田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

砂浜のウスオエダシャク

2008-04-30 | 
ウスオエダシャク
田中川干潟を望む砂浜。ハマアオスゲやコウボウシバの小穂が見られる辺りでウスオエダシャクが飛んだ。この蛾はいつも枯れた草のある辺りで翅を広げて止まっている。
シャクガ科エダシャク亜科。
幼虫の食餌植物はマメ科のメドハギ、ヤハズソウなど。そういや、この辺りの砂浜にはハイメドハギが多い。
ウスオエダシャクの幼虫に会ってみたいなあ。
2008.4.29

ツマキアオジョウカイモドキ

2008-04-29 | 甲虫
ツマキアオジョウカイモドキ
田中川干潟周辺のトベラはまだ花が咲いてこないものの、新葉は良く伸びてきている。
そのトベラの葉にジョウカイモドキ科のツマキアオジョウカイモドキをいくつも見つけた。
上翅先端が黄色い。他にも体のあちこちが黄色い。上翅には毛がある。
体長は5~6ミリと図鑑などには紹介してあるが、写真の個体たちは1センチ近くもある。頭頂に小さな丸い窪みがあることをルーペで確認しているから、ツマキアオジョウカイモドキ属には違い無い。
春に花に飛来する普通種とのことだが、花の咲いていないトベラの葉に来ているということは、花に限らず葉でも構わないという事か。
ノイバラの花でも見かけたので、植物の種類にあまりこだわらないのだろう。
2008.4.29
ツマキアオジョウカイモドキ


ツマキアオジョウカイモドキ
ノイバラの花上にて

アカウキクサの池

2008-04-27 | 草花
アカウキクサの池
一ヶ月前に新聞で紹介されていたアカウキクサの池を訪ねた。
日本植物分類学会会員で82歳の岡与一さんが鳥羽へ向かう近鉄電車の窓から横池(伊勢市)を見て気づいたという。
池の表面は赤く、田園地帯の中で目立っている。
アカウキクサはアカウキクサ科の常緑シダ植物。根には長い根毛がある。葉は秋から初春にかけて赤く変色する。繁殖力は強く、東海地方より西に分布するが、池の埋め立てや農薬には勝てず、各地で急激に減少している。
三重県内ではこれまで8市で生息記録があるものの、現在は激減しており、三重県レッドデータブック2005では絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されている。
岸近くのアカウキクサを観察していたら、緑色がかった個体群を見かけた。夏にはほとんど緑白色になることもあるらしい。また、夏にも見に行こうと思っている。
横池を管理する楠部町自治会が保護に熱心と聞く。なによりだ。

池の周りを歩いていると、何匹もの蛾が飛んだ。飛んでも池の周りからは離れない。ヒメマダラミズメイガ達だ。
幼虫の食草がウキクサ科やヒシ科などの水生植物だから、この池に居ても不思議ではないが、出現月は通常7~9月の盛夏なんだけど。
♀ならもっと黒っぽくなるから、褐色のこの個体は多分♂。
2008.4.25

アカウキクサ

アカウキクサ

ヒメマダラミズメイガ

サルトリイバラにハムシ

2008-04-26 | 甲虫
フタホシオオノミハムシ
国道260号線をドライブした。
旧南島町の林縁でサルトりイバラの葉が食害されているのに気づいた。
ようく見るとハムシのカップルがいる。
フタホシオオノミハムシ 体長は7ミリ前後
出現期は5~7月
体の腹面も赤褐色。上翅の後方側面に一対の黄白色の紋がある。
サルトリイバラはフタホシオオノミハムシの食草である。
どれだけ近づいて観察しても、なかなか動じないカップルであった。
2008.4.25

フタホシオオノミハムシ

河川敷にヤマタニシ

2008-04-23 | 
ヤマタニシ
鈴鹿川の河川敷で草むらの中を歩き回った。
枯れたヨシの茎葉が堆積しているような場所でヤマタニシを見つけた。
関東以西の本州、四国、九州に分布。
蓋は革質で堅い。
ら層がよく膨らんでいる。
ある図鑑には「山林の落葉の間にすむ」と書かれていた。
持ち帰って、知人に見せたら、即座に「ヤマタニシです」と言う。そういやタニシに似ていると遅まきながら気づいた。
2008.4.20

ヤマタニシ

ヒメジュウジナガカメムシ

2008-04-23 | カメムシ
ヒメジュウジナガカメムシ
鈴鹿川の河川緑地公園でヒメジュウジナガカメムシの集団に出会った。
イネ科植物の草むらの中で群生していた。
話には聞いていたが、こんなにたくさんの数が群生しているのを見るのは初めてだったので感動した。
それにしても彼らは何をしていたのか。日光浴をしているくらいにしか見えなかったが。
ナガカメムシ科
2008.4.20

ヒメジュウジナガカメムシ


庭にオオトビサシガメ

2008-04-19 | カメムシ
オオトビサシガメ
庭で大きなサシガメを見つけた。弱っていて、ほとんど動かない。
サシガメ科のオオトビサシガメ
刺されると激しい痛みがあると図鑑にも書いてあった。きっとそうだろうと思って気をつけて触ってみたが、やはり動かない。
裏返して観察した後、花壇の隅に放した。
山地の樹上でよく見られる種らしいが、なぜ海岸部の我が家の庭に現れたのだろうか。
2008.4.6

