田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

マルボシヒラタハナバエ

2010-05-30 | ハエ目(双翅目)
マルボシヒラタハナバエ
ヤドリバエ科ヒラタハナバエ亜科のマルボシヒラタハナバエ Gymnosoma rotundata(Linnaeus)

津市河芸町赤部の里山を訪ねた。溜池に近い林縁を歩いていて,体長8ミリほどのマルボシヒラタハナバエを見つけた。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「♂の額は♀より狭く,額側は黄金色,♀ではその上半部は黒色を呈する。♂の胸背前半部は黄金色で後半部は黒色であるが,♀では肩部のみ白粉を装い他は黒色。R5室は閉じる。前腿節の腹面端半部には短棘毛列がある。幼虫はシラホシカメムシ類に寄生する。」

原色日本昆虫図鑑(下)には,マルボシヒラタヤドリバエの古い名前で「腹部が赤褐色で正中線に大きな黒点が3個連なり,R5室が閉じている」とある。

2010.5.27

クロサジヨコバイ

2010-05-29 | 三重の生き物
クロサジヨコバイ
ヨコバイ科ヒラタヨコバイ亜科のクロサジヨコバイ Planaphrodes nigricans

いつもの豊津海岸。ハマボウフウやハマヒルガオの花が咲いている砂浜に座り込む。
ケカモノハシの株周りをまさぐっていると,小さな虫が跳ねて躍り出てきた。ノミのように跳んで,少し歩き回る。私の靴の上にもやってきた(上の写真)。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,クロサジヨコバイは「体長(翅端まで)は4.5mm内外。本種は色彩の変異に富み」,この個体はシマサジヨコバイと呼ばれる型のようである。

原色日本昆虫図鑑(下)によると,シマサジヨコバイは「色彩は♂♀によって明瞭に異なり,♂は黒褐色~黒色で前胸背と前翅に白の横帯があり,♀はくすんだ黄褐色で多少の濃淡点紋がある以外は斑紋はない。♂♀とも腹端は,前翅端からわずかに突出する。成虫は6~7月に出現,奇主植物としてセイタカアワダチソウが知られている。」
2010.5.28
クロサジヨコバイ

ハスオビヒシウンカ

2010-05-27 | 三重の生き物
ハスオビヒシウンカ
ヒシウンカ科のハスオビヒシウンカ Betacixius obliquus Matsumura, 1914

津市河芸町久知野地区の里山に出かけた。
風が強く,少し寒かった。
道端に茂る草木に何か居ないかと探しながら,ゆっくりと歩く。
翅に紋がある小さな虫を見つけた。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ハスオビヒシウンカは「体長(翅端まで)5.5~6㎜。体は大部分黒色。頭部は黄褐色であるが,前翅の縁紋部より,後縁の中央部にかけて顕著な暗褐色帯を装う。本州・四国・九州の山地に産する。」

いずれ,この辺りも宅地開発されるのであろう。開発業者の立て看板があった。
2010.5.26

ヨダンハエトリ♂は色っぽい

2010-05-26 | 蜘蛛
ヨダンハエトリ
ハエトリグモ科のヨダンハエトリ♂ Marpissa pulla

毎日のぞきこんでいる病院内の花壇で,美しいクモを見つけた。美しい,美しいと何度も呟いた。捕まえようとしたら,落葉下へ逃げ込まれて見失った。標本にして,手元に置いておきたかった。残念。
近くで,雌の個体も見かけたが,捕まえる気が起こらなかった。

フィールド図鑑「クモ」によると,ヨダンハエトリは「地上の落葉の上を歩いていることが多い。♂の成体は前列眼の上に赤い毛が生えていて美しい。出現期:6~7月。分布:本州,四国,九州。体長6~7㎜」

2010.5.20
ヨダンハエトリ

ヨダンハエトリ

ヒゲナガカワトビケラ

2010-05-25 | 三重の生き物
ヒゲナガカワトビケラ
ヒゲナガカワトビケラ科のヒゲナガカワトビケラ Stenopsyche marmorata Navas

一級河川の河川敷の近くにある病院。その敷地内を毎日何回も散策している。
駐車場脇にトビケラ成虫がじっとしているのを見つけた。体長は20数ミリはある。翅長も25ミリほどあり,細長い触角も翅長ほどある。

