田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

9月のスキバツリアブ

2009-09-29 | ツリアブ
スキバツリアブ
ツリアブ科のスキバツリアブ Villa limbata (Coquillett. 1898)

9月の後半にスキバツリアブと何度か出会った。21日は白塚海岸、24日は豊津海岸、26日は豊津海岸で再度。
この個体で体長約10ミリ、割と大きいなあと感じた、体長が7~8㎜程度の個体を何度も見ている。13ミリほどの個体も出会っているが、15や16ミリもあるような個体には出会っていない。
マエグロツリアブとクロバネツリアブは9月8日に豊津海岸で見かけて以降全く見かけなくなった。

原色日本昆虫図鑑(下)では、スキバツリアブの学名を Villa limbata Coquillett とし、
「体長・翅長とも11~15㎜。体はビロウド様黒色で、背面には黒色短毛を密生する。触角は黒く短小で顔面には黄白色短毛を密生する。前胸の全部および中・後胸の側面には黄色長毛を密生するが、その毛の色調は背面にちかい程濃色となる。あしは細く黒い。翅は透明で光沢が強く前縁部は濃褐色。腹部背面各節の前縁には黄色短毛を密生した横帯があり、両側縁部には黄白色毛を密生する。分布:日本全国;台湾。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは、学名を Villa limbata (Coquillett)とし、「体長10~16㎜。黒色。顔面は弱く隆起し、白毛に暗毛を混じる。胸部は前・側縁に黄毛密生し、背面に黒と黄褐微細鱗毛を疎生。翅は前縁が細く暗色を呈し、胸弁は外縁に黄色鱗毛を装う。腹部は第1節以外の各節背面に短い黄色鱗毛による横帯を生じる。分布:日本全土;台湾。」

1950年の日本昆虫図鑑によると、学名は Villa limbatus Coquillettとし、「触角は黒色、第1節は円筒形、第2節は球形、第3節は前2節の和と殆んど等長、甚だ細いが基部球形となる。末端棘は第3節より微かに長く、著しく細く、白色。胸背には黒色短毛を粗生し、橙色鱗毛を混ずる、特に後縁で顕著、前縁及び側縁に橙色長毛を密生する。小楯板は三角形に近く、後縁に橙色鱗毛及び長毛を生ずる。翅は殆んど無色、前縁黒褐。肢は細く、後腿節に白色鱗毛を密生する事が多い。腹部は比較的大、各節前縁及び側縁に黄色又は橙色の毛を密生し、側縁のものは長く、末端前2節のものは黒色。体長11~15㎜。」

学研生物図鑑昆虫Ⅲによると、学名を Villa limbata (Coquillett)とし、
「夏にあらわれる、ハチに似た大形種で、個体数は比較的少ない。生活史はよくわかっていないが、類似種の生態より類推すると、本種の幼虫はアブかハチの幼虫に寄生すると思われる。体長;10~16㎜。なお、Villa属はHyperalonia属同様褥盤(じょくばん)を欠いている。日本には本属の未記載種が他に数種いる。」

2009.9.26

スキバツリアブ右翅
スキバツリアブの右翅
「前縁部は濃褐色」とか「翅は前縁が細く暗色を呈」するとかの記述と合わないように思うが、図鑑の記述どおりの個体と出会ったことがないので、地域差なのか、別種なのか、判断が付かない。6月から9月まで見てきたが、季節的な変異はない。三重県内の砂浜海岸で私が出会っているのは、すべて図鑑の記述とは異なる個体たちである。

スキバツリアブ図鑑の図
1950年の日本昆虫図鑑に図示されているスキバツリアブ♂

スキバツリアブ図鑑の図
学研生物図鑑昆虫Ⅲに図示されているスキバツリアブ

干潟のマイコアカネ雄

2009-09-28 | トンボ
マイコアカネ雄
トンボ科のマイコアカネ雄 Sympetrum kunckeli (Selys)

田中川干潟。葦原の中には枯れたヨシがたくさんある。去年の株だろう。
1頭のマイコアカネの雄が枯れたヨシの先端に止まった。近づくと、逃げていくが、また枯れた別のヨシに止まる。
田中川干潟でこれまでにマイコアカネと出会った記憶がない。よく来てくれたと感動した。
額の青白さがみずみずしく感じられた。成熟した雄に違いない。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、マイコアカネは「成熟♂では胸部がオリーブ色となり、腹部は真赤に、額前面は青白色になる。」

