田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

テングアワフキ

2009-06-30 | カメムシ
テングアワフキ
アワフキムシ科のテングアワフキ Philagra aibinotata Uhler

野登山の標高800メートル付近、斜面の擁壁に生える草木で見つけた黒い個体。全身がほとんど黒化したテングアワフキである。

原色日本昆虫図鑑(下)によると「体長は翅端まで10から12mm。体色は茶褐色から真黒色まで変化が多いが、多くは黒褐色。黄色の微毛が密生する。頭部は著しく前方に突出す。小楯板の後端は通常黄白色。前翅には斑紋の無い個体もあるが、多くは前縁の末端にちかく顕著な黄白色の斜帯があり、他にも淡色斑が出ることがある。6~8月ころ山地に多く、アザミ・ヨモギ類に寄生するといわれる。分布:本州・四国・九州。」

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲには「山地に普通」と載っていた。私はこれまで山地にはほとんど行ってないので、山地の普通種が皆珍しい。
2009.6.28

テングアワフキ

テングアワフキ

ヒゲナガオトシブミ♀

2009-06-29 | 甲虫
ヒゲナガオトシブミ♀
オトシブミ科のヒゲナガオトシブミ Paratrachelophorus longicornis (Roelofs)

野登山、標高800メートル付近の森の中。森の中だが、何か大きな木が倒壊していて、少し明るい空間があった。
霧も晴れてきた頃、ヒゲナガオトシブミ♀と出会った。♂の頭部と触角は更に長い。

原色日本甲虫図鑑によれば、「北海道・本州・四国・九州。コブシ・イタドリ・カナクギノキ・ケクロモジなどの葉を両側から切って巻くが、地域によって加害植物が一定する傾向がある。普通。」

成虫が見られるのは5月~7月。おとしぶみを作るのは♀だけ。

山地の生き物もいいなあ。
2009.6.28

ヒゲナガオトシブミ♀

アオサギ子育て中

2009-06-29 | 
アオサギ
カワウたちが暮らすコロニーの一角、その右端にアオサギの巣がある。

津市河芸町の北の端。鈴鹿市との境となっている中ノ川河口近く。
ほとんどの松の木はカワウの糞害で枯れてしまった。それでもカワウたちの大きなコロニーが今年も形成されている。その中にアオサギの巣が3ヶ所で確認できた。
アオサギの営巣はこれまで見たことが無かったが、今日は3ヶ所とも幼鳥の姿を見つけた。
カワウたちは親と子の見分けも難しくなってきたが、アオサギの子はまだまだ幼さが残っている。
親鳥はいつまでエサを運び続けるのだろうか。

このコロニーへ名古屋からやってきて観察をしていた二人の大学院生が居た。何度か姿を見かけたが、カワウたちの子育ての様子を記録しているようであった。カワウたちの生態を間近かで観察できる絶好のポイントにいつも陣取っていた。いい研究論文ができるだろう。
2009.6.28

アオサギ
ここにもアオサギの巣がある。周りはカワウだらけ。

アオサギ
親を待つアオサギの幼鳥。

アオサギ
親を待つアオサギの幼鳥。2羽しか写っていないが、この巣には3羽いる。

カワウのコロニー
カワウのコロニー

山地のゴマフアブ改めアカバゴマフアブ

2009-06-29 | ハエ目(双翅目)
ゴマフアブ
鈴鹿と亀山にまたがる野登山へ仲間と昆虫採集に出かけた。
山頂付近に車を止めたが、真っ先に姿を現した虫はこのアブであった。このアブはしきりと車のボディに止まった。
3枚の写真には別個体も含まれている。

ゴマフアブ属は互いに良く似ていて、今一自信は無いが、たぶんゴマフアブ Haematopota pluvialis tristis Bigot だと思う。

日本では北海道と本州に分布する。体長8~12mm。触角第3節は黄褐色の基環節基部をのぞいて黒色。翅の透明斑は他種より大きい。(新訂原色昆虫大図鑑Ⅲより)

