田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

フウトウカズラの赤い実

2015-11-27 | 樹木

コショウ科のフウトウカズラPiper kadsuraの果実

鳥羽市の菅島は,常緑つる植物のフウトウカズラが多い島である.海岸近くの森林に出現する植物だから,暖地の島はフウトウカズラにとってもってこいの環境であろう.菅島を歩き回っていて,そのフウトウカズラに赤い実が着いていることに気づいた.
コショウ科の植物だけに,インド原産のコショウに葉も実も似ている.
フウトウカズラを食草としているツマアカアオヒメハマキも赤い蛾である.ますますフウトウカズラが好きになった.
2015.11.24

フウトウカズラハチヂミフシ




ハツカネズミ

2015-11-26 | 三重の生き物

齧歯目(げっしもく)ネズミ科ハツカネズミ属のハツカネズミ Mus musculus Linnaeus, 1758

小ネズミがひょこひょこと我が家の農機具小屋から庭に走り出してきた.軽快な走りではない.飼い猫が近くでうろうろしているから,一度は猫につかまって,辛うじて逃れ得たという様子.

先月,小屋に入れてあるコンバインを点検した時,コンバイン本体内の配線がネズミにかじられていることに気づいた.コンバイン内に残っていたモミもかじられていた.

しばらく小ネズミの後をつけた.庭に生えているスギナの葉を食べだした.捕まえようとしたら.草むらの中へ入り込んでしまい,見失ってしまった.
ほどなくして,飼い猫がネズミを見つけて,脚で押さえつけたりしているうちにネズミは動かなくなった.

ネズミはエタノールの液浸標本にして,知人に渡した.種名はハツカネズミと判明した.ハツカネズミは珍しいネズミではないが,それを標本にする人はなかなかいないので貴重な標本だと喜んでくれた.採集ラベルもビンに入れて置いた.

ハツカネズミは昔から我が家に住み着いていて,家族の皆はこれをコギシロと呼んでいた.三重県内各地の知り合いに確かめると,皆コギシロと呼んでいるという.方言なのだろうか?

2015.11.22

オオハナワラビ

2015-11-26 | 草花

ハナヤスリ科ハナワラビ属のオオハナワラビ Botrychium japonicum (Plantl) Underw.

鳥羽市の菅島に出かけた.木漏れ日が時々差している程度のうす暗い尾根筋の遊歩道を歩く.風は強かったが,暖かい日で少し汗をかいた.前を歩いていた二人連れの人が立ち止まってシダ植物を眺めている.「これ,オオハナワラビですよね」「そうですね」と言い合っている.
見ると,フユノハナワラビとそっくりの姿だ.
オオハナワラビの高さは30~50㎝で,山地のやや湿った林内に生息する.茎に毛が散在する.

2015.11.24

オオムラサキ幼虫

2015-11-15 | チョウ

日本の国蝶であるオオムラサキ(タテハチョウ科)の幼虫がエノキの葉を食べているのを見つけた.
11月初旬のこと.
成虫は6~7月に出現するが,私はまだ見たことがない.
幼虫は落ち葉の下で越冬する.ゴマダラチョウの幼虫と一緒に見つかることもあると聞く.

ノコギリクワガタとアカハバビロオオキノコ

2015-11-10 | 甲虫

クワガタムシ科のノコギリクワガタProsopocoilus inclinatus

伊賀市の里山を探索.甲虫は,2頭のノコギリクワガタと1頭のアカハバビロオオキノコに出会った.
ノコギリクワガタは38㎜と45㎜の小型の雄.アカハバビロオオキノコの体長は6㎜弱.

2015.11.4

体長45㎜のノコギリクワガタ♂ こちらに向かって威嚇のポーズ


オオキノコムシ科のアカハバビロオオキノコNeotriplax lewisii
本州,四国,九州に分布する普通種.光沢のある橙赤色をしているが,キノコ食の昆虫は標本にすると変色しやすいと聞くので,この種も変色してしまうのだろうか.


