田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ヨモギエダシャク幼虫

2008-11-30 | 
ヨモギエダシャク幼虫
海岸近くの知人の家。
ひとり生えのナワシログミの葉が先のほうから食べられている。
張本人はヨモギエダシャクの幼虫。
幼虫の体色は暗褐色、緑色、薄茶色など変化に富む。
やがて土中にもぐって、蛹となり越冬する。
2008.11.26

ヨモギエダシャク幼虫

ソバカスキバガ

2008-11-28 | 
ソバカスキバガ
キバガ科 ソバカスキバガ Gelechia acanthopis Meyrick, 1932

田中川干潟の南端、芦原排水機場の壁面に止まったソバカスキバガを見つけた。写真は1枚のみ、すぐにどこかへ飛んでいった。
開張は16~20ミリ。秋に見られる蛾のようである。北海道、本州、九州に分布すると図鑑には出ていたが、四国でも見つかっているようだ。
良く似た種が入るようだが、見た目がソバカスだらけに見えるから、種名どおりだと思う。キバも素敵だ。
2008.11.26

オオスジチャタテ

2008-11-27 | 三重の生き物
オオスジチャタテ
チャタテ科のオオスジチャタテ

2年前の秋、知人と五ヶ所湾へ出かける途中、宮川中流部にある宮リバー度会パーク公園に立ち寄った。大きなクヌギがあって、枯れ枝が落ちていた。その枯れ枝に居たのがこのチャタテである。
北大の研究者に同定してもらい、ようやく種名が明らかとなった。
樹幹に棲み、地衣類を食べるチャタテ科のオオスジチャタテの学名はこれまでPsococerastis kurokiana (Enderlein, 1906)が充てられ、その分布は北海道、本州、九州とされてきた。
しかし、どうやらヨーロッパ産で最近国後島、色丹島から記録されているPsococerastis gibbosa (Sulzer, 1776)と同種ではとの疑問が出てきているようである。将来、北大の研究者が詳細に検討して結論を出してくれるであろう。
2006.10.7

オオスジチャタテ

オオウロコチャタテが走る

2008-11-26 | 田中川
オオウロコチャタテ
チャタテムシ目 ウロコチャタテ科Amphientomidae 
オオウロコチャタテ Stimulopalpus japonicus Enderlein, 1906

自宅のコンクリート壁面に細長い虫が小走りで動いているのを見つけた。カメラを向けて追い回したが、どこかへ飛んでいってしまった。体長は4ミリほど。チャタテムシの仲間ではと勘が働いた。案の定、チャタテムシ目であった。
頭部に白い斑紋が見られるのが特徴のオオウロコチャタテ。コケ,地衣類,菌類などを食べているようだ。分布は本州、四国、九州。
ウロコチャタテ科は日本に2属2種が居て、前翅長は2.5~3.5ミリ。人家の石垣やブロック塀、墓石などで良く見つかるという。
2008.11.23

オオウロコチャタテ

タネバエ改めチャバネトゲハネバエ

2008-11-25 | ハエ目(双翅目)
チャバネトゲハナバエ
ハナバエ科Anthomyiidaeのタネバエ 改めトゲハネバエ科のチャバネトゲハネバエTephrochlamys japonica Okadome

自宅で飼っていたニワトリの最後の一羽が死んだ。そのニワトリ小屋の周りにタネバエチャバネトゲハネバエが数匹見られた。
タネバエの成虫は魚粕、鶏糞、未熟堆肥などの未分解有機物の腐敗臭をかぎつけてやってくるので、我家へは鶏糞の臭いに誘われてきたのだろう。一匹捕まえて体長を測ってみたら、約7ミリであった。
卵は地表面に産み付けられ、幼虫は土壌害虫として知られる。ダイズ、インゲンなどの豆類、ネギ類、ウリ類など畑に蒔かれた種子の子葉や初生葉を食害する。

「新版日本の有害節足動物』によると,チャバネトゲハネバエは「体長約5㎜。体は緑色を帯びた黄褐色。触角第3節と刺毛は赤褐色である。胸背の剛毛は褐色の斑紋に囲まれている。翅の前縁は褐色が強い。春と秋に家屋内で見られる。便所のガラス窓などで多く見られる。」
2008.11.24

チャバネトゲハネバエ


チャバネトゲハネバエの左翅

キアシマメヒラタアブ雌

2008-11-24 | ハエ目(双翅目)
キアシマメヒラタアブ雌
ハナアブ科 キアシマメヒラタアブ Paragus(Pandasyophthalmus)haemorrhous Meigen

田中川干潟の土手。
セイタカアワダチソウの花に蜜を吸いに来たキアシマメヒラタアブを見つけた。
体長は5ミリ前後。4月頃から今頃まで見られる。
平地ばかりでなく、山地でも見つかるらしい。
この干潟でキアシマメヒラタアブを見つけたのは初めてである。
2008.11.20