原色日本昆虫図鑑(下)には「胸部背面には灰色粉からなる細い5縦条がある。あしは黒褐色で各脛節には黄赤色の2環紋があり、ふ節の基部も同色。翅はすす色で半透明の網目状紋があり、前縁中央よりやや外方にある縁紋は黒色。」とあるが、
5縦条については確認できていない。

とある害虫関係のサイトに「成虫は7月から9月にかけて現れ、本州においては主として山地で、日中も夕方も激しく人やウシ、ウマを襲って吸血活動をおこないます。」とあった。

半袖姿の一人が「やられた」と言った。
2009.6.28

ゴマフアブだと当時は思っていたが,あらためて手持ちの標本を調べてみると三重県内各所で採集したゴマフアブ属は全てアカバゴマフアブHaematopota rufipennis Bigotであった.触角第1節の先端近くに切れ込みがないのでゴマフアブではない.小楯板は灰白色で,額側斑は円状で,額央斑はやや大きく黒色三角状であるので,写真の個体はアカバゴマフアブである.アカバゴマフアブの分布は本州,四国,九州であり,ゴマフアブの分布は北海道と本州(東北地方);樺太,シベリアである.
同定資料がそろってきたので,ようやく判ってきた.2014.12追記

ゴマフアブ
アカバゴマフアブ

ゴマフアブ
アカバゴマフアブ

砂浜のヒメアメンボ

2009-06-28 | カメムシ
ヒメアメンボ雌雄
カメムシ亜目 アメンボ科のヒメアメンボ Gerris lacustris latiabdominis Miyamoto 雌の食事中に雄が   2009.6.13

津市河芸町の豊津海岸。砂浜に大きな水槽が放置されている。そこに雨水がたまり、蜂の仲間や甲虫やらが溺れて死んでいる。種子をつけて枯れたハマダイコンが水槽に覆いかぶさるように生えている。
そして、ヒメアメンボの家族らが暮らしている。

日本では北海道・本州・四国・九州に分布するヒメアメンボは体長が8.5~11mm。黒色の小型種。前腿節の外面に幅の広い黒条が斜走し、内面には黒条を欠くかまれに短い黒条が現れる。腹部は比較的扁平で結合板の末端は後方に水平に突出する。♂の第7腹板の後縁は深く前方に湾入し、中央部はさらに円くえぐられる。池沼・水田・溜り水・流水などいたる所の水域に発見される普通種で早春から活動を始める。(新訂原色昆虫大図鑑Ⅲより)

原色日本昆虫図鑑(下)にはアメンボ類6種の尾端比較図が載っていて、同定に役立つ。同図鑑によると「ヨーロッパの原名亜種は翅の長さにさまざまの型があるが、日本ではごくまれに短翅型や亜長翅型が発見されるのみ」

幼虫は5回脱皮をする。5回目の脱皮が羽化となる。
アメンボ類の脚の先には細かい毛がびっしり生えていて、体内から分泌する油で濡れているので、また毛の間に空気を含んでいるので、水をはじき浮くことが出来るのだという。
腹部第2~6腹板の正中線の両側は広楕円に浅く窪み、正中線上は隆起するという特徴も確認したので、彼らはヒメアメンボに間違いないだろう。普通種だというのに、ネット上にヒメアメンボの画像はそれほど多くない。その幼虫の画像もなかなか見つからなかった。

ヒメアメンボ
ヒメアメンボ 2009.6.26

ヒメアメンボ幼虫
ヒメアメンボ幼虫 2009.6.26

ヒメアメンボ幼虫
ヒメアメンボ幼虫 2009.6.13

ヒメアメンボ幼虫
ヒメアメンボ幼虫 2009.6.13

ヒメアメンボの棲む水槽
ヒメアメンボの棲む水槽

桑の赤渋病菌

2009-06-27 | 三重の生き物
クワの赤渋病
桑の葉に付いた赤渋病菌Aecidium mori Barclay クワ葉上の精子器・さび胞子世代のもの

豊津海岸。海の近くに大きくなった桑の木がある。その桑の一部の葉が赤渋病菌に侵されている。

国立科学博物館植物研究部のデータベースからの情報によると、
赤渋病菌はサビ菌類のひとつ。
サビキン類は菌類の中の担子菌門と呼ばれる分類群の中の一群で、生きた植物に寄生する。
サビキン類は、多い場合は5種の胞子類を、その生活環にもっている。冬胞子、担子胞子、精子(不動精子)、サビ胞子、夏胞子である。種によってそのすべての種類の胞子を持つ種や1~2種類の胞子しか持たない種など様々であるという。
2009.6.25

