田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ツルリンドウの赤い実

2015-12-07 | 草花

リンドウ科のツルリンドウTripterospermum japonicum

2015.11.21 伊賀市の里山.明るい山道を歩いていると,そこかしこに赤い実が目についた.つる植物ツルリンドウの実である.
虫を探して歩き回っているのだが,虫を見つけられなくても赤い実と出会うと癒される.
また,出かけよう.伊賀の里山へ.



オオハナワラビ

2015-11-26 | 草花

ハナヤスリ科ハナワラビ属のオオハナワラビ Botrychium japonicum (Plantl) Underw.

鳥羽市の菅島に出かけた.木漏れ日が時々差している程度のうす暗い尾根筋の遊歩道を歩く.風は強かったが,暖かい日で少し汗をかいた.前を歩いていた二人連れの人が立ち止まってシダ植物を眺めている.「これ,オオハナワラビですよね」「そうですね」と言い合っている.
見ると,フユノハナワラビとそっくりの姿だ.
オオハナワラビの高さは30~50㎝で,山地のやや湿った林内に生息する.茎に毛が散在する.

2015.11.24

コバノカモメヅル

2015-09-07 | 草花

ガガイモ科カモメヅル属のコバノカモメヅルVincetoxicum sublanceolatum

雨の日が続き,しばらく調査に行けなかった鈴鹿市の深谷公園に出向いた.湿地周りでコバノカモメヅルの花を見つけた.この花を初めて見たのは15年前,他の植物に絡み付いて赤紫の花を咲かせていた.美しくか弱いものが何かに縋り付いて生きている.大好きな花だ.

つる性の多年草.本州の関東地方,中部地方,近畿地方の山野の草原や湿地に自生するという.

2015.9.2

秋海棠

2014-09-21 | 草花

シュウカイドウ科ベゴニア属のシュウカイドウ 秋海棠 

2014.9.13 大台町の大杉谷に向かった.大杉谷と言っても宮川ダム湖のほとり,大杉谷登山センターのあるあたり.駐車場やトイレもあるので必ず車を止める.この登山センター周辺でシュウカイドウの群生を見つけた.この地域の冬は寒さ厳しいことだろうが,しっかり野生化している.ずいぶん久しぶりに出会った花だ.

秋海棠は,江戸時代に中国から渡来した帰化植物で,この季節に淡紅色の花をたくさん着ける風情の優しい花だ.断腸花とも呼ばれ,この花をこよなく愛した永井荷風は庭に植え,その自宅を断腸亭と呼び,自らを断腸亭主人と称し,断腸亭日乗という日記を著した.

荷風の作品はたくさん読んだことがあるので,この秋海棠は我が家にも植えて楽しんでいたのだが,いつの間にか消えてしまった.大杉谷に向かえば,また断腸花に会える.何度でも出かけることにしよう.


カワラマツバ 干潟で花咲く

2014-07-03 | 草花

アカネ科ヤエムグラ属のカワラマツバ Galium verum var. asiaticum f. nikkoense

2014.6.20 松阪市の松名瀬干潟へ出かけた.この日は泥干潟には入らず,堤防近くの原野のような場所をうろついた.テリハノイバラやカワラヨモギの株がたくさんあったし,カワラマツバの白い花も目立っていた.こんな場所に人が入っているのを今まで見たことがない.

『日本の野草』によると,カワラマツバは乾いた河原などに生え,葉が松葉のように細いことからカワラマツバという.花が白くて果実に毛がないことから,キバナカワラマツバの品種とされる.花期は7~8月.




カワラヨモギの葉も見えている.


ゴマクサ

2013-09-22 | 草花

ゴマノハグサ科のゴマクサCentranthera chevalieri Bonati

2013.9.7 伊賀市でゴマクサの生息を確認した.なかなか珍しい植物のようで,三重県では絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されている.名前は,花や果実がゴマに似ていることによるもの.

三重県レッドデータブック2005によると,日当たりの良い湿地に生える1年草.茎は直立して硬く10~60㎝で短い剛毛がある.県内ではいなべ市,鈴鹿市,伊賀市に記録がある.

愛知県でも絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されていて,全国的に減少傾向の著しい湿地性植物だという.

栃木県では絶滅危惧Ⅰ類に選定されていて,「種子は翌年は発芽せず3~5年間休眠し、7月中旬に裸地で発芽する。ポリネーターはヒラタアブの仲間」だとするなど,ゴマクサの詳しい生態が記述されている.




ナチシダ

2013-07-18 | 草花

イノモトソ科の暖地性シダ植物 ナチシダ Pteris wallichiana

熊野市紀和町の林道で,シダに詳しい方からナチシダを教えていただいた.葉は5角形に広がり,高さは1メートルほどもあり,庭に植えておいても見栄えがしますよとのこと.ナチとは那智のことなので,この地方ではさほど珍しいものでもないようだが,私は初めて見た.鹿が食べないのだとも聞いた.

ナチシダは本州の関東以西から九州に見られる大型の美しい種で,葉の長さが2メートルにもなる.葉は三つに分岐するが,側方の二つはさらに二つに分かれる.(山渓フィールドブックス14)

2013.7.7



楯ケ崎のモロコシソウ

2013-06-20 | 草花

サクラソウ科オカトラノオ属のモロコシソウ Lysimachia sikokiana

熊野市の楯ケ崎へ出かけた.蒸し暑い日で山道を歩いていて汗だくとなったが,モロコシソウの黄色い花が癒してくれた.

