田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

バフンウニ

2007-08-31 | 三重の生き物
バフンウニ
志摩半島の磯で見つけたバフンウニ。オオバフンウニ科バフンウニ属。
少し大きめの岩を動かしてみたら、見つかった。
黄色い生殖腺が生のままで食べられることは知っているが、生き物の命を大切にする人たちと一緒に出かけたので、当然のことながら、すべての生き物を棲んでいた場所に戻してから、磯を離れた。
殻の直径は3.5~4.5cm。海藻を食べているとのこと。
田中川の河口でも見たことがあると人から聞いているが、私はまだ見ていない。
2007.8.26
バフンウニ
体の下面中央に口がある。なお、肛門は背面中央にある。
口周りの管足の先端の色で雌雄の識別が出来るそうだ。白がオスで、黄色ければメス。さて、この個体はどっちだろう?
規則正しく並んでいるのは管足ではなく、棘である。管足は乳白色の半透明のもので、この写真では短く縮んだ状態になっている。

ヤツデヒトデ

2007-08-30 | 三重の生き物
ヤツデヒトデ
志摩半島の岩場海岸。タイドプールでヤツデヒトデを何個体か見つけた。
触ってみると、意外と硬さがある。岩に張り付いていて、なかなか離れない、無理やり離すと千切れそうな気がする。水中では撮影しにくいので、ヒジキが群生する岩の上に置くが、ゆっくりしたスピードで水中に戻っていこうとする。
腕は7~10で、普通8本。
2007.8.26
ヤツデヒトデ
この個体は腕が9本

ヤツデヒトデ
この個体は4本の大きな腕と再生中の小さな4本の腕を持つ。
ヤツデヒトデは有る程度まで成長すると、体が半分に分かれ、腕を再生して2個体となって増えていく。

ヤツデヒトデ
再生中の4本の腕が見えている。

志摩半島のハマアザミ

2007-08-29 | 草花
ハマアザミ
志摩半島の海岸では、ハマアザミがそこかしこで見られる。
礫浜や岩壁、民家の周りなどで普通に見られる。同じ三重県でも北勢や中勢地方では見たことがない。
この日、志摩半島のある漁港を訪ねた。
石積み擁壁に数株のハマアザミが自生しているのを見つけた。
葉には厚みがあり、そのトゲはとても痛かった。
花期は6~12月。
キク科アザミ属の海浜植物。
2007.8.26
ハマアザミ

ヨモギコヤガ

2007-08-27 | 
ヨモギコヤガ
ガガイモの花に会いたくなって、海岸近くの草むらへ出かけた。
白っぽい蛾が草むらから飛び出して、ガガイモの葉に止まった。
葉裏に隠れるようにして止まる蛾が多いものだが、この蛾は陽のあたる葉表に止まってくれた。
ヤガ科コヤガ亜科 ヨモギコヤガ 開張は21~26ミリ
灯火にも飛んでくるそうである。
成虫の出現月は5~8だから、間もなくこの蛾も見られなくなるのだろう。
幼虫はヨモギを食草とする。幼虫にも会ってみたい。
2007.8.21

メドハギで暮らす幼虫

2007-08-25 | 
アカマダラメイガ幼虫の巣

アカマダラメイガ幼虫の巣
田中川干潟周辺の砂浜などにはハイメドハギやメドハギが生えている。
一株のメドハギに蛾の幼虫の巣らしきものが幾つも作られているのを見つけた。茎と葉を糸でくっつけて出来ている。
幼虫の糞がたくさん溜まっている巣をのぞいてみると、すでに幼虫が巣立っていることが多かった。
糞の少ない巣には幼虫が居た。
種名を明らかにしたいので、幼虫1個体を飼育した。数日後には小さなさなぎが飼育ケースの底に転がっていた。飼育を始めてから2週間後に成虫が無事羽化した。
メイガ科マダラメイガ亜科のアカマダラメイガであることが明らかとなった。

