田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

答志島のヒカゲチョウ

2011-07-30 | チョウ

タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のヒカゲチョウ Lethe sicelis

答志島。樹液の出ている木があって,近寄ってもカナブンとヒカゲチョウが動こうとしなかった。

『広島県蝶類図鑑』によると,ヒカゲチョウは「夕方になると活発に飛翔し,雄は占有行動をとる。雄の占有行動は,日が沈んで暗くなったあとも,しばらくは続けられる。また,クヌギ,コナラ,ヤナギなどの樹液を好み,獣糞や腐果,焚き火あとなどにも集まる。湿地などで吸水することも多いが,訪花性はきわめて弱い。」

答志島の蝶については,いろんな人がいろいろと発表しているようである。ヒカゲチョウはジャノメチョウ科として1955年に採集されたという記録がある。隣の菅島でも記録されている。
答志島での最近の採集は無さそうなので,個体数はきっと少ないのだろう。
2011.7.12

答志島のモンキシロノメイガ

2011-07-29 | 

ツトガ科ノメイガ亜科のモンキシロノメイガ Cirrhochrista brizoalis (Walker, 1859)

答志島の朝。宿の窓に止まるモンキシロノメイガを見つけた。

モンキシロノメイガの開張は20-24㎜。成虫の出現月は5-8月,幼虫はイヌビワの花嚢やアコウの実などを食べるとされている。

答志島の蛾については2003年に調査が行われており,モンキシロノメイガを含む133種が記録されている。
2011.7.13

河川敷のヒメアブ

2011-07-26 | ハエ目(双翅目)

アブ科ヒメアブ属のヒメアブ Silvius dorsalis Coquillett,1898

松阪市の櫛田川河川敷。林縁のような草むらでヒメアブを見つけた。

ヒメアブは北海道から九州にまで分布する。ヒメアブ属は翅に横斑が無く,全5種とも非吸血性である。後脚脛節に距棘を有するのでメクラアブ亜科に属する。
『アブの分類,生態とその対策』によれば,ヒメアブは「体長9~14mm。翅は前縁がやや褐色を帯び,R4に小枝を有する。3単眼を具え,その周囲は黒褐色に裸出している。額瘤は著しく大きく,円形状の黒褐色で,上部は単眼に接し,側方は殆んど複眼に接する。頬には上側瘤を欠く。触角は第3節の先端4環節が黒褐色の他は黄色~赤褐色で,第1,第3節が細長い。脚は跗節が黒褐色の他は黄色~黄褐色で後脚の脛節末端に距棘を生ずる。」などとある。

ヒメアブだと思って記しているが,少し気になるのが「3単眼を具え,その周囲は黒褐色に裸出している」との記載。この個体は単眼の周囲が黒褐色に裸出していないのだ。
少しでも記載と合わないときは,何々の近縁種としておいたほうが良いよと知人から言われている。

触角鞭節は5環節以下で,後脚脛節に距棘を有し(少し分りづらい),触角鞭節の第1節は輪状でなく,翅に横斑が無いのでヒメアブ属には違いないと思う。さて,この個体はヒメアブか,またはその近縁種か。
2011.7.17

後日,あるアブ屋さんにヒメアブ♀と同定していただいた.

オニヤンマの羽化殻と死骸

2011-07-25 | トンボ

オニヤンマ科のオニヤンマ Anotogaster sieboldii (Selys)

答志島。休耕田があって,細い用水路には水が流れており,ちょっとした湿地帯となっている。そんなところで,ミゾソバの葉上に約5㎝ほどのオニヤンマの羽化殻を見つけた。オニヤンマは日本で一番大きなトンボだから,羽化殻もさすがに大きい。

羽化殻の大きさに感心して眺めていたら,すぐ近くに大きなトンボ成虫の死骸があることに気が付いた。すごい数の小さなアリがトンボに集まっていた。オニヤンマの成虫である。