近くにハマボウの若い木があって、季節外れの黄色い花を数輪咲かせていた。
トンボの赤と青、ハマボウの黄、みな美しいと感じられた。

2009.9.26
マイコアカネ雄

マイコアカネ雄

ハマボウの花
季節外れのハマボウの花は少し小さめ

ニレチュウレンジの群れ

2009-09-27 | ハチ目(膜翅目)
ニレチュウレンジ
ミフシハバチ科ミフシハバチ亜科の ニレチュウレンジ Arge captiva (F.Smith,1874)

松阪市内のとある施設の植え込み。
いろんな種類の樹木が植えられている。複数の樹木が植わっている一角で、数メートルの範囲内に多数のハバチが飛び回っていた。
通りかかった人がある1本の木を見て、「丸坊主になっている、なんかの幼虫に食べられたみたいだ」と言う。見上げると、その木はアキニレであった。

ニレ類を奇主植物としているハバチとなれば、ニレチュウレンジ が思い浮かぶ。アキニレの木にはすでに一匹の幼虫も居なかったが、ニレチュウレンジの幼虫にほとんどの葉が食べられたものと思われる。
17時過ぎ、成虫たちはアキニレの真横に自生しているアカメガシワの葉上で休んでいた。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、ニレチュウレンジは
「体長はメス8~11㎜、オス8~9㎜。頭部は全体青藍色で光沢がある。触角は全体黒色。
胸部は青藍色で、通常は前・中胸背板背面、肩板、中胸側板上端、小盾板前縁等が赤色となる個体が多いが、胸部の色彩には変異が多く、前胸背板のみが赤色の個体や、全体が青藍色となる個体もある。
腹部は全体全体青藍色で光沢がある。
脚は全体黒色。翅はほぼ全体が暗色を帯びる。翅脈は黒色で、縁紋はやや暗色。
近畿の低地では年2回発生で、成虫は5月と、7~8月頃に出現する。各地に普通で、低山地から都市公園にまでみられ、ときに街路樹などの害虫とされる。」
同書によると、分布は北海道,本州,四国,淡路島,対馬,朝鮮半島,中国
なお、同書にはニレチュウレンジの写真は載っていないので、図版から絵合わせを行うとニレチュウレンジにはたどり着かない。

昭和52年初版発行の原色日本昆虫図鑑(下)では学名が Arge flavicollis Cameron となっており、「旧学名は Arge captiva Smith 。近似種カタアカチュウレンジ A.rejecta Kirby とは触角間隆起のないことで区別できる。」としている。
2006年発行の『大阪府のハバチ・キバチ類』では学名がArge captiva (F.Smith,1874)となっているので、学名が当初のものに再変更されたのだろう。

定価26,250円の新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには普通種であるニレチュウレンジは載っていない。
2009.9.24

ニレチュウレンジ

ニレチュウレンジ

ツマアカアオヒメハマキ

2009-09-26 | 
ツマアカアオヒメハマキ
ハマキガ科ヒメハマキガ亜科のツマアカアオヒメハマキ Mehteria sp. Kawabe, 1982

志摩市志摩町越賀の海岸近くにフウトウカズラの茂みがあった。
その葉上に止まる小さな蛾を見つけた。翅の半分が赤っぽく見えたので魅せられてしまった。あいにく風があり、薄暗かったので鮮明な写真は撮れなかった。すぐに茂みの中へ入ってしまったので捕獲も出来なかった。

どうやらツマアカアオヒメハマキのようである。幼虫はコショウ科のフウトウカズラを食べるとされているから、食草も合っている。
ネット検索すると、5月と7月に鹿児島県、宮崎県、福岡県で見つかっている。また、四国宇佐町の横浪半島では9月に採集されている。福岡県では8月末と10月末に幼虫が観察されている。
三重県での記録はこれまで無いと聞いている。
美しいものにはまた会いたくなる。

日本産蛾類大図鑑によると、「美しい蛾である.暖地性の蛾で,紀伊半島(那智山),四国(足摺岬),九州(佐多岬,大隈半島)の太平洋岸から記録がある.台湾,ニューギニア,インド(アッサム)等に広く分布しているが,日本ではまれな種である.成虫は5月にとれている.食草等は不明.1属1種.」

2009.9.17

ツマアカアオヒメハマキ

コブドウトリバ

2009-09-24 | 
コブドウトリバ
トリバガ科カマトリバガ亜科のコブドウトリバ Nippoptilia minor Hori, 1933.

