田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

アカアシカスミカメ

2013-08-07 | カメムシ

カスミカメムシ科のアカアシカスミカメOnomaus lautus

2013.7.17 津市美杉町太郎生の植林地の山道でアカアシカスミカメを見つけた.

体長は8ミリほど.山地の陽の当たらない草むらで生活しているという.
なかなかの美麗種である.

カタビロクサビウンカ

2012-07-08 | カメムシ

マルウンカ科のカタビロクサビウンカ Issus harimensis Matsumura

菰野町の尾上神社.薄暗い境内のそれも夕方だから,よく判らないまま玉垣に止まった生き物らしいものにカメラを向けた.ウンカぽいなとは感じた.捕まえようとしたら跳ねて下に落ちた.薄暗い中,再発見はできなかった.
調べると,カタビロクサビウンカと判った.

島根県では,「前翅の膨出部には白帯がある。詳しい生態・分布はあきらかでないが、発生期は6月初旬らしい。アカマツやネズなどの針葉樹につく希種とされ」るなどとして,準絶滅危惧種に選定している.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「体長(翅端まで)7~8㎜.体はやや扁平.前翅は幅広く,後方にやや狭まり,後翅を有し,その後縁に切れこみがない.本種は本州と四国の山地で獲られるが個体数は多くない.」

2012.6.17

コバネナガカメムシ長翅型

2012-04-20 | カメムシ

ナガカメムシ科のコバネナガカメムシ長翅型

四日市市,鈴鹿川の河川敷を歩きまわった.草むらの中を進んでいくのだから,結構疲れる.
タモを振ると短翅型のコバネナガカメムシがいくつも入ってくる.しゃがみこんで草の中を覗いていると,長翅型のコバネナガカメムシを見つけた.

2012.4.19

短翅型のコバネナガカメムシは以前に紹介している.

アオモンツノカメムシ

2012-04-01 | カメムシ

ツノカメムシ科のアオモンツノカメムシ Dichobothrium nubilum (Dallas)

亀山市の里山公園を訪ねた.駐車場もあり,トイレもあり,ちょいと立ち寄るにはもってこいだ.国道306号線から少し入ったところだから,鈴鹿山脈の昆虫を調べに出かける道中にこれからも立ち寄ろうと思う.この日は暖かく,木道や林縁を散策していても心地良かった.

アオモンツチカメムシを見つけた.
カメムシ図鑑によると,「体長7-9mm.黄緑色の地に赤褐色の斑紋があり,革質部の中央後方よりに判然としない小さな暗色斑がある.前胸背側角の突起は弱く,先端が鈍角で,先のみ黒褐色を帯びる.」とある.
なお,同図鑑には「本種に酷似した別種が本州に分布する」とあり,難儀な話だ.

新しいカメムシ図鑑はいつ発行されるのか,待ち遠しい.
2012.3.29


エビイロカメムシ

2011-10-05 | カメムシ

カメムシ科のエビイロカメムシGonopsis affinis (Uhler)

津市美里町。山地。道路脇の造成地でエビイロカメムシを見つけた。

日本原色カメムシ図鑑に依れば,「体長14-19㎜。黄褐色で,頭部が三角形をして先端がとがっている。触角と口吻は短い。幼虫は扁平で楕円形をしている。ススキ,サトウキビなどのイネ科植物に寄生する。」

そういや,辺りはススキがたくさん生えていた。
2011.10.3


ウズラカメムシ

2011-07-22 | カメムシ

カメムシ科のウズラカメムシ Aelia fieberi

豊津海岸。ヤブガラシ周辺での昆虫観察を続けているが,このところウズラカメムシと何度も出会う。

日本原色カメムシ図鑑によると,ウズカメムシは「体長8-10㎜。暗褐色に淡い黄褐色の縦縞模様があり,頭部はやや下向きに細く突き出している。チガヤなどのイネ科植物で生活し,冬季は植物の根ぎわで成虫越冬する。」などとある。
2011.7.21


ヨコヅナサシガメ

2011-06-19 | カメムシ

サシガメ科のヨコヅナサシガメ Agriosphodrus dohrni (Signoret)

津市の豊津海岸。砂浜の海浜植物群落の中でヨコヅナサシガメと出会った。

「日本原色カメムシ図鑑」によると,「体長16-24㎜。大型のサシガメで,体は黒く光沢があり,直立した長毛におおわれる。各脚の基節と腹端2節は鮮紅色。腹部結合版が葉状に広がり,白色で,各節に大きい黒斑をもつ。頭部は細長く,突出する。神社や公園などの人里的な環境の,サクラやエノキの樹幹に発見されることが多い。また,都市部の公園などでもしばしば見出される。」という。

