田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

モズのはやにえ

2008-12-24 | カニ
ヒメアシハラガニ雄
田中川干潟。ほとんど落葉したハマボウの木でモズのはやにえを見つけた。
犠牲者はヒメアシハラガニ雄。甲幅10ミリ、発音器の顆粒は10個。
干潟でカニを探すモズの姿は見たことが無かったので意外であった。カニが小枝に刺さっていたので、はやにえと納得できた。モズはカニも食べるんだ。
2008.12.23

ヒメアシハラガニ雄
発音のための顆粒が眼孔の下縁に横一列に並ぶ、その数は雄で11個内外。雌では7~8個。アシハラガニよりも少ない。

ヒメアシハラガニ雄
甲に開けられた穴はモズの嘴によるものと思われる。

年末のヘリグロハナレメイエバエ

2008-12-21 | ハエ目(双翅目)
ケカモノハシ群落
芦原海岸のケカモノハシ群落 2008.12.21  アツバキミガヨランも増えてきている

田中川干潟の南端辺りの砂浜にはケカモノハシ、オオギョウギシバ、オニシバ、ナガミノオニシバ、メリケンカルカヤなどイネ科植物が多い。
今日はこのイネ科植物の周りをスウィーピングしてみた。
ヘリグロハナレメイエバエOrchisia costata が数多く生息していることが確認できた。近似種が居ないので、縁黒(ヘリグロ)の斑紋を確かめれば容易く同定できる。
「小楯板剛毛は1対2本。後脛節は中ほどに1本の短い後背剛毛(後面と背面との中間に生じる)を持つ。翅の前半は暗色。」・・・・・三枝豊平先生からの情報。

ヘリグロハナレメイエバエ雌

19日、海岸近くのチガヤが生えている畑でもヘリグロハナレメイエバエを見つけた。チガヤの隣に群生するミント類の葉上で、時々向きを変えて、約5分間続いた交尾を観察した。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには「体長2.5~3mm。翅の前縁に暗色縦帯があるのが特徴。分布:日本(四国・九州);東洋熱帯地域・台湾ほか」とある。

ヘリグロハナレメイエバエ

ヘリグロハナレメイエバエ

ヘリグロハナレメイエバエ

ヘリグロハナレメイエバエ
以上はケカモノハシ群落にて

ヘリグロハナレメイエバエ

ヘリグロハナレメイエバエ

ヘリグロハナレメイエバエ

ハマボウ若木

2008-12-17 | ハマボウ
ハマボウ若木
2008.11.28 田中川干潟のアイアシ群落の中でハマボウ若木が育つ

田中川干潟の西端部は高潮線に沿ってアイアシ群落が続いている。干潟内で最も漂着物が多く集まってくる場所である。住宅団地からの排水が干潟内に入ってくるが量的には少なく、田中川は満潮時に防潮水門が閉じるので、高潮線付近にまでたどり着く水は海水とほとんど同じ濃度のものである。
今年の春、このアイアシ群落の中に4本のハマボウ若木が育っているのを見つけた。古木のある場所から南へほぼ一直線に並んで生えている。生息地の標高は約1m、古木も同じ標高の所に生えている。
この場所は上の写真を見ると、人が踏みつけたように見えるが、そうではない。20年ほど前、ここには廃船があった。その廃船がほとんど朽ち果てて、船底の部分だけ未だに残っているのである。
その船底の板の割れ目から生まれたハマボウの若木が育ってきているのである。
5月18日に三重県立博物館のサポートスタッフの人たちによってハマボウ若木の計測が行われたので、その結果をここに記録しておく。
4本共に花は今年咲かなかった。
この4本の若木が黄色い花を咲かせるのは何年後になるのだろう。楽しみだ。

ハマボウ若木計測

ハマボウ若木
赤く紅葉しているのがハマボウ若木。写真左上の奥にハマボウ古木が見える。

ハマボウ若木
2008.10.13 3本の二年生苗が古木の樹冠外側で生き残っていた。
2006年に生まれた樹冠内の苗は全滅してしまったようだ。ハマボウは耐陰性に極めて乏しい陽樹なのだろう。

桑の木にキボシカミキリ

2008-12-10 | 甲虫
キボシカミキリ
カミキリムシ科 キボシカミキリ雌 体長25ミリ Psacothea hilaris hilaris

道路脇に勝手に生えてきた桑の木が大きくなりすぎたので、チェンソーで切り倒すことにした。
何本かの太い枝を切り終えたとき、自分の身長くらいの高さのところに2匹のキボシカミキリを見つけた。
体長約25ミリの雌(触覚は約35ミリ)と約20ミリの雄(触覚は約50ミリ)であった。
この2匹の斑紋は白っぽかったが、黄色や黄白色など変異があるようだ。
キボシカミキリの成虫はクワやイチジクの樹皮や葉を食べる。
株立ちの桑は数本の幹を残しておいた。来年も桑の実を食べたいと思った。キボシカミキリ以外の昆虫も見つかるかもしれない。
通行の邪魔になるから切って欲しいと誰かがまた言ってくるだろう。
2008.12.10

