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ミギワバエ科ラカンミギワバエ属のラカンミギワバエ Dryxo nudicorpus Miyagi,1977
大阪市立自然史博物館が2013年3月に,所蔵する双翅目のうち8科を収録した目録を発行した.総ページ数100ページのうち80ページをミギワバエ科が占めていて,種の検索表や分布目録まで載せ,亜科名,族名,属名,種名に和名を使用している.
ラカンミギワバエという種名は,この大阪市立自然史博物館 所蔵 双翅目目録(1)で新称されたものである.Dryxo属は日本産ミギワバエの最大種.自然度の高い広い河川から,やや山地の渓流にまでみられる.日本産はDryxo nudicorpusの1種だけ.国内では北海道,本州(岩手,宮城,神奈川,静雄,三重,滋賀,京都,和歌山),四国(愛媛),九州(宮崎)に分布する.
同目録によると,三重県産は1952.6.13に大杉谷で伊藤修四郎氏が4頭採集されている.
なお,ラカンとは羅漢のことで,石仏の羅漢像をイメージして名づけられたものと名付け親から伺っている.
A Phylogenetic Study of the Tribe Dryxini Zatwarnicki (Diptera: Ephydridae)という文献によると,体長は4.75~8.85mm.北海道の定山渓で採れた標本が完模式標本となっているが,標本の状態が良くないらしい.Corpusはラテン語で,bodyを意味する.
Dryxo属の検索表によると,本種は
Dark band on tergites 3-5 lacking narrow, medial extension to posterior margin; postpronotal
seta present; scutellar disc, and in some specimens the frons, lacking a
gray, medial, microtomentose stripe (Palearctic)
三重県レッドデータブック2005では,「山地の清流の砂地に見られる.産地は自然度の高い所に極限されていて,詳しい調査を要する.」として情報不足種に選定されている.
私が現在までに確認できている県内の生息地は,櫛田川,宮川,大内山川.櫛田川の湿った砂地では本種はゆっくりと歩いていて,すぐに捕まえられた.しかし,宮川と大内山川では砂地のない石ころだらけの河川敷で見つけたものの,何度も俊敏に逃げられた.
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2013.5.17 大内山川の石の多い河川敷にて Dryxo nudicorpus
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2013.5.17 櫛田川の砂地の河川敷にて Dryxo nudicorpus