アイノヒゲボソムシヒキ♀

2015-11-09 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科ヒゲボソムシヒキ亜科アイノヒゲボソムシヒキ Grypoctonus aino Speiser, 1928

鈴鹿山脈でアイノヒゲボソムシヒキを捕まえようと,いなべ市大安町の石槫峠に3日連続で通った.初日は曇り空で風も強く,尾根沿いを探し回るも1頭も見つけられなかった.2日目は風もあり雲の多い日で,時折わずかに陽がさす程度,登山道周辺で2頭を目撃したが捕獲はできず,写真撮影だけ成功.この写真はその時の1枚である.3日目は風もなく秋晴れで,登山者も多かったがアイノヒゲボソムシヒキも多かったので大満足.上着や捕虫網にも止まろうとする個体が何頭もいた.
ハタケヤマヒゲボソムシヒキは見かけなかった.

写真の個体は,翅の透明度が高く,長さもあるので♀.♂の翅は短く,わずかに褐色を帯びる.2015.10.31

アイノヒゲボソムシヒキ



ラクウショウ紅葉

2015-11-09 | 樹木

ラクウショウ(落羽松:Taxodium distichum)はスギ科ヌマスギ属の針葉樹.別名はヌマスギ(沼杉).

鈴鹿青少年の森,道伯池のほとりに高木のラクウショウを見つけた.三重県内では,松阪第一小学校の校庭に植えられたラクウショウが県の巨樹古木150選にリストアップされているものの,その他では見かけたことがなく,私が見たのはこの2ヵ所だけである.

メタセコイヤの葉は対生するが,ラクウショウの葉は互生する.
『樹に咲く花』によると,葉が水平に並んでつく枝を鳥の羽根に見立てて,枝ごと葉が落ちるさまから落羽松の名前が付いたという.
2015.11.6

膝根と呼ばれる呼吸根を地中から出すことが知られている.ここでも乾燥しているところでは見当たらないが,水辺には多くの膝根が見られる.


球果は秋に緑白色から褐色に熟す.すでに褐色になっているものも見かけた.メタセコイヤのそれよりも大きい.


鳥の羽根のように見えるかな

トチュウの秋

2015-11-08 | 樹木

トチュウ科トチュウ属のトチュウ Eucommia ulmoildes Oliver

鈴鹿青少年の森の薬用植物園.黄葉した2株のトチュウの樹を見つけた.1株にはたくさんの果実(翼果)がついていて,もう1株には全く果実(翼果)がついていなかった.トチュウは中国中南部原産で,雌雄別株の落葉高木である.樹皮は漢方薬の原料となり,葉は乾燥して茶葉として利用され杜仲茶と呼ばれ人気がある.近所の知人もこの木を植えていて,杜仲茶をごちそうになったことがある.剪定しても,すぐに上へ上へと伸びる元気な樹である.

2015.11.6



トチュウ雄株


トチュウ雌株

ムクロジ黄葉

2015-11-08 | 樹木

ムクロジ科ムクロジ属のムクロジ Sapindus mukorossi

鈴鹿青少年の森には薬用植物園がある.そこにムクロジの樹が植栽されていることを聞いた.聞いたその日の内に会いに出かけた.きれいに黄葉したムクロジがあった.

ムクロジは,雌雄同株の落葉高木で高さ15mほどにもなる.三重県内のあちこちの神社や寺院にも植えられている.
果皮はサポニンを含んでいるので,よく泡立ち,洗濯や洗髪に使われた.果実の核は黒くて硬く,羽根つきの球や数珠にも使われた.この黒い核に穴をあけるのは大変な作業だと聞いたことがある.

2015.11.6

飴色の果実.ちょいと細工をすれば,小動物の顔にも似せて,かわいい置物として楽しめる.


葉は互生.黄葉がきれい.