クワの赤渋病

海浜のキバラハキリバチ

2009-06-26 | ハチ目(膜翅目)
キバラハキリバチ
ハキリバチ科のキバラハキリバチ Megachile xanthothrix Yasumatsu et Hirashima, 1964

津市河芸町の豊津海岸でキバラハキリバチ♂とおぼしき葉切蜂を見つけた。
調べてみると、近県での記録も無さそうなので、既知の情報を整理しておく。

山口県のレッドデータブックによると、「体長メス16~18mm。体は黒色で腹部背面は黄褐色のビロード毛で覆われる。腹面の毛は基部が金色毛で、末端に向かい暗色となる。他のハキリバチとは色彩から一見して区別できる。成虫は夏から秋にかけて主に河川敷や海浜周辺に生息するようで、砂地に営巣することが知られている。」

島根県レッドデータブックによると「体長はメスが16-17mm、オスが15-16mm。大型のハキリバチである。胸・腹部の背面が橙黄色ないし黄褐色の毛で覆われている。稀種のため、生態的知見がきわめて乏しい。年1化性で、活動期間は夏から初秋である。本種は1964年に安松・平嶋によって新種とされ、メスの頭頂部には黒褐色の短毛がみられる点と、オスの前脚基節にみられる剛毛束と突起部が広く分離する点によってほかの近縁種から識別される。越冬は前蛹態で行う。成虫はハギ類、クズ、ヨメナ、カラスザンショウなどを訪花するので、広食性種といえる。
 巣は砂地に設けられる。そのために生息地がしばしば河川敷や海浜地に限定される。営巣メスは自掘もするが、既存孔の方をよく利用するらしい。」

山口県では「西日本を中心に局所的に分布するが、個体数は極めて少ない。」として絶滅危惧Ⅱ類に選定、島根県では「海浜の開発や破壊による海浜固有の生態系の喪失で、生息密度がきわめて低い。」として絶滅危惧Ⅱ類VUに選定、また広島県、岡山県、高知県の3県では準絶滅危惧種としている。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによれば、
キバラハキリバチは「体長♀16~18mm。黒色。頭部および胸部の毛は主として灰白色。腹部背面には黄褐色の絨毛あり;腹面の刷毛は基部淡色(黄金色に近い,末端節に向かい少し暗色となる。♂の毛の具合は♀に似る。夏季出現し、地中に営巣する。分布:本州・四国・九州;朝鮮半島・中国東北部。」

Yasumatsu,K.& Y.Hirashima(1964)Red-haired leaf-cutter bees of the group of Megachile bicolor from Japan,the Ryukyus and Formosa.Kontyu,32:175-187.によると、
タイプ標本の内、1960年8月4日に福岡市香椎で採集された、ゴマの花に居た♂がホロタイプとなっている。福岡県筑前大島、山口県下関などでも標本が採集されている。
九州大学のキャンパスではムラサキナツフジの花粉や蜜を集める♀の様子が観察されている。
「this species probably has one generation a year.Adults appear from July to September, but they are very scarce in number.」
雌の体長は16-17mmで、その特徴は「vertex with fuscous hairs;pronotum with a tuft of fuscous hairs laterally just in front of tegulae;mesoscutum with or whithout admixture of sparse fuscous hairs ; mesopleuron with hairs fuscous below, broadly pale above,sparse fuscous hairs below wing base;scape pale ferruginous or golden,becoming darker(nearly fulvous)toward apical sterna;hairs(scopa)on 6th sternum fuscous apicany, fulvous basally;hairs on outer faces of mid tarsi delicate in colour, broadly nearly fuscous anterioly・yellowish posteriorly」
雄の体長は約15㎜で、その特徴は「Fore coxae with a tuft of bristles separated from coxal pine;vertex with sparse fuscous hairs laterally(near summits of eyes)」

