫図鑑(Ⅲ)によると,ホシカムシ属の特徴は「上翅は規則的な点刻列をもつ。複眼は短毛を疎に装う。触角の球桿は緊密に連結する。」
アカアシホシカムシは「3.5-7㎜。複眼はアカクビホシカムシより小さく,細かく顆粒状。前頭に1対の浅いくぼみがあり,その間はほぼ平滑。前胸背板は大小ある点刻を不規則に装い,後角は側方に突出しない。乾燥動植物種,とくに動物の骨に集まる。本州,四国,九州;世界各地。」など。

アキノヒメミノガの蓑

2011-11-14 | 

ミノガ科のアキノヒメミノガBacotia sakabei Seino, 1981

津市河芸町,八雲神社へ出かけた。石灯篭にくっついているであろうアキノヒメミノガの蓑を探そうとの目的である。いるだろうと思っているから,簡単に見つけられた。蓑の長さは5~6㎜ほど,5個体見つかった。未記載の近似種が居るが,99%アキノヒメミノガのミノである。

♀は無翅で,蓑の中で産卵後には短い日で死んでしまう。越冬態は卵。学名のsakabeiは発見者の坂部元宏さんに献名されたもの。坂部さんは1958年4月に三重県内の墓石で,刻んだ字の間に固着する7㎜ほどのミノを見つけた。それから23年後に清野昭夫氏が記載し学名を命名した。

「地衣類が生える,石碑や石垣,岩の表面,木の幹などでみられる。アキノヒメミノガの方は,家の壁板,古い屋根瓦等人の生活に関係したところで多く見られる。日光の強く当たる人家の古い石垣などには特に多い。」(坂部,2002)

紀伊長島より南では見つかっていないようだが,三重県各地に普通に見られる種とのこと。11月上旬から下旬に羽化してくる成虫にはまだ出会えていない。早く会ってみたいものだ。
私は見ていないが,蝶と蛾31号(1981)にもアキノヒメミノガについて詳細がある。

参考文献
坂部元宏 (2002) Bacotia属2種の三重県における生態と分布.三重生物第52号:20-22,三重生物教育会.


羽化後の蓑


八雲神社の石灯篭 2011.11.13

青山高原のナカウスエダシャク

2011-11-10 | 

シャクガ科エダシャク亜科のナカウスエダシャクAlcis angulifera

最近,青山高原へ何度も足を運んでいる。10月には何度もナカウスエダシャクに出会った。上の写真は10月27日。

開張26~34㎜。低地から山地に見られ,良く似た仲間が居るが,10月末まで生き残っているのはほとんどがナカウスエダシャクだとのこと。薄暗い東海自然歩道を歩いていて,ただ歩いているだけなのに,この蛾は飛んで逃げていく。個体数も多い。


2011.10.18 青山高原にて

ナガゴマフカミキリ

2011-11-10 | 甲虫

カミキリムシ科のナガゴマフカミキリMesosa longipennis

夏に,近くの神社で見つけていたカミキリ。年末に燃やす伐採木がたくさん積み重ねてあって,カミキリでも来ていないかなと覗き込んでみると,このナガゴマフカミキリが歩いていた。

原色日本甲虫図鑑(Ⅳ)によれば,「12.5~22㎜。原型は上翅に黒色の断続する波形横帯と中央の幅広い白色横帯とをもつもので,黒色部が退化,または黒化する型もある。5~7月,温帯~暖帯樹林帯の広葉樹の伐採・枯木に集まる。」

2011.6.22

ミカエリソウ

2011-11-02 | 樹木

シソ科テンニンソウ属のミカエリソウ 見返草 Leucosceptrum stellipilum

10月下旬に山地の山道を歩いていて,2ヶ所でミカエリソウを見つけた。茎は木質化しているので,樹木なのだろう。手持ちの図鑑には載っていないので,よく分らない。

『鈴鹿市の自然』によると,テンニンソウは「ミカエリソウとの間に雑種をつくることがあり,しっかりと見極めることも必要である」と示唆している。同書によれば,鈴鹿市では小岐須渓谷と宮指路岳での採集記録があった。

草と木の間に雑種が出来るのだろうか。


2011.10.23 いなべ市


2011.10.24 津市美杉町