田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

一人ぼっちの子ガメ

2010-09-30 | ウミガメ

流木を乗り越えるアカウミガメの子供

2010.9.28 15時頃の津市白塚海岸,白塚漁港の南。カラスが多い。茂みの中から野良猫のうなり声が聞こえた。野犬の姿も見える。堤防道路より海側にもう一つの堤防がある。その堤防際の砂浜にテリハノイバラが繁っている。私はその辺りで白いハエを探していた。

テリハノイバラの刺が痛い。足元を見ると,刺だらけの小枝の間で子ガメが逆立ちしている。アカウミガメの子供が海とは反対の陸地側に進んできたのだ。近くの水産加工の工場は夜間灯りが付いている。その灯りが目に入って,海と間違えたのか。周りを探したが,他の子ガメたちは居ない。足跡も3個体程度,途中で切れたりしている。鳥の足跡がやけに多い。
とにかく子ガメを茂みから取り出した。手に持つと肢を力強く動かす。この子は大丈夫だ,一人で生きていけると感じさせた。

海までの道中,海浜植物も乗り越え,漂着物の多いところも乗り越えていった。カメラを向けると,私を避けて進路を変えて進む。障害物の無い所ではスピードが速くなる。タフな子供だ。

巣穴を探したが,野犬が掘ったと思われる穴がたくさん見つかったが,亀の巣穴は発見できなかった。翌日も捜索したが見つけられなかった。他の子ガメたちは無事に海に入っていけたのか,そればかりが気になった。


逆さまになってはいるが,なんとか抜け出そうと動いていた。昨夜のうちに巣穴から出てきたのか,だとすると15時間以上さまよっているのかも。






鼻の穴が二つある。その下に卵歯又は卵角と呼ばれる鋭く尖ったものがある。これを使って卵の殻を割り,出てきたのだ。








最後のハードルも乗り越えた。さあ,海だ。一人ぼっちの旅立ちだ。伊勢湾口に向かって休まず泳ぐぞ。太平洋の黒潮に向かうぞ。


砂浜のマルバアカザ

2010-09-29 | 草花

2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南にて アカザ科アカザ属のマルバアカザChenopodium acuminatum Willd.

高波が運んできた漂着物がゴロゴロしているような,砂浜の比較的不安定な場所に生育するマルバアカザは,6月頃に見る姿と9月末に見る姿とでは大きく異なる。この時期のマルバアカザは茎の色も異なり,葉の殆んどが無くなっている。近似の種も含めて,植物図鑑にもあまり載っていないので,この植物と出会っても同定が難しい。私も10年前にK氏に同定してもらって,ようやくにしてマルバアカザの名前を知った。3年前の夏の写真も引っ張り出して,詳しく紹介しておく。

CD-ROM原色牧野植物大図鑑によると,マルバアカザは
「本州から琉球列島,および朝鮮半島,台湾,中国,モンゴル,シベリア,中央アジア北部の温帯から亜熱帯に分布。海岸の砂地などにはえる1年草。全体に無毛。茎は下部が横にはい,斜上し,高さ30~50cmになる。葉は多肉質。花は夏に咲き,がくの背には稜がある。種子は黒くて光沢がある。和名は葉の形が丸いアカザの意。」

同図鑑によると,近似のカワラアカザは
「本州,四国,九州,琉球列島,および朝鮮半島,中国,ウスリーの温帯から暖帯に分布。河原の砂の上にはえる1年草。無毛。茎の高さ30~70cm,直立しほとんど分枝しない。葉は長さ5cm位,質は厚い。花は夏,黄緑色。花には柄がなく小苞もない。がくは5深裂,宿存し,果実を包む。胞果には種子が1個入る。和名は河原によくはえるから。」

愛知県ではマルバアカザを「海浜の砂地を特徴づける植物の一つで、愛知県では減少傾向が著しい。」として準絶滅危惧種に選定している。
また,愛知県のレッドデータブックには「茎は直立するか斜上して分枝し、高さ20~60cm になる。葉は互生し、有柄、葉身は長楕円形~広卵形、長さ2.5~6cm、幅1.8~4.5cm、先端は鈍頭~円頭、基部は鈍円形、辺縁は全縁で狭い膜質半透明部があり、やや厚くて裏面に粉状物がある。花期は5~10 月、花は密集して細い穂状につき、花序の下部では枝を出すが、それ以上は分かれない。」とある。

