田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ヒロクチカノコガイ

2008-02-29 | 
ヒロクチカノコガイ
とある干潟の潮溜まり。
石の上で日向ぼっこでもしている風情のヒロクチカノコガイ(アマオブネガイ科)1個体を見つけた。
いつも見かける彼らの生息場所はアシ原の中の水溜りや朽木の下。潮溜まりでは初めての出会いなので驚いた。
三重県レッドデータブック2005では準絶滅危惧に選定されている。愛知県では絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。東京湾や相模湾では絶滅したとされ、三河湾が分布の東限のようである。
中国大陸南部など外国にも分布するが、近年の研究により本州産のものは別種の可能性が出てきているようだ。
「殻頂は高まらず、殻口はひろく、内唇はひろがる」と、ある図鑑には記されている。
2008.2.25

ヒロクチカノコガイ

ナミコギセルガイ

2008-02-24 | 
ナミコギセルガイ
鈴鹿市内。鈴鹿川左岸の河川敷近くの農地をのぞいてきた。
野菜屑や枯れ草などが畑に捨て置かれている。
枯れ草をのけると、キセルガイ科のナミコギセルガイが群生していた。
殻高は14ミリほど。
野菜屑の下でも見つかったが、こんなにも群生していない。
暗く、湿り気があるような場所よりも陽が当たる乾燥気味の枯れ草の下こそが越冬にはもってこいの棲家なのであろう。
キセルガイの仲間は卵胎生が多いようである。このナミコギセルガイの赤ちゃん貝は何時見ることが出来るのだろうか。
2008.2.22
ナミコギセルガイ

ナミコギセルガイの生息場所
ナミコギセルガイの生息場所 この枯れ草の下

カリガネとマガン

2008-02-23 | 
カリガネ
2月の初旬頃から鈴鹿市のとある池で三重県初記録となる珍鳥が暮らしている。
カモ科のカリガネで7羽
「あれっ、マガンもいるよ」と言う声が聞こえてきた。2羽のマガンがいる。
これだけの数のカリガネが見られるのはきわめて珍しく、普通はマガンの群れの中に1羽のカリガネが混じっている程度だと何人かが教えてくれた。
カリガネの嘴はピンク、黄色のアイリングがある、顔前面の白色が頭頂近くまで伸びている。
近くの田で落穂を食べていたと言う目撃談を話す人もいた。
県外からの見学者のほうが多い。3時間も4時間もかけて、この鳥に会うためにやってきた人たち。西宮から来た人は「私にとって国内408種目の鳥です、徹夜明けでやって来た甲斐がありました」と感動していた。
2008.2.22

カリガネ
左端はマガン、嘴は黄色っぽくカリガネよりも長い。上にカルガモ。

カリガネ
嘴のピンクと黄色のアイリングが特徴

カリガネ
人が近づいた。池のホシハジロの大群が大きく動いた。緊張するカリガネ。
腹に不規則な黒色横帯があるのが成鳥。無いものは若鳥。

カリガネ
飛び立つカリガネ。周りのカメラのシャッター音がカシャカシャと連続する。
「やったー、撮れたぞ」と喜ぶカメラマンたちの声があちこちから聞こえてきた。

コブカニダマシ

2008-02-22 | カニ
コブカニダマシ
鳥羽市浦村のカキ養殖場で見つけたコブカニダマシ、甲幅は10ミリ。
左右のはさみの大きさが異なるが、この個体は片方のはさみが欠けている。
はさみ脚の腕節や掌部はいぼ状の粒で覆われている。
体色は個体変異がある。甲面はなめらか。
雌雄の別が不明。性別をチェックする前に乾燥標本にしてしまった。
カニダマシ科の別種も見つかったが、ただいま同定依頼中。
2008.1.8

コブカニダマシ

イボイチョウガニ

2008-02-20 | カニ
イボイチョウガニ
鈴鹿市の若松漁港に出かけた。
カレイ漁の網に絡まっていたカニたちが捨てられてあった。
このカニはイチョウガニ科のイボイチョウガニ
地元の漁師は「アカガニ」と呼んでいた。色が赤いからだと言う。
体色には変異が多いらしいが、私が見ているのはいつもこんな色をしている。
甲の前側縁は三角形の9歯が大小交互に並んでいる。ある図鑑によると成体では9歯が全て同大らしいが、私がこれまで見てきた本種は大小が交互に並んでいるものばかり。
この日の3個体はどれも♂。
裏返すと鋏脚と歩脚を縮めて死んだ振りをする。つまんで海へ放り込んだら、死んだ振りのまんま沈んでいった。
2008.2.19

イボイチョウガニ

イボイチョウガニ

ナガトゲクモヒトデ

2008-02-03 | 三重の生き物
ナガトゲクモヒトデ
トゲクモヒトデ科のナガトゲクモヒトデ

鳥羽浦村のカキ養殖場を何軒か見て回ったとき、1軒の養殖場で見つけた。
養殖カキを漁船から陸に引き揚げた辺りに、ゴカイ類やカニ類に混ざってクモヒトデが数多く見られた。その中でもこのナガトゲクモヒトデが圧倒的に多かった。
盤は丸く、直径は約8ミリ前後のものばかりであった。
色彩は変化に富み、青みがかった個体も見られた。
盤と同様に、二等辺三角形の形をした白い輻楯(各腕の付け根の盤側に2対ある)も微細な顆粒もしくはトゲを持った棘に被われている。この輻楯は離れやすく、腕がちぎれて死んでいるような個体では輻楯もバラバラになっていた。
沿岸性と亜沿岸性の2型があるというが、この個体がどちらかは判断できなかった。沿岸性の腕棘は先端に向かって著しく拡大して先端はややこん棒状となるという。
日本の沿岸に広く見出される種で、新日本動物図鑑下巻には鳥羽と的矢湾の分布も記載されていた。

2008.1.8
ナガトゲクモヒトデ

ナガトゲクモヒトデ