津市の豊津海岸。ヤブガラシの群生地で小さなトリバガが目の前に止まった。
前翅長は5ミリも無い。コブドウトリバと思われる。

講談社大図鑑によると、「後翅の羽状翅は3本とも細くひも状.前翅は赤褐色,翅端部は黄褐色.後翅第3羽状翅の後縁末端近くに黒褐色の特殊鱗がかたまっているがあまり大きくない.開張10㎜内外.ブドウトリバやイッシキブドウトリバより小型で赤っぽい.九州に分布し,幼虫はヤブカラシの花や蕾を食べる.」

成虫出現月は 9-10月。前翅長は4~5㎜程度。ネット検索すると、熊本市、神戸市、淡路島で見つかっている。
2009.9.23
コブドウトリバ

コブドウトリバ今年も
コブドウトリバの産卵か

急斜面に咲くシコクママコナ

2009-09-22 | 草花
シコクママコナ
ゴマノハグサ科ママコナ属のシコクママコナ Melampyrum laxum var. laxum

四日市市の宮妻キャンプ場の奥、山の南斜面。
陽も差す、水はけは抜群に良い、花崗岩が細かく砕けた斜面に可憐な花を見つけた。草丈は約20~50cm。
東海地方から中国地方東部、四国、九州に産するシコクママコナと思われる。

『山に咲く花』によると、「シコクママコナは花冠内部に黄色の斑点が広がる。萼は有毛。苞のふちに刺毛状の歯牙が散生する。」
また、同書によると、ママコナ属は「半寄生植物の一年草。花冠は筒状で先は唇形となる。」

花期は8~9月。六甲山では中腹以上に分布する。
『鈴鹿市の自然』によると、鈴鹿市ではシコクママコナの記録は無く、同属のママコナやミヤマママコナの記録がある。
何に寄生するのか、調べても良く分からなかった。他の植物との混生は見られなかったので、不思議だなあ。 

2009.9.13
シコクママコナ

シコクママコナ

シコクママコナ

シコクママコナ

フタホシノメイガ

2009-09-21 | 
フタホシノメイガ
ツトガ科ノメイガ亜科のフタホシノメイガ Glyphodes bipunctalis Leech, 1889

志摩町越賀の岩場海岸。崖に生える植物にフタホシノメイガが静かに止まっていた。

日本産蛾類大図鑑によると、
「触角♂は繊毛状,♀は微毛状.前翅の白紋は小さく,後翅の基半が白くない.伊豆半島以西の本州,四国,九州,対馬,屋久島,吐噶喇列島,奄美大島,喜界島,沖縄本島;朝鮮に分布する.」

前翅長は11-13㎜。
三重県での記録はこれまでにない。
暖かい地方の蛾のようである。幼虫はクワ科イチジク属のオオイタビを食べるという。

この地方では雪の降ることは少ないと聞いている。
2009.9.17

イソカネタタキ雌

2009-09-21 | バッタ類
イソカネタタキ雌
カネタタキ科のイソカネタタキ Ornebius bimaculatus (Shiraki,1930)

志摩市志摩町の熊野灘に面した海岸地帯を訪ねた。
岩場海岸の崖沿いの小道で、草むらをスイーピングしたら、イソカネタタキ雌が入ってきた。体長は約11ミリ。

『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』によると、イソカネタタキは「尾肢は後腿節よりやや長く、先端部は少し濃色。産卵器は直線的で尾肢より短く、後腿節より短い。」

京都府では準絶滅危惧種としている。そのレッドデータブックによると、「本州産の他のカネタタキ類の後脚脛徑節には横帯模様があるが,本種にはない。また,雄前翅後縁に黒色紋を持つ。」

2009.9.17

登山道のミスジシリアゲ

2009-09-20 | 三重の生き物
ミスジシリアゲ
シリアゲムシ目シリアゲムシ科の ミスジシリアゲ Panorpa trizonata Miyake

入道ケ岳の登山道でミスジシリアゲに出会った。
捕まえようとしたが、谷へ落っこちそうになり、命賭けてまで追いかけることも無かろうと諦めた。写真はこの一枚のみ。薄暗い登山道でフラッシュも使わずだから、少々のピンボケは仕方あるまい。
彼女の動きは今一ぎごちなかったが、ミスジシリアゲとは初めての出会いであったので、この種の特徴的なものなのか、それとも傷でも負っているのか判然としない。ヨタヨタしながら、彼女は谷底へ消えていった。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、「前翅長14~18mm。翅に黒帯のある顕著な種で、時に腹部が赤褐色。♂の第6~8節はほぼ等長で下付器の柄部、両腕も長い。本州・九州の山地700~1,800m間に分布し、7~9月出現する。」