『山に咲く花』によると,暖地の海近くの林内に生える高さ30~80㌢の多年草.花期は7~8月.
「ナス科のような風情」と写真の説明があった.

2013.6.18



イナモリソウ

2013-06-15 | 草花

アカネ科イナモリソウ属 イナモリソウ Pseudopyxis depressa Miq.

2013.6.9 三重県南勢地方の山地にて,イナモリソウと出会った.生育している株数は意外と少なくないと感じられた.あたりには他の植物が生えていなかった.

『山に咲く花』によると,イナモリソウは山地の木陰に生える高さ3~10㌢の多年草.花期は5~6月.

三重県レッドデータブック2005では,準絶滅危惧種に選定されていて県内では北勢,中勢,伊賀,南勢地域などで記録があるとしている.


林縁のリュウノウギク

2012-11-19 | 草花

キク科キク属のリュウノウギクChrysanthemum japonicum

2012.11.12 津市美里町穴倉の林縁でリュウノウギクを見つけた.この花を見つけると,葉をもんで香りを楽しむことにしている.

『野に咲く花』によると,「茎や葉に竜脳のような香りの揮発性の油が含まれていることによる.竜脳は,ボルネオやスマトラ原産のリュウノウジュからとれる香料で,樟脳の香りに似ている.リュウノウギクの葉をすりつぶし,ショウガをまぜたものは肩こりや腰痛に効くという.日当たりのよい丘陵や山地に生える高さ40~80㌢の多年草.」

一度,薬として使ってみようかと思う.




コメナモミ

2012-11-08 | 草花

キク科メナモミ属のコメナモミ Sigesbeckia glabrescens

亀山市坂本の日当たりのよい道端でコメナモミを見つけた.

『野に咲く花』によると,「山野の荒れ地や道ばたなどに生える高さ0.35~1㍍の1年草.メナモミに比べて全体に小さく,ほっそりしている.茎や葉には短い伏毛がまばらに生えるが,長い開出毛はない.」

2012.10.20


花柄には腺毛はない




メナモミ

2012-11-01 | 草花

キク科メナモミ属のメナモミ Sigesbeckia pubescens

伊賀市法花地区の湿地帯に出向い時に,道端の草むらの中で咲いているメナモミの黄色い花を見つけた.
『野に咲く花』によると,メナモミは山野に生える高さ0.6~1.2㍍の1年草.茎の上部には白い開出毛が密生する.総苞片や花床の外側の鱗片には腺毛が密生して粘り,そう果と一緒に動物などにくっついて運ばれる.花柄にも腺毛がある.葉には翼のある長い柄がある.花期9~10月.

同属のコメナモミとよく似ている.

2012.10.13




湿地のサワギキョウ

2012-10-18 | 草花


キキョウ科ミゾカクシ属のサワギキョウ Lobelia sessilifolia

伊賀市法花の湿地でサワギキョウの花を見つけた.高さ1メートルほどもあり,他に背の高い植物が生えていないのでよく目立った.丈の低い株やら倒れ掛かった株など,すでに花を落とした株が群生していた.花期も終わりのようだ.サワギキョウは紫色の美しい花を咲かせるが,有毒植物としても知られている.

『山に咲く花』によると,山地の湿地に生える無毛の多年草.しばしば群生する.花期は8~9月.

株に近づこうとしたら,周りの地面が揺れる.まるで浮島のような沼地であった.はまり込んだら抜け出せなくなるかもと思った.一人でやってきて,山道から外れた湿地に入り込むのは危険だ.くわばらくわばら.
2012.10.14


三峰山のツルニンジン

2012-10-17 | 草花

キキョウ科ツルニンジン属のツルニンジン Codonopsis lanceolata

松阪市飯高町の三峰山(みうねやま)に向かった.登山口までの道すがら,何度も車を止めて昆虫を探していると,これまで図鑑でしか見たことのなかったツルニンジンの花を見つけた.
『野に咲く花』によると,山麓や平地の林内に生えるつる性の多年草.花は側枝の先に下向きにつき,外側は白緑色で内側に紫褐色の斑点がある.茎を切ると,白い乳液が出る.花柱の先が大きくふくれて3裂し,裂片の幅が広いのはツルニンジン属の特徴のひとつ.花期は8~10月.別名ジイソブともいう.

気の滅入ることがあったら,遠出をする.きっとまだ見ぬ生き物に出会えるから.出会えたら幸せになれるもん.
2012.10.10



ヤマゼリ

2012-10-16 | 草花

セリ科ヤマゼリ属のヤマゼリ Ostericum sieboldii

松阪森林公園の近く.渓流沿いの道端に白い花を見つけたので,近づいてみた.
『野に咲く花』によると,ヤマゼリは山野に生える高さ0.5~1㍍の多年草.茎は中空で上部はよく枝分かれする.花期は7~10月.5個の花弁の先端は爪のように内側に曲がる.

なにか虫はいないかと探したが,虫は来ていなかった.

2012.10.10