ノアズキの葉を切り、花にも訪花している目撃情報もある。

島根県のある調査では「初見日はオスが7月上旬、メスが7月下旬であった」という。

これまでのところ、キバラハキリバチは本州(大阪府、京都府、岡山、広島、島根、山口県)、四国(香川県、高知県)、九州(福岡県、佐賀県、鹿児島県)のほか国外では朝鮮半島、中国東北部に分布しているようである。そして、ここ三重県にも。

この日の最高気温は29.7℃であった。発見場所の近くでは、5頭ほどのクモバチの仲間が競うように穴を掘っていた。マエグロツリアブ、スキバツリアブ、そして黄色いあのキモグリバエ科もいた。

2009.6.25
キバラハキリバチ
2009.6.25 クズの葉上で キバラハキリバチ♂

キバラハキリバチ

追記
藤原岳自然科学館の川添昭夫館長からの私信によると、キバラハキリバチは「海岸性の固有種で県内では初記録です。海岸線にはまだ固有種がいると思います。クズの花によくきます。」

キバラハキリバチ今年も

砂浜のハマベコムシヒキ

2009-06-25 | ハエ目(双翅目)
ハマベコムシヒキ
2009.6.23 ムシヒキアブ科のハマベコムシヒキ Stichopogon infuscatus Bezzi, 1910

津市河芸町の芦原海岸でハネボシスナニクバエの観察をしていたら、同じくらいの大きさで白っぽい感じのハエが動いているのが眼に入った。初めて見るハエだ。砂浜にひざまづいて彼らの動きを追いかけた。
ハエはハマベコムシヒキと判った。
ハマベと名の付くものがあると、私は浜辺に住んでいる人間だから当然出会えるもんだという気がしている。ハマベコムシヒキも以前から会いたいと思っていたハエなのではあるが、手持ちの図鑑には載っていない。ネット検索しても和名では画像が出てこない。とにかく小さなムシヒキアブという程度のイメージしか持っていなかった。
やっと会えた。
人に会いたいという気持ちはだんだん薄らいできているが、見たことの無い生き物との出会いは期待している。

三重県のレッドデータブックでは情報不足、京都府では要注目種としている。
自然状態の残る砂浜海岸に広く分布しているようで、典型的な海浜性の種。環境指標性が高い。身体は灰白色で、腹部背面に黒色の斑紋がある。体長は6mmくらい。
こんなに小さいにもかかわらず、ムシヒキアブなのであるから、生きて動いている虫たちを襲って、捕らえて体液を吸っているものと思われる。直翅目の幼虫やクモ類を捕らえた目撃情報もある。

type localityは台湾産。日本では鹿児島県市木町、鹿児島市谷山、鹿児島県佐多町大泊、鹿児島県鹿屋市、佐賀県唐津市虹ノ松原など九州の各地に生息しているとされていたが、その後、兵庫県淡路島南部の海岸と兵庫県北部から鳥取県にかけての海岸、鳥取砂丘、徳島県の吉野川河口、信濃川、神奈川県、茨城県と次から次へと生息が確認されてきている。石狩市の石狩川河口でも見つかっているようだ。
ハエ屋さんたちに人気があるのか、「はなあぶ」という機関紙に盛んに登場している。
三重県内では鼓ケ浦海岸で採集されている。『鈴鹿市の自然』によると「小型のムシヒキアブで、海浜性。最近本州から記録された種で自然度の高い環境に見られるが個体数は比較的多い。」
町屋海岸での生息も確認されていたように記憶している。