『鈴鹿市の自然』には,マルバアカザは鼓ヶ浦海岸と千代崎海岸での記録がある。カワラアカザの記録は無い。ハマアカザは江島海岸と鼓ヶ浦海岸で1968年に記録されている。


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市河芸町 芦原海岸


2010.9.28 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.27 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.27 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.20 津市河芸町一色 豊津海岸


2007.6.20 津市河芸町一色 豊津海岸

アオメアブがハネカクシを狩る

2010-09-28 | ハエ目(双翅目)

ムシヒキアブ科のアオメアブ Cophinopoda chinensis (Fabricius,1794)

津市の白塚海岸でアオメアブ♀を見つけた。良く見ると,ハネカクシの仲間を捕らえている。
今年はあちこちでアオメアブを見かけたが,9月に入ってからは一度も見ていなかった。時期的に,彼らと出会えるのも今年はもうお終いかなと思う。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,アオメアブは「複眼は生時青緑色。翅は淡黄褐で,M3と2ndMの両室は隔離。産卵管は小さく,上下に扁平。」など。

三重県のレッドデータでは情報不足種とされ,「草原にみられる種で捕食性。やや減少しつつあるかにみえ,今後の推移を継続的に調査する必要がある。」としている。

京都府では要注目種に選定されて,「幼虫、成虫ともに捕食性。双翅類では、草原における最大の種であり、草原が自然状態であればかなり普通に見られる。しかし整地や草刈りによって、特に都市周辺では次第に減りつつある。草原の自然度を判定する格好の種として、各地個体群の変遷に注目する必要がある。」としている。

2010.9.28


アオメアブ♀

ネコノシタ 津市の海岸にも

2010-09-27 | 草花

キク科のネコノシタ Wedelia prostrata 

芦原海岸にもかつては生息していたと聞いている。津市内の海岸にも生息していると聞いていて,何度も探しに出かけたがこれまで見つけられなかった。
この日,偶然にも見つけた。
砂浜に長い茎を延ばした見慣れない植物を見つけた。すぐに黄色い花を確認した。探し回っていたネコノシタだ。
周りに何株か見つけたが数えるほどしか生えていない。

津市の海岸では絶滅危惧種だと感じたが,念のため『三重県レッドデータブック2005植物・キノコ』をみると,絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されている。
同書によると,「海岸の砂地にはえる多年草。茎は長く地を這い,節から根をおろす。葉は対生で,卵形被針形,葉面剛毛がある。花は7~10月に頭花をつける。特に個体数が激減している種ではないが,生育地での生育面積は狭く,小群落状である。開発等で砂浜の自然環境が改変されると容易に消滅する可能性が高い。」としている。岡与一さんの担当執筆。
2010.9.27







ネコノシタ


クロバネツリアブ覚書

2010-09-26 | ツリアブ

ツリアブ科のクロバネツリアブ Ligyra tantalus (Fabricius. 1794)

前日に雨が降り,今日は西風が吹いて少し涼しくなってきた。晴天のこの日,海岸地帯のツリアブたちは9月も下旬だというのに元気だ。
マエグロツリアブとスキバツリアブ近縁種はそれぞれ1頭だけ白塚海岸で見つけた。クロバネツリアブは白塚から河芸の海岸一帯で見つけた。豊津海岸では尾端接触行動が見られた。
2010.9.25

27日に白塚から河芸の海岸一帯で,ヤブガラシ群落を見て回ったが,マエグロもクロバネも1頭も見つからなかった。ここ数日の寒さで人間でも風邪を引いて寝込んでしまった知人も居るくらいだから,彼らが生きていくのは難しいのだろう。スキバツリアブ近縁種だけは寒さに少し強いようで,数頭と出会った。
10月1日白塚海岸で1頭のクロバネを目撃。
10月8日白塚海岸で1頭のクロバネを目撃
10月23日豊津一色海岸で1頭のクロバネを目撃