砂浜で出会ったのは,初めてのような気がする。

2011.6.11

青山高原のカメムシ2種

2011-06-03 | カメムシ

ヘリカメムシ科のオオヘリカメムシ Molipteryx fuliginosa (Uhler)

青山高原の林縁で2種のカメムシと出会った。
日本原色カメムシ図鑑によると,オオヘリカメムシは「体長20-25㎜。大型のヘリカメムシで,一様に暗褐色の背面に,淡褐色の軟らかい毛が密生している。前胸背側角は前側方に張り出している。きわめて強い臭気をだす。」という。
でも,このときの臭いの記憶が私には何も無い。

セアカツノカメムシは,山地では良く見かける。
セアカツノカメムシ

2011.5.21

ツノカメムシ科のセアカツノカメムシ雌 Acanthosoma denticaudum

美杉町のツマジロカメムシ

2011-05-26 | カメムシ

カメムシ科のツマジロカメムシMenida violacea Motschulsky

津市美杉町。道端の朽ち木でツマジロカメムシを見つけた。

日本原色カメムシ図鑑によると,ツマジロカメムシは「体長7.5~10㎜。光沢のある紫黒色で,前胸背の後半に黄白色の幅の広い横帯がある。小楯板の先端が広く白色でよく目立つ。山地の木苺,クヌギ,キリ,フジ,ミズナラ,ノリウツギ,ニワトコなど多くの植物に寄生し,初夏から夏にかけて産卵する。」

2011.5.22

ノコギリカメムシ

2011-04-14 | カメムシ

ノコギリカメムシ科のノコギリカメムシ Megymenum gracilicorne Dallas

四日市市,鈴鹿川河川敷。朽ち木に見慣れないカメムシを見つけた。図鑑でしか見たことのないノコギリカメムシだ。

日本原色カメムシ図鑑によると,「体長12-16㎜。体は赤銅色の光沢を帯びた黒褐色で,頭部は大きく突出する。和名は,腹部の外縁がノコギリの歯のようになっていることに由来する。カラスウリ,黄カラスウリ,スイカ,カボチャ,キュウリなどのウリ科植物に寄生し,ウリ類の害虫とされている。」

島根県のレッドデータブック平成16年3月改訂版では,「農耕地周辺の水辺の草本群落で発見されるカメムシで、生息地は局限され個体数も少ない。」として情報不足種に選定されている。又,その概要の中でノコギリカメムシは「前胸背の前縁と側縁に突起があり、腹部側縁は鋸歯状となる。」と記載されている。
2011.4.13


和歌山産ヒメタイコウチ

2010-12-20 | カメムシ

カメムシ目タイコウチ科のヒメタイコウチ

奈良県で開催されたシンポジウム紀伊半島の野生生物というイベントに参加した。その会場で和歌山県産のヒメタイコウチを見せてもらった。プラスチックケースの中,ミズゴケの間に隠れていた。

奈良県では,平成22年4月1日に奈良県希少野生動植物の保護に関する条例に基づき,12種の「特定希少野生動植物」を指定している。12種の内の一つがこのヒメタイコウチである。
奈良県のヒメタイコウチ保護推進指針によると,「本種はタイコウチ科の昆虫類である。体色は光沢が鈍い黒褐色で、体長は20mm程度である。尾端にある呼吸管は3㎜程度で,タイコウチほど長くないために水中生活には適していない。湧水のある浅い湿地や休耕田に生息し,昆虫などを捕まえて体液を吸う。」

三重県レッドデータブック2005では絶滅危惧ⅠB(EN)類に選定されていて,「北勢地域で記録されているだけである。生息面積は極めて局所的であり,四日市市の垂坂町では1970年以降の記録を見ない。生息地はいずれも人為的影響を受けやすい脆弱な環境下にあり,土地改変および丘陵地の荒廃とそれにともなう湧水の枯渇などが減少要因となっている。」という。

三重県桑名市ではヒメタイコウチを天然記念物に指定し,行政と地域が一体となって保護活動を展開している。桑名市での保護活動を参考にして,奈良県では今後ヒメタイコウチの保護活動を進めていこうとしているという。

三重県津市の白塚海岸での松植樹についても,参加者から多くの意見が出た。砂浜の生きものについて,1種だけでなく他の種についても調査して,さまざまな生きものへの影響を訴えたほうが良いのではという声もあった。