羽化殻には原産卵弁という雌の器官があり,この死骸も長い生殖弁があるので雌。
羽化して直ぐにアリの襲撃を受けて死んでしまったのだろうか。

2011.7.12



カギバイラガ幼虫

2011-07-25 | 

イラガ科イラガ亜科のカギバイラガ幼虫 Heterogenea asella

答志島。海岸へ降りる小道を歩いていて,何桜かは分らないが,とにかくサクラの木があって,その葉を食べているイラガ科の幼虫を見つけた。

幼虫はカギバイラガと分った。幼虫の食餌植物はブナ科のクリ属やコナラ属、バラ科のヤマザクラなどである。成虫の出現月は 8-10月だというから,来月には成虫となるのだろう。

2011.7.12

ウズラカメムシ

2011-07-22 | カメムシ

カメムシ科のウズラカメムシ Aelia fieberi

豊津海岸。ヤブガラシ周辺での昆虫観察を続けているが,このところウズラカメムシと何度も出会う。

日本原色カメムシ図鑑によると,ウズカメムシは「体長8-10㎜。暗褐色に淡い黄褐色の縦縞模様があり,頭部はやや下向きに細く突き出している。チガヤなどのイネ科植物で生活し,冬季は植物の根ぎわで成虫越冬する。」などとある。
2011.7.21


オオノガイとアサリ

2011-07-22 | 

台風一過の芦原海岸。生きた貝は期待に反してほとんど打ちあがっていない。しかし,ある一ヶ所だけ,ほんの10mほどの幅の所だけ多量のアサリがシオフキやバカガイに混じって打ちあがっていた。アサリのサイズは大きいので驚いた。オオノガイの生貝も一個体だけ見つけた。オオノガイの貝殻の打ち上げは多かった。

たくさん拾って,砂を吐き出させようと一晩塩水に浸けておいたら,大きなアサリは皆死んでしまった。氷を入れて冷やしておけばよかったかも。小さなアサリだけは貝汁にして食べた。オオノガイも死なせてしまったので食べられなかった。

それにしても,なぜこの狭い場所だけに大量の貝が打ちあがっていたのだろう。
近所の人から聞いた話では,「河芸町上野地区で竜巻が発生し,何軒かの屋根瓦が飛んだ。竜巻は海のほうからやってきたらしい。」

辻褄が合っている。
2011.7.20


台風6号が砂浜を侵食

2011-07-22 | 風景

台風6号は通り過ぎていったが,大型でスピードがゆるかったので荒い波が長く続いたために,この辺りの砂浜は激しく侵食されてしまった。
芦原海岸に突如現われたこのコンクリートの構造物は,これまで見たことが無かった。昨日までは砂浜の下に隠れていたものである。

通りかかった古老の話では,「これは昔の排水口。堤防際を流れる水路は,芦原排水機場ができるまではここに流れ込んでいた。土管の一部がむき出しになっているやろ。こんな所に排水設備があったなんて,あなたは知らないやろなあ。」

少なくともここ十数年の間で最も激しく砂浜が侵食されたことは確かである。
2011.7.20


フトジマナミシャク

2011-07-17 | 

シャクガ科ナミシャク亜科のフトジマナミシャク Xanthorhoe saturata (Guenée, 1857)

2011.7.9 津市の豊津海岸。マサキの葉にフトジマナミシャクと思われる蛾を見つけた。
フトジマナミシャクの開張は15~22㎜,成虫の出現期は6~7月と9~11月といわれている。
フトジマナミシャクの幼虫はセリ科のニンジン・ミツバ、アブラナ科のアブラナ科野菜、キク科のセンダングサを食べることが知られている。この砂浜海岸で何を食べていたのだろうか。

