![オキナガレガニ](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/a1/68da29c2410de970ef85d32e4751c75c.jpg)
2003.5.31田中川右岸の海岸、今から5年以上も前のことだ。海が荒れて、多くの海藻が流れ着いた。そして、この一匹のカニを見つけた。まだ生きていた。
甲幅は10ミリ、甲長も10ミリ。
当時、いろいろ調べたが種名は分からなかった。このほど、ようやく種名が判明した。
イワガニ科オキナガレガニ属 オキナガレガニ Planes cyaneus Dana,1851
『日本産蟹類』によると、
「甲の輪郭はまるみのある四角形で、甲長と甲幅はほぼ等しい。額は広く、中央でわずかにくぼみ、前側縁は眼窩外歯の後方で浅い切れ込みがあって1小歯を有し、その後方で側縁はまるみを帯びて後縁へと狭まっていく。甲面は平滑で隆起し、後側縁に近い面だけ、わずかに斜めの稜線がある。はさみ脚は長節の内縁先端が板状で小鋸歯を装い、歩脚は長節が頗る幅広く、腕節・前節・指節には前縁・後縁に軟毛を密生している。この毛列は泳ぐのに役立つ。海上に漂う流木、流れ藻、軽石などに付着して大洋を移動するほかに、海亀、クラゲなどに付くこともある。
コロンブスが航海中に見たカニは、P.minutusであろう。このカニの英名をColumbus's Crabと呼ぶのは、この逸話による。
甲長は22.5mm、甲幅は23.0mm くらいである。
分布:犬吠埼以南沖縄、さらに小笠原諸島、全インド-太平洋から南米西沿岸にまで分布する。」
『原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅱ)』によると、
「季節風・台風により岸に漂着したり、浜に打ち上げられる」
酒井恒先生の『コロンブスとかに』という小話によると、
「日本沿岸の『ころんぶすがに』は大西洋産の種類に近いが別種で、Planes プラネスcyaneus キアネウスDanaと呼ばれていて、やはり流木や漂流するほんだわら、時には海亀の背に乗っていることさえある。いわがに科のかにでありながら、いっさい上陸はせず、沖で漂流生活をつづけているのである。」
三重県ではアカウミガメに付いていたとの記録があると聞いている。
5年前に私が見つけた小さな個体は、小さな標本ケースの中に入れて今私の手元に置いてある。