『札幌の昆虫』によると,トビケラ目の成虫は「多少の水分をとるか,何も食べないものが多いと考えられている」という。またヒゲナガカワトビケラ科は「トビケラ科に似るが,触角がより長い。幼虫は清流やゆるやかな流れの石下や砂底にすみ,巣網を張り,流れてくる有機物のくずや藻類,小さな生物などを食べる。」という。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ヒゲナガカワトビケラは「距式は♂♀ともに3-4-4。山地から平地に広く分布し,チャバネヒゲナガカワトビケラより分布も広く密度も高い。灯火によく飛来する。」
3-4-4とは,前肢脛節の距が3本,中肢及び後肢の脛節では4本という意味。
2010.5.20

ヒゲナガカワトビケラ

ホソクビアリモドキ

2010-05-24 | 甲虫
ホソクビアリモドキ
アリモドキ科ホソクビアリモドキ属のホソクビアリモドキ Formicomus braminus coiffaiti

入院中,病院敷地内のフェンス際にある林縁を毎日何度も見回って,虫たちを探している。早くフェンス外の世界へ出たくて,むずむずしている。
グミ科の植物の葉上に居る小さな虫を見つけた。白内障をわずらっている私の目には,5ミリ未満の虫なんて,だいたいの様子が分る程度である。蟻に似ているが,きっとアリモドキだろうと思って,フェンス越しに触ろうとしたら,さっと葉裏に逃げられた。捕まえてやろうとしたら,下に落ちて行方知れずとなった。

原色日本甲虫図鑑(Ⅲ)によると,ホソクビアリモドキは「2.6-4.0㎜。普通種。本州,四国,九州」。
2010.5.17

ヒトオビアラゲカミキリ

2010-05-23 | 甲虫
ヒトオビアラゲカミキリ
カミキリムシ科のヒトオビアラゲカミキリ Rhopaloscelis unifaciatus

体長8ミリほどのカミキリムシが病院の網戸の外側に居るのを見つけた。4階の病室なので外に出ることは禁止されている。
私の担当看護士がやってきたので,あの虫を何とか手に入れることは出来ないものかと相談したら,彼女は窓を開けて,身を乗り出して捕まえてくれた。
図鑑で調べると,ヒトオビアラゲカミキリと分った。ルーペで見ると,体中に毛が生えていて,黒褐色の小さな紋が翅に散らばっていて,それらがとげとげしく見える。アラゲの意味が納得できた。
原色日本甲虫図鑑(Ⅳ)によると,「5~8月,温帯樹林帯を中心に広く分布し広葉樹の伐採枝に集まる。」とある。

それにしても,こんな高い所まで飛んでやってくるとは。カミキリムシの飛翔力の高さに驚いた。
虫を怖がらない担当看護士さんに感謝。
2010.5.20

ヤマトツルギアブ

2010-05-02 | ハエ目(双翅目)
ヤマトツルギアブ♂
ツルギアブ科のヤマトツルギアブ♂ Dialineura albata (Coquillett. 1898)

徳島県松茂町の海岸で4月4日にツルギアブの仲間を見つけた。
ツルギアブの同定ではナンバーワンのO氏に見せると,「ヤマトツルギアブの♂。桜の花が見られる頃から出現するツルギアブで,時期的にも外観から見ても間違いない」と言う。
また,「ヨシコツルギアブも交尾器を見なくても同定が出来る」とも言っていた。

原色日本昆虫図鑑(下)によると,「体長9~11㎜,翅長7~9㎜。体は灰褐色粉でおおわれる。触角の第1節は円筒状で灰白色。第2節以下は黒色。胸部背面には灰黒色の2対の縦条がはしる。胸部側面は灰白色粉でおおわれ,部分的に白色長毛を生ずる。翅は褐色をおび,縁紋は黒褐色で顕著。♂の腹部背面には白色長毛を密生する。」などとある。また,分布は本州・四国・九州とあり,秋田県玉川で得られた個体の標本写真を載せている。

京都府自然環境目録や福井県産昆虫リストにも載っている。新潟県の海岸には普通に居るらしい。山口県では記録が無いと聞く。
京都府ホームページによると「内陸の草地にはヤマトツルギアブが見られ」とある。
千葉県白井市の白井市生物多様性調査報告書によると,「神々廻の半自然草原においては,ヤマトツルギアブ,ショウジツルギアブ,キンアリノスアブが特徴的に記録されている。ヤマトツルギアブは砂地,ショウジツルギアブやキンアリノスアブは開放的な樹林や林縁に生息する傾向がある。これらの種は,裸地や草地を伴う比較的乾燥した環境に生息する点で共通している」という。
海岸部ばかりに生息しているのではなさそうである。

はたして,ヤマトツルギアブは三重県の海岸部に居るのだろうか?
三重県の海岸にはO氏未発表のツルギアブがいるらしい。
ツルギアブは好きな昆虫なのだが,なかなか会えない。

砂浜のツルギアブ
ナギサツルギアブ覚書