田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

アカモンコナミシャク

2012-12-31 | 

シャクガ科ナミシャク亜科のアカモンコナミシャク Palpoctenidia phoenicosoma semilauta Prout

2012.5.6 津市白山町川口.丘陵地の林縁にあるとある施設の壁面に止まる蛾,アカモンコナミシャクと判明.薄く紅をあしらって,白壁に良く似合っている.
開張15~18㎜.成虫は4~7月頃にみられるようだ.
近県では記録されているが,三重県ではどうなのだろう.

三重県の蛾類については誰もまとめてくれる人が県内にはいないので困ったものだ.三重県生物目録を作ろうとしている動きはあるが,蛾類は誰もやってくれない.

ヤマトヤチバエ

2012-12-18 | ハエ目(双翅目)

ヤチバエ科のヤマトヤチバエ Limnia japonica Yano

松阪市飯高町波瀬で灯火採集した折に見つけたヤチバエ.近くを櫛田川が流れる.

日本産水生昆虫(2005.東海大学出版会)によると,ヤマトヤチバエの「成虫は河川沿いの草地に生息する.日本でのみ分布が知られ,九州で5,8,9月,本州では7~9月,北海道で8月に普通に見られる.額および触角は黄褐色,顔は黄白色,中央に暗色帯をもつ.脚は黄褐色;前胸基腹板は剛毛を持つ;翅長6.5mm,体長7.5~8.0mm.前翅の前縁は透明斑が少なくその他の部位よりも暗色がかっている.」
また,同書によると,セスジヤチバエ属Limniaの特徴は「触角刺毛は白色,かつ白色軟毛で覆われる.前翅は網目状の斑紋をもつ.翅脈(veinA1+CuA2)の先端は前翅の後縁に達する.」など.

利尻島のヤチバエとシマバエ(笹川,2005)によると,ヤマトヤチバエは「翅に多数の淡褐色斑点が並列する種で,九州および本州産模式種では黒色の中胸背が灰色粉でおおわれ,明瞭な暗色縦条が2本走っている.」

三重県のヤチバエ科の記録は,これまでヒゲナガヤチバエのみ.

文献
笹川満廣 (2005) 利尻島のヤチバエとシマバエ.利尻研究,(24): 101-102.
末吉昌宏 (2005) ヤチバエ科,日本産水生昆虫-科・属・種への検索.1229-1256,東海大学出版会.

2011.6.18

オドリバエ科Empis属Planempis亜属の一種

2012-12-09 | ハエ目(双翅目)

オドリバエ科オドリバエEmpis属ヒラオオドリバエPlanempis亜属の一種

津市美里町.経ケ峰の麓.切通しの道路を走っていて,崖地に群れて咲くヤクシソウの黄色い花が目に留まったので,車を止めて捕虫網を振ってみた.網の中はアレチヌスビトハギの茶色い種子がどっさり付いてしまった.いわゆる引っ付き虫というやつだ.その中に1頭だけオドリバエが入っていて,その引っ付き虫に脚が引っ付いて身動きが取れないようになっていた.周辺を探してみたが,この1頭以外には出会えなかった.11月になってから見つかるオドリバエもそう多くはないだろう.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ヒラオオドリバエ亜属Planempisの特徴は「♂交尾器は腹端部から後方または後背方を向く.中胸背に通常は中剛毛を持つ.♂交尾器の尾角葉は背板葉の先端を超えて後方に伸びる.」

この種は昔,静岡で捕れたものと同じらしい.名前はまだ無い.
来年はもっと場所を変えて,秋季に発生する違う種類のオドリバエも見つけたいものだ.

2012.11.6



オドリバエ科EmpisPlanempis亜属の一種♂


2012.10.28 亀山市で採れていたオドリバエ科EmpisPlanempis亜属の一種♀ これで同一種のペアがそろった.