アカマダラメイガ
2007.8.10アカマダラメイガの幼虫 この幼虫を飼育

アカマダラメイガ
2007.8.10アカマダラメイガの幼虫 上の写真と同一個体

アカマダラメイガ
2007.8.10アカマダラメイガの幼虫 上の写真と同一個体

アカマダラメイガ
2007.8.6アカマダラメイガの幼虫 上の写真とは別個体

アカマダラメイガ成虫
2007.8.24 羽化後間もないアカマダラメイガ

アカマダラメイガ成虫
2007.8.24 羽化後間もないアカマダラメイガ

アカマダラメイガ成虫
2007.6.27に田中川干潟で出会っていたアカマダラメイガ

クサギの虫こぶ

2007-08-24 | 虫こぶ
クサギハコブフシ
紀北町の林縁を散策した。クサギの花が目立つ。
葉に虫こぶができているのに気づいた。
フシダニの1種 Eryophyes sp.によりクサギの葉裏に作られた虫こぶ。クサギハコブフシという。虫こぶの中には2対の脚を持つフシダニが見つかるようである。
2007.8.20

クサギハコブフシ

クサギハコブフシ

クサギ
クサギの花

キャンプ場のカニ

2007-08-24 | カニ
クロベンケイガニの棲む山道
紀北町の海に近いキャンプ場を訪ねた。
キャンプ場脇の山道を進むと、細い素掘りの溝(写真の左端)がある。溝に水の流れはないが、少しばかりの水たまりのある辺りにクロベンケイガニとアカテガニの集団を見つけた。
山道をゆるやかに下っていくと、整備された二級河川に行き着く。川原を覗き込むとクロベンケイガニの姿が目に付く。河口部も親水公園化されていて、人工干潟として整備されていた。そこでも多くのクロベンケイガニが棲んでいた。

クロベンケイガニ
クロベンケイガニがたくさん居る。

クロベンケイガニ
主のような大きな個体も居た。

クロベンケイガニとアカテガニ
クロベンケイガニとアカテガニ

クロベンケイガニ
河口の人工干潟で見つけたクロベンケイガニ
人工干潟で見つけたカニはクロベンケイガニばかりであった。 

クロベンケイガニ
河口の人工干潟で見つけたクロベンケイガニ

クロベンケイガニ
逃げないので死んでいるのかと思ったら、右のすべての歩脚が無かった。失ったばかりのようであった。やがて体を引きずって、岩の間にそっと隠れた。クロベンケイガニ♂

ヒヨドリジョウゴ

2007-08-22 | 草花
ヒヨドリジョウゴ
紀伊長島地区の海岸でヒヨドリジョウゴを見つけた。
この地方の海岸は山と海が接している。森林の崖下に海がある。
ヒヨドリジョウゴは海岸植物ではない、山野に生える植物である。
山の崖下に繁茂していた、そしてそこは岩場海岸であった。
2007.8.20

ナス科ナス属 つる性の多年草 有毒植物
花期は8~9月、白い花が咲き、5枚の花びらが反り返る。花筒の入り口には緑色の斑紋がある。雄しべは花柱を取り巻く。

ヒヨドリジョウゴ
果実は熟して赤くなるが、神経毒であるソラニンを含んでいる。
葉の形は季節によって変化する。春には5裂した葉が多く、夏から秋にかけては、写真のように3裂したものや全縁のものが多くなる。

ヒヨドリジョウゴ
茎、葉柄などに軟毛を密生し、葉柄で他物に絡み付いて伸びる。

ヒヨドリジョウゴ
他の植物が育たないくらい、かなり大きな群落となっている。

ナガバヤブマオ

2007-08-22 | 草花
ナガバヤブマオ
紀北町の林縁を散策した。
細い川の土手の中ほどから伸び出てきているから、2mほどの高さはあるだろう。
イラクサ科カラムシ属の多年草 ナガバヤブマオ
雌雄同株。本州の中部地方以西(山形から宮城以南としている説もあり)から四国、九州に分布。花期は8~9月。
2007.8.20

ナガバヤブマオ

ナガバヤブマオ
カラムシの仲間では最も葉が細く、先は長く尾状に伸び、縁には大きさの揃った鋸歯があり、表面には光沢がある。葉は対生。
カラムシやナンバンカラムシも同じくらいの背丈があるが、どちらも葉は互生。

ナガバヤブマオ
茎の上部には雌花序がつく。でも、どこまでが雌花序なのかが不確か。

ナガバヤブマオ
葉腋に長さ約20cmの穂状花序をつける。
上部は雌花序、下部は雄花序。しかし、この仲間は雌花序だけをつける個体も多く、ほとんどが無性生殖を行っているらしい。