ハマベコムシヒキに関する文献は、
Nagatomi, A. 1983. The Japanese Stichopogon (Diptera, Asilidae). Kontyu, 51(3):474-486
Ohishi, H. 2002. Stichopogon infuscatus Bezzi new to Kyoto, Japan (Diptera: Asilidae). –Hana abu 13: 37 [Japanese].
Satou, N. 2005. Photographic report on Stichopogon infuscatus Bezzi. – Hana abu 19: 47-49,cover [Japanese].
Ichige, K. 2005. Stichopogon infuscatus Bezzi new to Ibaraki Pref. Japan. – Hana abu 19: 22 [Japanese].
脇 一郎.2006.ハマベコムシヒキを神奈川県で採集.はなあぶ 22: 80

ハマベコムシヒキ
2009.6.24

ハマベコムシヒキ
2009.6.24

ハマベコムシヒキの生息する芦原海岸
ハマベコムシヒキの生息する芦原海岸 海浜植物が疎らに生えている。


2009.7.6 豊津海岸でヨコバイの仲間を捕らえたハマベコムシヒキ

コカスリウスバカゲロウ成虫

2009-06-24 | 田中川
コカスリウスバカゲロウ成虫
ウスバカゲロウ科 コカスリウスバカゲロウ Distoleon contubernalis (MacLachlan, 1875)
芦原海岸で増え続けているアツバキミガヨランの葉にコカスリウスバカゲロウの成虫が止まっていた。
巣穴を持たないタイプのあのアリジゴクが羽化してきたのだ。
この成虫の体長は約32ミリ。前翅長は約34ミリ。
原色日本昆虫図鑑(下)によると、
「成虫は7~8月にあらわれる。砂中に20卵ほどをうみ、幼虫は海岸の松の稚樹の下など砂地にすみ、噴火口のような孔をつくらず、前後にすすむことができる。」

良く見ると、お尻から便が出ている。「成虫は羽化後間もなく、幼虫時代の宿便塊を排出する」と別の図鑑に出ていたが、これがその宿便かと思われる。
この成虫は羽化後間も無いのであろう。
2009.6.23

コカスリウスバカゲロウ幼虫

コカスリウスバカゲロウ成虫

コカスリウスバカゲロウ成虫

シランの葉にヨスジヒシウンカ

2009-06-22 | 田中川
ヨスジヒシウンカ
ヨスジヒシウンカ Reptalus quadricinctus (Matsumura)

砂浜へバカガイの貝殻を捨てにきた人と出会った。ビニールのゴミ袋は持ち帰っていく。「もっと暑くならんとバッタも出てこんやろ」と私に声をかけてきた。昆虫網とカメラは持っているが、別にバッタを追いかけているわけではない。バッタぐらいしか居ないだろうと思っているようだ。

貝殻の捨て場にシランが生えている。どうせ誰かが捨てていったんだろう。その葉にヨスジヒシウンカが何匹も居た。

ヨスジヒシウンカは翅端までの体長が5~6mm。前翅の基部と末端は暗褐色、その間に2条の暗褐色帯を装う。
本州・四国・九州の山地に産すると図鑑に書かれているが、ここは砂浜。

なお、原色日本昆虫図鑑(下)にはヨツスジヒシウンカの名で「小楯板の縦の隆起線は5本。6月下旬から8月にかけて、平地や山地のヨモギ類などに多い。」と記述されている。
2009.6.22

ヨスジヒシウンカ

ヨスジヒシウンカ

ノイバラの虫こぶ

2009-06-22 | 虫こぶ
バラハタマフシ
ノイバラの葉裏に作られた虫こぶ。バラハタマフシという。バラハタマバチが作ったもの。
6~7月に葉から落ちる。幼虫は虫えい内で越冬し、春に羽化する。
赤く熟して、おいしい果実のように見える。これが虫こぶというものだと知ったのは10年前、知人から教えてもらった。でもなかなか信じられなかった。
2009.6.16