尾端接触行動をするクロバネツリアブ♀


海浜植物の周りをホバリングしながら移動するクロバネツリアブ♀
ひょっとしたら,これが産卵行動かも。


尾端接触行動をするクロバネツリアブ♀


マエグロツリアブ♂

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,クロバネツリアブは「体長13~19㎜。黒色。頭頂から顔面にかけ黒と黄の短毛を装い,顔面は強く隆起して褐色を帯びる。触角第3節は前2節の和より大,円錐形で,端刺は細いが長く,その先に更に淡色微刺が存在する。腹部第3・7節に白色鱗毛帯がある。翅は黒褐で,やや紫光沢を帯び,亜縁室は4室(日本産の他属では2室)。褥盤を欠く(マエグロツリアブとスキバツリアブ同様)。分布:北海道を除く日本全土;朝鮮半島・台湾・中国・東洋区。」などとある。
なお,褥盤(じょくばん)とは脚の附節先端部にある肉質のパッドのこと。

昨年,中国農業大学大学院生の2名が大阪市立自然史博物館を訪れ,二人が研究を行っているツリアブ類とアタマアブ類について,博物館に所蔵されている標本類(タイプ標本を含む)を検閲し,100個体ほどの標本は大学の研究室に持ち帰り交尾器などを精力的に精査し,正確な同定を行ったという。今年に入ってからも博物館のクロバネツリアブ関係の標本が中国人に貸し出されていたが,ようやく戻ってきた。それらの内,故永冨昭博士が収集したLigyra属の標本をこのほど見せてもらった。Gang Yao氏同定のラベルが付いていた。性別も全て記入されていた。手書きではなく全て印字されたものであった。
dammermaniとzibrinusという種名もあったが,これまで聞いたこともない学名である。見掛け上はクロバネツリアブとの違いが判らなかった。新種記載が最近行われたのかもしれないが,参考になる資料は添付されていなかった。
マエグロツリアブ(Ligyra similis)♂と同定された標本も1頭だけあった。
驚いたことに,クロバネツリアブ♀と同定されていた標本の中に,マエグロツリアブ♀を見つけた。それも1頭だけではなく,5頭のマエグロツリアブ♀が全てクロバネツリアブ♀と同定されていた。
これは明らかな誤同定である。O氏に見せると,ひと目で「この5個体ですね。いくつかの点でクロバネツリアブとはハッキリ異なりますね」と指摘した。
Gang Yao氏が判定した同定ポイントを知りたいものだ。

原色日本昆虫図鑑(下)によると,クロバネツリアブの学名がExoprosopa tantalus Fabricius となっていて,「体長11~19㎜,翅長13~20㎜。日本産のツリアブ中の最大種。体はビロウド様黒色で黒色短毛を密生する。顔面は橙黄色。あしは細く黒い。翅は長大で全体一様に黒褐色。腹部第3節には黄色毛よりなる横帯が,尾端の2節にはそれぞれ白色毛よりなる横帯がある。」などとある。

2004年発行の『改訂新版 世界文化生物大図鑑 昆虫Ⅰ』によると,クロバネツリアブ Exoprosopa tantalus Fabricius は「体長13~19㎜。体と翅が黒色の大型種。胸部の前縁と側縁に橙黄色の長毛帯がある。幼虫は寄生性。成虫は春から夏にかけて出現。日当たりのよい林縁の花上でみられるが,暖地では日当たりのよい川岸などのしめった土に多数あつまっているのが観察される。日本全土に分布。」

1989年発行のの『昆虫分類学』に,ツリアブ科は「前縁脈は翅縁を完全に回る。体は密に毛で覆われる。幼虫は昆虫の卵か幼虫に寄生し,過変態するものがある。英名Bee flies。」などとある。

クロバネツリアブ
干潟のクロバネツリアブ
雨中のツリアブたち
ツリアブ2種の距離
ツリアブたちの初見日


ツルギアブ科Acrosathe sp.の訪花

2010-09-25 | ハエ目(双翅目)

ツルギアブ科Acrosathe sp.の雌がヤブガラシに訪花

津市の芦原海岸。ヤブガラシに訪花するツルギアブを見つけた。ツルギアブに訪花性があるなんて。
この雌は葉から花へ,花から花へ,葉から葉へと小躍りするように動き回っていた。
これまでマサキやハマゴウなどの葉上に居る複数種のツルギアブを観察してきたが,花の蜜を舐めるところは見ていない。蜜をうれしそうに舐めているツルギアブを見たのはこの日が初めてである。