ツマグロヒョウモン♂

2011-07-17 | チョウ

タテハチョウ科のツマグロヒョウモン Argyreus hyperbius

2011.6.23津市の芦原海岸。チガヤやオオフタバムグラが生えている砂浜でツマグロヒョウモン♂を見つけた。

『広島県蝶類図鑑』によると,「雄は地上で吸水する。また雄は見晴らしのよい山頂や道ばたなどで占有行動をとり,侵入したものを追い出そうとする。」という。



12月のツマグロヒョウモン

シロイチモンジマダラメイガ成虫

2011-07-17 | 

メイガ科マダラメイガ亜科のシロイチモンジマダラメイガ Etiella zinckenella (Treitschke, 1832)

2011.7.8 松阪市の松名瀬干潟でシロイチモンジマダラメイガと思われる蛾を見つけた。
シロイチモンジマダラメイガの幼虫はマメ科のエンドウ、ダイズ、ササゲなどの鞘内で種子を食べる。
松名瀬海岸のマメ科植物といえば,ハマエンドウの群落がある。一度,ハマエンドウの種子を確かめてみよう。

黒豆の幼虫

スズキナガハナアブ♀

2011-07-10 | ハエ目(双翅目)

ハナアブ科のスズキナガハナアブ Spilomyia suzukii Matsumura

松阪市の松名瀬干潟。ハマゴウ群落の中で,スズキナガハナアブと出会った。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,スズキナガハナアブは「体長18~20㎜。♀:大型で帯褐色。額は橙黄色で黒色の中縦線を持つ。顔面は前方に膨らみ黄色,不明瞭な中縦線がある。後腿節の末端近く下面には三角状の突起がある。出現:8~9月。分布:北海道・本州・四国・九州・五島列島。」などとある。

『札幌の昆虫』によると,「胸部背面後半にハの字型の黄色紋がある。ナガハナアブの仲間は,スズメバチによく似ていて,スズメバチと見間違うことが多い。」という。

福井県ではB(県レベルで重要なもの)に区分して,「ややまれな種であり,その生態についてもほとんどわかっていない.比較的自然度の高い広葉樹林域で見つかっているが,そのような地域の自然環境の保全が,このハナアブの生息のために必要であろう.」としている。

福井県では「自然度の高い山林で採集され」ているが,私が干潟で見つけたことは珍しいことなのかも。
2011.7.8


ヨモギクキマルズイフシ

2011-07-08 | 虫こぶ


野に出ると,ヨモギの株が大きくなってきているのに驚くこの頃である。ヨモギは虫こぶの種類が多いので,よく株を覗き込んでは虫こぶを探すことにしている。

この日はヨモギマルフシミバエが作るヨモギクキマルズイフシという虫こぶを見つけた。

『虫こぶハンドブック』によると,「茎が球形~卵形に肥大し,直径8㎜,長さ10㎜前後。虫えいの壁は厚く,内部に淡黄色の1幼虫が見られる。7月に羽化。」
2011.7.4

ナミスジチビヒメシャク

2011-07-08 | 

シャクガ科ヒメシャク亜科のナミスジチビヒメシャク Scopula personata (Prout, 1913)

津市河芸町。里山の溜池周辺をうろつく。
葉裏に隠れた蛾を追った。葉をそっと捲ると小さなヒメシャクを見つけた。開張が15㎜も無いかなという感じだったので,ナミスジチビヒメシャクではないかと思う。

2011.7.4

青山高原のラクダムシ♀

2011-07-07 | 三重の生き物

ラクダムシ目ラクダムシ科のラクダムシ Inocellia japonica Okamoto

青山高原で,道路脇の林道に入り,木々の枝葉をスィーピングしていたら,ラクダムシが入った。長い産卵管を持っているので雌である。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ラクダムシは「開張♂15㎜内外,♀20㎜内外。本属の種は単眼を欠き,翅の縁紋に横脈を有しない。本種は本邦に知られる唯一の種で,北海道・本州・四国および九州に分布し,4~7月に獲られる。」

2011.6.24