バラハタマフシ

キモグリバエ科のFormosina cincta その後

2009-06-21 | ハエ目(双翅目)
Formosina cincta
2009.6.14 芦原海岸のコマツヨイグサにて Formosina cincta

Formosina cincta
2009.6.14 芦原海岸のコマツヨイグサにて Formosina cincta

昨年の9月に海辺のセイバンモロコシ群落で見つけたキモグリバエ科のFormosina cincta が、この6月中旬から、津市河芸町のあちこちの海岸で見つかっている。
アリジゴクを探して、コウボウムギやハマボウフウ、コマツヨイグサなどの植生がある砂浜をうろついていると、目の前にこの黄色いハエが現れることが度々あった。
セイバンモロコシ群落の辺りでは未だ見ていないが、海辺のマサキの木やネムノキでは見かけた。
ネムノキは何株も生えているが、ある一株だけで見られ、しかも数十匹もの集団でいた。その後、そのネムノキを何度か訪ねたが、彼らの姿は無かった。

Formosina cincta DE Meijereの特徴は、1978年に発表された上宮博士の論文によると
Frons very broad, about 0.4×as wide as head; frontal triangle shining reddish yellow and broad, with apex extending broadly to anterior margin of frons; mesonotum broadly shining yellow from humeral callus to notopleura1 area; scutellum entirely yellow; r-m basad from middle of discal cell.
また、分布はJapan (Amami Is.); Taiwan, Sinabang

本州初のキモグリバエ科

Formosina cincta
2009.6.17 豊津海岸のネムノキにて

Formosina cincta
2009.6.17 豊津海岸のマサキの蕾にて Formosina cincta

Formosina cincta
2009.6.17 豊津海岸のマサキの葉にて Formosina cincta

渓谷のトゲヒゲトラカミキリ

2009-06-20 | 甲虫
トゲヒゲトラカミキリ
カミキリムシ科のトゲヒゲトラカミキリ Demonax transilis Bates, 1884

宮妻峡の奥、内部川の源流部。入道ケ岳の登山道近くで昆虫を探していて、トゲヒゲトラカミキリと出会った。寄生植物はスギ、センノキ、トチノキ、アセビ。
渓流に沿って何本かのアセビの木があった。
体長は7~12mm。前胸背板に一対の丸い紋がある。触角第3.4節端にやや短い刺を持つ。成虫の出現期は4~7月。暖帯~温帯樹林帯の花上に集まる。(原色日本甲虫図鑑(Ⅳ)を参照)

今後、何度も足を運ぶことになりそうだ。
2009.6.7

トゲヒゲトラカミキリ

内部川源流

カバフスジドロバチ

2009-06-19 | ハチ目(膜翅目)
カバフスジドロバチ
カバフスジドロバチ Pararrhynchium ornatum Smith
ナミカバフドロバチの別名もある。

近くの海岸に水産加工場の納屋が連なっていて、多くの納屋が長年使用されずに放置され、最近は朽ち落ちてきている。
そんな所に生えているヤブガラシがあって、私の観察ポイントの一つとなっている。

ようやく花が咲き出したヤブガラシに、カバフスジドロバチを見つけた。
ドロバチ科だと思っていたら、新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによるとスズメバチ科となっている。
カバフスジドロバチは体長12~15㎜。幼虫の食物は鱗翅類の幼虫。竹筒などに泥の仕切りを作り営巣する。本州、四国、九州に分布。
2009.6.13

カバフスジドロバチ

カバフスジドロバチ

砂浜のハネボシスナニクバエ

2009-06-18 | ハエ目(双翅目)
ハネボシスナニクバエ♂
ニクバエ科のハネボシスナニクバエ Phylloteles formosana (Townsend.1933)

芦原海岸のハマボウフウの花で出会ったハエ。
翅に斑紋があったので調べる気になった。

ハネボシスナニクバエの♂の翅には紋があり、触角第3節の端刺(arista)が幅広い。♀は翅の紋や触覚刺毛の肥大を欠き、同定は難しいが、♂と頭部を比べると同様のシルエットをしているので、他種と区別できるという。
5月から8月にかけて砂浜や海岸、河岸などの砂地の植生で見られるものらしい。
日本、ロ極東、中国、モンゴル に分布する。九州や四国でも見つかっているようだ。
図鑑類を調べたが、どれにも載っていなかった。あるハエ屋さんのホームページだけには詳しく紹介してあったので参考にした。
2009.6.17

ハネボシスナニクバエ♂

ハネボシスナニクバエ♂