希少な昆虫類も,一般の人たちにとっては「虫けらのようなもの」にしか映らないことも多いですよ,と言う人もいた。

2010.12.19

シロモンヒラタカメムシ

2010-12-16 | カメムシ

ヒラタカメムシ科のシロモンヒラタカメムシ Aradus honshuensis Heiss et Shono, 2005

津市美杉町の大洞山へ生物の調査に出かけた。
鼻水をすすりながら,標高700mほどのところで朽ち木の樹皮剥がしをしていると,見たことの無いカメムシを見つけた。体長は8ミリ。真横から見ると,体が薄い。ヒラタカメムシの仲間だと思ったが,手持ちの図鑑に載っていない。
カメムシBBSという画像掲示板へ投稿して教えてもらった。

2005年に新種記載されたばかりのシロモンヒラタカメムシであった。

触角の第2・第3節の中央に白い斑紋があって,そこが少しくびれている。幼虫にもこの特徴が有るという。また,体のあちこちに綺麗な白い斑紋や模様がある。ネット検索してみると,どうも比較的標高の高いところや寒冷な地域で採れているようである。
樹皮下に潜んでじっとしていたから,このまま成虫越冬するのではと思われる。
三重県下の記録は,これまでたぶん無いと思われる。

2010.12.12

記載論文を見ると,京都府舞鶴市養老山で1995年6月に採集された体長7.5mmの雄をHolotypeとし,青森県,岩手県,栃木県,長野県,和歌山県,高知県の各県で採れたものをParatypeにしている。Paratypeの中には1934年とか1989年に採れていたものもあるから,古くから未記載種として知られていたのであろうと察せられる。体長は雄のパラタイプで6.6-7.5mm,雌のパラタイプで7.7-8.2㎜の範囲である。分布は日本(本州と四国)。

アカヒメヘリカメムシ

2010-11-09 | カメムシ

ヒメヘリカメムシ科のアカヒメヘリカメムシ Rhopalus maculatus

津市の片田丘陵地。林縁に白いキク科植物が咲いている。その花に赤みのあるカメムシが居たので目立った。
カメムシはアカヒメヘリカメムシで,2年前にも志摩市で出会っている。

日本原色カメムシ図鑑によると,「体長6-8㎜。赤みの強い黄褐色で光沢があり、細い毛におおわれている。翅脈および結合版各節にある黒点は小さく目立たない草むらのイネ科、タデ科、キク科などの植物に寄生する。水田に侵入してイネの穂を吸収する。」

2010.11.7



2008.4.8 志摩市にて

シロヘリクチブトカメムシ幼虫

2010-10-05 | カメムシ

カメムシ科のシロヘリクチブトカメムシ幼虫 Andrallus spinidens (Fabricius)  

豊津海岸の砂浜。ヤブガラシ群落の中にカメムシの幼虫が集団で居るのを見つけた。おそらくシロヘリクチブトカメムシの3,4齢幼虫のコロニーだろう。

日本原色カメムシ図鑑によると,シロヘリクチブトカメムシはサツマイモ,ダイズなどの畑,水田や草むらで生活し,ハスモンヨトウ,シロイチモジヨトウ,イネツトムシ,シャクガなどの鱗翅類の幼虫を好んで捕食する。南方系のカメムシであるが,本州(広島県,兵庫県,岡山県,和歌山県など)や四国(高知県,愛媛県)にも分布を広げつつある。

シロヘリクチブトカメムシ

2010.10.5



オオモンシロナガカメムシ越冬中

2010-02-15 | カメムシ
オオモンシロナガカメムシ
三重県立博物館の敷地内。崖下の石の下で越冬しているオオモンシロナガカメムシを見つけた。体長は12ミリ弱。石を裏返しにしても,ほとんど動かなかった。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには「体長15.0㎜。体は黒色。触角第4節の後半(基部を除く),前胸背後葉の中央部,小盾板の先端,革質部先端近くの三角紋と外縁前半は黄白色。腿節基部,脛節および付節は黄褐色,腹部各側板中央部は黄色。頭部の長さは幅に等しい。食草:ヤツデの実。」などとある。

日本原色カメムシ図鑑によると「体長10-12㎜。前胸背の後葉に不規則な黄白色の紋がある。翅は暗褐色で,基半には黄白色条が多く,先端近くに不規則な白色の大きな紋がある。森林の地表で生活し,落下した植物の実や地下茎などを吸収する。行動は活発で,夜間灯火に飛来する。」などとある。

図鑑によって,体長に差が有りすぎるように思うが,両図鑑とも学名も和名も同じであった。

2010.2.13

オオモンシロナガカメムシ

オオモンシロナガカメムシ