田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

春の蛾

2007-02-28 | 
オカモトトゲエダシャク

オカモトトゲエダシャク
昼休みに公園を散策していて、ケヤキの木に止まる一匹の蛾を見つけた。
エダシャク亜科のオカモトトゲエダシャク♂。
羽化してきたばかりの個体であろうか、風も無い温かな日差しを受けて、微かに体を動かしていた。
1年のうち、3月と4月にしか成虫は見られない、夏も冬も蛹の状態でいるという。雌はなかなか見つからないらしい。
普通種だが、私は初めて出会った。
2007.2.26

オカモトトゲエダシャク


オカモトトゲエダシャク

消える運命

2007-02-25 | 風景
マリーナ河芸の北
田中川河口の左岸にある池。すでに中ほどまで埋め立てが進んでいる。
元は養鰻池。個人の所有地でマリーナの会社が借りている。
半年ほど前、この池の活用について検討中であることをマリーナ側から知らされた。新たな利益源としてこの池の土地活用を考えているとのことであった。
会社の経営者に対して、希少野生動植物種保存推進員の方や野鳥の会関係者からもこの池の大切さについて助言をしてもらった。しかし、経営者は「この池の借上料をあなた方が負担してくれますか」と埋め立てての活用もやむを得ないと主張した。

あれから半年。池が埋まっていく。
チョウトンボが舞い、バンが子育てしていた池。
メダカやシマゲンゴロウがいた池。ゴイサギがよくやってきた池。
子どもたちとアオモンイトトンボの羽化を観察した池。

池としての資源の活用方策を切り捨てた経営陣に対して、怒りを覚えてしまう。
消えていく池を見ながら、約20年前に消えた田中川左岸の干潟のことを思った。先人たちの怒りと涙を思い出した。右岸の干潟が保全されることを条件に、マリーナ建設に反対していた人たちも止むを得ず左岸の開発には同意した。
7年ほど前にタチスズシロソウの自生が確認できなくなって、ある長老を訪ねた。彼は左岸開発に同意したことを悔やんだ、「あの開発が無かったら」と。

20年ほど前に多くの人が涙を飲んで許したマリーナの建設、今そのマリーナが新たな開発を進めている。
一度許した開発は歯止めのルールが無いから、どこまでも広がっていく。つくづく怖いものだと思う。
毎年5月の連休前には姿を見せるオオヨシキリやツバメたちのことを考えてしまう。
トンボを追いかけていた子どもたちは、なくなってしまった池をどう想うだろう。
2007.2.24

マリーナ河芸の北
オオヨシキリが毎年巣作りをしていたヨシ群落。松並木のあたりにはタチスズシロソウがかつて生育していた。

マリーナ河芸の北
右手の建物は岐阜マリンスポーツセンター、正面奥の建物はマリーナ河芸
左の堤防の向こう側には伊勢湾

河口のオナガガモ

2007-02-23 | 
オナガガモ
オナガガモはカモ科の冬鳥。
河口の岸辺で休んでいるのをあちこちの河川で見る。
田中川の岸辺では見たことが無い。岸辺らしい岸辺もないし、人の出入りも多いので仕方あるまい。
田中川右岸の海岸ではマガモたちと一緒に行動しているオナガガモを何度も見ている。
マガモとオナガガモの交雑個体も居るようで、図鑑で見たことがある。
2007.2.15

オナガガモ
中ノ川河口にて

オオキノコムシ科の幼虫

2007-02-22 | 甲虫
ヒメオビオオキノコムシの幼虫
去年の夏に鈴鹿市内のある神社で、きのこを貪る幼虫を見つけた。これまでいろいろ調べてきた結果、ようやく正体がわかってきた。
オオキノコムシ科のヒメオビオオキノコムシの幼虫。

鈴鹿市内の甲虫類はこれまでもよく調べられており、これからの調査活動もますます進んでいくと思われる。
鈴鹿市内のキノコムシについても熱心な研究者が居て、その方に先日お伺いしたところ、この神社にはルリオオキノコムシとヒメオビオオキノコムシの2種類のオオキノコムシ科が生息しているとのこと。また、ヒメオビオオキノコムシに良く似たミヤマオビオオキノコムシは山地性だから鈴鹿山脈の麓までいかないと見つからないとのことであった。
今年の夏も彼らに会いに出かけようと思っている。
2006.6.24
ヒメオビオオキノコムシの幼虫

ヒメオビオオキノコムシの幼虫

コガタスズメバチ越冬中

2007-02-21 | ハチ目(膜翅目)

鈴鹿市内のある神社林で朽木の樹皮をはがして越冬中の甲虫類を探した。
一匹のコガタスズメバチが越冬していた。
女王蜂である。
前脚を動かし、目をこするような仕草をした。口も開いた。怒っているんだろうなあ。
怖かったけども、接写した。