2009.9.13

庭のスナゴミムシダマシ

2009-09-19 | 甲虫
スナゴミムシダマシ
ゴミムシダマシ科のスナゴミムシダマシ Gonocephalum japanum Motschulsky, 1860

雨は降らない、水遣りは忘れている、庭に埋めてある睡蓮鉢がとうとう干上がってしまっていた。久しぶりに鉢に水を入れたら、中からスナゴミムシダマシがわんさか出てきた。いくつかの個体は睡蓮鉢の周りに置いてある牛糞堆肥の中へ潜り込んでいった。

原色日本甲虫図鑑(Ⅲ)によると、「11.0-12.0㎜。頬は三角形に張り出すが、先は若干まるくなる。前胸背板側部は幅広く平圧され、前縁は深くまるく湾入し、前角は先が少しまるく、幅広い三角形に突出する。前脛節下面中央線が稜状になり、中央部がゆるい山形に隆起する。」

『鈴鹿市の自然』を見ると、野登山、小岐須渓谷、入道ケ岳など山地での記録ばかりであった。
『鈴鹿川流域自然環境調査報告書』(2009.3)の「鈴鹿川流域の甲虫類」(樋尾ほか)を見ると、スナゴミムシダマシの採集記録は無かった。
2009.9.14

スナゴミムシダマシ

スナゴミムシダマシ

スナゴミムシダマシ
水に濡れたスナゴミムシダマシ

ウンモンチュウレンジ

2009-09-16 | ハチ目(膜翅目)
ウンモンチュウレンジ
ミフシハバチ科ミフシハバチ亜科のウンモンチュウレンジ Arge jonasi (Kirby,1882)

内部川の上流部、四日市市から鈴鹿市に入った辺り。
シダの葉上で体長約9ミリほどのウンモンチュウレンジを見つけた。触角が短いことからメスと思われる。

『大阪府のハバチ・キバチ類』によると、
「体長はメス10~11mm、オス9~10㎜。頭部、胸部、腹部は全体が青藍色で光沢がある。触角は全体黒色。
脚は青藍色~黒色で、先端を除く後脛節は白色。前・中脛節はわずかに淡色を帯びる。
翅はやや黄色を帯び、縁紋の下に後縁に届く明瞭な暗色帯がある。
山地に生息するが、やや少ない。成虫は近畿地方では5~8月に得られて」いる。
また、同書によるとミフシハバチ亜科の特徴は次のとおり。
「触角第3節はオスメスともに棒状。前翅径室の外縁は脈で閉ざされ、外側に小室がある。幼虫は双子葉植物、主に木本の葉を食べる。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、ツノキウンモンチュウレンジに似て、「触角が黒色、前翅の前縁脈の黄色のものはウンモンハバチで北海道・本州・四国に産し、幼虫はウシコロシを食う。」
ウンモンハバチの和名と学名はウンモンチュウレンジ Arge jonasi (Kirby)。ウシコロシとはバラ科のカマツカのこと。

『鈴鹿市の自然』によると、大久保町で2005年7月に採集されている。
2009.9.13

ウンモンチュウレンジ

プライヤーヒロバカゲロウ

2009-09-15 | 三重の生き物
プライヤーヒロバカゲロウ
脈翅目(アミメカゲロウ目)ヒロバカゲロウ科のプライヤーヒロバカゲロウ Osmylus pryeri Maclachlan

鈴鹿市の入道ケ岳への登山道近く、内部川の上流の川原周辺。
体長約18ミリ、前翅長約26ミリのプライヤーヒロバカゲロウを見つけた。
シダの葉上を歩いていたが、指を差し出したら、乗り移ってきた。

『札幌の昆虫』によると、ヒロバカゲロウ科は「翅は広く、横脈が多い。卵は水辺の木の幹や葉上に生まれる。ある種の幼虫は半水生で、湿ったコケの中などにすみ昆虫の幼虫を食べる。成虫は水辺の木の幹などに見られる。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、ヒロバカゲロウ科は「単眼を有し、翅縁部に多数の横脈がある」
また、同書によると、「触角間に幅の広い、1黒帯を有し、前翅の脈相のほぼ黒色のものはプライヤーヒロバカゲロウ O.pryeri McLachlan で、北海道・本州・四国・九州の山地に産する。」
さらに同書には、Osmylus属の「前翅の前縁部の横脈の一部は小脈によって結合し、網目状を呈する。」

原色日本昆虫図鑑(下)によると、ヒロバカゲロウ科のウンモンヒロバカゲロウの「近縁種に前翅脈ほぼ黒色のプライヤーヒロバカゲロウO.pryeri ML.(北海道・本州・四国)がある。」