スケバハゴロモ

2007-08-21 | 三重の生き物
スケバハゴロモ
林縁を散策。クサギの花に見とれていて、葉裏にハゴロモ科のスケバハゴロモを見つけた。大きさは親指の中に隠れるほど、意外と小さいなと感じた。名前は知っていたが、実物は初めて見たような気がする。
丸みの有る三角形の前翅は透明で、黒褐色の縁取りがある。前翅の中央付近にも暗褐色の帯紋がある。脈も暗褐色。後翅も同様である。
主にクワの木の汁を吸うらしいが、果樹園でも見られるようである。
2007.8.20

志摩半島のキリギリス

2007-08-19 | バッタ類
ヒガシキリギリス
志摩半島のとある海岸。車も通る海岸堤防を歩いていて、食事中のヒガシキリギリス♂と出会った。
どれだけ近づいても逃げようともせず、食べている。
食べられているのはハサミムシのようだ。しかも車に轢かれてぺしゃんこになったハサミムシ。
ヒガシキリギリスは肉食性で、動物性たんぱく質を必要としていることが理解できた。
向こうから1台の乗用車がやってきた。
狭い海岸堤防では、このキリギリスがいつまでも食事をしていられる安全性は高くない。
私はこの現場から足早に離れた。
2007.8.11

イソヨコバサミ

2007-08-15 | 三重の生き物
イソヨコバサミ
ヤドカリ科 ヨコバサミ属 イソヨコバサミ
志摩市内の磯でイソヨコバサミと出会った。
ヤドカリ科のヨコバサミ属だから左右のハサミの大きさが同じ。
ヨコバサミ属の中では本州で最も数多く見られる普通種。
個体の年齢による色彩変異があり、歩脚指節の黄色地の中央に黒いバンドが強く出ている個体と、そうでない個体が見受けられるようだ。この個体は前者のタイプ。
歩脚の色は、幼稚体のうちは白色だが、やがて青みが強くなっていく。和歌山以南では緑色になるという。また、歩脚には細かい体毛がある。
ハサミ脚は暗色で、淡黄色の斑紋が散在する。また細かい棘があり、細い体毛で覆われる。
第2触角の色は鮮やかなブルー。
2007.8.11
イソヨコバサミ
左右のはさみの大きさは同じ

イソヨコバサミ
歩脚の黄色いラインが2本ある。1本にしか見えない個体もあるそうだ。

イソヨコバサミ
歩脚や眼柄の色が青みがかって見える。

ネコノシタ

2007-08-14 | 草花
ネコノシタ
キク科 ハマグルマ属 ネコノシタ
志摩半島の海岸でネコノシタと出会うことができた。この地方の海岸では珍しい植物ではないと聞いている。
この日、砂浜を探したが見つからず、あきらめて堤防をとぼとぼと歩いていて、なんと堤防の法面で群落を見つけた。
葉の感触が猫の舌に似ていることからネコノシタと名がついた。その感触をしっかりと確かめた。
多年草で、花期は7~10月。
津市内の砂浜にも自生地があると聞いているが、まだ見つけていない。
2007.8.11
ネコノシタ

ネコノシタ
葉は対生し、長楕円形で厚みがある。ふちにはまばらに鋸歯がある。

ネコノシタ

ネコノシタ
葉の裏面も短い剛毛があり、表面と同じく猫の舌の感触である。

ハマダンゴムシ

2007-08-12 | 三重の生き物
ハマダンゴムシ
ハマダンゴムシ科 ハマダンゴムシ
熊野灘に面した小石だらけの海岸を訪ねた。
打ち上げられた海藻の下をのぞいていたら、小石が動く。
小石と同じ大きさと色目のハマダンゴムシを見つけた。
手に取ってみると、意外と目がかわいい。体長は15ミリほど。
私の指の間から、逃れようとして暴れる。なかなかパワフルに暴れる。
放してあげると、石の下に潜り込んでいく。
元通り、海藻をかぶせておいた。
夜間活動するという。
2007.8.11
ハマダンゴムシ

ハマダンゴムシ

ハマダンゴムシ