キボシカミキリ
体長約20ミリの雄 触覚は体長の約2.5倍あった

オオハナアブの命

2008-12-08 | ハエ目(双翅目)
オオハナアブ
庭のジョロウグモの大きな網にオオハナアブ雌が引っかかった。
体長16ミリの大きなオオハナアブだ。
カメラを近づけたので、驚いたジョロウグモが獲物を落としてしまった。
ノボタンの株元に落ちたオオハナアブはほとんど動けなくなっていた。
それから数日後、ノボタンの葉に乗っかったジョロウグモの死骸を見つけた。
庭の皇帝ダリアも霜にやられた。
2008.12.4

オオハナアブ

オオハナアブ
ノボタンの落ち葉に落ちたオオハナアブ雌

タンキリマメ種子

2008-12-07 | 草花
タンキリマメ種子
タンキリマメの豆果に無性に会いたくなった。自宅から1キロほどの自生地に出かけた。
豆果は赤く熟し裂開して、黒い種子を見せていた。
種子は2個づつ入っていると図鑑などに紹介されているが、3個入りの豆果をいくつか見つけた。
タンキリマメはこれまで田中川干潟の近くでも見たことがある。明和町の大淀海岸周辺でも出会っている。つる性の多年草だから、巻きつくものが無いと困るのだろう、草地や林縁などの人が通る明るい小道脇などに生えている。
しゃがみこんで観察していると、犬の散歩にやってきた小母さんが遠慮してか、気味悪がってか知らないが、「何しとんのやろ」と呟きながら、散歩ルートを変えて行ってしまった。
今日は一人だけど、他の場所では仲間とタンキリマメの種子の様子を観察していた思い出があるんだと自分に言い聞かせた。
どうも近頃一人で動き回っている。
2008.12.3

タンキリマメ

タンキリマメ種子

タンキリマメ種子

ホソヒラタアブ黒化型

2008-12-05 | ハエ目(双翅目)
ホソヒラタアブ♀黒化型
庭に植えておいたパセリが花を咲かせた。
ホバリングを繰り返して、パセリの花から離れようとしないホソヒラタアブ黒化型の雌を見つけた。
体長は約10ミリ。
黒化型は低温時に成育する個体に見られるという。
スレンダーな体に、赤みのあるオレンジ色の斑紋はとても似合っている。好みだ。
2008.12.4

ホソヒラタアブ♂

ホソヒラタアブ♀黒化型

ホソヒラタアブ♀黒化型

クコの実

2008-12-05 | 樹木
クコの実
ナス科クコ属のクコ

海岸の林縁を歩く。
口を尖らせて、憮然とした表情をしている。気に入らないことがあると、いつもこうだ。そして、とにかく歩き回る。
赤い実がいくつも見えた。クコの果実だ。「晩夏から初冬にかけて赤く熟す」と図鑑に書いてある。
しゃがみこんで、赤い実を眺める。
昔から赤い色が好きで、油絵を描いていたとき、カドミウムレッドという色の絵具を愛用していた。
車で1時間以上もかかるベンガラ工場のある町まで何度も通い、土の色まで赤い風景画を描いたことがあった。作品は知人宅の応接間に飾られたが、部屋に落ち着きが無くなったと後日言われた。
クコの実は初冬の日差しを受けてベンガラ色に輝いている。
美しいものを見つけたものの、私はまだ口を尖らせて歩き続けた。
2008.12.3

クコの虫こぶ

クコのハムシ

クコの実

黒豆の幼虫

2008-12-03 | 
シロイチモンジマダラメイガ幼虫
メイガ科(Pyralidae) マダラメイガ亜科(Phycitinae)
シロイチモンジマダラメイガ幼虫 Etiella zinckenella (Treitschke, 1832)

丹波の黒豆を収穫した。莢の中に幼虫が居た。黒豆を食べていた。
隣の畑で黒豆を栽培している百姓に聞くと、「そんな虫はついてない、肥料をやり過ぎたんだろう、豆に肥料をやったらアカンぞ」と言う。
幼虫の正体はなかなか判らなかったが、農業害虫の研究者に教えてもらった。
黒豆を食べる幼虫はシロイチモンジマダラメイガ。この辺りでダイズを食べる虫は、しかもこの食べ方はシロイチモンジマダラメイガに間違いない。色違いや斑紋の異なる個体も皆シロイチモンジマダラメイガだと言う。
農業害虫のある図鑑には「シロイチモジマダラメイガ」の名前で出ていた。
分布は本州北部以南としている図鑑もあるが、北海道から沖縄諸島までとしている図鑑もある。
老熟幼虫が土中で越冬するらしい。飼育ケースに2センチほど土を入れ、しばらく観察してみようと思う。
2008.12.2

シロイチモンジマダラメイガ幼虫
体長は約15ミリ。

シロイチモンジマダラメイガ幼虫

シロイチモンジマダラメイガ幼虫
この体色が最も数多く見られた。飼育ケースに入れておいたら、次から次へと這い登ってくる。老熟幼虫なので、早く土に潜りたいのだろう。

シロイチモンジマダラメイガ幼虫
体色や斑紋などが異なるので別種かと思ったが、これもシロイチモンジマダラメイガ、もう1回脱皮をするはずと教えてもらった。