女王蜂だけが越冬して生き残る。目覚めた女王蜂は一人で巣を作り、一人で卵を産み幼虫たちを育てる。
2007.2.17
コガタスズメバチ女王蜂

コガタスズメバチ女王蜂


寝ぼけているのか,寒さで体が動かないのか,ひっくり返ってしまったりもしていた。

追記
てっきりオオスズメバチだと思い込んでいましたが,2011.2.15指摘を受けコガタスズメバチに訂正いたしました。

ハートマーク

2007-02-17 | カメムシ
エサキモンキツノカメムシ
鈴鹿市内の神社で落葉下の昆虫を探した。最初に見つけたのがこのカメムシ。
ツノカメムシ科のエサキモンキツノカメムシ。
このカメムシの母親は卵を抱くように守り、幼虫の保育もする習性があることで知られている。
黄色のハートマークが美しい。
2007.1.27


ユウマダラエダシャク幼虫

2007-02-16 | 
ユウマダラエダシャク
1本の斑入りマサキが山道の土手に植えられている。
これに数十匹のユウマダラエダシャク幼虫を見つけた。
シャクガ科エダシャク亜科。幼虫はニシキギ科のマサキやコマユミを食べる。
幼虫に軽い刺激を与えると、糸にぶら下がりながら落下していく。糸を手繰ってみても、やはり地面へと下がっていってしまう。
葉の食害は激しく、マサキにとっては害虫。
2007.2.11

ユウマダラエダシャク

ユウマダラエダシャク



干潟のメジロ

2007-02-13 | 
メジロ
毎年、冬になると必ず干潟にやってくるメジロ。
いつもはマサキの木の周りに居ることが多い。
今日は3羽の小さな群れ。クズのツルに止まってからハマボウの古木へ移り、ヨシ原の中に入っていった。
ヨシの中で彼らはさえずることもなく、揺れるヨシに身を任せている。ブランコを楽しんでいるように思えた。
ハマボウの小枝に居るときは聞こえていたさえずり、なぜヨシに居るときはさえずらないのであろう。
2007.2.12
メジロ

メジロ



2月のダイサギ

2007-02-11 | 
ダイサギ
いつものように堤防から干潟をのぞいてみると、大きなサギが魚を探していた。
日本の白サギ類では最大のダイサギ。
久しぶりの出会いだったが、魚を捉えるところを見ることなく、直に干潟から隣の池の方へゆったりと飛んで行った。
足が黒いからチュウダイサギだろうか。
2007.2.10

ダイサギ

ダイサギ



千里海岸にツグミ

2007-02-09 | 
ツグミ
群れになって秋にシベリアあたりからやってくると図鑑には書かれているが、田中川干潟の周辺で見かける彼らはいつも1羽で動き回っている。砂浜の草地や波打ち際近くでも見かける。ハマボウの木に止まっている事もある。
昆虫類の幼虫を食べているらしい。
胸を張る姿勢がかっこいい。胸を張って生きていきたいものだ。
ツグミ科のツグミ、冬鳥
2007.2.4

ツグミ

ツグミ



干潟のゴキブリ

2007-02-07 | 田中川
ウスヒラタゴキブリ
干潟の堤防際にススキが生えている。
その株元を這いつくばって、越冬中の昆虫類を探していると、なにやら小さな虫が数匹、ススキの株周りや茎葉を、気ままに走り回っている。
チャバネゴキブリ科のウスヒラタゴキブリの幼虫のようだ。
この辺りでこれまで見かけたゴキブリの成虫は、モリチャバネゴキブリばかりであった。
ウスヒラタゴキブリは、木の上で生活する種らしい。近いうちに葉陰に隠れている成虫に出会えるかもしれない。
近くに生えている樹木はハマボウとマサキ。さて、どちらの樹上に現れることやら。
2007.1.29

ウスヒラタゴキブリ

ウスヒラタゴキブリ
3枚目の写真は別個体


砂浜のサシガメ

2007-02-05 | カメムシ
モモブトトビイロサシガメ
砂浜のサシガメとしては、ヤニサシガメが松の木で生活しているのを何度も見ている。もう一種、モモブトトビイロサシガメが流木の下にいるのを見つけたことがある。
この日、砂浜に落ちていた角材の裏側で越冬しているモモブトトビイロサシガメの5齢幼虫を見つけた。
成虫で越冬すると図鑑には書かれているから、この幼虫の親や兄弟たちも近くにいるのだろうか、少し探してみたが見つけられなかった。
2007.2.4
モモブトトビイロサシガメ

イチモンジカメムシ越冬中

2007-02-04 | カメムシ
イチモンジカメムシ
砂浜に群生するハマダイコンの株元辺りを調べていて、小さな木屑の裏側でじっとしているカメムシを見つけた。
体長は1センチくらい、カメムシ科のイチモンジカメムシ。マメ類の害虫。
淡紅色の横帯があるのは♂、メスの横帯は淡緑色。メスにはまだ会えていない。
2007.2.3