オオトビサシガメ
ひっくり返してみた。細かい毛が生えている。立派な口吻も見える。

ムラサキケマン咲く

2008-04-18 | 草花
ムラサキケマン
里山の山道を歩く。西日は当たらないけど明るい道端に、草むらの中で紅紫色の花が咲いている。
ケシ科のムラサキケマンだ。
花の色が薄茶色に変わっているのもあり、下向きに曲がって付く果も見られた。すでに花の盛りを過ぎているのだろう。
傷つけると、やや悪臭がすると図鑑に書いてあった。柔らかい植物なんだから、優しくしてあげなくっちゃ。
2008.4.16

ムラサキケマン

ムラサキケマン

ベニシジミ死す

2008-04-17 | チョウ
ベニシジミ
近くの里山を一人ぶらついた。
畑の隅に素掘りの用水池がある。
覗き込むとベニシジミが浮いていた。キリギリスの仲間の幼虫も死んでいた。
このベニシジミは低温期に羽化した個体で、前翅の橙赤色部が発達している。いわゆる春型である。
3月に羽化して、もう死んじゃうのか。
お前はこれまでどれだけの花の蜜を吸って生きてきたのか。
このチョウの紅が大好きなだけに、しばらくじっと見つめていた。
2008.4.16

オオトリガイ

2008-04-17 | 
オオトリガイ
大淀海岸でバカガイ科のオオトリガイ生貝を拾った。
殻長115ミリ、殻高55ミリ
内湾の潮間帯より水深10mくらいの細砂底にすむ。房総以南に分布。
鳳貝。内面は白色。
生時は艶のある乳白色の地色だと思っていたが、乾燥させたら、淡く黄色を帯びてきた。
食用になるのか分からなかったので、試食は諦めた。
2008.4.8

北隆館の「原色動物大図鑑Ⅲ」によると
 長方形に近い貝で、殻のふくらみは少ない。
 殻頂は平坦で、わずかに突出し、殻の前後は開いている。
 弾帯受は広くて大きく、側歯はないが、背縁が肥厚している。
 本州中部以南、四国、九州より台湾に及び肉は食用となる。

ミツボシツチカメムシ成虫

2008-04-16 | カメムシ
ミツボシツチカメムシ
四日市市内の丘陵公園でミツボシツチカメムシの成虫と出会った。
体長は5ミリほど。体の側縁は白色に縁取られている。小楯板の先端と革質部の1対の小紋も白色。
オドリコソウやヒメオドリコソウに寄生するという。
公園のあちこちにはヒメオドリコソウの花がいっぱい咲いていた。
2008.4.13

ミツボシツチカメムシ

泥地のカワアイ

2008-04-14 | 
カワアイ
松阪市内の河川河口付近をいくつか訪ねた。
牡蠣殻が転がっているような場所を選んで見て回った。
とある川で泥地に足をとられた。
そんな所でカワアイと久しぶりに出会った。殻高35~40ミリほどの個体が多かった。
田中川干潟では最近全く見ていない。
カワアイは三重県レッドデータブック2005では準絶滅危惧(NT)に選定されている。
ヘナタリと良く似ているがヘナタリよりも殻高が長く、色も紫色を帯びている。
ウミニナ科としている本もあるが、フトヘナタリ科に分類が変更されたようだ。
写真は水洗いして配置したものである。
2008.4.12

カワアイ

カワアイ

岩場海岸のヒゲスゲ

2008-04-13 | 草花
ヒゲスゲ
熊野灘に面した海岸の岩場でカヤツリグサ科のヒゲスゲが群生しているのを見つけた。
周辺にはハマダイコンが咲き、ツルナも群生していた。
ヒゲスゲは海岸に生えることから、イソスゲの別名もある。
雌小穂の長い芒の様子が小穂にひげが生えているように見える。和名の由来である。
常緑の多年草。葉は厚くて硬く、光沢がある。
花期は4~6月
2008.4.9
ヒゲスゲ

ヒゲスゲ

ヒメセミエビ

2008-04-09 | 三重の生き物
ヒメセミエビ
セミエビ科ヒメセミエビ属 ヒメセミエビScyllarus cultrifer (Ortmann, 1891)

イセエビの刺し網にかかった生き物を探しに、今日も志摩市内の漁港をうろつく。
馴染みとなった漁師が「エビや、ほれ、ウチワエビの子供かなあ、珍しいわ」と渡してくれた。
体長は6センチ。ウチワエビの子供ではなかった。
ヒメセミエビ属は日本沿岸で9種類が確認されている。セミエビ類は岩礁に生息している。
ヒメセミエビはおいしいようだが、小さいので一般的には食用とはされていないという。
夜行性。
歩き方も力強く感じられ、黒目も精悍そうに見えた。
2008.4.9

ヒメセミエビ

コノハガニ♂

2008-04-05 | カニ
コノハガニ♂
甲長2センチ強のコノハガニ♂を拾った。
まだ見ぬカニたちの姿を捜し求めて、紀北町のとある小さな漁港を訪ねた。
砂利ばかりの作業場をうろつく。生きたカニは見つからない。
「朝の4時や5時に来んとあかん」と漁師が言う。
10時過ぎの作業場は清掃済みで、小さな海藻やカニたちの破片しか残っていない。
探すうちに、紅藻のような色をしたクモガニの仲間を見つけた。
完全に乾燥している。脚が1脚だけ欠けているだけ。よくぞ残っていてくれた。
海藻に擬態するカニ、コノハガニとの初めての遭遇である。
三角形の甲の頂点近くに、雄には巻き毛がある。
雌は甲の形が異なるという、早く会いたいものだ。
2008.4.4