学名の記載者のスペルの違いはどうなっているのか良く分からない。

北海道、埼玉県、高知県では準絶滅危惧種に選定している。福井県の越美山地での出現記録があるらしい。
『鈴鹿市の自然』によると、鈴鹿市でのこれまでの記録は無い。

2009.9.13
プライヤーヒロバカゲロウ

プライヤーヒロバカゲロウ

ヒメハサミツノカメムシ

2009-09-13 | カメムシ
ヒメハサミツノカメムシ
ツノカメムシ科のヒメハサミツノカメムシ Acanthosoma forficula Jakovlev

鈴鹿市の入道ケ岳の登山道を登っていて、体長約15mmのヒメハサミツノカメムシ♂を見つけた。

日本原色カメムシ図鑑によると、「鮮やかな緑色で、前胸背側角の先端がわずかに赤みを帯びる。ハサミツノカメムシに似るが、雄の生殖節のハサミ状突起は赤色で長く、後外方に開く。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、「鮮緑色で黒色点刻を装う。死後暗色に変わる。」

登山道周辺にはミズキが多い。ヒメハサミツノカメムシはミズキなどの植物に寄生する。

ハサミ状突起の赤色は艶があって美しい。

2009.9.13
ヒメハサミツノカメムシ
小さなゾウムシがそばに居た。種名は不明。

砂浜のオオモンツチバチ

2009-09-12 | ハチ目(膜翅目)
オオモンツチバチ♀
ツチバチ科のオオモンツチバチ♀  Scolia histrionica japonica Smith

津市北部の砂浜海岸や鈴鹿市の砂浜などを歩き回っていて、最も数多く出会うハチの仲間はオオモンツチバチである。海岸に近い我が家の庭にも彼らはやってくる。
夕方になると、砂浜に生えている丈の高いイネ科植物やハマダイコンの先端部にしがみついて寝ている様子が見られる。
砂浜では、♀はコガネムシ類の幼虫を探して飛び回っている。♂は、産卵のために砂に潜った♀を探して飛び回っている。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると、「黒色で光沢あり、灰白色ないし黒褐色の長毛を有する。腹端の毛は黒色。♀♂は著しく異なる。」

茨城県では準絶滅危惧種としている。

オオモンツチバチ♀
オオモンツチバチ♀

オオモンツチバチ♂
マサキのオオモンツチバチ♂

オオモンツチバチ♂
ヤブガラシのオオモンツチバチ♂

オオモンツチバチ♂
ハマゴウのオオモンツチバチ♂

オオモンツチバチ♂
ヤブガラシのオオモンツチバチ♂

コウヤツリアブが暮らす風景

2009-09-11 | ツリアブ
コウヤツリアブが暮らす風景
津市の豊津海岸。砂浜に建てられた納屋が連なる。
かつて水産加工場であった木造の建築物が崩れ落ちている。付近にはそんなのがいくつもある。エノキの枯れ枝も見えている。

9月初旬、この風景の中を落ち着き無く飛び回るコウヤツリアブを数頭見つけた。止まっても、すぐに場所を変えてしまう。

『岡山の昆虫』に、「夏期に古い木造家屋や立ち枯れの木の周辺などで忙しげに飛び回る姿が見られる」とあり、まさに記述どおりの景色であった。

『鈴鹿市の自然』によれば、2005年5月末に山本町での採集記録がある。

原色日本昆虫図鑑(下)では学名をAnthrax aygulus Fabriciusとし、「体長7~14㎜、翅長9~18㎜。体はビロウド様黒色で、背面から見て胸部の周縁には黒色長毛と白色長毛を密生する。(中略)成虫は夏に現れる。幼虫はドロバチ、ハキリバチなどの幼虫に寄生する。幼虫時代の宿主の差により、成虫の大きさに変異が多い。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは学名がAnthrax aygula Fabriciusとなっていて、ホシツリアブに似るが、「翅の基半から前縁にかけての黒色部はより濃色でM1室基部は暗色を帯びず、透明部の小黒紋は2個、腹部第1背板側方の白色長毛塊は顕著。幼虫はオオハキリバチ、オオフタモンドロバチなどに寄生。」

この種の正しい学名はどれなのか良く分からない。

この付近では、9月に入ってからクロバネツリアブやマエグロツリアブの姿は見られなくなった。また、スキバツリアブはこの夏ここでは一度も見なかった。

コウヤツリアブ8㎜

コウヤツリアブ

コウヤツリアブ

コウヤツリアブ

コウヤツリアブ
コウヤツリアブの右翅