田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

キョウトシギアブ

2014-11-22 | ハエ目(双翅目)

シギアブ科のキョウトシギアブ Chrysopilus kyotoensis (Frey,1954)

キョウトシギアブの和名は,ネット検索しても京都府自然環境目録しかヒットしない.日本昆虫目録には,学名はあっても和名はなく, Type locality;Kitashirakawa 分布;本州 とあるのみ.Kitashirakawaとは京都市左京区北白川のことか.

このキョウトシギアブは,体長6㎜前後のシギアブで,各地の河川岸辺の草地に普通に見られるが,図鑑類には載っていない.また,同定が難しく,地域の昆虫調査においてもこれまでほとんど記録されることがない.

この写真の個体は2013.4.16津市の雲出川でみつけたもの.同定をお願いした方は,何度も何度も標本を眺め,参考文献を何度も読み返していた.数少ない標本では同定に自信が持てないこともあるとも聞いた.標本での同定ですら悩ましいのたから,写真のみでの同定など不可能と言って良かろう.下の参考文献は英文.日本語の絵解き検索が欲しいものだとつくづく思う.

参考文献
Akira Nagatomi (1968) The Jananese Chrysopilus (2) (Diptera, Rhagionidae).Mushi,Hukuoka,42:Pars 42.

クロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)

2014-11-20 | ハエ目(双翅目)

ハナアブ科Pipiza(コヒラタハナアブ属)のクロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ) Pipiza lugubris (Fabricius, 1775)

2013.9.13 愛知県にて.マツムシソウに訪花するクロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)と出会った.
Pipiza(コヒラタハナアブ属)の仲間は同定が難しく,詳しくは知らないがいろんな問題を抱えているようである.この写真の個体も標本をとって詳しい人に見てもらった.現時点ではクロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)と同定できるということであった.千島,北海道,本州,ヨーロッパ,ロシアに分布.

この属は,日本昆虫目録第8巻には8種が載っているが,10年以上前に発行された「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方」には,日本産は近年報告されたものを含めて10種.なお検討の余地があるという.互いに非常に似かよっていて,同定は難しいともいう.新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには,この属は1種も載っていない.

翅の特徴的な斑紋も濃淡などに個体差があるようである.


クロモンコヒラタハナアブ(クロモンコハナアブ)

ツワブキケブカミバエ

2014-11-19 | ハエ目(双翅目)

ミバエ科のツワブキケブカミバエ Paratephritis fukaii Shiraki 

2014.4.25 尾鷲市で出会ったミバエは,その幼虫がツワブキの葉柄や花梗内に寄生し,ツワブキハグキフクレフシという虫こぶを作る形成者として知られている.
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ツワブキケブカミバエは翅長5㎜前後,頭部,脚部,平均棍などは褐色.胸部と腹部は褐色地に灰色の微粉をまぶしたように見える.前翅先半部の褐色斑紋とそれを横断する透明部の境界が直線状である.本州から九州まで分布.


ツワブキケブカミバエ Paratephritis fukaii

ヨモギの虫こぶ3種類

2014-11-18 | 虫こぶ
2014.11.12 亀山市椿世町の農道で,ヨモギに作られた3種類の虫こぶを見つけた.


ヨモギハベリマキフシという虫こぶ.ヨモギクダナシアブラムシがヨモギの葉に作らせる虫こぶで,1年中見られるという.ときには葉全体が巻縮するようだ.

ヨモギハベリマキフシ


ヨモギクキコブフシという直径10㎜ほどの虫こぶ.ヨモギの茎の側面にできる.ヨモギクキコブタマバエが形成者.成熟した虫こぶは裂開し,虫室が出現する.幼虫越冬.


ヨモギハシロケタマフシというヨモギの葉裏ときに葉柄につくられる球状の虫こぶ.白色の微毛が密生.初夏から秋まで見られる.形成者はヨモギシロケフシタマバエ.


ヨモギハシロケタマフシ


ヨモギハシロケタマフシ

バラ2種

2014-11-17 | 樹木

パパ メイアン Papa Meilland

11月初旬,安曇野の知人宅を訪ねた.庭に2種類のバラが咲いていた.どれも初めて知る種類であった.
まずはパパ メイアン.ラベルには四季咲大輪系,強く濃厚な香り,黒バラの銘花ですとある.色が赤くて,甘美な香りがするなんて,最高.

パパ メイアン Papa Meilland


こちらはアンネの形見 Souvenir d'Anne Frank 1960 Delforge

アンネの形見はアンネの思い出とも訳されているが,通称アンネのバラと言われている.アンネとは,アンネの日記で有名なアンネ・フランクのこと.蕾は赤いが,黄色く咲いて,やがてピンクになっていくという.

アンネのバラを庭で育てている知人の平和を愛する心が感じられ,安らいだ.

アンネのバラ


アンネのバラ 赤い蕾

シキミハコブフシ

2014-11-16 | 虫こぶ

シキミハコブフシ

2014.9.15 菰野町田光の林縁でシキミの葉に虫こぶが出来ているのを見つけた.
シキミタマバエによってモクレン科シキミの葉表面・裏面にできる虫こぶである.未熟時は黄緑色,成熟すると黒褐色になる.終齢幼虫は虫こぶの中で越冬.1虫室に1幼虫が入っているらしい.


シキミハコブフシ 2014.9.15


シキミハコブフシ 2014.9.15 葉裏にも葉表にもできている