キアシマメヒラタアブ雌

キアシマメヒラタアブ雌

シマハナアブ雌

2008-11-22 | ハエ目(双翅目)
フタホシヒラタアブ
ハナアブ科 ハナアブ亜科 シマハナアブ雌 体長約14ミリ Eristalis cerealis

田中川干潟の土手。シロツメクサに止まったシマハナアブを見つけた。
体長が14ミリくらいあるから、本種では最大級のもの、大きいなあと思った。
胸部背面に黒い毛の横帯がある。
ミツバチに擬態していると言われている。
幼虫は汚水の中で腐食物を食べている。
北海道から沖縄までの各地で普通に見られる。
2008.11.20

フタホシヒラタアブ

オオオナモミ群生

2008-11-20 | 草花
オオオナモミ
伊勢上野公園から伊勢鉄道高架下をみる。田中川の中流。

伊勢鉄道の伊勢上野駅近くに伊勢上野公園という田中川の親水公園がある。この辺りの田中川は、稲の栽培期間中はせき止められているが、刈り取りが終わる頃には川底が見えてくるようになる。すると、たちまちに干上がった川原が緑で被われてくる。オオオナモミの発芽である。約半年間も水に浸かっていた種子が一斉に発芽するのである。
この日は今年一番の冷え込みにもかかわらず、オオオナモミの群生を覘きに出かけた。
川原が褐色に見えるところがオオオナモミの群生である。この群生の中では他の植物は育たないくらい、びっしりとオオオナモミが生えている。
家に帰ってから、ズボンにひっつき虫がくっついているのを家族に見つけられた。
2008.11.19

オオオナモミ
伊勢上野公園から上流を見る。

オオオナモミ
オオオナモミの果苞 いわゆる「ひっつき虫」
先端にくちばし状の突起が2個ある。表面にはカギ状の棘が密生する。この中に2個の細長い種子が入っている。

オオオナモミ
まだ熟していない果苞も見られた。

クルマバッタモドキ緑色型

2008-11-19 | バッタ類
クルマバッタモドキ緑色型
2006.7.30 芦原海岸の堤防際にて クルマバッタモドキ緑色型の雄

訳あって2年前の画像を調べていたところ、クルマバッタモドキの緑色型に出会っていたことが分かった。
「まれに緑色型が出現する」と『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』に記述されている。
2年前、緑色型なんて、存在すること自体分からなかった。その後も出会っていない。
砂浜から堤防の斜面へ飛び出してきた緑色型は色鮮やかで南国的だなあと、しばらく魅入っていたことを思い出した。あれがクルマバッタモドキであったと今やっと分かった。

クルマバッタモドキ緑色型

クルマバッタモドキ緑色型

クルマバッタモドキ 幼虫と成虫

クビキリギス雌

2008-11-16 | バッタ類
クビキリギス♀
津市の豊津海岸、チガヤ群落とセイタカアワダチソウ群落が混生している所がある。
チガヤ群落の中から飛び出したのは
キリギリス科クサキリ亜科クビキリギス属のクビキリギス雌
この属はクサキリ属やカヤキリ属と似ているが、頭頂突起は額から離れている。日本産クサキリ亜科中、最もスリムな体形をしている。
クサキリ亜科は夜行性。
クビキリギスは秋遅くに羽化し、成虫越冬する。この雌もこの秋に羽化したのであろう。
緑色型の他に褐色型もあり、また桃赤色や赤褐色の個体もあるという。
大顎は橙赤色。翅端までの大きさは5センチ以上もある。
イネ科植物の穂や若芽などのほか、昆虫類も食べるらしい。
2008.11.13

クビキリギス♀

本州初のキモグリバエ科

2008-11-13 | ハエ目(双翅目)
Formosina cincta de Meijere
2008.9.6 津市の豊津海岸にて キモグリバエ科のFormosina cincta de Meijere

マエグロツリアブの観察に通っていた近くの海岸で、小さくて丸々していて、ゆっくりした動きでイネ科のセイバンモロコシ群落を飛び回っているハエを見つけた。体長は約3ミリ。彼らは隣接するヤブガラシ群落へも行き来していた。黄色くて丸っこい腹部背面に1本の黒い横条があり、きれいな黄色で形が特異な小楯板も特徴的である。
約20日間、このハエの観察に通った。
人を介して、キモグリバエ科の分類学の専門家である上宮健吉博士に同定をお願いして、和名がまだ無いFormosina cincta de Meijereであることが判った。学名の三番目のdeは亜種名ではなくて,命名者Meijereの名前の一部とのこと。九州南部以南に分布する種で、本州からは新記録になるとのことである。

Formosina cincta de Meijere
2008.9.11 イタドリ葉上にて

Formosina cincta de Meijere
2008.9.15 セイバンモロコシ葉上にて

Formosina cincta de Meijere
2008.9.15 セイバンモロコシ葉上にて

Formosina cincta de Meijere
2008.9.16 17時10分ほど前、セイバンモロコシ群落周辺にて、まるでクロメマトイのようにペアーが私の目の辺りの高さで飛び回るので、少し離れて様子を見ていると、あるイネ科植物に止まって交尾を始めた。約40分間ほど眺めていたが飽きてしまった。なんでこんなに長いんだ。