Acrosathe属の特徴は,「平均棍の先端球(基部を除く)は淡褐か黄褐で,先端球の基方の暗褐部よりもはるかに広い」。
このツルギアブもAcrosathe sp.かも。6~7月に良く見かけたのと同種かもしれない。Acrosathe属のいくつかの種が秋にも出現すると聞いている。
タシマツルギアブは今のところ日本海側にしか記録が無さそうである。
雌の腹部背面の斑紋には,個体差はあるものの,種間での相違もあるようであるが確実性に少し欠ける。
背中の白毛と黒毛の生え方にも種の特徴があるが,この毛は脱落しやすいようで,標本に少し触っただけで脱落してしまうこともあるので要注意である。
とにかく信用できるのは解剖して♂交尾器を見ること。
難儀なことである。

私は現在,三重県産のツルギアブについて80個体以上のデータを持っている。その採集者は5人ほど。いずれ発表しなければと思っている。

2010.9.22
ナギサツルギアブ覚書
砂浜のツルギアブ
シオサイツルギアブ覚書








田中川干潟の初秋

2010-09-24 | 風景

2010.9.22 芦原海岸から田中川干潟に向かう。
足元にはオオフタバムグラが大繁殖している。


手前の植物はケカモノハシ


ハママツナは満潮の水に沈み,ナガミノオニシバの株もとにまで海水が来ている。
黄色の花を咲かせていたハマサジはすっかり赤茶色に変色している。


ハマサジの赤茶色の花穂に止まるクシヒゲハイイロヒメシャク


オオフタバムグラの株に止まったツルギアブ科Acrosathe属sp.の♂


2010.9.13に数輪の花を咲かせていたハマボウ2代目





アキノミチヤナギの季節

2010-09-23 | 草花

タデ科ミチヤナギ属のアキノミチヤナギ Polygonum polyneuron 

田中川干潟は秋の気配。ハマサジの花穂が赤茶色に変わってきた。ホソバハマアカザの株も大きくなってきた。そのホソバハマアカザが生えている所よりも少し高いところにアキノミチヤナギが群生している。

道端で普通に見かけるミチヤナギに良く似ている。ミチヤナギは高さ10~40cm,アキノミチヤナギの高さは約80センチ。40cmまでの成長過程のアキノミチヤナギはミチヤナギとの区別が分らない。花期はミチヤナギが5~10月,アキノミチヤナギが9~10月。

『野に咲く花』によると,アキノミチヤナギは「茎の上部では葉が小さく落ちやすいので穂状花序のように見える」という。その状態になるのはもう少し経ってからだと思う。今は未だ葉が落ちていない。

図鑑には海岸に生えると書いてあるが,この辺りの砂浜海岸には生えていない。ここでは干潟の塩生植物と一緒に生えている。二代目ハマボウの近くにも生えている。だから,アキノミチヤナギは塩生植物の一つだと私は思っている。

2010.9.22







左はホソバハマアカザ 右がアキノミチヤナギ







ジャケツイバラの幼虫

2010-09-22 | 

棘の多いジャケツイバラの太い枝に,枝と同色の幼虫を見つけた。体長は約6センチは有る。
ここは鈴鹿市の椿渓谷,石ころだらけの川原。

幼虫は,食草と体長から判断してヤガ科シタバガ亜科のルリモンクチバ Lacera procellosa Butler, 1879の幼虫であろう。
体長3センチほどの幼虫も同じ株の葉を食べていた。
成虫の出現月は 6-8,10-11月。