Formosina cincta de Meijere
2008.9.20 セイバンモロコシ葉上にて

Formosina cincta de Meijere
2008.9.25 ヤブガラシにて
胸部に、途中で途切れる黒の縦条がある。

ヘリグロハナレメイエバエ雌

2008-11-12 | ハエ目(双翅目)
ヘリグロハナレメイエバエ雌
イエバエ科 ハナレメイエバエ亜科 (Coenosiinae) ハナレメイエバエ族 (Coenosiini)
ヘリグロハナレメイエバエ Orchisia costata (Meigen, 1826)の雌。近似種は居ない。

津市の豊津海岸をいつものように一人でふらつく。
シナダレスズメガヤの群生地で一匹の小さなハエを見つけた。翅を少し広げては閉じるという仕草を繰り返していた。翅の斑紋が目に付いたので種名が判るかもしれないと思って撮影した。撮影中にどこかへ飛んでいってしまい、見失った。動きの早いハエだ。体長は3.5mm前後。
翅の斑紋はもちろん、頭部の刺毛や胸背の短い刺毛も写っていたので同定材料は揃っているらしい。しかるべき研究者に同定してもらった。
ヘリグロハナレメイエバエは夏から秋にかけて、やや湿潤な(湿地とは限らない)空地のイネ科植物群落を掬うと極めて普通に採集できるハエで、本州から東南アジア、アフリカに亘って広域に分布する種とのこと。
学名のcostataとは「前縁」の意味で翅前縁の暗色紋に基づくものと思われる。
本種の生息場所には、通常他にも数種のハナレメイエバエ亜科の種やイネクキイエバエAtherigona orizae Mallochが生息しているという。前者の種の成虫はしばしば小型の双翅類を捕食していると教えてもらったので、また探しに出かけてみようと思っている。
2008.11.11

ヘリグロハナレメイエバエ雌

ヘリグロハナレメイエバエ雌

年末のヘリグロハナレメイエバエ

オキナガレガニ♀

2008-11-11 | カニ
オキナガレガニ
2003.5.31田中川右岸の海岸、今から5年以上も前のことだ。海が荒れて、多くの海藻が流れ着いた。そして、この一匹のカニを見つけた。まだ生きていた。
甲幅は10ミリ、甲長も10ミリ。
当時、いろいろ調べたが種名は分からなかった。このほど、ようやく種名が判明した。
イワガニ科オキナガレガニ属 オキナガレガニ Planes cyaneus Dana,1851

『日本産蟹類』によると、
「甲の輪郭はまるみのある四角形で、甲長と甲幅はほぼ等しい。額は広く、中央でわずかにくぼみ、前側縁は眼窩外歯の後方で浅い切れ込みがあって1小歯を有し、その後方で側縁はまるみを帯びて後縁へと狭まっていく。甲面は平滑で隆起し、後側縁に近い面だけ、わずかに斜めの稜線がある。はさみ脚は長節の内縁先端が板状で小鋸歯を装い、歩脚は長節が頗る幅広く、腕節・前節・指節には前縁・後縁に軟毛を密生している。この毛列は泳ぐのに役立つ。海上に漂う流木、流れ藻、軽石などに付着して大洋を移動するほかに、海亀、クラゲなどに付くこともある。
 コロンブスが航海中に見たカニは、P.minutusであろう。このカニの英名をColumbus's Crabと呼ぶのは、この逸話による。
甲長は22.5mm、甲幅は23.0mm くらいである。
分布:犬吠埼以南沖縄、さらに小笠原諸島、全インド-太平洋から南米西沿岸にまで分布する。」

『原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅱ)』によると、
「季節風・台風により岸に漂着したり、浜に打ち上げられる」

酒井恒先生の『コロンブスとかに』という小話によると、
「日本沿岸の『ころんぶすがに』は大西洋産の種類に近いが別種で、Planes プラネスcyaneus キアネウスDanaと呼ばれていて、やはり流木や漂流するほんだわら、時には海亀の背に乗っていることさえある。いわがに科のかにでありながら、いっさい上陸はせず、沖で漂流生活をつづけているのである。」

三重県ではアカウミガメに付いていたとの記録があると聞いている。
5年前に私が見つけた小さな個体は、小さな標本ケースの中に入れて今私の手元に置いてある。

11月のマダラバッタ

2008-11-08 | バッタ類
マダラバッタ緑色型
ここは海岸の荒地。砂利もあれば丈の短い雑草も生えている。
マダラバッタには全身褐色、一部緑色、緑色の3型がある。
この日は、その3型と出会った。
田中川干潟近くの砂浜では今年はもう見かけなくなったが、この辺りの荒地ではまだ会える。
2008.11.4

マダラバッタ一部緑色型
一部緑色型。顔の一部も緑色

マダラバッタ一部緑色型
一部緑色型。顔に緑色は無い。

マダラバッタ褐色型
褐色型。前翅の根元付近に緑色の条線があるが、褐色の場合もある。

マダラバッタ緑色型

マダラバッタ紅色型

マダラバッタ 幼虫と成虫