2010.9.11

ルリモンクチバ幼虫 体長約6センチ


ルリモンクチバ幼虫 体長約6センチ


ジャケツイバラの葉を食べるルリモンクチバ幼虫 この幼虫は体長約3cm


ジャケツイバラの種


マメ科又はジャケツイバラ科のジャケツイバラの株  


河川敷のノゲイトウ

2010-09-21 | 草花

ヒユ科ケイトウ属のノゲイトウ Celosia argentea

鈴鹿川派川の川原でノゲイトウの群落を見つけた。
ノゲイトウは熱帯原産の帰化植物で,一年草。

『野に咲く花』によると,「本州西部・四国・九州・沖縄に帰化している。畑などに生え,高さ0.4~1㍍になる。花期7~10月。」

2010.9.20







河川敷のブタクサ

2010-09-20 | 草花

キク科ブタクサ属のブタクサ Ambrosia artemisiifolia

安濃川の河川敷に見慣れぬ雑草が群生していた。調べると,ブタクサであった。名前は知っていたが,実物は初めてのような気がする。

ブタクサは北アメリカ原産の一年草。花粉症を起こすことで知られる帰化植物である。
『野に咲く花』によると,夏から秋にかけての花粉症の原因のひとつになっている。高さ0.3~1mになり,花期は7~10月。

2010.9.17





河岸にヒレタゴボウ

2010-09-19 | 草花

アカバナ科チョウジタデ属のヒレタゴボウ Ludwigia decurrens

津市安濃町の安濃川。河岸近くの湿地帯のような場所にヒレタゴボウが黄色い花を咲かせていた。株は何株も見られた。

ヒレタゴボウは北アメリカ原産の一年草で,アメリカミズキンバイの別名を持つ。
『野に咲く花』によると,「花は黄色で直径約2.5㌢。花弁は4個あり,花弁と花弁の間にはすきまがある。花は長さ1.2~1.8㌢。花期8~10月」

2010.9.17

ヒレタゴボウの果実。先端には先が鋭く尖った萼片が残る。

マユタテアカネ♂

2010-09-18 | トンボ

トンボ科アカネ属のマユタテアカネ Sympetrum eroticum eroticum

津市安濃町の安濃川河川敷。堤防から河岸へ降りる道の両側は丈の高い草木が育っていて,ほの暗い林縁のおもむき。
マイコアカネよりは少し大きいが,やや小ぶりの赤とんぼを見つけた。少しでも明るいところへと追い立てようとするが,なかなか思うようには行ってくれない。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,マユタテアカネの体は黄褐色であるが,成熟♂は腹部が赤化する。♂は前額前面に2個の眉斑があり,尾部上付属器は先半が直角に上に屈折する。極東におけるアカネ中最も分布が広く大陸ではウスリー・中国北部・朝鮮半島からさらに南方に広がり台湾にもいる。日本では北海道・本州・四国・九州・種子島・屋久島に分布し,7月から11月にわたって出現する。

この図鑑には♀の眉斑についての記述は無いが,2個の眉斑は雌雄共に有る。
普通種と言えども,どこにでも居るわけではない。我が家の庭でも見たことが無いし,砂浜海岸でも見たことが無い。
眉と言われている黒斑が私には鼻くそが詰まったようにしか見えず,長い間トンボの眉がどこを指すのか分らなかった。いまだに眉が立っているようには見えない。

2010.9.17



キタテハに好かれた私の汗

2010-09-17 | チョウ

私の汗を舐めるキタテハ

安濃川の河川敷。キタテハの幼虫が食べるカナムグラはふんだんにある。
左の手にキタテハの成虫が止まった。私の汗を舐めだした。何分間も舐めているので,煩わしくなって振り払ったら,今度は右手に止まって汗を舐める。
6分以上も舐め続けて止めようともしないので,腕を振り回して追い払った。それでもまだ私の体の周りを飛び回って止まろうとする。

以前ウラギンシジミにも汗を舐められたことがある。
2010.9.17

ムモンホソアシナガバチ

2010-09-16 | ハチ目(膜翅目)

スズメバチ科のムモンホソアシナガバチ Parapolybia indica (Saussure)

津市河芸町赤部の里山。ヤブガラシに訪花するムモンホソアシナガバチを見つけた。
体色が黄色で,このような淡褐色の斑紋があるハチなんて,これまであまり出会っていない。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ムモンホソアシナガバチは体長15~20mmで,胸部側面には暗色斑を欠く。肢は大部分黄色。♀の頭楯は全体黄色で黒斑を欠く。♂の体は♀に比べ著しく細い。ムモンホソアシナガバチでは巣は葉裏などに作られ楕円形か円形で,近縁種のヒメホソアシナガバチの巣のように垂れ下がることは無い。

2010.9.7